歳時記
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BLOG歳時記
2021.11.13
火の用心を願って食べる「お火焚き饅頭」
先日の「きょうのちしん」でご紹介した「亥の子餅(いのこもち)」。火伏せ信仰のある亥の子餅とあわせて食べたい「お火焚き饅頭(まんじゅう)」をご紹介します。京都の町内や神社などで11月におこなわれる伝統行事「お火焚き祭(おひたきさい)」。おくどさん(かまど)に1年の無事を感謝し、その際に供えられるのがお火焚き饅頭です。紅白の小さなふかし饅頭に、「火炎宝珠」の焼印が押されているのが特徴。大きな口を開けて笑っている人の顔にも見えるのは気のせいでしょうか。また、お火焚き饅頭と一緒に、ミカンと「火をおこす」にちなんで「おこし」も供えられます。ミカンはお火焚きに投げ入れられることが多く、焼きミカンに。火を扱う商店から一般の家庭まで、お供え物のお下がりを近所などに配る風習があります。家の近所でも、「火の用心」のかけ声と拍子木の音が聞こえ始める時期。「火の用心」の願いが込められた、お火焚き饅頭もぜひ味わってみてはいかがでしょうか?もともと、お火焚き饅頭は餅店で販売が始まったといわれています。現在では和菓子店でもお火焚き饅頭が並んでいます。今年、私が求めたのは、清水道にある「浪川菓舗(なみかわかほ)」のお火焚き饅頭。清水寺御用達の和菓子店で、銘菓「きよみづ」などでも知られています。ゆず入りの「お火焚きおこし」も期間限定で販売されているので、ぜひどうぞ!「お火焚き祭」は、11月の伝統行事として京都のさまざまな神社でも斎行されています。たとえば、11月15日(月)は御香宮神社、11月16日(火)は京都ゑびす神社。11月23日(火・祝)は大将軍八神社や新熊野神社、平岡八幡宮、建勲神社、白峯神宮など。神社によって趣向が異なり、日時もさまざまなので、お火焚きめぐりを楽しんでみませんか?火には「1/f ゆらぎ」の効果もあるとされているので、気持ちが穏やかになるかもしれません。浪川菓舗(なみかわかほ)京都市東山区東大路通松原上ル辰巳町113市バス停清水道下車、徒歩すぐ"亥の月・亥の日・亥の刻"に食べる「亥の子餅」 はこちら
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2021.11.09
"亥の月・亥の日・亥の刻"に食べる「亥の子餅」
11月11日は「亥の子(いのこ)の日」です。十二支の最後にあたる「亥」は「イノシシ」のこと。昔は年だけでなく、月や日も十二支を使って表していました。「亥の月」は旧暦の10月(現代の11月ごろ)で、「亥の刻」は21~23時ごろを指します。「亥の子の日(亥の日)」は毎年変わり、2021年は11月11日。亥の子の日には、子だくさんのイノシシにあやかって子孫繁栄や無病息災を祈ります。古くから、"亥の月・亥の日・亥の刻"に食べられてきたのが「亥の子餅(いのこもち)」。亥の子餅とは、その名のとおりイノシシの子(ウリ坊)をかたどったお餅のことです。中国から伝わった風習で、平安時代に宮廷でおこなわれたのがはじまりともいわれています。『源氏物語』にも亥の子餅の描写があるので、紫式部もお気に入りだったのかもしれませんね。私のお気に入りの亥の子餅は、「甘春堂 本店」のもの。求肥に3筋の筋が入れられ、ウリ坊の可愛らしさが伝わってきます。白あんと粒あんの二重あんで、求肥に混ぜ込まれた白ごまの風味も楽しめますよ。また、陰陽五行説において亥は「水」にあたるため、火災を免れると考えられてきました。江戸時代の庶民の間では、亥の子の日に囲炉裏を開いたりコタツを出す風習があったとか。現在もコタツを出すのに迷ったら、亥の子の日を目安にするとよさそうですね。茶の湯でも亥の子の日を炉開きの日として、茶席菓子に亥の子餅が供されてきたそうです。先人たちに思いをはせながら、亥の月・亥の日・亥の刻に、亥の子餅を味わってみませんか?甘春堂のオンラインショップで購入することもできるので、ぜひチェックしてみてください。甘春堂 本店(かんしゅんどう ほんてん)京都市東山区川端通正面下ル上堀詰町292-2京阪七条駅5番または6番出口から徒歩3分 甘春堂のオンラインショップ はこちら
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2021.07.26
土用の丑の日と「みたらし祭 ―足つけ神事―」
今年の「土用の丑の日(どようのうしのひ)」は、7月28日(水)です。立春・立夏・立秋・立冬の直前、季節の変わり目のおよそ18日間を指すという「土用」。さらに、かつての暦では、日にちを十二支(干支)で数えられていたとか。つまり「土用の丑の日」とは、「土用」の期間のなかの「丑」にあたる日です。それぞれの季節の変わり目にある「土用の丑の日」ですが、夏のイメージが大きいですよね。夏の土用の丑の日に食べるとよいとされているのが、うなぎ。また、うどんや梅干しなど、「う」のつく食べ物もよいといわれています。夏に旬を迎えるウリなど、さっぱりとして食べやすい食材も多くありますね。そして、真夏の土用の丑の日の風物詩といえば「足つけ神事」です。下鴨神社(賀茂御祖神社)の「みたらし祭」で、土用の丑の前後4日間の夕刻に斎行。境内の「みたらし池」で、今年は7月22日(祝・木)~8月1日(日)におこなわれます。みたらし池は井上社(御手洗社)の前にあり、池から出ると「みたらし川」とよばれます。下鴨神社の境内を流れるみたらし川は、土用の時期に川の底などから清水が湧き出るのだとか。ぷつぷつと湧き上がる清水の泡を団子に見立てたのが「みたらし団子」の始まり。みたらし団子は下鴨神社が発祥の地といわれています。土用の丑の日に、みたらし池に足をつけると無病息災のご利益があるとされています。ロウソクを手に川に入り、足をつけたあとは「御神水(ごしんすい)」をいただきましょう。足つけ神事で「みたらしの神様」の力をいただき、ウナギも食べて夏を乗り切りたいですね。下鴨神社(賀茂御祖神社)/しもがもじんじゃ(かもみおやじんじゃ)京都市左京区下鴨泉川町59市バス停下鴨神社前下車、徒歩すぐ「みたらし祭 ー足つけ神事ー」は、7月22日(祝・木)~8月1日(日)の9~20時に斎行。※コロナ禍のため規模を縮小し、人数が制限されます。※三密を避けるため、混雑が予想される16~20時を避けて参拝してください。※状況により、内容が変更される場合があります。「加茂みたらし茶屋のみたらし団子」 はこちら
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2021.07.17
祇園・花街に伝わる祇園祭の風習「無言詣り」
四条寺町の「Otabi Kyoto(四条センター)」は、京都を代表する名産品を扱う土産物店。祇園祭期間中は土産物店が姿を消して「祇園祭 八坂神社 御旅所(おたびしょ)」に様変わりします。例年、神幸祭の7月17日に八坂神社から3体の神様が御旅所に運ばれ、還幸祭の24日まで滞在。今年は、神様をみこしで運ぶ、神幸祭の「神輿渡御(みこしとぎょ)」も中止となりました。そのため御旅所に3基の神輿は並びませんが、祇園祭でもっとも重要な行事は神輿渡御なのです。神輿では運ばれないものの、3体の神様は今年もこちらの御旅所に滞在されていますよ。さて、昔から、この期間の夜に静かにおこなわれている祇園・花街の風習をご存じでしょうか?舞妓さんたちが、誰にも言えない願いごとをするという「無言詣り(むごんまいり)」です。7月17日から24日の間に、誰とも言葉を交わさずに八坂神社から御旅所まで歩いて7往復半。道中も参拝中も無言を貫き通すと、秘めた願いごとがかなうといわれているとか。一度でも誰かと口を利くと最初からやり直しになるので、心してお参りしなければなりません。八坂神社の主祭神といえば、素戔嗚尊(スサノヲノミコト)。そして、櫛稲田姫命(クシナダヒメノミコト)と八柱御子神(ヤハシラノミコガミ)です。櫛稲田姫命には、恋愛成就や子宝・安産、夫婦円満などの御利益があるといわれています。もとは、舞妓さんたちが恋愛成就の願掛けのお参りをしていたのが始まりだったとか。山鉾巡行や神輿渡御が行われないなか、静かにお参りするのも大切ですね。八坂神社 御旅所(やさかじんじゃ おたびしょ)京都市下京区四条通寺町東入ル南側貞安前之町阪急京都河原町駅から徒歩3分祇園祭期間にだけ開放される「御手洗井」とは? はこちら※コロナ禍のため、2021年も開放されていません。
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2021.05.13
京都・要法寺から鴨川へ"子ガモのお引越し"
京都三大祭のひとつとして知られる、5月の「葵祭(賀茂祭)」。「賀茂社」と総称される、上賀茂神社(賀茂雷別神社)と下鴨神社(賀茂御祖神社)の例祭です。昨年に続き、今年も5月15日(土)の「時代行列」や「路頭の儀」は中止に。斎王代による「禊の儀」も中止となり、関連する神事のみ一般には非公開で執り行われます。そんななか、葵祭のこの時期、コロナ禍でも中止できない"ある行列"があります。それはカモの親子が、育ったお寺から鴨川の東岸まで移動する"お引越し"です。カモの親子が住みついているのは、東山三条の「要法寺(ようぼうじ)」。この春は3月30日(火)の未明に、境内の清涼池で13羽のカモが孵化したそうです。一連のきっかけは、平成17年(2005)、境内につがいのカモが飛来して産卵したこと。それ以来、清涼池で繁殖し、巣立ちのときまでお寺や近所の人々に温かく見守られてきました。今年は5月13日(木)に、"お引越し"が行われました。孵化した13羽のうち、無事に成長した12羽が、池から約700メートル西にある鴨川へ。この日は早朝から親ガモの姿がなかったそうで、子ガモだけでの出発になったとか。近所の人々や警察官に見守られ、誘導されながら、12羽は鴨川までの道のりを2時間かけて横断。先頭を歩くはずの親ガモは不在なものの、例年より子だくさんでにぎやかな行列となりました。もちろん、交通量の多い川端通を横断する際には、車両が通行止めになります。パトカーも出動する、京都三大祭の行列さながらの一大行事ですね。生まれ育った池から大きな川へ、子ガモたちにとって"新しい生活"がスタートしました。ちょうど、5月10日(月)~16日(日)は「愛鳥週間(バードウィーク)」です。鴨川でも子ガモたちが温かく見守られ、無事にすくすくと育ちますように。
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2021.05.03
初夏の訪れを告げる鯉のぼり
5月5日の端午の節句に向けて、大空に泳ぐ鯉のぼり。最近はその姿を見かけることも少なくなりましたが、初夏の風物詩のひとつですね。京都の東山中学・高等学校の玄関前や周辺では、この時期にたくさんの鯉のぼりが並んでいます。子どもたちの健康安全や学業成就を願って3年前より行われている、名門男子校の新名物です。保護者や教職員、関係者から寄贈されたという鯉のぼりは、約300旒(りゅう)を数えるとか。玄関前から鹿ケ谷通り沿い、琵琶湖疏水上に5月の風を受けた鯉のぼりがはためいています。昨年は新型コロナウイルス感染症による全国一斉休校の影響で、鯉のぼりの掲揚が中止に。今年は新型コロナウイルス感染症の終息を願い、5月6日(木)ごろまで掲揚されています。創立が明治元年(1868)と、日本最古の私立学校のひとつである東山中学・高等学校。幕末の混乱期に学問の必要性が唱えられ、知恩院内に学問所が設けられたのが起源だとか。永観堂は徒歩1分、南禅寺は徒歩2分、哲学の道は徒歩5分など、東山の名所に囲まれています。先日の「きょうのちしん」でご紹介した「蹴上のつつじ」も、歩いて10分ほどの場所にありますよ。現在、京都を含む4都道府県は緊急事態宣言下にあります。このゴールデンウイークも、京都へのお出かけを控えてくださいますようお願いいたします。ウェブ上で、時間や場所を気にせず京都を楽しんでいただければ幸いです。空を泳ぐ鯉のぼりのように、子どもたちが元気にのびのびと過ごせる世の中になりますように。
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2021.01.27
今年の節分は2月2日① 須賀神社「懸想文売り」
2021年の節分は2月3日ではなく、2月2日。立春が2月3日にずれることに伴うもので、明治30年(1897)以来、124年ぶりのことなのだとか。コロナ禍のため、追儺式や豆まきの行事、甘酒の接待などは中止とする神社やお寺が多いようです。おうちで粛々と豆まきをして、鬼とともに新型コロナウイルスも追い払いたいものですね。節分といえば鬼ですが、鬼ではなく、ミステリアスな人間が境内に出没する神社もあります。京都の聖護院にある須賀神社では、2人組の「懸想文(けそうふみ)売り」が節分の主役に。懸想文売りは、現在では節分の須賀神社でしか見られない貴重な京都の風俗行事です。須賀神社の社務所で授与される絵馬や御朱印にも描かれている、懸想文売りとは!?須賀神社で授与される懸想文は、"縁談や商売繁昌など人々の欲望をかなえる符札"。烏帽子(えぼし)と水干(すいかん)姿で、梅の枝に文を結んで歩くのが懸想文売りです。読み書きが一般的でない江戸時代、お正月に恋文の代筆業をしていた風習が受け継がれています。目だけを出して顔全体が白い布で覆われているのは、正体を見抜かれないようにするための策。その正体は公家たちで、教養がありながら生活に困窮していた彼らの秘密裏の副業だったとか。鼻や口が完全に隠された姿は、思いがけず感染症対策にもなっているのかもしれません。懸想文はお守として、タンスの引き出しの中などにこっそり忍ばせておくとべっぴんさんに!?さらに、早々に縁談が舞い込む、衣装持ちになるなどのご利益もあるといわれています。須賀神社(すがじんじゃ)京都市左京区聖護院円頓美町1市バス停熊野神社前下車、徒歩5分※豆まき行事は中止、2月1日(月)・2日(火)の「優雅な懸想文(お守)売り」は実施予定。
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2021.01.15
平安時代の故事にちなんだ「御粥神事」「御粥祭」
小豆の赤には邪気を払うパワーがあるとされ、京都では平安時代から食べられてきました。たとえば、「夏越の祓」の6月30日に、三角のういろうに小豆を散らした「水無月」をいただきます。小正月の1月15日には、小豆を食べると邪気が払われるという故事にちなみ、小豆粥を食べる風習も。上賀茂神社(賀茂別雷神社)では、「御粥(みかゆ)神事」が執り行われます。「樒(しきみ)」で作られた粥杖が、小豆粥とともに神前に供えられ、年中の除災が祈祷されます。また、下鴨神社(賀茂御祖神社)でも「御粥祭(おかゆさい)」が斎行される日。野菜や果物とともに小豆粥と大豆粥が神前に供えられ、五穀豊穣と国家国民の安泰が祈願されます。下鴨神社では、例年、祭事のあとにおさがりの小豆粥が参拝者に授与されてきました。2021年は祭事のみの斎行となり、小豆粥の授与は行われません。春には世間が落ち着いていることを願いながら、自宅で小豆を炊いてみたいと思います。小豆といえば、下鴨神社境内にある「休憩処 さるや」。下鴨神社の北に本店をかまえる「あずき処 宝泉堂(ほうせんどう)」が手がける茶店です。こちらでは、下鴨神社の宮司さんと考案したという甘味や軽食が提供されています。寒い時期の参拝帰りに味わいたいのが、丹波大納言小豆の風味豊かな「良縁ぜんざい」。縁結びにご利益のある、境内の末社「相生社(あいおいのやしろ)」にあやかったおぜんざいです。神様のおさがりの小豆で炊かれたおぜんざいと紅白のお餅に、身も心も温かくなるのを感じます。上賀茂神社(賀茂別雷神社)/かみがもじんじゃ(かもわけいかづちじんじゃ)京都市北区上賀茂本山339市バス停上賀茂御薗橋下車、徒歩3分下鴨神社(賀茂御祖神社)/しもがもじんじゃ(かもみおやじんじゃ)京都市左京区下鴨泉川町59市バス停下鴨神社前下車、徒歩すぐ休憩処 さるや京都市左京区下鴨泉川町59(下鴨神社境内)市バス停糺ノ森下車、徒歩2分
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