京都三大祭のひとつとして知られる、5月の「葵祭(賀茂祭)」。
「賀茂社」と総称される、上賀茂神社(賀茂雷別神社)と下鴨神社(賀茂御祖神社)の例祭です。
昨年に続き、今年も5月15日(土)の「時代行列」や「路頭の儀」は中止に。
斎王代による「禊の儀」も中止となり、関連する神事のみ一般には非公開で執り行われます。
そんななか、葵祭のこの時期、コロナ禍でも中止できない"ある行列"があります。
それはカモの親子が、育ったお寺から鴨川の東岸まで移動する"お引越し"です。
カモの親子が住みついているのは、東山三条の「要法寺(ようぼうじ)」。
この春は3月30日(火)の未明に、境内の清涼池で13羽のカモが孵化したそうです。
一連のきっかけは、平成17年(2005)、境内につがいのカモが飛来して産卵したこと。
それ以来、清涼池で繁殖し、巣立ちのときまでお寺や近所の人々に温かく見守られてきました。
今年は5月13日(木)に、"お引越し"が行われました。
孵化した13羽のうち、無事に成長した12羽が、池から約700メートル西にある鴨川へ。
この日は早朝から親ガモの姿がなかったそうで、子ガモだけでの出発になったとか。
近所の人々や警察官に見守られ、誘導されながら、12羽は鴨川までの道のりを2時間かけて横断。
先頭を歩くはずの親ガモは不在なものの、例年より子だくさんでにぎやかな行列となりました。
もちろん、交通量の多い川端通を横断する際には、車両が通行止めになります。
パトカーも出動する、京都三大祭の行列さながらの一大行事ですね。
生まれ育った池から大きな川へ、子ガモたちにとって"新しい生活"がスタートしました。
ちょうど、5月10日(月)~16日(日)は「愛鳥週間(バードウィーク)」です。
鴨川でも子ガモたちが温かく見守られ、無事にすくすくと育ちますように。