BLOGフォトストーリー2022.03.02

珈琲をのみながら、手紙を書く人。第6話

三条のスマート珈琲店でプリンと珈琲を楽しんでいると、猫の「タマゴ」が足元に現れ、口にくわえた封筒を差し出してきた。

杏実さんからの手紙だ。

さらに驚いたことに、偶然にもここスマート珈琲店で書かれていて、「今度一緒に珈琲でもいかがですか?」と最後にある。

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休日のモーニングコーヒーの後、私は珍しく観光地らしいところを散歩することにした。

東山の近くを歩いていると、杏実さんに伝えたい出来事に遭遇し、そのことを手紙に書こうと、「%」マークのお店、アラビカ 京都東山 に入った。

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杏実さん

花粉が飛び、人によってくしゃみも様々であることに気がつくこの頃、
杏実さんはいかがお過ごしでしょうか。

今朝、スマート珈琲店で「タマゴ」と名付けた猫から手紙を受け取り、大変驚きました。
今度機会があれば、僕も猫に手紙を託してみたいと思います。

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ヤサカタクシーの四つ葉のクローバー号に乗った時のこと、
いろいろおしえていただき、なんだか嬉しい気持ちです。

話は変わりますが、ついさっき、杏実さんが以前飼っていた猫の「おいも」と
知恩院近くの一本橋で会いました。

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思い返してみると「おいも」と出会う時はいつも橋の近くで、
場所も少しずつ北へ行っているような気がします。
なので、杏実さんも橋の近くで偶然見かけることができるかもしれません。

珈琲のお誘いありがとうございます。私もぜひ杏実さんにお会いしたいです。

出町柳近くのカフェはいかがでしょう?

P.S.

東山のアラビカで、珈琲をのみながら。

冬野文

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アラビカを出ると店の前に「タマゴ」がいる。スマート珈琲店からここまで尾行してきたらしい。

私は書いたばかりの手紙を封筒に入れ、宛先も宛名も書かずに「タマゴ」の口元に差し出してみた。「タマゴ」はそれをくわえると、そそくさと細い路地に進み、少しすると見えなくなった。

猫に手紙を託すことなど考えたこともなかったが、杏実さんに届くと信じていた。

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その後、杏実さんから手紙が届くことはなかった。

(つづく)


珈琲をのみながら、手紙を書く人。第5話はこちら

作:渡辺たくみ(nidone.works)
イラスト:やまもとかれん(nidone.works)
写真:マツダ ナオキ
文(ふみ):コニシムツキ
杏実(あんみ):日下七海(安住の地)

■アラビカ京都 東山

京都市東山区星野町87-5
075-746-3669
営業時間 9:00~18:00
無休

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