あまり知られていませんが、11月28日は「猫と人の日」です。
制定したのは、大阪市西区に事務所がある「それがいいにゃ!委員会・Studio hito to inu」。
日本記念日協会によって認定・登録されたのが令和2年(2020)と、生まれたての記念日です。
毎年2月22日が、「2(にゃー)」「22(にゃーにゃー)」で「猫の日」なのはご存じのとおり。
11月28日は「11(いい)」「28(にゃ)」で「猫と人の日」なのだそうですよ。
11月10日の「人と犬・愛犬笑顔の日」の、猫部門として制定されたのだとか。
猫のことを考え、猫に会いに出かけたくなる1日ですね。
京都では看板猫のいる社寺やお店が、まさに招き猫として多くの人を呼び込んでいます。
哲学の道では、南端の若王子橋の周辺でさまざまな猫たちの姿を見られることがあります。
かつて「若王子」という喫茶店があった場所を住み家としてきた猫たちです。
「若王子」は「にゃくおうじ」と読み、ちょっぴり猫っぽい響きなのは気のせいでしょうか。
若王子あたりで見かける猫たちは、ご近所さんたちによってお世話されてきた地域密着型。
どの猫も、避妊・去勢手術が施された「さくらねこ」として大切にされています。
堂々としたたたずまいの猫たちからは、哲学の道の番人という風格も感じられます。
そんななか、喫茶店の遺構だった看板やワゴンが数年前に撤去され、猫たちの環境が変化。
以前のように、レトロなワゴンで密になる猫たちの姿を見られることはなくなりました。
猫たちはご近所さんたちによって大切に守られているそうなので、安心してくださいね。
これまでのように哲学の道に現れる猫たちもいるので、会えたらそっと見守りましょう。
「猫と人の日」をきっかけに、猫と人についても哲学してみたいです。
先日の「きょうのちしん」でご紹介した「熊野若王子神社」があるのも、若王子橋のたもと。
江戸時代まで神仏習合で、「正東山 若王子乗々院」という名前の聖護院門跡院家だったとか。
当時は観音霊場巡りの札所として、観音菩薩がまつられていたといわれています。
江戸から明治への時代の転換期に、明治政府によって布告された「神仏分離令」。
その際に正東山 若王子乗々院は聖護院門跡を離れ、観音菩薩や石碑などが移築されました。
寺町通三条の矢田地蔵尊(矢田寺)に「東山若王子」の名が刻まれた石碑が残されています。
また、若王子橋から冷泉通を西に歩き、鹿ヶ谷通に出た一角にも「若王子」の石碑があります。
彫られた文字はだいぶ薄くなっているものの、「正東山」の文字も読み取ることができます。
幻となった喫茶店跡や、神社だけを残した観音霊場巡りの札所跡。
長い歴史のなかで姿を消したものや変えたものにも思いをはせたい初冬です。
哲学の道(てつがくのみち)
京都市左京区若王子町(南端)
市バス停南禅寺・永観堂道下車、徒歩10分
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