先日の『きょうのちしん』でご紹介した、『平家物語』にも登場する妖怪「鵺(ぬえ)」。
顔はサル、胴体はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビという、得体の知れない伝説上の生きものです。
京都では、大将軍神社や神明神社に、弓の名手・源頼政が鵺を退治した伝説が残されています。
今回ご紹介する「鵺伝説」ゆかりの地は、元離宮二条城の北西にある二条公園。
そのなかに「鵺(ぬえ)池」とよばれる一角があります。
源頼政が弓矢で鵺を射落としたあと、血のついた"やじり"を洗った場所とされています。
頼政は2回、鵺退治をしたとされているので、そのうちの1回なのでしょうね。
このあたりは平安時代の政治の中心地であり、天皇陛下の住まいである内裏もあったとか。
当時、とくに重要な役所が、この二条公園を含む一帯に置かれていたといわれています。
二条公園は、昭和天皇御即位記念の「大礼記念京都大博覧会」の会場内に児童遊園地として開園。
その後、施設の老朽化に伴い、大規模な改修工事を経て現在の公園に再整備されたとか。
鵺池のさらに北に建てられているのが、「鵺大明神」の祠(ほこら)と鵺池碑。
祠には鵺大明神とともに、玉姫大明神と朝日大明神もまつられています。
江戸時代には「鵺石」もあり、触れると祟られるとされたそうですが、今はないようです。
鵺大明神の祠のもうひとつの見どころは、「木鼻(きばな)」です。
木鼻とは、お寺や神社の本殿などに見られる、柱から突き出た部分のこと。
この木鼻には、職人技が光る彫刻が施されていることが多くあります。
その種類は、獅子や獏(ばく)、龍などの動物モチーフから、花や葉などの植物モチーフまで多彩。
鵺大明神の木鼻には、そのなかの獏と見られる彫刻が施されています。
獏は中国の想像上の動物で、鼻はゾウ、目はサイ、毛並みは牛、足はトラの姿をしているとか。
まさに、顔はサル、胴体はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビという鵺に通じるものがありますね。
鵺大明神をはじめ、お寺や神社に参拝する際は、木鼻にも注目をしてみてはいかがでしょうか?
鵺池(ぬえいけ)、鵺大明神(ぬえだいみょうじん)
京都市上京区主税町910-40(二条公園内)
市バス停丸太町智恵光院下車、徒歩3分
鵺(ぬえ)の伝説が残る場所① 大将軍神社 はこちら
鵺(ぬえ)の伝説が残る場所② 神明神社 はこちら