平安時代のころより、数々の妖怪伝説が生まれてきた京都。
「鵺(ぬえ)」は、『平家物語』にも登場する伝説上の生きものといわれています。
京都・東山の大将軍神社のあたり一帯は、かつて「鵺の森」ともよばれていたとか。
『平家物語』では、丑の刻に現れる、"鵺の声に似た得体の知れないもの"が登場します。
夜な夜な「鵺の森」から立ち上る黒雲とともに、この"得体の知れないもの"が御殿の上へ。
「ヒョーヒョー」と不気味な声で鳴く、この"得体の知れないもの"におびえたのが近衛天皇です。
そこで、弓の名手とされた源頼政らに、この"得体の知れないもの"を討ち取るよう勅命。
討ち取ったのは、顔はサル、胴体はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビのような生きものだったとか。
このことから、得体の知れない人を「ぬえ」とよぶようになったともいわれています。
頼政は二度、鵺を退治したといわれ、その最初の地がこの鵺の森だったのだそうですよ。
794年の平安京の造営の際、京の東西南北に「大将軍神社」が建てられました。
東の「大将軍神社」、西の「大将軍八神社」、南の「大将軍社」、北の「西賀茂大将軍神社」です。
そのなかで、"京都七口"のひとつである三条口にあたるのが東の大将軍神社。
近くに藤原兼家が東三條家を構えていたことから、「大将軍神社 東三條社」ともよばれています。
境内で目を引くのが、樹齢800年と伝わるイチョウの巨大な木。
ほかよりも遅く色づく黄葉が青空に映え、御神木として圧倒的な存在感を放っています。
御神木の木札や季節の御朱印などが限定授与されるので、ぜひチェックしてみてはいかが?
12月は11日(土)・18日(土)・19日(日)のみ、社務所が開かれます。
木札はイチョウをかたどったもの、季節の御朱印はイチョウのデザインになっています。
漢字で夜の鳥と書くとおり、おもに夜に鳴くといわれる鵺。
その鳴き声の持ち主が「ツグミ」の一種だと判明されたのは、江戸時代なのだそう。
さらに、現在の「トラツグミ」とよばれるようになったのは、大正時代以降とされています。
樹齢800年の御神木も、鵺の鳴き声を聞いてきたのかもしれませんね。
大将軍神社(だいしょうぐんじんじゃ)
京都市東山区長光町640
地下鉄東山駅から徒歩5分