6月4日~10日は「歯と口の健康週間」です。
前回と前々回の「きょうのちしん」で、京都の歯痛封じの神社とお地蔵さんをご紹介しました。
今回ご紹介するお地蔵さんがいらっしゃるのは、千本鞍馬口の南向きバス停前。
その名も「歯ノ地蔵尊(歯形地蔵)」です。
かつて、鞍馬口通には「逆さ川」とよばれる北向きに流れる小川がありました。
そして、千本通をまたいで小さな橋が架かっていたといいます。
橋のたもとに祀られていたお地蔵さんは、その場所から「逆さ地蔵」の名で親しまれていたとか。
「歯ノ地蔵尊」の祠には、次のような由縁が掲示されています。
その昔、仕事帰りの夫を迎えに行った妻が、夫と若い女性が相合傘で歩いて来るのを目撃。
逆上した妻は夫につかみかかり、驚いた夫は川の下へ逃げ込み、お地蔵さんの陰に隠れます。
気が動転した妻は、夫の肩に思い切り噛みつくという凶行に走ります。
ところが、それは夫ではなくお地蔵さんの肩!
お地蔵さんの肩にくい込んだ妻の歯は、そのまま抜けなくなってしまいます。
近くを通りかかった老僧がお経を読んで助けるも、妻は息絶えてしまうことになりました。
......と、なんとも救われない話ですが、お地蔵さんの肩には今も薄く歯型が残っているとか!?
いつしか「歯ノ地蔵尊」とよばれ、歯痛封じの信仰を集めるようになったといわれています。
健康な歯は人に噛みつくためにあるのではない、という戒めでもあるのかもしれませんね。
歯ノ地蔵尊(歯形地蔵)
京都市北区千本通鞍馬口上ル紫野十二坊町
市バス停千本鞍馬口からすぐ
歯を大切に① 歯痛封じにご利益のある「白山神社」 はこちら
歯を大切に② 京都・伏見の「ぬりこべ地蔵尊」 はこちら