こんにちは。 京都在住のでぶっちょフリーランスライター・泡☆盛子です。
以前は「酒のふと道」というコーナーで、京都の街で私が「もっと太ってもかまわないから食べたい! 行きたい!」と思う旨きもの・良きお店をご紹介していました。
実は先日、話題の「京都Go To Eatチケット」を運良く手に入れることができたので、番外編として飲んべえの私がどのように使ったかをご報告させていただこうと思います。
お付き合いいただけたらこれ幸い。
1,000円チケット3枚、500円チケット4枚で1セットでした。
「5,000円分の飲食チケットが4,000円で買える」という、お得やサービスが大好きな私にはたまらないこのシステム。せっかく利用するならいつもと違った飲み方をしよう! そう決めて向かった先は京都駅。いわずと知れた京都の玄関口で、駅周辺にはカフェから居酒屋、各種専門店までさまざまな飲食店が集まっています。
しかし、京都駅から私の最寄り駅まではわずか15分ほど。これまではわざわざこの辺りで飲食することはありませんでした。旅や取材の帰りには「早く帰って風呂入ってビール飲みてぇ〜」しか考えていませんので......はい。
それでも京都駅ではどんな酒をどんな風に飲めるのか知らずに一生を終えるのはちともったいない気がして、今回は5,000円分のチケットではしご酒にチャレンジ。
舞台となるのは、近鉄京都駅に隣接する名店街「みやこみち」。地元人気店の姉妹店をはじめとする飲食店やみやげ店が約40軒並んでいます。これは巡り甲斐がありそう。
いざ、チケット片手に初めての京都駅はしご酒スタート!
※文中に掲載している価格はすべてすべて税込です。
1軒目 すし昌


街場の寿司屋に飛び込みで入るのは勇気がいりますが、「駅の店なら大丈夫」という謎の安心感がありますね。
最初に向かったのは『すし昌(まさ)』。ほどよくカジュアルで、初めてでも入りやすそうな雰囲気です。
大将と息子さんが息のあったコンビネーションで迎えてくれるカウンター席。
混雑を避けてランチタイムの終盤ごろを狙ったので、カウンターとテーブルには先客がそれぞれ1組。どちらも昼間から楽しそうに飲んでいらっしゃいます。いい感じだなー。
カウンターで迎えてくれた大将曰く「うちは昼も夜も同じメニューです。14時まではお得なランチもありますしね〜」とのこと。
お品書きには「天然鯛うす造り」「虎ふぐてっさ」「北海道産塩水うに」などなど魅力的すぎる単語が並んでいますが、いかんせん今日の私は5,000円で3軒を巡らねばなりません。しかも飲みながら。大まかに、1軒あたり2,000円・1,500円・1,500円という振り分けを考えております。
「ここだけの話、ランチなら上海鮮丼(1,800円)がめちゃめちゃお得なんやけどね」とささやいてくれた大将、ありがとう。でもそれを選ぶとお酒が飲めなくなっちゃうの......。
ぐぬぬと唇を噛み締めつつ選びたるは、お昼のサービスセット「寿司一半定食」1,300円。これにヱビスの瓶ビール700円をつけてジャスト2,000円!
Go To Eatチケットはおつりが出ないので(現金との併用は可能)、うまく使い切れたときはとても気持ちがいいです。
寿司は桶にまとめて盛り込まれます。予想よりもボリューミー!
あー、久しぶりのお寿司! 嬉しい!
今春以降外食はできるだけ控えているので、目の前で寿司をにぎってくれる様子を見るだけでちょっと泣きそうになりました。
誰かが私のために作ってくれる料理......尊い。
嬉しくて何枚も写真を撮っていました。
サービスランチとはいえ、前述のような上質の食材を扱うお店だけに、にぎりも細巻きもおいしいことおいしいこと
ねっとりと甘いイカ、ふっくらとしたエビに香ばしくとろける穴子。いわずもがなの赤身と中トロはどのタイミングで食べるかめちゃ迷って最後に残しました。
そして意外なほどにおいしかったのがタコ。ふんわりとした食感で、噛むほどにタコの旨みがじわじわ広がり、ビールのつまみに最高でした。酢飯よりもネタが幅をとっていた鉄火巻きもよかったなぁ〜。
大将は大阪で長らく修業をしたのちにこの店をもったとのこと。
駅隣接タイプの寿司店には珍しいほど常連客が多いそうで、たしかにカウンターや棚にはキープ用の焼酎ボトルが大量に並んでいました。寿司はもちろん、割烹顔負けの単品料理も楽しめるのが人気の理由だとか。
「通勤で乗り換えの途中に寄って行かはる方も、東京やらから出張で来るたびに来はる方もようけいて、ありがたいことです。あとは普通に魚目当てで来られる方ね。昼から通しで開けてますから、この時季ならフグのコース予約してきはったりね」
うわー、いいなぁ。そんな使い方。
次は絶対に心ゆくまで食べて飲むモードで来ようと誓いました。
大将激推しの上海鮮丼も食べなきゃ!
■すし昌
京都市下京区東塩小路釜殿町31-1近鉄名店街 みやこみち内
075-661-6899
11:00~21:30LO
無休
2軒目 江戸川 近鉄京都駅店


憧れの鰻専門店! 入り口にサンプルメニューがあると安心しますね。
2軒めは、名店として名高い鰻料理の『江戸川』。一度来てみたかったのです。
寿司と鰻をはしごするなんて経験、こんな機会でもなければ一生縁がなかっただろうな〜。
店内は3フロアもあり広々。客席は間引かれ、テーブル間もゆったりしています。
さぁ、なにを食べて飲みましょうか。
名物の江戸焼き(背開きにして白蒸しにした後焼き上げる)の鰻を使ったうな重やおひつまぶしをキメたいのは重々ですが、いかんせん、ほら、アレがね。予算が。
私に残されたチケットはあと3,000円分。
さぁさぁ、どうするどうなる!?
定食や一品料理などをくまなくチェックし見つけた組み合わせは、「うざく」810円と「骨せんべい」110円に焼酎580円でジャスト1,500円!
こ れ だ !
よっしゃーと拳をあげそうになったその時、見落としていたラミネート加工のメニューが1枚。
「ふわとろ出し巻丼セット」(1,500円)
なになに、大きなだし巻きと鰻がのった丼に、茶碗蒸しや天ぷらまでついているですって......。
君 に 決 め た !(さらば骨せんべい)
ふわとろ出し巻丼、天ぷら、茶碗蒸し、お吸い物、漬物のセットに燗酒をプラス。
セットに燗酒1合460円をつけて、お会計1,960円なり。残り1軒はなんとか1,000円でやりくりすることにしよう。で、できるはず......。
今はまず目の前のご馳走に身を委ねなければ!
丼におさまりきれず端っこが折り返されているだし巻きが愛おしい。
ほかほかと湯気をあげるだし巻きが丸ごと1本! ひー、嬉しい!
鰻は2切れですが充分ですとも。
名前に偽りなしのふわとろだし巻き!
箸を入れるとふるふると揺れるほど軟らかいだし巻きをひと口。
鰻の味を引き立てるためか、味付けはごくごくあっさりめで上品です。
ここで嬉しい発見。具の下は、白ご飯ではなく鰻のタレご飯でした---。
もう、これだけでもアテになりますやん。お酒だけ先になくならないよう気をつけなければ!
一度蒸された鰻は歯がいらないほどふんわり。香ばしい焦げ目とキリッとしたタレがどうしても酒を呼んでしまいます。
天ぷらはナス、ししとう、かぼちゃ、さつまいもの野菜づくし。天つゆと大根おろしが別添えになっていました。
食べ物というより飲み物のようになめらか〜な茶碗蒸し。中には銀杏や生麩などが入っていたので宝探し気分も楽しめました。
だし巻きに秘伝のタレをかけてしまうという狼藉。
「お好みで追加してくださいね」とタレポットを置いていってくれたので、だし巻きにもかけちゃったりしました。謎の背徳感!
ちびりちびりと味わっていましたが、いよいよ終盤。
鰻は残りひと切れの半分。だし巻きとご飯も少々。
そこでいじましい酒飲みであるところの私が生み出したのは、これ!
ひつまぶしならぬ、全部まぶし!
鰻とだし巻きを全部ご飯に混ぜてタレを追加し、粉山椒をふりふり。
わはは、うまいに決まってる!
盃一杯のお酒とともに、最後のひと口まで美味しく味わいました。
このセットは本当にお値打ちですわ。
ランチタイムのピークを過ぎたこともあってか、ほぼ貸し切り状態でラッキーでした。
テーブルはゆったりしているし単品メニューもあるし、昼酒の穴場として覚えておこう。
■江戸川 近鉄京都駅店
京都市下京区東塩小路釜殿町31-1近鉄名店街 みやこみち内
075-672-2081
11:00~21:30LO
無休
3軒目 とり八 八条口店


たぬきが迎えてくれる酒場はいい酒場。
いよいよ最後の1軒です。
500円チケット2枚をぎゅっと握りしめて暖簾をくぐったのは『とり八』。
焼き鳥が1本から頼めて単品料理も充実しているこちらなら、きっと1,000円でも楽しませてくれるはず!
店内はカウンター席のほか、テーブル席や民芸風のボックス席も。
焼き鳥は1本180円〜、一品350円〜、アルコールは500円〜。
これは厳しい戦いになるッ......と穴があくほどメニューを眺め倒すわたくし。
と、そこへ思いもよらぬ刺客が!!!
「こちらおつきだしになりま〜す」(店員さん)
衝撃の一品
んなっ!!!???
思わず変な声が漏れてしまいました。
そう、そうか......つきだしか。寿司、鰻ときてすっかり忘れていたけど、酒場にはこれがあるのでした。
普段なら何も思わないところですが、今日はね、ほら、ね。
おそるおそる「こちらおいくらでしょうか」と尋ねると、「250円です」との答え。
おおう......。
「あのぅ、これって全員にお出しされるんですよね。お断りすることってできないんですよね」と情けないことを重ねて聞く中年女性(私)に戸惑いを見せる若い店員さん。あああごめんねーーー、こんなこと聞いてしまって。
「大丈夫ですよ〜。お断りいただいても問題ありませんよ」とにっこり答えてくれました。
でも、せっかく持ってきてくれたのでいただくことにします。
つきだし、おいしそうですしね。
さて、これで残された予算は750円。
まずお酒は最安値500円のタルハイ(チューハイ)かウイスキーに絞られるわけですが、それなら当然より酔えそうなウイスキーを選ぶのは当然のこと。水割りでおなしゃす!
250円のつまみ枠には、ねぎま、つくね、肝などの焼き鳥、野菜串など意外に種類豊富な出場者が揃いました。ありがたいなぁ。
頭の中で開催された「この場で選べる一番いいアテ杯」、ファンファーレとともに優勝を決めたのはーーー、「鴨葱塩串」230円でしたーーー! おめでとーーー!
つきだしを含めて合計980円。
為せば成る、という言葉を噛み締めたのはいつぶりでしょうか。
大学は楽チンな推薦枠で入り、なんとなくの流れでフリーライターになり20年以上も浮き草ライフを送りっぱなしの自分が、もしかしたら初めて自力で成し遂げたことかもしれません。それくらい嬉しかったし、達成感がありました。
優勝メンバー。
トンデモな過程を経て選ばれた鴨葱塩串がまた美味しくて!
カモがネギしょって焼かれました。
プリッと弾力のある鴨肉はしっかりと脂がのっていて、間にはさまれたネギは当然その旨みを吸っています。ひと切れずつ大事に、大事に味わい、ウイスキーの水割りをごくり。
ふぁ〜、しみるぅ。
後半は串を外してつまみ仕様に。
しまった、あまりにも大事に食べてきた結果、ウイスキーは空いたのに鴨&ネギだけが残ってしまいました。これは酒飲みとして恥ずべき事態です。
こ、こうなったら仕方ない......。
ででーん!
「生ビール追加でお願いしまーす!
あ、伝票は別で」
というわけで、ここからは打ち上げということで、現金払いにスイッチ。
はしご酒おつかれさま自分!
あー、よう冷えたビールがうまいっ。
ヒザ軟骨、せせり、つくね。
ついでに焼き鳥も追加しちゃうよね〜。
クリクリッとしたせせりや軟骨、いいねいいね。
棒タイプのつくねもみっちりとしててうまし。
よい締めができました。
「予算が......予算が......」とつぶやく怪客を追い返すこともなく、ご機嫌に飲ませてくれてありがとうございました。次はもっとお腹を空かせてきますね。
■とり八 八条口店
京都市下京区東塩小路釜殿町31-1近鉄名店街 みやこみち内
075-691-4680
11:00~21:30LO
無休
***
というわけで、約3時間半の京都駅昼酒はしごを完遂!
しかも打ち上げまでしちゃった〜。
今回の京都駅でのはしご酒を経て気づいたのはこの3点。
1.観光客向けの店ばかりと思い込んでいた京都駅にもしっかりと飲める店があった。
2.時間帯によってはお得なメニューがあり、通し営業なので半端な時間に行けるのが便利。
3.店が集中しているのではしごしやすい(でぶっちょの膝も痛くならない)。
途中で見かけた店にも気になるメニューがあったので、また折を見つけて京都駅ではしご酒をしてみようと思いました。
「Go To Eat」よ、気づきをありがとう!
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