BLOGまち歩き2021.08.03

明治期の貴重な近代建造物「七条大橋」

8月4日は「橋の日」に制定されています。

昭和60年(1985)に、宮崎県延岡市出身の湯浅利彦氏によって提唱されたとか。

京都でも各地に大小さまざまな橋が架けられ、地域の人々の生活を支えてきました。

なかでも鴨川(賀茂川)に架かる橋は、場所によってさまざまな表情を見せていますよね。

今回はそのなかで、七条通の鴨川に架かる「七条大橋」をご紹介します。

七条大橋は、明治末期にすすめられた「京都市三大事業」にともなって建設された橋梁。

明治44年(1911)11月に着工し、大正2年(1913)3月に完成したといわれています。

なんと今年で108歳の長寿橋で、鴨川(賀茂川)に架かる橋では最古だとか。

水害による流失などで多くの橋が架け替えられてきたなか、七条大橋は明治期の意匠を現存。

「京都市三大事業」による橋梁のなかで、ただひとつ残っているという貴重な存在です。

京都が誇る文化財として、平成20年(2008)に「土木学会選奨土木遺産」に認定。

平成31年(2019)3月には「国の登録有形文化財」に指定されました。

5連アーチのモダンなデザインは、鴨川(賀茂川)に架かる橋では珍しい洋風建築。

日本の近代建築の黎明期に建てられた鉄筋コンクリート橋のなかでも、きわめて巨大だとか。

桂川(大堰川)の渡月橋、宇治川の宇治橋とならび、「京都三大名橋」にも数えられています。

七条大橋_リサイズ4.jpg

部分的な改修や撤去は見られますが、橋そのものは当時のまま残るという七条大橋。

高欄は「三十三間堂の通し矢」をモチーフにした矢車のデザインに改められています。

三十三間堂(蓮華王院)は七条大橋を東に渡った先にある仏堂で、通し矢は初春の風物詩です。

同様に、七条大橋を東に10分ほど歩けば智積院や豊国神社、京都国立博物館へ。

反対側の西へ10分ほど進めば渉成園(枳殻邸)や東本願寺があり、京都駅も徒歩圏内です。

また、七条大橋の西詰には「松明殿稲荷(たいまつでんいなり)神社」が鎮座。

伏見稲荷大社の境外末社で、「田中社」ともよばれています。

七条大橋_リサイズ2.jpg

毎月7日は、「七条大橋をキレイにする会」の皆さんによる清掃活動の日だとか。

2021年7月7日に7周年を迎えたそうで、コロナ禍でも可能な限り活動が続けられています。

橋を渡るときは、先人はもちろん、現代の人々の思いも大切にしたいですね。


七条大橋(しちじょうおおはし)
京都府京都市東山区下堀詰町
京阪七条駅から徒歩すぐ

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