新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う、3度目の緊急事態宣言が発令中の京都。
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今回ご紹介するのは、上賀茂神社(賀茂別雷神社)の境外摂社である大田神社です。
起源は不明ですが、白鳳6年(678)造営の上賀茂神社より前から存在していたといわれる古社。
延長5年(927)に作成された『延喜式神名帳』にも、大田神社の名前が記載されています。
『延喜式神名帳』とは、官社によって指定された当時の全国の神社一覧のこと。
本殿と拝殿は、寛永5年(1628年)に造り替えられたものといわれています。
大田神社は、上賀茂神社より社家町に沿って東に10分ほど歩いた場所に鎮座。
御祭神の天鈿女命(あめのうずめのみこと)は、芸能上達の神様として信仰されています。
境内東側の沢池は、京都を代表するカキツバタの名所。
約2000平方メートルの大田ノ沢に、約2万5000株もの野生のカキツバタが自生しているとか。
京都がまだ湖だった古代よりこの地に生息していた花といわれ、国の天然記念物に指定。
平安後期から鎌倉初期の歌人・藤原俊成も、「大田ノ沢のかきつばた」の情景を歌に詠んでいます。
平安時代には、すでに大田ノ沢がカキツバタの名勝地であったことがうかがえますね。
例年、5月中旬ごろに見ごろを迎えますが、今年は2週間ほど早く咲き始めているようです。
濃淡の紫色の花が大田ノ沢の一面を彩るころには、世の中が少しでも落ち着いていますように。
大田神社(おおたじんじゃ)
京都市北区上賀茂本山340
市バス停上賀茂神社前下車、徒歩10分
※2021年4月25日(日)~5月11日(火)の期間、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う「緊急事態宣言」が京都府全域に発令中です。