平成6年(1994)より、2月17日は「天使のささやきの日」に制定されています。
この「天使のささやき」とは、空気中の水蒸気が凍って発生するダイヤモンドダストのこと。
昭和53年(1978)に、北海道で日本最低気温のマイナス41.2度を記録したことにちなんでいるとか。
マイナス41.2度に比べたら、京都の底冷えも暖かく感じてしまいそうですね。
京都には、天使がささやくというよりも叫んでいそうな、疾走感のある町名が存在しています。
その名も「天使突抜(てんしつきぬけ)」。
松原通西洞院にある「五條天神宮」の1本西の、南北を走る通りの町名表示板などで確認できます。
北は松原通の「天使突抜一丁目」から、南は六条通の「天使突抜四丁目」まで。
これは五條天神宮が、創建当時「天使の宮(天使社)」という名前だったことにさかのぼります。
社伝によると、平安遷都の延暦13年(794)、山国宇陀郡(奈良県)から天神を勧請したのが起源。
この「天神」は「てんじん」ではなく「あまつかみ」で、人々は天使の宮を「お天使さま」とも。
創建当時は東西4丁、南北5丁に渡る広大な社域を誇り、敷地内には鎮守の森も広がっていたとか。
ところが、天正14年(1586)の豊臣秀吉公による都市整備で、森の中を南北に走る道路を新設。
お天使さまを貫通することから、人々は皮肉たっぷりに「天使突抜通」と呼んだのだのだそう。
その通りは現在「東中筋通」となっていますが、町名に「天使突抜」の名残が見られるのですね。
弘法大師・空海が開祖と伝わる「天使の宮」は、後鳥羽天皇の時代に「五條天神宮」と改称。
「義経記」では弁慶と牛若丸(源義経)が出会った場所とする、由緒ある神社です。
保元の乱や応仁の乱、蛤御門の変など、兵火による焼失と再建を繰り返してきました。
社殿も再建されたもので、明治時代に現在の区画に整理され、現在はこじんまりとしています。
祭神は少彦名命、大己貴命、天照大神で、いずれも医薬や禁厭(おまじない)の神さま。
「五條天神宮」の「天神」は「てんじん」ではなく「てんしん」と読むのも特徴です。
天神さまではないものの、境内には末社の「筑紫天満宮」があります。
こちらには菅原道真公がまつられ、撫で牛が鎮座しているのもなんだか不思議なご縁ですね。
五條天神宮(ごじょうてんしんぐう)
京都市下京区松原通西洞院西入ル天神前町351-201
市バス停西洞院松原下車、徒歩すぐ
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