BLOGまち歩き2020.12.23

北野天満宮の前身といわれる「文子天満宮」

毎月25日は「天神さんの市」。

北野天満宮で開かれる恒例のご縁日で、参道に骨董や植木など多彩な露店が立ち並びます。

北野天満宮は、いわずと知れた天神信仰発祥の地。

そんな北野天満宮の前身とも伝えられている、"天神信仰発祥の神社"があるのをご存じでしょうか。

それは、北野天満宮と同じく菅原道真公を御祭神に祭っている「文子(あやこ)天満宮」です。

文子とは、道真公の乳母を務めていたという多治比文子(たじひのあやこ)のこと。

道真公は無罪の罪で大宰府(現在の九州)に左遷され、失意のうちに亡くなります。

没後、文子に「右近の馬場に社殿を建ててまつれ」との道真公の託宣(お告げ)が下ったとか。

右近の馬場とは、現在の北野天満宮のあたり。

しかし当時、文子には社殿を建てる力がなかったといいます。

そこで西京七条(現在の西ノ京)の自宅の庭前に、小さな祠を建てて道真公を崇めました。

これが文子天満宮の起源といわれています。

そしてのちに、文子によって道真公の御霊(みたま)が右近の馬場に移されたのだとか。

今や全国約12000社の天満宮・天神社の総本社として名をはせる、北野天満宮。

その創建のきっかけを作ったのが、道真公を育てたといわれる多治比文子だったのですね。

文子天満宮_リサイズ2.jpg

洛陽天満宮25社のひとつに数えられている、文子天満宮。

JR京都駅から北に歩いて10分ほどの場所ですが、普段はひっそりとしています。

文子(ふみこ)さん、あやこさん、名前に「あや」を含む人の守り神としても崇敬されているとか。

これらの名前の人は「全国文子会」への参加資格もあるそうですよ。

本殿の奥には道真公が太宰府へ左遷される際に立ち寄り、腰掛けたという「腰掛石」が鎮座。

文子天満宮は、この地を含めて北野天満宮の末社など京都市内に4ヶ所あるのも興味深いですね。

文子天満宮_リサイズ4.jpg

さて、北野天満宮では、1225日(金)に「終(しま)い天神」が開かれます。

毎月の「天神さんの市」の締めくくりとなる、師走の風物詩です。

また、文子天満宮では、12月31日(木)に「大祓 人形(ひとがた)焼納」が行われます。

そして来年の干支は、丑(うし)。

ひと足早く、天神さまのお使いのお牛さまにも参拝してみてはいかがでしょうか。


文子天満宮(あやこてんまんぐう)
京都市下京区間之町通花屋町下ル天神町400
JR京都駅から北へ徒歩10分

北野天満宮(きたのてんまんぐう)
京都市上京区馬喰町
市バス停北野天満宮下車、徒歩すぐ

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