芸術の秋、江戸時代の豪商の暮らしに触れられる穴場のミュージアムをご紹介します。
川端五条の「洛東遺芳館」は、江戸時代創業の柏屋を母体として昭和49年(1974)に開館。
婚礼家具や絵画、茶道具など、江戸時代から柏原家に伝わる品々が保存されています。
春と秋におこなわれる特別公開が、貴重な伝承品の数々を目にすることができる機会。
柏家は、肥後(熊本県)の加藤清正公の家臣・柏原郷右衛門を祖とすると伝えられています。
江戸時代の寛永年間(1645)に、初代・三右衛門が現在地に住まいを構えたとか。
京小間物や扇子の商いから始まり、徐々に事業と商圏を拡大。
木綿や漆器、紙の店を江戸(東京都)に構えるまでに繫盛したという"江戸店持京商人"です。
京都の中心部といえば、幕末に起こった「元治の大火」などによって建築物の大半が焼失。
そのなかで数々の火災を逃れ、ほぼ当時の体裁で保存された、京都でも貴重な歴史的建造物です。
令和3年度 秋季展「秋にちなんだ絵と婚礼調度品展」が、11月3日(祝・水)まで開催されています。
展示されているのは、秋がモチーフの絵画と婚礼調度品。
絵画は「花車図屏風」をメインに、「紅葉」「菊」「山水」「鹿」「月」の掛軸が16点。
さらに、江戸(東京)の秋の風景が描かれた「浮世絵版画」13点が展示されています。
櫛箱、櫛、眉作箱と刷毛、貝桶、合わせ貝といった当時の婚礼調度品も必見です。
五条大橋からすぐ、川端通から一筋東に入った通りに面して建つ洛東遺芳館。
川端通側の塀に沿って建ち並んでいるのは、棕櫚(しゅろ)の木です。
この棕櫚の木、江戸時代の名家といわれるお屋敷にはよく植えられていたものだとか。
特別公開の期間中は、お座敷から庭園も見学することができますよ。
洛東遺芳館(らくとういほうかん)
京都市東山区問屋町通五条下ル3丁目西橘町472
京阪清水五条駅から徒歩3分
令和3年度 秋季展「秋にちなんだ絵と婚礼調度品展」
会期:10月1日(金)~11月3日(祝・水)の10~16時(最終入館)。
※ただし、月曜日は休館(祝日の場合は開館)。
入館料:一般300円、大学生・高校生200円、中学生・小学生100円
※入館料が100円になる「きもの割引」あり。