BLOGニュース2021.03.02

「杉本家住宅」が大屋根の葺き替え工事へ

 明治31870)年423日に棟上げされ築150年となる重要文化財の京町家「杉本家住宅」で、建築以来初めてとなる大屋根の葺き替え工事が2021年秋から行われることになりました。

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 これは、公益財団法人奈良屋記念杉本家保存会が杉本家住宅(京都市下京区)で31日に開いた記者会見で発表したものです。工期は2年間の予定で、15,000枚の瓦を全て下ろして使えるものと破損したものに分けて、新たに焼成したものを加えて葺きなおすということです。その際、葺き土を使わないで瓦を固定する工法で屋根の軽量化をはかり、耐震対策を強化することにしています。総工費は屋根の葺き替えと合わせて行う耐震補強工事なども合わせて2億円で、国庫から補助される金額を除いた4,000万円を保存会でまかないます。

 保存会では寄付金をその一部に充てることにしていて、資金提供した人の名前は「寄付者芳名録」に記載され、杉本家に伝わる古布で表装して誂えた帙(ちつ)と呼ばれる覆いに包まれて土蔵で永年保存されるということです。またクラウドファンディングもスタートしていて、寄附金額に応じて「オリジナル手摺り絵はがき」などのオリジナルグッズや、新しい瓦に名前を記載するなどのリターンも用意されています。

「杉本家住宅」大屋根瓦葺き替えクラウドファンディング
https://the-kyoto.en-jine.com/projects/sugimotoke

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 綾小路通りに面する杉本家住宅は間口30メートル奥行き50メートルと洛中最大級の町家で、その技術性・意匠性はともに高い評価を受けています。平成2年(1990年)2月に京都市有形文化財の指定を受けた同住宅は、平成22年(2010年)6月に国の重要文化財に指定され、この建物内外の庭も「京町家の庭」として平成23年(2011年)2月に国の名勝指定を受けています。何より貴重なのは、杉本家は今現在も10代にわたってそこに住み続け、凛とした佇まいを失うことなく生活を繋いで守り続けている"生きた町家"だということなのです。


 杉本家住宅では、春の一般特別公開(有料)として32日から314日までと320日から328日までの日程で「雛かざり展」を企画していて、杉本家に伝来する江戸時代の雛人形などを飾るということです。保存会の杉本千代子代表理事は「コロナ禍で心が不安なときに、昔から何も変わらないこの空間を訪ねてホッとしてほしい。」と話していました。

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杉本家住宅 特別公開「雛かざり展」
http://www.sugimotoke.or.jp/2021/01/13/202103/

【日程】前期:202132()314()  休館日:3/8()
    後期:2021320()328()  休館日:3/22()
       開館時間:10時~17時(最終受付16時半)
【料金】おとな1,500円、高校生以下800

重要文化財 杉本家住宅
京都市下京区綾小路通新町西入ル矢田町116番地
電話:075-344-5724
阪急「烏丸」駅 徒歩5分、京都市営地下鉄「四条」駅徒歩5

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