BLOGまち歩き2020.08.21

扇発祥の地を伝える「扇塚」

コロナ禍にあるうえ連日の猛暑で、外出時の対策を万全にしたい今日このごろ。

日傘や小型の扇風機を手に、暑さをしのいでいる人をよく見かけます。

小型の扇風機がここ最近の夏アイテムとして定着するなか、私がこの夏も重宝しているのは扇子。

扇子を広げると気分が変わり、あおぎながら背筋も少しシャンとする気がします。

扇子といえば、五条大橋の西北詰にある史跡「扇塚(おうぎづか)」をご存じでしょうか。

かつて、この地には平安時代に創建された「御影堂(みえいどう)」とよばれるお寺がありました。

扇の発祥地として知られるお寺で、扇塚は昭和35年(1960)に当時を偲んで設立されたものです。

平安末期の一ノ谷の合戦で、平家の武将・平敦盛が亡くなったあと、敦盛の妻が出家。

夫の菩提を弔うために尼となって御影堂へ入り、寺僧とともに扇を折り始めます。

その扇はやがて「御影堂扇(みえいどうおうぎ)」とよばれ、広く名が知れ渡るように。

このエリアに扇職人が多く移り住み、長く京扇子の名産地として栄えたといわれています。

扇塚_リサイズ済2.jpg

平氏のリーダー・平清盛の甥であり、若くして笛の名手と称された平敦盛。

扇塚のすぐ近くには、牛若丸(源義経)と弁慶の像が立っています。

一ノ谷の合戦で、敦盛は源義経率いる源氏軍の武将の討ち入りによって、わずか16歳で絶命。

夕暮れに因縁を思いながら扇子を広げると、遠く敦盛の笛が風に乗って聞こえてくる気がします。


扇塚(おうぎづか)
京都市下京区下材木町
京阪清水五条駅から徒歩3分


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