京都のお子たちの夏の楽しみといえば、地蔵盆。
コロナ禍の今年は「テレ地蔵盆」など、インターネットを通じた体験イベントもあるようです。
京都のまちを歩くと、あちこちに祀られているお地蔵さま。
今回は、祇園の白川沿いで人々を見守るお地蔵さまをご紹介します。
花見小路通の白川に架かる「有済橋(ゆうさいばし)」。
すでに廃校となった地元の有済小学校にちなんで名づけられ、中国の書経に由来するそうです。
有済橋のほとり、白川北通の花見小路通から東大路通に続く道は「なすありの径」として整備。
橋のふもとに祀られた「なすあり地蔵菩薩」には、少し変わった由緒があります。
ときは昭和29年、花見小路通で水道管工事が行われました。
その際になんと、京都市水道局によって、白川の川底からお地蔵さまが掘り出されたのです。
発見されるまでの気の遠くなるような歳月を、冷たく暗い川底で耐え忍んでいたお地蔵さま。
有済小学校の校歌にうたわれる「たえてしのべばなすあり」にちなんで命名されたそうです。
歌詞の意味は、"どんなにつらいことでも、耐えて忍び努力すれば必ず報われ成功する"。
コロナ禍の今まさに、なすあり地蔵尊に心を寄せてみてはいかがでしょうか。
花見小路通のなかでも人通りが少なく、落ち着いた雰囲気の「なすありの径」。
「有済」を逆さまにすると「なすあり」と読めることから、その名がついたともいわれています。