先日の「きょうのちしん」で、半夏生とタコについてご紹介しました。
京都でタコといえば、「蛸薬師通り(たこやくしどおり)」を避けて通れないかもしれません。
京都の東西の通りのひとつで、東の木屋町通から西の佐井通あたりまで続きます。
新京極通と交差する場所にある「蛸薬師堂 永福寺」は、蛸薬師通りの名前の由来になったお寺。
境内には「蛸薬師」とよばれる薬師如来の石像が安置され、木彫りのタコの「なで薬師」も。
左手で「なで薬師」をなでることで、あらゆる病が癒されるとされています。
蛸薬師堂 永福寺には、次のような逸話が残されています。
その昔、永福寺の僧侶・善光の母が病に倒れ、好物のタコを所望。
僧侶の身で生のタコを買い求めることに躊躇しながらも、母思いの善光は市場へ出かけます。
タコの入った箱を持ち帰るところを町の人々に見とがめられ、箱を開けるよう詰め寄られ......
善光が薬師如来に救いを求めて念じたところ、なんと、タコの足が八巻の妙法蓮華経に変身!
おかげで善光は難を逃れ、母の病もタコが放った光によって回復したと伝えられています。
以来、「蛸薬師さん」と親しみを込めてよばれ、霊験あらたかなお寺として信仰されてきたとか。
蛸薬師通りの名前の由来には、母思いのひとりの僧侶の姿があったのですね。
正式名称は「浄瑠璃山 永福寺(じょうるりざん えいふくじ)」。
現在は毎月8日に「大般若会」が勤修され、ガン封じや病気平癒を祈願する人々でにぎわいます。
境内で授与される絵馬やお守りには、タコをモチーフにしたものもたくさん。
こちらのかわいらしい「蛸薬師さま」は、願いごとと名前を書いて奉納します。
境内に納めずに、おうちに祀ることもできますよ。
蛸薬師堂 永福寺(たこやくしどう えいふくじ)
京都市中京区新京極通蛸薬師東側町503
阪急京都河原町駅から徒歩5分
※境内は写真撮影禁止です。
半夏生とタコの意外な共通点!? はこちら