先日の「きょうのちしん」でご紹介した、高台寺の「百鬼夜行展」。
幽霊といえば、青白い顔の女性が夜な夜な飴を買い求めに来る「幽霊子育飴」の伝説も有名ですね。
高台寺から歩いて10分ほど、六道の辻で幽霊子育飴を販売する「みなとや幽霊子育飴本舗」。
六道の辻といえば、この世とあの世の境目といわれる場所として知られています。
幽霊子育飴の伝説は、京都はもちろん全国各地に諸説あり、上方落語の題材にもなっています。
共通するのは、六道の辻の飴屋へ、女性が夜遅くに1文銭だけを持って飴を買いに来ること。
それが6日続き、7日目の晩、女性が飴屋の主人に差し出した1文銭が1枚の葉に変わります。
不思議に思った主人は、女性の後をこっそり追うことに。
落語では、たどり着いた先が高台寺の墓地。
女性は新しく建てられた墓の前まで来ると、ふっと姿を消します。
そこは赤子を身ごもったまま命尽きた女性の墓で、墓の中から赤子の泣き声が......
墓を掘り返すと、女性の亡骸の横で、生まれたばかりの赤子が飴をしゃぶっていたのです。
落語では、助け出された赤子は飴屋夫婦に大切に育てられ、やがて高台寺の高僧に。
「こおだいじ(高台寺、子を大事)」のオチで締めくくられています。
6文銭とは、亡くなった人が三途の川を渡るのに必要なお金。
死後に墓の中で出産した女性は幽霊となり、貴重な6文銭でわが子に飴を買い続けたのですね。
飴で命拾いした赤子は、出家して西陣にある「立本寺」の日審上人になったといわれています。
墓の中に埋められた壺に入っていたことから、「壺日審さま」の愛称を持つ日審上人。
安産守護の信仰が厚く、幽霊子育飴は立本寺の社務所でも買い求めることができます。
パッケージは立本寺のオリジナルなので、みなとやのものと見比べてみるのも面白いですね。
立本寺(りゅうほんじ)
京都市上京区七本松通仁和寺街道上ル一番町107
市バス停千本中立売から徒歩5分
高台寺・圓徳院で「百鬼夜行展」が開催中 はこちら