BLOGイベント2020.11.26

京都・相国寺で600年以上続いてきた「祈り」。その儀礼の場に用いられた寺宝が一堂に

相国寺法堂

 相国寺は「京都五山」と称される、京都にある禅宗の5つの寺院のうち、第二位を誇る名高い寺院です。
 1392年に室町幕府三代将軍、足利義満によって創建。塔頭の一つに金閣寺、銀閣寺があり、その大本山としてあるのがこの相国寺です。聞いただけでも、とても格式高い寺院であることが分かりますね。

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相国寺承天閣美術館入口。生い茂るもみじが、季節ごとに美しい。

 敷地内にある相国寺承天閣美術館は、相国寺、金閣寺、銀閣寺らに伝来する美術品などを収蔵。伊藤若冲、円山応挙、長谷川等伯をはじめ、国宝5点、重要文化財145点などの優れた文化財も数多く含まれています。
 これらの貴重な文化財を収蔵する同美術館で、現在、「いのりの四季」展を開催中です。 

伝来する「宝物」の本来の姿

 相国寺では600年前から現在に至るまで、季節ごとに行われている儀礼があります。特に6月の観音懺法(かんのんせんぼう)、10月の開山忌(かいさんき)は盛大に執り行われ、季節の移ろいを感じさせる年中行事としてもまた、京都の人々の心に刻まれてきました。

 祈りの場で用いられてきたものは、宝物として、現在まで大切に守り伝えられてきました。もともとは鑑賞するものではなく、仏様への祈りを厳かに執り行うために必要とされた「宗教芸術」だったのです。

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観音図は、本尊として当時、祈りの場で用いられた。

 本展覧会では、相国寺で600年以上続いてきた仏教行事に焦点を当て、美術館に収蔵されている宝物が儀礼の場をいかに厳かに、かつ重厚に飾ってきたのかを、四季の花鳥図と合わせて紹介しています。

初公開や特別公開品が多数。現在も法要に用いられている法具も

第1章、2章では、春の観音懺法、秋の開山忌にまつわる寺宝をそれぞれ展示しています。

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第1章展示品。これらの法具は現在も観音懺法で用いられており、今回初公開。

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三幅対の掛け軸は、近世に相国寺観音懺法の本尊だった。中央の観音図は狩野探幽、左右の猿猴(えんこう)図はそれぞれ兄弟である狩野尚信、安信が描いた。
下は右から燭台、香炉、花瓶。現在も観音懺法の際に、本尊の前に配されている。

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第2章展示品。上は相国寺山内にある開山堂を建立した後水尾天皇による宸翰(しんかん、天皇直筆の書のこと)。下はそれを堂の軒に掲げる額にしたもの。「円明」とは、「完全に欠けることなく満ちた、明らかな悟り」を意味する。昨年修理が行われ、今回特別公開。

第3章、4章では、仏様をまつる空間や法要を執り行う場に飾られる障壁画や屏風、仏画などを展示しています。

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第3章には長谷川等伯による重要文化財の屏風も。描かれる生き物たちの愛くるしい姿は、この世界のすべてのものが仏であるという仏教観を伝えている。(撮影:相国寺承天閣美術館)

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4章展示風景。重要文化財の十六羅漢図は、今回、十六幅すべてがずらりと並び、圧巻。

この他にも、初公開や特別公開の寺宝が多数展示されています。
寺院の敷地内という、ゆったりと流れる時間の中で、600年前から続く「祈り」に、思いを馳せてみませんか。

「いのりの四季―仏教美術の精華」開催概要

会期:2021年1月17日(日)まで
会場:相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入)
   https://www.shokoku-ji.jp/museum/
休館日:会期中無休(ただし、12月27日(日)〜2021年1月5日(火)は休館)
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
観覧料(当日券):一般800円、65歳以上・大学生 600円、中高生300円、小学生200円

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