BLOG京のとろみ2021.09.30

「ひばなや」のぞうすい

Byハリー中西

料理を撮影し続け40年。京都の食事情を知り尽くした食いしん坊カメラマンが、好物のとろみ料理を披露する新企画。和食のあんかけ料理をはじめ中華の甘酢餡、カレーうどんやデザートまで。ハリー巨匠撮影、シズル感たっぷりの写真とともにご紹介します。

京都市左京区高野にある「ひばなや」は、ふぐ専門店だ。
創業は大正8年。京都で最初にふぐ処理の認可を得た店である。

京都市内の中心地からは離れた地域にあるが
全国のふぐファンに愛されている。
夏場の営業はなく、5月末から9月末までは休業される。

私がふぐ屋に行く目的はてっさと焼きふぐとひれ酒である。
ぶつや唐揚げも欲しい。
が、てっちりは無くてもいい。
いや、ほんとは要らない。

しかし、ぞうすいは絶対食べたい!

なので、ぞうすいをいただきたいために仕方なくてっちりを注文する。
鍋を囲んでる仲間が食べてるのを見ているだけでもいい()

鍋物の〆のぞうすいはだいたい美味しいけど
私はふぐのぞうすいが一番好きだ。
ふぐの皮から溶け出したゼラチン質が絶妙なとろみとなる。
このとろみと溶き卵が絡んで最高のぞうすいになる。
ぞうすいを食べるためのてっちりなのだ。

昭和20年代、ふぐ毒が恐れられていた当時の「ひばなや」のキャッチフレーズは
「くちびるがしびれたら百万円」だった。

ハリー中西

京都生まれ京都育ち ファッション写真を勉強するも食いしん坊が故、料理カメラマンに。好物は茶色い食べ物。とろみストである