京都グルメタクシー ドライバー日記
フランス料理の修業経験を持つ「京都グルメタクシー」ドライバーの隠れ家京都グルメ案内。
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BLOG京都グルメタクシー
2019.10.25
おいしい京都案内 | グルメタクシーの1日ツアー
おはようございます!京都は秋まっしぐら。紅葉の美しい風景に街全体が変わっていきます。そしてやっぱり食欲の秋ですね。さて、本日のドライバー日記は実際の京都グルメタクシーがどのようなものか、リアルな感じでご紹介したいと思います。そして、コラム「グルメタクシーの流儀」を途中でご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。それでは今日も「京都グルメタクシーツアー」出発です!グルメタクシーの流儀①「グルメコンシェルジュとしてお客様を診断」 はじめてご乗車頂いたお客様には事前にメール等でお好みをお聞きします。当日コースを決めたい方には、お好みやツアーの趣旨、目的を走行中にお聞きします。できるだけお客様の情報をいただくことで、ニーズにお応えできるよう心掛けます。まずは一か所目の目的地を設定して、そこへ着くまでの車内でお話をお聞きする時間をつくります。右が東寺餅 左が亥ノ子餅 どちらを買おうか悩んだときは、両方買いましょう(笑)8:00 静まり帰った京都駅からスタートしたグルメタクシーですが、この時間から南区にある「東寺餅」は開店していて、早朝立ち寄れる数少ないグルメスポットの一つです。定休日がなぜか「6」がつく日らしく、店名の「東寺餅」がおすすめです。重力のない生地といいましょうか。フワフワの「赤ちゃんのほっぺ」のような食感。車内で食べてもらいながらお客様の好みをお聞きし、時間を大切に使います。■御菓子司 東寺餅京都府京都市南区東寺東門前町88 075-671-7639 7:00~19:00定休毎月6・16・26日 (日曜日・祝日は営業)グルメタクシーの流儀②「時間ロスはグルメタクシーの天敵」 数カ所訪ねる場合は、効率よく回るように心がけます。お客様の要望の場所と自らの情報を加えてめぐっていきます。時にはわらび餅の予約を流れの中で設定し、何気なくその店に立ち寄っていたという感じでご紹介します。朝食も「おいしい」は当たりというのが前提で、さらに次の目的地に最短距離で行けるよう経路の中で設定します。もちろん定休日、営業時間はあらかじめお調べして、時間ロスがなくなるよう配慮します。ミックスサンド(トーストバージョン)のほかに生パンバージョンもあります。どちらもおすすめです。自家製プリン 古き良きタマゴ感の強い懐かしいグルメ。お母さんの味かもしれませんね。 9:00 東京から早朝の新幹線でお越しのお客様。野菜ジュースを飲まれた程度で京都へこられたこともあり、お昼まで時間もあるので、急遽「軽い朝食が食べられるお店」をご案内することとなりました。「やまもと喫茶」は祇園新門前の骨董屋さんや旅館がひしめく場所にあり客層も様々で、祇園の憩いの場として地元の人が集う喫茶店。おすすめは「ミックスサンド」「タマゴサンド」で、生食パンが基本ですが、焼きトーストにして香ばしくつくってもらうこともできます。〆の「自家製プリン」はお腹に余裕があれば是非♪■やまもと喫茶京都府京都市東山区白川北通東大路西入ル石橋町307-2075-531-01097:00~17:00 (L.O.16:30)定休日火曜日グルメタクシーの流儀③「体を動かして空腹感をとりもどす」 一日の食べる量は決まっていますね。グルメツアーは日常より若干多めに食べる可能性が高いので「空腹を演出する」といいましょうか、歩くことで体を動かし、より次の食事がおいしくなる流れを作ります。さりげなく、極めてさりげなく、気が付けば「おなかがすいた」というのがベストですね。清水寺の4.6倍(1046㎡)のフロア面積があるといわれている大舞台から見る京都の見事な青空。グルメタクシーの流儀④「お土産選びも、グルメタクシーにおまかせ」 京都で美食を堪能した後は、余韻がほしいところです。その日の夜や後日楽しむグルメがあると、京都の思い出が倍増します。道すがらの流れで厳選されたお土産店もご紹介し、おすすめ商品もあらかじめお客様にお伝えしてから入店いただきます。時にはお客様と一緒にお店へ入ることもございます。紅葉も桜も美しい青龍殿。京都が一望できます。大隈重信はじめ、著名人も眺めた風景。 10:00 京都の人気観光スポットである青蓮院門跡の「飛地境内」といわれているのが、こちらの「将軍塚青龍殿」です。東山の頂上にあるので絶景が楽しめます。奈良から長岡へ遷都した桓武天皇は、この山頂から京都盆地を見下ろして、平安京の場所を定めたといわれています。広大な庭園を散歩することが出来、四季折々の草花、樹木が楽しませてくれます。山頂ですが、起伏はそれほどなく一部(鉄筋の展望台)をのぞけばほぼフラットな道です。上から見下ろすこの京都の町に、様々な「おいしい京都」が存在すると思うと楽しくなりますね。錦市場の名店「大國屋」 みているだけで食欲がそそられます。旬の魚おいしいですよね。「ぶぶうなぎのセット」 小山園の茶葉も使用するので期待度大。帰宅しても錦市場の気分。「ぶぶうなぎ」 鰻のうまみと独自の料理技法は限りなく美食の世界へ導いてくれる。 11:00 錦市場にある「大國屋」に到着。お持ち帰りの相談をお客様としたところ、「ご飯が大好き」とお聞きしたので、「佃煮」「漬物」などをご紹介したのですが、その中でもっともお客様の反応が大きかったのがこの「ぶぶうなぎ」。川魚のスペシャリストと呼んでいるこのお店は、鰻だけでなく「稚鮎」「本もろこ」「子もち鯉」など関西の水の拠点、琵琶湖由来のものもあり一般客だけでなく飲食業のプロも買いにくるほど人気です。「大國屋鰻兵衞(おおくにやまんべい)」という二店舗目では、店主が「地焼きうなぎと御竈飯(おくどはん)」を提供、次回のお昼はこちらをおすすめしてもいいでしょうね。錦市場は外国人観光客も増えてきましたが、商店街はいろいろ工夫をかさねて「元祖美食ストリート」として頑張っておられます。ぜひ、立ち寄ってください。■大國屋京都府京都市中京区東魚屋町177-2075-221-06489:00~18:00定休日水曜日グルメタクシーの流儀⑤「食べたものしか紹介しない、紹介できない」 あたりまえの鉄則です。けれど、新人のときは過ちを犯してしまいました。飲食店のリストも不十分で観光タクシーとして走り始めたとき、お客様の要望にかなうお店がリストになく、仕方なく「人気店だと思われている」お店にとりあえず急場お連れしました。30分もせずに車に戻られて、「座って5分で弁当がでてきた。出来あいのものを食べたいと言った覚えはない」とおしかりを受けたのです。食べてもいないのに紹介することこそ「最悪のサービス」だったと痛感。それ以来私は日々情報を収集して現在では3500軒以上のお店を食べ歩き、800軒あまりを厳選してご紹介しております。ですが、まだまだ情報は足りないと思い、今でも継続してリストを増やしています。 なんともいえないフォルム。ある意味、「いいとこどり」なところがこの料理でしょうね。実は「たん義」には季節限定ですが「鱧丼」なるものもあります。真夏にぴったりです。 12:30 錦市場を堪能したのですが、実は商店街の全長は新幹線の長さに匹敵するので、往復すると結構歩いたことになります。そういえばお客様はご飯がお好きだとお土産の時の会話で聞いていました。そうだ、先日行った「たん義」の「かき揚げ丼」をと思いつき、おすすめしました。お客様も即答で、ぜひ!とおっしゃり、祇園に車を走らせます。この「たん義」は親子で切り盛りされていて初代のあと一旦別の方が料理長をなさっていたのですが、いまはお孫さんが継承された貴重なお店です。懐石、弁当物も一通りできますし、通し営業なので昼過ぎでどこも開いてない時間でも食べることができます。この「かき揚げ」をご覧になって「あれ?」ってなりませんか?(笑) 野菜のかき揚げはしっかりあるのですが、そのあとさらに卵とじになっているのです。香ばしい衣と、まったりとした半熟の卵が混在して、ブログでは「不思議なかき揚げ丼」とタイトルにしているほどレアな食感と味に仕上がっています。と・・・・書いてはみるものの表現しにくいおいしさなので皆さんも是非足を運んでください。お母さんと息子さん、とっても素敵な方なので、話をするだけでも、京都の来たことを実感できます。■たん義 (たんよし)京都府京都市東山区西之町210-2 075-561-044612:00~21:30定休日不定休http://tanyoshi.com/index.htmlグルメタクシーの流儀⑥「お客様と職人・料理人との距離を短くする努力」 タクシーの車内ではおもてなしのトークを精一杯させてもらいます。ご乗車頂いている間も車窓に映る店舗を見ていると自然と会話がでてきます。もちろんお客様からの質問にも受け答えしながら、京都のすばらしさをお伝えしております。そこで私が提案するのが「お客様とお店の人とのつながり」。やはり京都の味や工芸品をご紹介する上で、実際に作ったり、携わったりする方からお話を聞くことは京都をより理解していただくことへの近道だと思っております。その機会を作ることもグルメタクシーの使命だと思っています。「京都知新」はそんな職人さんがたくさん紹介されていますね。是非情報を参考に訪ねてみて直接商品を依頼されたり、お話されたりするとより京都を楽しめます。 13:30 車内では「おいしかった~」「あのお店のメニューの絵柄、提灯、雰囲気、素敵でした」など、ご感想をいただきながらさらに京都の街を走ります。本日のお客様からは、あらかじめメールでご要望をいただいておりました。予約されたその日からお客様との相談がはじまります。法人タクシー時代はほとんど当日の朝の伝票の詳細だけでスタートしていましたので、事前にお好みのお店を予約することができず、精度を欠いたご案内になったことが多々ありました。今実施している「あらかじめのご相談」はグルメタクシーの武器にもなっています。「おいしいアイスクリームのお店を探してください」とリクエストがあったので、昼ごはんのデザートもかねて、東山七条の「ともみジェラート」に行くことにしました。 ジェラートにぞっこんの店主のともみさんは、イタリアで本場のジェラートを学ばれ日本の食材を使って作ったジェラートを広く味を広めたいと思われたそうです。季節ごとの様々な種類のジェラートがあり、食材は、現地までいかれて農家の方々と「どうすればおいしいものができるのか」を共に考えて仕入れるそうです。商品開発、食材調達、販売まですべてお一人でされているので、お客様がいろいろ質問にもすべて答えてくれます。「ジェラート好きなお客様」のときは、話が盛り上がり二つも食べられることもあり、私もうれしくなりました。写真は6月の「イチジク」で材料は、イチジク、水、粗糖(精製していない砂糖)がメインで当然添加物や増粘類も入っていません。イチジク、かじった!という印象が強く非常においしいのです。「丹波黒豆きなこ」「ほうじ茶」「塩甘酒」「苺」「高倉のびわ」(季節限定もあり)など常時10種類ぐらいがあります。ともみさんとしばしジェラート談義に花が咲き、皆さん満足されてお店をあとにしたのでした。■ともみジェラート京都府京都市東山区妙法院前側町451-1075-354-531511:00~19:00定休日月曜日・火曜日(催事等・臨時休業あり)http://tomomigelato.jp/グルメタクシーの流儀⑦「季節感を最大限に生かす」 どうして秋に来られたのか。時として「時間」「季節」を重要視してご指名くださる方もおられます。秋と言えばキノコ類や根菜、ジビエなどの具材や煮込みなど調理法へのリクエストもあります。たとえば「温かい餡かけうどんが食べたい」と望まれる方や、「甘味で秋と言えば栗」という要望も多いので、売り切れ必至の商品はあらかじめ電話でおさえます。商品の予約もグルメタクシーのサービスに含まれています。見ての通り「金の実」、うすい糖衣により栗本来のおいしさをダイレクトに感じられる。(通年販売)餡子は使用していない栗のあまさだけで勝負している「栗おはぎ」、美味しいお茶とご一緒に。 14:30 大正6年と昭和3年に「天皇陛下お買い上げの栄」を賜ったこともある「京都くりや」。現在は3代目ご主人の山名清司さんがお菓子作りをされていて、「金の実 栗納豆」は自然の風味を生かした看板商品。グルメタクシーをよくご利用いただく常連さんのなかには、秋にはこちらをコースに毎年加えられる方もおられます。和風マロングラッセと言ったらわかりやすいかもしれませんが、この和栗の独特の風味はここだけのものかもしれません。今年は9月中旬から12月上旬の限定販売で、「栗おはぎ」が登場します。口の中で栗のおいしさがにじみ出てとろけます。まさに秋の味です。■京都 くりや京都府京都市中京区堀川丸太通油小路西入ル大文字町42-4 075-231-4564平日8:00~19:00日祝9:00~18:00定休日元旦グルメタクシーの流儀⑧「通常の京都観光もできます」 グルメに特化しておりますが、実はもともと法人タクシー会社の観光課に所属する観光ドライバーでした。「京都検定」は2級。さらに現在「京都府文化観光大使」を委嘱いただき、京都府の亀岡市、伊根町、向日市、美山町、大原野、八幡市など府内の観光案内も可能です。秋の穴場的な紅葉名所もご紹介しておりますので、せっかくですからここで2か所ご紹介したいと思います。こちらのお寺をご存じの方はかなり京都通です。「栄摂院」はカメラ好きの方からの情報でした。決して多くはない紅葉。実直で誠実な深紅の輝きは人を立ち止まらせるぐらいの魅力があります。 15:30 京都市左京区の金戒光明寺(通称黒谷)の小院の「栄摂院」です。戦国武将の木俣守勝によって創建、通常は拝観できませんが、紅葉のシーズンに特別公開される時があります。平日は数人しか観光客がいないこともあり、隠れた紅葉スポットでもありますね。この葉の紅(くれない)が美しさ全開で迫ってきます。 16:30 もう一つの紅葉のスポットは「北野天満宮」です。菅原道真が祀られていて学業成就の神社として有名です。白梅町ともいわれていて「梅」のイメージがありますね。ここにはお土居という豊臣秀吉がつくった壁があるのですが、そこを下りた「紙屋川」周辺は、夕暮れ時に紅葉が黄金色に見えます。その一瞬をうまく狙うのがプロの観光タクシーの腕の見せ所ですね。実に美しい。この川の両岸を往復すると、いよいよグルメタクシーの終盤を迎えることになります。グルメタクシーの流儀⑨「黄昏時の癒しの時間をグルメで演出」 早朝からはじまったグルメツアーのなかで、夕暮れの時間を「癒し」時間と私は呼んでいます。ほっこりしてディナーに行っていただけるよう、カフェやお抹茶の出る寺院などで休憩できるところをおすすめします。おいしい珈琲とおつまみ、抹茶とお菓子、日本茶でほっこりみたいなものもいいですね。店主の気持ちが伝わる良質な珈琲。やっぱりいついっても、また行きたくなる味・空間です。 17:00 「カフェ デ コラソン」は以前御乗車いただいた「珈琲好き」のお客様が、美味しい京都の珈琲を飲みたいとおっしゃったときに、リサーチして発見しました。店主の川口勝さんは、有名店「珈琲屋バッハ」の店長をされていて、その後独立。専用の焙煎機を使い、京都の気候を巧みに察知して、焙煎されています。「コラソンブレンド」をはじめ、デザートの「珈琲ゼリー&ブランマンジェ」や「夏みかんのアーモンドケーキ」(春限定)などもあります。奥様も有名店で修行されていますからお菓子もおいしい。照明が温かく、ぬくもりある暖色の店内は「癒やしの空間」そのもの。夜のお店までの待ち時間にもちょうどいいですね。目の前の焼き菓子をみているとまた食べたくなります♪■カフェ デ コラソン (cafe de corazon)京都府京都市上京区革堂町593-15 075-366-313609:00~18:30定休日日曜日、第三月曜http://cafe-de-corazon.com/グルメタクシーの流儀⑩「お客様が訪問されたお店をすべて記録に残す」 御乗車されている間にいろいろなところへ行きますが、そのお店の記録は必ず残します。またそのときお客様が次回に要望された事も記載し、万全な状態で次回のご予約をお待ちします。「お客様ごとの食の記録」はグルメタクシーのもう一つの長所でもありますね。あのとき行ったお店にもう一度行きたい。今回は前回行ったところと違う新たな京都の食に出会いたい。などのニーズにもしっかりお応えできます。ある意味「スルメ」のように「噛めば噛むほどおいしい」のがグルメタクシーです。 「高須賀」 私のブログのこの店のタイトルは「ソースの価値を教えてくれる」と書いています。ビスク(甲殻類の料理) 乳化が最良の蕪のソース フランス産ホワイトアスパラガス パイ生地 18:00 お客様とのメールでのやりとりで「最後は京都のフレンチで、落ち着いた空間が希望」というご要望がありました。完全予約制の「高須賀」(タカスカ)を選択しました。この春に地元の食通から紹介された店で、高須賀シェフお1人で提供されるプライベートレストランです。シェフが1人でやっているレストランはほかにもありますが、ここはどちらかというと「1人でしかできない料理」に感じます。単独の感性でしか提供できないグルメは意思統一が必要ですから、かえって1人の方が有利です。ソースの味はもちろん「乳化」「アセゾネ(調味)」が整ったもの。料理にお皿がリンクしているのも興味深い。2階には食後にワインを楽しめるサロンがあります。今日の旅路を復習しながら京都の夜長を楽しめます。■高須賀 (タカスカ/髙須賀)京都府京都市東山区東大路七条下ル東瓦町690 075-366-313612:00~15:00(4名以上貸切のみ)17:00~23:00定休日水曜日・第1火曜日・第3火曜日http://www.takasuka-kyoto.jp お別れの時がきました。 お客様とはこのお店の玄関でお別れです。「おいしい京都、楽しめましたよ♪」と微笑んでいただき、お店の中に入っていかれるのをお見送りいたしました。私にとっては、この瞬間が一番嬉しいときです。京都にはまだまだご紹介したいところはありますが、何よりもまずは「お客様がお望みの味」を追求し、情報を提供することが大切。「私のおすすめ」が一番に来ることはありません。あくまでも「グルメコンシェルジュ」の肩書きを忠実に守っていきたいと思います。 最後に 連載開始からちょうど1年が経ち、四季折々の観光とグルメをご紹介することができました。今回で、いったん連載は完了となります。これからも「京都知新」の一員として京都のグルメ、文化、歴史など幅広く皆様にご紹介したいと思っております。掲載記事はいつでもご覧いただけますのでご参考になさってくださいね!是非一度、「京都グルメタクシー」に御乗車くださいませ!1年間、ご拝読の皆様、本当にありがとうございました! 「おいしい京都」、今日も探しています!街で見かけたら気軽にお声がけください!いつかまた!グルメタクシーの流儀 10箇条①「グルメコンシェルジュとしてお客様を診断」②「時間ロスはグルメタクシーの天敵」③「体を動かして空腹感をとりもどす」④「お土産選びも、グルメタクシーにおまかせ」⑤「食べたものしか紹介しない、紹介できない」⑥「お客様と職人・料理人との距離を短くする努力」⑦「季節感を最大限に生かす」⑧「通常の京都観光もできます」⑨「黄昏時の癒しの時間をグルメで演出」⑩「お客様の訪問されたお店をすべて記録に残す」 「人が一生で食べる食事の回数を増やすことは容易ではありません。しかし、美味しい料理に出会う機会を増やすことはわずかな努力さえあれば可能なことだと思います。美味しい料理、幸せの時間、京都で探しましょう!」 京都グルメタクシー 岩間孝志
岩間孝志
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2019.09.27
おいしい京都案内 | 記憶に残る京都の素敵な料理人
「京都グルメタクシー」を立ち上げてすでに9年が経とうとしています。当初は「おいしいお店」を探すのが目的でしたが、次第に「お客様のニーズにあったお店」を探すことに変わっていきました。「美味しい」という部分では同じ目的のように思えるのですが、私にもやはり嗜好があり、それが時としてお客さま好みの店を探す邪魔になることがあります。それを極力少なくして情報を客観的にご紹介するのが、タクシードライバーの枠を超えた「グルメタクシー」だと思っています。 こんにちは!京都グルメタクシーの岩間です。車に乗るだけで、あなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。さて今回は少し趣向を変えて、「おいしいお店」のリストつくりで出会った料理人の話をしたいと思います。 私が店選びで重要視しているのはお店そのものではなく料理人やサービススタッフがどんな流れで仕事をしているかということ。有名店や人気店で修業された方を優先するのではなく、修業店でどういった経験をされ、その後どんな経緯でお店を開かれたかを一番知りたいと思っています。だれに影響をうけたか、どの料理に感銘を受けたのか。料理人の人生をたどることこそ、その店の「料理」という作品を理解できると思っています。これまで出会ったなかで、人生の歩みや想いが料理に反映されていると感じる料理人をご紹介いたします。☆☆☆ ル・ピックアシエット (Le pique-assiette) 田邉正明シェフ「リヨン風魚のクネル ホタテ・天使の海老のポワレ添え ズワイガニのアメリケーヌ」 田邉シェフと出会ったのは2013年7月。その当時のメニューは「オレガノ風味ツブ貝 トマトコンソメ ババロア 塩豚のテリーヌ」「鯛のポワレ」「バベットステーキ 赤ワインと黒こしょうのソース アッシュパルマンティエ」など、フランス料理の王道という構成でした。さらに私が修業したフランスのエリアの料理と似通った方向性を感じ取ることができました。とにかく肉料理の印象が強いお店です。付け合わせもメインにぴったりリンクしていて、なかでもジャガイモ料理は賞賛したい味です。その後お客様も多くご紹介させてもらいました。プライベートで8回目の訪問時にでたのが、この「リヨン風魚のクネル」でした。あの味♪そう、私が修業時代訪問したリヨンにある「ピエール・オルシー」のオマール海老の料理ともつながるおいしさ。ここは肉料理だけではないと改めて思わせられました。現地そのものの味にも驚かされました。料理人は人や街からも影響を受けます。田邉シェフは若い頃に一度リヨンの料理に出会い、その後、再度リヨンを研修先に選んだという熱い想いのある人です。リヨンで出会った料理が自分のつくりたいフレンチに通じたのでしょうね。もしも、自らの料理にまだ満足できていない料理人がいたら、今からでも遅くはありません。お気に入りの街や尊敬できる師匠を探してもいいのかもしれません。田邉シェフの「リヨン愛」が彼のフランス料理の技術をさらに向上させ、それと同時にリヨンという土地が田邊シェフを望んだのかもしれません。 照れながら「料理はすこし時代遅れかもしれません」と直向きにおっしゃるシェフの笑みを見ていると、分厚いフランス料理の本を片手に学んだ一人として、このお店の計り知れない潜在能力を感じさせられます。前進し続けるリヨン料理を、ぜひこちらで堪能してください。■ル・ピックアシエット (Le pique-assiette)京都府京都市東山区下馬町491 アースコート清水 1F075-531-9850 ランチ 12:00~15:00(13:30L.Oディナー18:00~22:30 (20:30L.O)定休月曜日 (祝日の場合は火曜日) ※その他不定休ありhttp://le-pique-assiette.com/☆☆☆ 自家製紛 手打ち十割そばみとしろ 戸田新二さん「海老天辛味せいろ(天然海老 薩摩芋 ししとう えのき)」 蕎麦屋さんですが、天ぷらの画像を掲載しています。地元のファンに「から汁」と親しまれる「十割辛み大根 せいろ蕎麦」が人気の品。産地を問わず日本全国から仕入れる蕎麦粉で打つ、十割蕎麦を食べることができます。戸田さんの蕎麦は十割の良さが前面にでているのですが、最近さらにキレの良さを感じます。蕎麦を打つ際の店主の流儀をお聞きしました。 「三だて」 挽きたて 打ちたて 茹でたてということです。つまりつくっておいた蕎麦を出すことはないということですね。薬味や山葵も切りたてです。つゆは関東風で濃く、蕎麦は北海道産+天然水で「細い。腰がある。すこし甘い香り。蕎麦自体の香り。雑味なし」と初訪問のブログ記事に書きました。ですが、今回は天ぷらに注目しました。戸田さんにこの店の蕎麦の打ち方をお聞きすると「秘密♪」と苦笑い。まったく教えてくれません(笑)。天ぷらは関西風ですが、すこし「ベニエ」(フランスの衣にビールを入れた揚げ物)に似た「外はカリっと、中はまったり」の揚げ具合で、衣と具材が一体化しています。ある程度油が衣に残っているのですが、そこがこの店の持ち味。なんともやみつきになる衣なのです。 戸田さんはいつも笑顔で楽しんで仕事をされています。食べているお客様の表情を見ると同時に、食材を真剣に見つめます。その繰り返しが、美味しい蕎麦を生み出すのでしょう。料理についていろいろ相談してみると、彼の引き出しの多さに驚かされます。お店は不便な場所にあって比較的空いていますが、もし中心部や駅前にあったら行列ができるだろうと思ったり。蕎麦のあとは、「そばがき善哉」(2人前から対応)をぜひお試しください。この甘味にも、店主の想いが込められています。■みとしろ京都府京都市北区大宮西総門口町45 075-493-3990 ランチ 月~土・第1・2日曜11:30~15:00ディナー 月・火・水・木・土18:30~20:30(LO)金曜日夜休み定休日第3・4・5日曜、第1・2日曜の夜☆☆☆ プッチーロ (PUCCIRO) 木村雄一郎シェフ「定番 マンマ直伝のミートソースの手打ちスパゲッティ(自家製麺)」※9月中にスパゲッティ→タリアテッレに変更予定 「大宮通りにおいしいミートソースのお店がある」という噂を聞いたのが2012年。当時はフランス料理店以上にイタリア料理店が乱立する時代でもありましたし、パスタはすでに「手打ち麺」優勢の状況でした。食通の方々の口コミは最良の店選び手段です。イタリア料理ファンのなかには毎日パスタを食べる勢いある食通もいました。そんななかで、この「ミートソース」の噂が聞こえてくるということは、よほどのことだと思いました。 挽肉たっぷりのミートソースは赤みがかっておらず、熟成したうまみが凝縮されています。後味は意外とすっきり爽快。一口目から「おいしい」と感じるのではなく、半分ぐらい食べてからじわじわと「おいしい」と思えてくる味です。「毎日食べたいミートソース」とは、と考えさせられる味なんです。この、ミートソースができあがるまでには、不思議な出会いがあったことを、後に木村シェフから聞きました。 木村シェフが勉強のためイタリアのお肉屋さんでホームステイをしていたとき、そこのマダム(マンマ)に教えてもらったのが、このミートソースだったそうです。通常料理人は人気レストランの味を参考にしますが、たまたまご縁のあった家庭の味を参考にしたのです。その後、木村シェフの技法やレシピをソースに加え、現在のプッチーロの味に仕上げたそうです。だからいい意味で「家で食べるような安心感のある味」です。長時間かけて煮込み、仕上がるミートソースを食べ、心温まるマンマの味を感じてくださいね。■プッチーロ (PUCCIRO)京都府京都市下京区大宮通高辻下ル高辻大宮町123 モンテベルデ壬生 1F075-842-1616ランチ 11:30~14:30(L.O.13:30)ディナー 18:00~22:30(L.O.21:30)定休日 木曜日 不定休ありhttp://pucciro.com/index.html☆☆☆ わかば 五十嵐 博文さん「ジャンボ海老フライ 自家製タルタル添え」 私の自宅から歩いて行けるお店で、現役Jリーガーも訪れる人気店です。和洋にこだわらず常時100種類以上ある低価格メニューを惜しみなく提供してくれます。店主の五十嵐さんはお人柄最高の方で、元料理人の私からみても、料理に向き合う姿勢がすばらしい。お店は、昭和なサラリーマンの憩いの場・高架下にあります。この店の大切な存在が博文さんのお母様。フライなどを揚げながら、カウンターの中で息子さんを見守っておられます。おふたりの漫才のようなやり取りや、親子の会話が、終始ゲストを楽しませてくれます。エンターテイメントのように楽しいお二人の素敵な会話にお客さんも加わり、和やかな時間が過ぎていくのです。 五十嵐さん親子が生み出す料理は広範囲で充実しています。記憶に残っているのは、「刺身盛り合わせ」「磯辺揚げ」「カキフライ」「海老フライ」「しらすの天ぷら」「鯖寿司」「いなり」などきりがないほど。特に印象的だったのが「ジャンボ海老フライ」です。 30センチはあるでしょうか。ガッツリ衣がついたぷりっぷり!の大海老。このビジュアルのすごさに「満足間違いなし」と思わされます。「自家製タルタル」は、洋食屋さんも含め私がこれまで頂いた中でもなかなか巡り合えない見事なソースでした。玉子の黄身と白身、パセリ、塩、胡椒が上手く混ざり合い、いい塩梅なソースに仕上がっています。これをつけて食べるとさらにエビフライがおいしくなります。「名脇役ここにあり」と言いたげに輝いています♪ このお店のことをわかりやすく解説するなら「お客様とは親身に、料理には緊張感をもつ」ということでしょう。店主やお母様は客と日々起こったことや、スポーツの話をするけれど、料理に関しては気をぬかず、上質なおいしさを目指していることがわかります。その姿勢があるからこそ、常連さんが足を向けるのでしょう。近鉄高架下の「わかばスタジアム」をお訪ねください。■わかば京都府京都市伏見区観音寺町 桃山御陵駅のガード下075-621-371917:00~24:00(23:00LO)定休日日曜・祝日http://aquadina.com/kyoto/spot/8330/ 「おいしい出会い。記憶に残る京都の素敵な料理人」特集はいかがだったでしょうか。「出会い」「街」「時間」「家族」、料理は様々な背景があって生まれます。どこかのレシピを真似た料理より、ストーリーのある店独自の料理は親しまれ、人を幸せにします。自著の2冊(「おいしい京都」「もっと食べたい京都」でも、多くのお店をご紹介していますが、やっぱり私は料理人が好きなのだなあと、あらためて思っています。かつて私は「京都口コミ食べ歩き情報」(現在終了)という口コミに特化したサイトを運営していました。当時知り合ったグルメな仲間とは今でもオフ会やメールで情報交換をしています。口コミはつねに「黄金の導き」です。おいしさへの近道でもあります。精査した情報の中から「京都グルメタクシー」のコースプランをつくっているので、精度は上がっていると思っております。何気なく食べた「おにぎり」が、ある人にとっては「最高クラスのグルメ」ということもあるでしょう。一人一人、心に響く料理は別です。食べたときに感じる様々な感動を、これからも伝えていきたいと思います。料理人や職人に出会う時間や知識はかけがえのないものです。すばらしい人々や料理に出会うきっかけを増やしてくれるのが「京都知新」でもあります。京都グルメタクシーもお客様により多くの出会いを持ってもらえればと思っています。グルメ情報満載の「食知新」。これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます!
岩間孝志
京都グルメタクシー
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2019.08.30
おいしい京都案内 | 夏の京都を涼しく、おいしく過ごせるグルメ
こんにちは!京都グルメタクシーの岩間です。車に乗るだけで、あなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。連日暑い日が続きますが、こういう季節はやっぱり「かき氷」や「ジェラート」でしょうか。タイムリーな「タピオカ」もありますね。そこで今日はグルメタクシーが提案する、「もう一つの真夏グルメ」をご紹介いたします。 京都駅をでて堀川通りを北上、晴明神社を超えて今出川通りを西へ、北野白梅町の交差点近くに「等持院」という臨済宗天竜寺派のお寺があります。そこにちょっと立ち寄ってみましょう! 暦応四年(西暦1341年)、天龍寺の夢窓国師を開山に、足利尊氏が衣笠山の南麓に創建したお寺です。足利家ファンにはたまらない場所。かつて私が2時間ドラマの主人公のモデルになったときに、ここでもそのドラマの撮影が行われました。霊光院には本尊利運地蔵尊(伝弘法大師作)をはじめ、達磨大師と夢窓国師とを左右に配置し、足利歴代の将軍像(5代と14代の像は除く)が、徳川家康の像と一緒に安置されています。観光タクシーのベテランドライバーがおすすめする場所で、建造物や御庭が見どころ。親切なお寺のスタッフが迎えてくださいます。 私の一番のおすすめは、この写真のエリア。夢窓国師作として伝えられているこのお庭で、方丈の北庭の東にある心字池が見事です。草書体の心の字をかたどって作られた池庭で、かつては中央の中ノ島には妙音閣という立派な建物があったそうです。庭園内には足利義政好みの茶室「清漣亭」や尊氏の墓所もあり見どころ多いお寺でもありますね。京都市内の住宅街の中ですが、静寂感と涼を感じることができます。また境内で抹茶の接待(有料)も受けられ好評です。 私は、京都府文化観光大使でもあり、京都検定2級も合格しておりますので、美食観光だけでなく通常の京都観光も得意なのです! お寺で京都のすばらしさを堪能いただいたあと、次の目的地まで少し時間がかかるので「おやつの時間」とまいりましょう! 新丸太町常盤の踏切近くにある「粉ものや巌(いわお)」さんは、大阪から京都に来られたご夫婦が開かれたお店です。その後、東京で飲食業をされていた息子さんが合流して手伝うことになりました。たこ焼きや、お好み焼き、焼きそばなど大阪生まれの「粉もの」が豊富です。月に2日は、フードメニューも充実した「立ち飲み巌」という居酒屋さんになったりして、地元で人気になっています。 たこ焼きもおいしいのですが、今回は「真夏グルメ」がテーマなので、ここでもこの季節ぴったりのお菓子を紹介しましょう。 それはこの「たい焼き」なのです(^^♪店主からの「たい焼き」の詳細、まずはご覧ください♪ 生地は卵を使わず、薄皮でサクサクに仕上げております。冷めても固くならず、程よい柔らかさで召し上がっていただけるよう、独自に粉をブレンドしています。 「小豆」は北海道産を使用。さっぱりの後味と、風味を残すため、糖度と塩分のバランスを綿密に打ち合わせ、関西の製餡所にオリジナル餡をつくっていただいております。たっぷり入ったあずきでも、もたれず食べやすい仕上がりになっております。 「カスタードクリーム」は、夏頃から試作を始め、ようやく出来上がりました。毎朝仕込む手作りで、量に限りがあります。週末の夕方には完売する事も多いです。豆乳と卵で作ったカスタードクリームで、豆乳臭さ、卵臭さをしっかりと消し、旨味とコクをしっかりと引き出しています。濃厚ではありますが、糖度も一般的なカスタードクリームよりも低めに作っていますので、後口はさっぱりとなります。香り付けはダークラムを少量使っていまして、ほんのり後口と共に香りも楽しめるようになっております。 温かいたい焼きは、気温にもよりますが、5月中頃までの販売となり、冷やしたい焼きに切り替わります。 熱い「たい焼き」は、本来夏のグルメとは言い難いのですが、5月の中頃以降は、「冷やしたい焼き」と書かれています。なんと、夏場は冷たいたい焼きに変わるのです! 北海道襟裳産の小豆を使用した冷やしたい焼きは、完成までに5年もかかったそうです。糖度と塩分のバランスがポイント。クレープのような生地と餡とともに入っているホイップクリームのなめらかなバランスがみそ。カリカリというよりしっとりひんやり。小豆、カスタードクリーム、チョコクリームの3種があります。冷たいたい焼き、形こそ鯛ですが西洋感もあるグルメでした♪ 一般的に、通常のたい焼きは暑い季節になると「売れ行きが伸び悩みます」と店主。そこで考えた結果できたお菓子がこれ。いまでは土日限定の「塩レモン」や「フルーツ」のたい焼きもあります。開発した息子さんの想像力にはこれからも期待できますね。 車を一旦東へ向けて双ヶ岡の信号を北へ、国道162号線、通称周山街道を北上します。紅葉の名所高雄を目指すことになります。川床で有名なのは貴船ですが、実はこのエリアにも涼をとれるスポットがあります。その一軒が「瓦そば 松右衛門」です。 少々わかりにくいのですが、神護寺に車で向かうときに街道から折れる交差点を超えて、高山寺の赤い橋の手前。5台程度停められる駐車場もあり、入り口は少し入ったところにあります。 階段を下りていくと隠れ家のような一軒家がみえてきます。 岸壁に張り出したお座敷。屋根があるので雨天でもぬれずに川のせせらぎを楽しめます。京都市内からだと5度は基本が低いのではと感じます。澄んだ自然の空気はやっぱりおいしい。これこそ避暑地のご馳走だと思います。 写真のような高台になっているうえ、山沿いで日照時間も限られているので涼しいのでしょう。 「瓦そば 松右衛門」は、熊本城発祥のグルメで、後に山口県の温泉旅館で茶そばをもちいて供されるようになったのが始まりと聞きます。ここの店主は山口県下関市とご縁があり、郷土の味を知ってもらおうとお店をはじめられたそうです。私の著書「もっと食べたい京都」(PHP研究所)でも紹介させていただきました。 熱々の「屋根瓦」に盛って提供されます。なぜ瓦をつかう料理なのかというと・・・西南戦争のとき、熊本城を取り囲んでいた薩摩軍の兵士が、瓦の上で野草や肉をやいて食べたのがはじまりとされています。「かわらけ投げ」の神護寺と、日本ではじめて茶が作られた高山寺のちょうど中間の場所にあるということも開店の決め手だったそうです。そういう流れでお店ができるのも興味深いことですね。こちらは別の日にいったときの「大盛り」仕様。 ド迫力です! 熱々の瓦に乗せ、じゅっと焼く。鉄板ナポリタンのようですね。野菜や牛肉など具材もたっぷり、錦糸卵や葱、海苔、薬味のおろし大根が添えられます。檸檬スライスがアクセントになって爽やか。 まずはそのまま。つけ汁は濃いので、好みのよって少しだけつけてもいいでしょう。添えられたポットに温かいつけ汁がたくさんはいっています。 ちなみに、親切に食べ方が書かれています。ぜひこのやり方で最初はお試しくださいね。 以前伺った時には、サービスで杏仁豆腐がでてきました。これも絶品です(^^♪ 瓦そばだけでなく、デザートも充実していて、自家製ぜんざい、かき氷、アイスコーヒーもあるので甘味処としても利用できます。貴船はピーク時には大混雑しますが、こちらは紅葉の季節を比較的混雑することもなく、ある意味隠れ家でもあります。 おいしい空気に、おいしい料理、素敵な風景が五感を刺激します。食後の珈琲をいただきながらゆっくり風景を眺めていると、ちょうど時間になりました。また紅葉の季節にも伺いたいものですね。本日の京都グルメタクシー「もうひとつの真夏のグルメ」特集いかがでしたでしょうか。四季折々の京都の景色を楽しむグルメを、皆さんもぜひお楽しみくださいね!それでは!■粉ものや 巌京都府京都市右京区常盤馬塚町12 エスポワールT 1F075-406-525510:00~18:30、昼の定食 11:00〜15:00定休日月曜日、第3火曜日■瓦そば松右衛門 (カワラソバショウウエモン)京都府京都市右京区梅ヶ畑殿畑町35 075-863-1177 11:00~15:00(L.O.14:30)定休日木曜日
岩間孝志
京都グルメタクシー
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2019.07.29
おいしい京都案内 | ここでしか食べられない名物メニューがあるお店
7月といえば祇園祭りですね。祇園祭りの山鉾巡行は17日と24日にありまして、7月に入るとあちこちで盛んに囃子手の音が聞こえてきます。「グルメタクシーさん、祇園祭りはタクシーの貸し切りでお忙しいのですよね!」とおっしゃる方は多いのですが、実は私自身が祭りに参加して「曳き手」を担っており、お仕事はお休みしています。私が参加する後祭り(7月24日)の巡行は朝7時から昼3時ごろまで。写真の南観音山の綱をもって練り歩き、新町通り→御池通り→河原町通り→四条通り→新町通りという順で、出発点に戻ります。すでに17年連続で参加させていただいており、このご縁で妻と出会うなど、いろいろな思い出があります。「疫病の被害を止めたい」「怨霊を鎮めたい」という願いのもと、始まった神聖な祭りごとです。これからも世界が平和で、皆さんが健康であられますことを願って参加したいと思っております。「京都知新」サイトをご覧の皆様だけに、「山鉾巡行のベストスポット」をご紹介いたします。観光客が多い河原町御池と四条河原町の交差点では「辻回し」という山鉾が90度転回する場所があります。ここは有数のカメラスポットですが、早朝からアマチュアカメラマンさんなどが場所取りされ、彼らに占領されてしまいます。早朝の御池新町、室町、烏丸通り交差点付近は比較的見学者も少ないベストスポット。歩道も広いのでゆったり辻回しを見ることができます。また最初の転回地点で威勢のいい曳き手の様子をご覧いただけます。前後の隊列を組みなおすために鉾と山が順番交代するので、その作業もこの界隈でゆっくりみることができます。あとは室町通り、新町通りの間を抜ける帰りの道程ですね。狭い問屋街を四条通から入ってくる山鉾を町内で歓迎する時は、ナポレオンの凱旋帰国パレードのような拍手に迎えられます。最後に三本締めで終了。この光景はぜひ動画でも撮っていただきたいですね。 こんにちは!京都グルメタクシーの岩間です。車に乗るだけで、あなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。今日は夏の暑さも吹き飛びそうな「この店にしかないグルメ」を2軒ご紹介いたします! 一軒目は「祇園祭り」つながりのお店です。「油天神山」「太子山」から歩いて10分程度、堀川通りをこえた猪熊通りに面している「京彩和食こばやし」をご紹介いたします。山鉾見学の前後にちょうど立ち寄れる立地がうれしいですね。 辻調理師専門学校は私の母校ですが、現役の教授から「京都に料理学校の元先生がやっておられるおいしいお店がある」とお聞きしました。同じ学校でも知らない先生がやっておられるのかなって思っていたら、とんでもなく身近な先生でした。 昼ご飯は 1050円からで、3000円のコースは要予約。今回いただいたのは1670円のコース。値段はかなりリーズナブルです。夜はちなみに3900円から10000円まであります。本日は1670円のコースをご紹介します。小鉢 あつあげとうるい ごまだれ小鉢 きんぴら ごぼう 九条葱 穴子押寿司大皿 卵焼き(海老) スモーク新じゃがいも+山葵クリームチーズはじかみ 生麩 蛍烏賊 アスパラの生ハム巻き 桜餅造り 鯛の昆布締め 野菜 かいわれ 茗荷煮物 筍 鰆 蕗 京都の旬の盛り合わせ。いいとこ取りでしょうか。非常にバランス良く構成されています。料理学校だけでなく京都の有名料亭にもおられたので、その経験がしっかり生かされたお料理、目でも楽しめます。 「うるい」というこの時季(5月)の食材も使われるなど、低価格にも関わらず季節感も盛り込まれています。 桜餅を添えるなど、美しく飾り付ける技が冴えています。 さて、「このお店にしかないグルメ」はここまでの写真の中にありますが、わかりますか? 「特製穴子の押寿司」 これなのです。穴子と鮨飯の間に挟まれているのが、「クリームチーズ+奈良漬け」という奇抜すぎる具材。これを隠し味にするお店はほかにあったかどうか。穴子寿司は一般的なものですが、クリームチーズを加えることで、ぐんと味わいが変わります。店主は、「試行錯誤の末、この味に到達した」とおっしゃいますが、なかなか普通ではたどり着かない組み合わせでしょう。 味わいは、通常の穴子寿司より濃厚。チーズがはいっていることは最初は感じられませんでした。けれど、噛みしめるうち、追うようにチーズの風味がやってきて奈良漬けの酸味もほのかに感じ取れます。奈良漬けは、後味をすっきりさせるためのアイテムかもしれませんね。クリーズチーズは穴子のさっぱりした味に旨味を持たせる効果があったのではないか?と後で感じました。店主は「チーズ抜いてくださいと言われてもお断りします」と頑なで、気合いがはいっているなあと思いました。 ととろ昆布 うめぼし すだちの小うどん 抹茶アイス 今年で8年、9年目に入ったそうです。29年ぶりに店主の児林料理長とはお会いしましたが、当時の印象そのままで、ご夫婦でがんばっておられます。料理人の経歴は料理にあらわれると私は思います。料理学校で培われた研究心があの穴子押寿司を誕生させたのだと思いました。次は夜に伺います! 落ち着いた空間で、ほんと、ほっこりできました♪ さてもう一軒のお店は伏見にあります。祇園祭の中心地、京阪祇園四条駅から藤森駅へ。今年5月にOPENした新店をご紹介いたします!「チャイナ・テーブル エソラ」は親しくしていただいているイタリアンの料理長から紹介されたお店です。店主の山内さんは、祇園の有名中華料理店で腕を磨き、各所で修行を重ねた料理人です。人気フランス料理店の「epice(エピス)」を修業の場として選んだことで、料理を「オリジナルグルメ」に昇華させました。●山内料理長経歴19才、赤坂維新號の京都店點心茶室で修行開始27才、際コーポレーション祇園新橋月居(現白碗竹快樓)29才、高島屋内、香港私菜リパルスベイ料理長35才、レストランエピス最終 點心茶室に復帰5月esora開業。 京阪藤森駅の近くの閑静な住宅街の一角で、すこし入り組んでいるわかりにくいところです。周辺に有料駐車場はたくさんあります。玄関の赤い掲示板が目印ですね。 ランチはこの4種類ですが、C以外は定番です。中でも特徴ある料理が「Aの金華豚の焼き酢豚」です。「え? 「焼き」が入るのですか?」 と聞いてみたくなりますね。それとパンとポタージュ? 「これはフランス料理じゃないですか」とちょっとワクワクしてきますよね。 とりあえず、気になる「焼き酢豚」のランチメニューをお願いしてみましょう!小さな前菜三種ミニトマトの白ワイン漬け スモークサーモン椒麻(ジャオマー)ソース自家製チャーシュー 白ワイン漬けのトマトは、アルコールは抜かれているものの、ワインの風味はしっかり残っています。和え物、チャーシューも塩気があり、ちょっとしたおつまみになります。 広東焼売 海老焼売 海老焼売は「ぷりっぷり」という表現がぴったり。広東焼売のほうは、具材の旨味がしっかりでています。どちらも丁寧につくられています。 新ジャガイモのポタージュ クリーム感よりも、理想的な澄みきった味です。中華の領域ですが、フランス料理のビシソワーズに通じる上品さを感じます。舌触りはなめらかそのもの。提供する温度を考え抜いた塩気の調節も見事です。 パンがでてきます。ここがフランス料理っぽいところで、コースの随所にその特徴を垣間見ることができます。 金貨豚の焼き酢豚 その「焼き」とは? 酢豚?これがすぶた?という感じですね。店主曰く「焼き野菜と焼き肉です!」「新酢豚とおもってください」と少々苦笑い。中華を学んだあと焼くことへの興味が増し、フレンチにすすまれたそうです。洋食の技術も会得したかったのでしょう。その成果が、しっかりこのメイン料理にでています。ソースは黒酢ベースになっていて、すくってつけてはじめて「酢豚」だと感じました。この豚だけでも、十分ほどよい塩気があり、美味しくいただけます。こういうハイブリッドなテクニックが、伝統ある風味との相乗効果を生み、新たな味をつくりあげます。古き良き味と新しきテクニック、そして中華とフレンチの融合は見た目も味も変化させるのです♪ 肉汁がしっかり中にとじこめられ、食べるとジューシーさが広がります。すこしロゼを帯びた色めを生むこの火入れから、フレンチの技がわかります。料理人の経歴が、そのまま表現されたすばらしい料理ですね。 料理の盛り付けも放射状でフランス料理的、付け合わせは季節野菜です。 お茶も上質で自然の甘味があります。 この後は、ランチコースメニューのなかから料理を抜粋してご紹介いたします。 「麻婆豆腐(平日限定)」 950円もっとも安いコースです、平日限定。この麻婆豆腐がマイルドな辛みなのです。 彩りサラダ 新鮮野菜の持ち味がいかせるように軽い味付けで仕上げています。 どちらかというとラー油などのソースは少なめ、その分具材に味わいがしみこんでいて豆腐を包み込むような濃度です。辛めですが味わいはマイルド。人によってはご飯をお代わしてしまうからさ。けれど、辛党の私にとっては、これでも中辛程度。山椒の辛さも爽快です。まさに「ごはんがすすむ」味。どこかの佃煮のようですが、この言葉がばっちり合う塩梅に仕上がっています。 「手作り点心の飲茶」1500円こちらも興味深いランチメニューです。写真は点心だけご紹介いたします。 海鮮春巻きと揚げ大根餅 さくさく感ともっちり感の代表格。その特徴をしっかり保っている想像通りのおいしさです。とくに大根餅は触感が優れています。もっちりした歯ごたえはあるものの、口の中で溶け出し、するっとのどを通ります。淡い塩味の妙技です。 焼き餃子生駒エソラ風肉汁をしっかり含んでいて、生地には潤いがあります。焦げた表面の香ばしさが特徴。 この日は文山包種茶(ぶんさんほうしゅちゃ)というお茶をいただきまいた。飲茶スタイルのこのコースは、さらに「蒸し点心」「雑穀粥」「彩りサラダ」もついています。 そして最後に「もう一つのお楽しみ」、デザートです。追加300円で珈琲などの飲み物とデザートがつきますので、ぜひそちらも追加で頼んでみてください。 杏仁豆腐 (+300円追加で飲み物も含まれます) マンゴープリン (こちらも杏仁豆腐と同様の料金) 昨今、麻婆豆腐は寒天交じりの味のうすいタイプも増えましたが、ここのものは濃厚。マンゴープリンも試行錯誤して改良され、先日伺った時は店主自慢の作品になっていました。「マンゴーの酸味」をコントロールできる食材選びや技法が確立したという、完成度の高い味をぜひ試してみてくださいね。 店主の山内さんは子育てもがんばっておられるイクメン。私が乳児含め子供3人を連れて家族5人で訪問したときは、ベビーカーもいれてくれました。一流の味を家族で気持ちよくいただけるお店です。 本日の「この店にしかないグルメ」特集はいかがだったでしょうか!毎日いろいろなお店で食べ歩いていると不思議な料理に出会い、ここだけしかない!お菓子を発見するなど、様々なサプライズがあります。奇抜だけではない、それぞれの由来をひきだすなど、良質なグルメをこれからもご紹介したいと思っております。どうぞ次回も楽しみにまっていてくださいね!それでは、皆様!!よろしかな~!よ~いとせぇ!え~んやらや~!お~!※南観音山の曳き手への掛け声と相づち「よろしいですか!それでは、いきますよ~!はい!」の意味※価格は取材当時のもの■京彩和食こばやし京都府京都市下京区猪熊通り四条下る松本町283 075-201-7722 11:30~14:00、17:00~21:30定休日水曜日(月に1回不定休あり)2011年6月5日開店■チャイナ・テーブル エソラ京都市伏見区深草西浦町5丁目38 マリンハイツ1F 075-606-177111:30~15:00(LO14:00)、17:30~22:00(LO21:00) 定休日不定休(いまのところ設定されてません)駐車場なし 近くに多数有料Pあり2019年5月開店持ち帰り 唐揚げ5個 500円(税込み)、油淋鶏丼 600円(税込み)
岩間孝志
京都グルメタクシー
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2019.06.28
おいしい京都案内 |時代とリンクする、コスパ◎フレンチ2店
この季節になると修学旅行生が観光地を歩いているのをよく見かけます。ゴールデンウィークから7月ぐらいまでが中学校の修学旅行のピークなんです。新人ドライバーがある程度経験を積んで観光案内ができるようになると、修学旅行のご案内を会社から申し付けられます。でも本音を申し上げると、生徒さんのご案内は高度な判断力と体力を求められることが多く、ベテランドライバーでも骨がおれるご案内です。そんなこともあって、「グルメな運転手さん」という要望があるグループには、私が推薦されてきました。 こんにちは! 修学旅行生からも重宝がられる?!京都グルメタクシーの岩間です! 車に乗っていただくだけで、あなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。以前、修学旅行の生徒さんから「食いしん坊な運転手希望」というリクエストがあって、私が担当したのですが、「お昼ご飯は美味しいけれどワインコイン(500円)で済ませたい」と言われたことがありました。一瞬考えましたが、「森嘉」(豆腐、揚げものを購入して公園で食べる)→「米都」(できたてのおにぎりをにぎってくれる。しじみごはん、塩、炊込ご飯などを購入)→「銀閣寺キャンディー」(アイスキャンディー60円~ストロベリー、ソーダなどを購入。現在閉店)で京都名物からデザートまでを500円でおさめたのを思い出します。ワンコインでも絶品のグルメには出合えるんです。 このときに「美味しいものは値段ではない」と生徒さんにお伝えしたこと、いまでもおぼえております。それがいまの京都グルメタクシーのコンセプトになったのかもしれません。さて本日は私自身もかつて経験した「フレンチの料理人」というくくりで、「時代とリンクするフランス料理人のグルメ」を2つご紹介いたします! お待たせいたしました! 京都駅からまずは銀閣寺方面に向かってスタート! 出発で~す♪ 岡崎の平安神宮を北東の方向に進み、銀閣寺の手前にあるのがこの「ちょっとフランス」です。女性シェフがおひとりでなさっている私の好きなお店ですが、シェフは人気フランス料理店で修業をされ、肉総菜がおいしいと評判のお店でさらに腕を磨かれました。その店で培われた経験をベースに、ご自身のセンスを盛り込んだことで、地元の人気店になったのでしょう。本場フランスの味をしっかり感じることができるのに、屋号は「ちょっとフランス」。「ちょっとどころでない、見事なフランス味」だと私は思っています♪ 今日は「フォアグラムース」「リエット」「テリーヌ」「パテ・アンクルート」というラインナップで購入しました。これで合計2430円(税込)。かなりお手頃な価格です。パテやテリーヌは妻が大好きで、京都市内のいろいろな店のものを試しましたが、こちらも気に入っています。肉自体も上質ですが、生地の交ぜ具合や加熱のテクニックなど仕込みが理想的です。特にここの料理の「潤い」が気に入っています。水分をしっかり調整しているしっとりとした肉総菜が好きなんです。「フォアグラムース」は気泡と水分、そしてフォアグラそのものの持ち味がしっかり生かされています。 この「パテ・アンクルート」は、あえてはしっこの部分を購入しました。パイ生地がしっかり肉を覆っているから、肉のうまみが生地にしみこんでいます。肉とパイとのバランスがよく、塩気も程よくあります。 フランスで修業していたとき、研修先から電車で行けるリヨンやバランスに行って、肉総菜を買ったものでした。専門店でも買いましたが、スーパーでも安く手に入ります。「ちょっとフランス」の肉総菜は当時のフランスの味そのものです。食べている間にいろいろなこと思い出します。楽しかったこと、つらかったこと。。。。「記憶をよみがえらせる料理」っていいものですね。たまにフランス人に怒られた夢をみて目が覚めることがありますが(笑) 銀閣寺界隈から今度は京都府庁方面に車を走らせます。お客様から一人で運転しているときは「どんなことを考えていますか?」と質問をうけることがあります。安全運転を考えるのは当たり前なのですが、新店舗がどこかにないだろうか? 隠れていないだろうか? と思いながら走ることも多々あります。新聞の報道記者のように、しっかり集中力をもって目で見る! そんなふうに車内から町を見ています。フランス車のプジョーやシトロエン、ルノーを見ると、フランス時代を懐かしく感じたりします。フランス滞在時期に現地の人や料理人にお世話になったおかげで、今も「フランス帰り」という肩書きを名乗れる「京都グルメタクシー」なのです。それでは、京都のEsprit(エスプリ:知性、才気、)ある味をこれからご紹介いたします! フランス語で「L'eclat」(レクラ)は「はなばなしさ,輝かしさ,光輝」という意味だそうです。ミシュラン掲載店の「MOTOI」から派生したお店です。スタッフも「MOTOI」出身の方が多く、懐かしいサービス担当さんもいます。ただし、「MOTOI」と共通しているのは「おいしい」ということだけかもしれません。そのぐらいメニューは方向性が異なります。開店されて4か月でしょうか、巷では「クラシカルフレンチ+洋食」「古き良き時代のフレンチ」とも言われ、噂になっているお店です。5月にフレンチのベテランサービスの方と2人でうかがったときの料理をリアルにご紹介いたしますね。 ちょっと気になる町屋といいましょうか。京都の街に溶け込む姿に期待が膨らみます。 フロアはこういった感じですが、机をつなげるとまとまった人数でも入ることができます。 2階にはバースペースもあります。ゆっくりくつろげるソファーもいいですね。定休日の前日以外はディナータイムの後もバータイムがあって便利です。 7名ほど座れるカウンターからは、こんな感じでシェフやスタッフの動きがしっかり見渡せます。カウンターと調理場の間に通路があるので、熱がこもることもなく、常に空気は清浄に保たれています。カウンターとテーブル席にも距離があり、ほかのお客さまの会話が気にならないのもいいですね。スペースの取り方もしっかり計算されています。 手書きのおすすめメニューも魅力的。「ハヤシライス」もあるじゃないですか~! フランス料理を基本としていますが、洋食ジャンルのアラカルトも充実しているのがこのお店の特徴でもあります。定番メニューも豊富で「ポテトサラダ」などもあって、愛嬌あります♪ 左 フォアグラのフランのキッシュ 右 グジェール アミューズ インパクトある2つの料理でお出迎えです。それぞれに対照的な風味で楽しませてくれます。 ワインの選択は中村支配人にお願いしましょう。長年「MOTOI」で支配人をなさっていましたが、こちらの店の準備でしばらくお忙しかったそうです。いつもの笑顔で対応していただきました。この日は2人で伺ったのですが、同席者もベテランサービスの方だったので、ワインリストが気になったのか、いろいろ注文されました。 ディナーの後のバータイムも、種類豊富なワインをグラスで楽しめます。ワインの話に花が咲き、このあとワインセラーを案内していただきました。 この場所、かつては豆腐屋さんでした。その時から地下はあったそうで、かつては井戸水もでていたとか。値段も書いてあるのでここから選ぶこともできます。 これが1階から地下に降りるワインセラーの入り口です。フランスの石造りの床のような~。さてカウンターにもどって、いよいよディナーをいただきます。 ホロホロ鳥 フォアグラ トリュフのパテ・アンクルート 1900円 硬派と言えるしっかりとした歯ごたえ。決して硬いということではなく、ずっしりした感じが正統派です。塩気もやさしく、うまみが凝縮しています。二人でなら、ひとつがちょうどいい量でしょうか。重たさがないのがホロホロ鳥ベースのいいところでしょう。先ほどの「ちょっとフランス」と同じ料理を注文して、あえて食べ比べるのも美食的な選択ですね。 長崎県産 神経〆 イサキ フライ タルタルソース 2100円パン粉の衣がカラッと上っていて、油切れがいい。中まで火が通って蒸されたあたたかい白身がやわらかくおいしい。 特製 平井牛ハンバーグ デミグラスソース 2800円 平井牛7:3米沢豚 の比率で配合されているらしく、非常に食べやすい。そしてこのデミグラスは「デミグラスはこうあるべき」という正統派の味です。このソースをいろいろな料理に使われていますが、煮込みすぎて炭化していることもないし、逆に煮込みが浅くもない。ちょうどいい塩梅です。付け合わせにムースリーヌ(ジャガイモのピューレ)が添えられ、懐かしくなりました。 黒毛和牛カツレツ 4600円 火入れのタイミングもよく、衣が肉のうまみをしっかり閉じ込めてくれています。ハンバーグがどの料理もあまりに美味しく、もう一品追加したのがこの料理です。 美山 美卵のオムライス 1900円 料理人とリンクしていているこの撮り方が気に入っています♪ 平飼いの卵、美山の「みらん」です。若い鶏にしか生ませない卵ときいていましたが、私も初対面です。ふんわり、そして卵の味をしっかり感じることができます。ライスはおそらくケチャップ系、そして玉ねぎはもちろん大量のシャンピニオン(マッシュルーム)が使われています。一人ならこれとサラダとスープでも楽しめそうです。単品料理でワインを少し飲むという利用も大丈夫だそうです。 この日は満席で、私たちのあとからも数組こられました。男二人でしたが最後は〆のデザートを注文することに。3つの候補がありましたが決まらず、結局3つとも頼むことになりました。 ガトーショコラとバニラアイスクリーム 850円 すっきりした甘さ控えめのグラスアラバニーユ。チョコレートの風味が力強い。 ミルフィーユ 苺とフランボワーズのシャーベット 1000円 ごく薄のパイ生地を焦がして提供。これがやさしいカスタードクリームと合わさっていい味だしています。フランボワーズのさわやかな風味はミルフィーユを盛り上げてくれます。 美山 美卵のクレームブリュレ ガッチガチです。本来このぐらいは表面の焦げがほしい。「濃い色の焦げ(ブリュレ)がないとクレールブリュレと言えません」とお菓子が語りかけてくるようです。 いつもはエスプレッソを頼む私ですが、さすがに今日は珈琲にしました。「甘味は別腹」と言いますが、ほんと、そのとおりです。 ここにきて種明かし。。。シェフはフランスの料理学校時代の同級生です。 小栗秀樹シェフと出会ったのは、フランス校(辻調理のフランス校)でした。もう28年も前の話で、1991年の春コースの戦友なのです。長年ラ・ロッシェルで修業。大阪のレストランや、このお店の系列店にも一時勤めていたそうです。フランス校当時のシェフの印象は、とにかく冷静。黙々と仕事をこなすタイプでした。お互いに年をとりましたが元気そうで良かったとお励ましあいました。そして思ったのは、彼が当時より料理を楽しんでおられるということ。再会といっても彼はほとんど料理をつくっていたので、お話ししたのはすこしだけでした。今月、同窓会があるので、そのときにはいろいろ話せればと思っています。個人的なことをご紹介しましたが、それは別としても、おすすめしたいお店なのです♪ 友人としての評価ではありますが、今後このタイプの店はますます需要が増えるはすです。手軽にワインが飲める、インテリアにも力をいれている、とはいえコスパが良く、アラカルトで昔ながらの味も楽しめる。また、モトイの姉妹店という安定感と経験がいたるところに生かされています。肩肘張らない雰囲気もここを訪ねやすい理由です。フランス料理と日本洋食のちょうど中間的なポジションといってもいいでしょう。創作などは加えず、ストレートな剛速球勝負という感じです♪ サービスの要的存在でもある中村支配人の力も大きい。ワインセンスはもちろん、お店の為に尽力されていることが、節々ににじみ出ています。この店からまた新たな伝説がはじまりそうです。若きスタッフの優秀さやオーナーの考えが、このお店を益々良くしていくことでしょう。皆さんもぜひ行ってみてくださいね。 これは1991年の私の写真です。だれですか? と言われそうですが、このときに小栗シェフと出会いました。28年後に再会を果たせました。人生において料理は様々な出会いをもたらしてくれます。グルメタクシーにとってフランスは要となるもので、これからもフランスで学んだ経験を生かし「京都知新」の一員として、京都のすばらしさを、食を通じてお伝えしようと思います! 「運転手さん!そろそろ京都駅へ戻ってくださいよ!」 「あ? そうでした! ちょっとフランスのこと考えてしまって。。。(笑)」 今日の京都グルメタクシーツアーはいかがでしたでしょうか。本日はちょっと長くなりましたが、またお会いできる日を楽しみにしております! さあ、またおいしいお店、探してきま~す!!※記事で記載している価格は取材当時のものです。■ちょっとフランス京都府京都市左京区浄土寺上馬場町112 075-741-6244 11:00~20:00定休水・木曜日http://c-furansu.com/■L'éclat (レクラ)京都府京都市中京区竹屋町通衣棚東入ル相生町281 075-222-1256 Dinner Time 17:00~21:00(L.O.)/Bar Time 21:00~25:00(L.O.)定休日月曜日(祝日の場合は翌日休み)※定休日前日は21:0024席 カウンター テーブルあり駐車場なし ただし近隣に1300円 24時間一律がある2019年2月27日開店
岩間孝志
京都グルメタクシー
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2019.05.23
おいしい京都案内 |イタリアン「ジェルモ―リオ」
今出川通りから川端通りを南へ、清水寺方面の五条通りを東へ進み、東山通りを南へ向かいます。カーブにさしかかった中程の信号を、山沿いに東へ行けば「泉涌寺」という真言宗泉涌寺派の総本山があります。皇室との関連が深く「御寺(みてら)」と呼ばれます。重要文化財の楊貴妃観音像は、その美しさにあやかろうと多くの女性が参拝されます。その山内に雲龍院という塔頭があります。南北朝時代の北朝第四代天皇、後光厳天皇の勅願で作られたお寺で、御本尊は本堂龍華殿に安置されている薬師三尊像、西国薬師霊場四十番札所としても知られています。寺院内には鎌倉時代につくられた「走る大黒天尊像」や、大石(内蔵助)良雄筆「龍淵」、そして「悟りの窓」「迷いの窓」など貴重な見所がたくさんあり、ベテラン観光タクシー運転手がおすすめする穴場的な古刹です。そんな素敵な場所で和のスイーツがいただけます。拝観料は400円ですが、別途500円で接待をお願いすると、「皇月(こうげつ)」という生菓子と抹茶を出してくださいます。緑映える庭園を眺めながらゆっくりした時間を過ごすのもいいものです。京都グルメタクシーは、こういった特別な場所でのグルメのコーディネートもご案内できます。夕暮れの雲龍院を後にして車は山を下ります。多くの塔頭が建ち並ぶ参道は、まるで「新緑のトンネル」のように青々として涼しげです。「心があらわれる」という表現がぴったりですね。 車は人々が集う今熊野商店街を通り北へ向かいます。長谷川等伯の襖絵が有名な智積院から西へ向かって三十三間堂や国立博物館を横目に東本願寺を目指します。東本願寺の南側、京都駅からもすぐのビルの2階にあるのが、昨年秋にオープンしたイタリアン「ジェルモ―リオ」です。入口には、さりげなくディスプレイが飾られているだけ。「いい店ほどわかりにくい」という言葉を思い出します。実はこのお店、私の好きな大宮高辻の「プッチーロ」のシェフからお聞きして伺ったのが最初。「プッチ―ロ」も「マンマのミートソース」がおすすめのお店。美味しいお店のシェフから聞いた情報には間違いがないですね♪エレベーターもあります。この入り口の左側にもテーブル席があります。奥に2テーブル(4名×2)あります。 カウンターもあります。内装もあたらしく清潔感もありますね。2月に頂いた「Dinner Course」 10,000 (18:00-23:00 L.O.21:30)をご紹介します。21:00以降で空席があればバーとして利用できるそうですよ。鉛筆書きのメニューにほっこり♪これオリーブオイルです。ビンごと置かれていてうれしい。シェフ、太っ腹です♪イタリアンにいくといつもジンジャーエールのビターをいただきます。●カリフラワーのクレマ重厚なクリーム状スープ オリーブオイル 生わさび ペコリーノのクルトン状のもの どろりとする特別な食感、いい意味での重たさ。味は軽ろやかで食感はまったり。繊細な感覚です。●フォアグラとビーツ中にフォアグラムースとビーツが混在しています。食べるとフォアグラの独特な味が広がる構造で、チョコレートに見えるところが面白い。シェフの経歴に有名パン店があり、フォカッチャにその経験がにじみ出ています。右手から●カンノーロ(シチリアの菓子:ちょっと塩系)リコッタチーズ●甘エビのタルタル 青リンゴ敷き2つの料理をあわせて頂く面白い構造。たしかカンノーロはゴッドファーザー(映画)が有名にさせたシチリア菓子。 塩気のあるお菓子と甘エビという不思議な組み合わせですが、違和感はありません。ほかにはない美味しさです。●イタリア パルマ産24ヶ月熟成生ハム スライス モッツァレラ 八丈島 ジャージー牛放牧 ●プンタレッレ(良質苦みあり) アンチョビ レモン 熟成状態が理想的。この塩気と旨味、それに青菜の苦みがちょうどいい。ワインもすすみます。●アニョロッテ ダル プリン豚肉と兔 ミンチ 薄いパスタ生地 バター 黒トリュフ濃厚なのに、あと味すっきり。バターとトリュフがぴったり合う。具材のわずかな短所をお互いがおぎない、臭み無く旨味が先行します。●山口のどぐろ チューチ下はチェーチ(ひよこ豆) 右手上:ニンニクとアーモンドのソースカーボロネル(黒キャベツ)ロースト皮目もしっかり焼かれていてアクセントになっています。潤いある白身、控えめな味わいのひよこ豆とも相性抜群です。●丹波鹿ロースト 赤ワインソース 紫人参のピューレ ヴィエトラ(ふだん草)野性味あふれるストレートな味。赤ワインソースがまとめ上げるひと皿です。濃厚ながら重いと思わせない美味しさがあふれています。●水牛+牛乳の白カビチーズ●セミハードタイプ ラスベガス●gelo(ゼーロ:イタリアのおかし)みかんゼリー ホワイトチョコ デンプンで固める マスカルポーネのムース みかんの皮みかんの香りとともに運ばれてくる一皿。「香る料理」と言っても過言ではありません。●いちごのタルトレット メリンガ カントゥッチ(ビスコッティー)タルトレットはフレッシュな苺の風味。伝統的なイタリア菓子もしっかり提供されます。chef 天谷彰吾さん経歴2003年 リストランテカノビアーノにて料理人開始 2006年~祇園tvbで副料理長 2012年~イタリアへ修行 All'enoteca (ピエモンテ、ミシュラン★) Enrico Bartolini (ミラノ、ミシュラン★) Cappun Magru (リグーリア、郷土料理) 個々に部門シェフとなる。 2016年日本へ帰国後、祇園やまぐち、245を経て独立「未知なるあわせ技」食後の余韻も心地よく満足感があります。全体的にまとまっていて、レアな食材が多いのですがそれがまたいい。食材の組み合わせにも新たな発見があります。シェフの天谷さんの料理は、多彩な経験と素敵な師匠に恵まれたからこそ。シェフの独特な世界観がお皿に表現されています。このお店の料理は「直向きな驚き」という言葉がぴったり当てはまります。シェフの人柄があふれる良質な料理。素直に評価したいお店です。マダムやスタッフがシェフをもりあげているのがわかる明るい厨房が、料理の味に反映されているのでしょう。 先日ランチにも伺ったのでご紹介させていただきますね。「Lunch Course」 4,000 (12:00-15:00 L.O.13:30)(金、土、日、祝日のみ)こちらは3月下旬の料理。 新ジャガイモとグリンピースのスープ真ん中 インサラダルッサ(イタリアピエモンテ)ポテトサラダ左上 紫カリフラワーのピクルス右上 トルタルスティカ(昔ながらのトルタ)リコッタチーズとほうれん草(詰め物)パイ生地包み焼き右下 パルマ産24ヶ月熟成生ハム 薄くスライス左下 太刀魚 ハーブで巻き込んだオーブンで火入れ スパゲッティーボンゴレ ホワイトアスパラ ロースト 燻製香り付け対馬産ひらめ ひよこ豆 スーラ(煮込み)豚肉(ももにく+豚足等)白インゲン ちりめんキャベツステュールーデル イタリアのアップルパイシュークリーム 洋梨でつくったカスタード ビスコッティーエスプレッソ昼と夜、どちらも捨てがたい魅力があります。いずれもコース内容、価格帯も同じなので、どちらがお得かというより、使い分けるべきでしょうね。 本日の京都グルメタクシーツアーはいかがだったでしょうか!イタリアンのお店は益々増え、そのレベルも上がる一方です。京都でイタリアン♪、是非皆さんもお試しくださいね!■泉涌寺雲龍院京都府京都市東山区泉涌寺山内町36午前9時〜午後5時(午後4時30分受付終了)1拝観料 お一人様400円 抹茶+お菓子 500円■Germoglio ジェルモーリオ京都府京都市下京区東境町172 ネオヒルズビル2F18:00~23:00 (LO21:30以降バータイム(空席の場合))12:00~15:00(LO13:30)金,土,日,祝日のみ営業定休日水曜日https://www.germogliokyoto.com/https://www.facebook.com/germogliokyoto/?modal=admin_todo_tourhttps://www.instagram.com/germoglio_kyoto/ 2018年11月22日OPEN
岩間孝志
京都グルメタクシー
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BLOG京都グルメタクシー
2019.04.22
おいしい京都案内|鳴海餅本店の赤飯と粟餅所 澤屋
京都!春まっさかりです! こんにちは! 京都グルメタクシーの岩間です。車に乗るだけで得られるあなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。今回は「家族で営む時間を大切にする老舗」「できたてのおいしさ」のふたつのテーマで和菓子店をご紹介したいと思います。京都には和菓子店はほんとうに多く、数えられないほど。市内の隅々までおいしい和菓子店が点在しています。日々情報の開拓はしているもののまだ見つけられてないお店もあります。家族で伝統の味を守るお店も多いのですが、今回ご紹介したいお店はいずれも北野天満宮近く。車を北へ向けて走らせます! 途中、世界遺産・二条城を通過しますが、この二条城、外堀の周囲だけでも2キロあると言われ、敷地内にはいろいろな花や建造物かあります。庭園を一周すると1時間以上経ってしまうこともあるほどの広さ。江戸時代の権力や徳川家の立ち位置が最もわかる史跡ではないでしょうか。 歩けばお腹がすきます♪ より多くのお店を楽しみたい方におすすめしたい、とっておきの軽食を紹介しましょう。その軽食は和菓子店の中で食べられるのです。 創業明治7年の「鳴海餅本店」。地元では「ナルミの赤飯」と呼ばれ親しまれていて、ここにくるお客さんの多くはこの赤飯を買い求めます。添えられたごま塩をかけて食べると、ほんとうに美味しい。 もし炊き立ての温かい赤飯を食べたいなら...、それを実現してくれるのが販売ブース横にあるサロンです。赤飯をはじめ和菓子もいただけるスペースになっています。 おすすめしたいのは「赤飯セット」。540円(税込み)という低価格が魅力的ですね。 ほかほかの名物赤飯と赤だし、そして奈良漬けも添えられています。和菓子を付けることもできるようです。栗の季節には栗赤飯もいただけますよ。 佐賀県産「ヒヨクモチ」なるもち米と、大粒丹波産大納言小豆を使い、大型の特製セイロで丁寧に蒸し上げたもの。ふっくらとした小豆の風味がやさしく伝わってきます。ホカホカの赤飯、こちらが、ひとつめの「できたてのおいしさ」です。車も停められるので、助かります♪さて、ほどよくお腹を満たした後は最終目的地、北野天満宮に車を走らせます。堀川通りを北へ向かいます。柳の新芽を横目に進むと、そこは西陣エリア。陰陽師安倍晴明が祀られる晴明神社や蹴鞠の時代から現代までスポーツの神様として親しまれる白峰神社などもこのエリアにある名所です。神社信仰の盛んな地域でもあるのですね。西陣らしく、機織りの音も聞こえてきそうな魅力ある街です。 この北野天満宮界隈に有名和菓子店が多いのは、豊臣秀吉の北野大茶会が行われたことや、その後花街となった上七軒からの需要が多かったからでしょう。「粟餅所・澤屋」 (あわもちどころ・さわや)は、地元から支持されるうえ、観光客、参拝客も立ち寄る人気和菓子店です。付近には「とようけ茶屋」という行列のできる人気の豆腐屋さんもある場所で、賑わいを見せています。 実はこのお店、京都の事が詳しくわかる「福本晋吾の京都ビビビッ」(MBSラジオ 6月24日放送予定https://www.mbs1179.com/kyoto/)で私がゲスト出演させていただいたときご紹介したお店です! 放送後もう少し詳しく教えてと複数メールを頂きましたので、今回こちらでもご案内させていただきました。創業は江戸時代天和2年ですから1682年、日本では井原西鶴の『好色一代男』が発刊された年でもありますね。しかもその創業の日より50年前にはすでにお菓子が存在していたとも言われていたとか。「江戸時代の甘味」が現代にも通用するというのは、ロマンがありますよね。「あわ」という音を聞くと、最近はエスプーマもブームなっているので「泡」と勘違いされる方も多いのです。「粟」はたしかに現代社会ではなじみが薄く希少性のある穀物です。粟餅を主にした和菓子、この古来の甘味を現代の人はどう感じるのでしょうか。中に入ってみましょう! 磨かれた机、応接間にあるついたてを彷彿とさせる美しさなのですが、「かえで材」の木のテーブルとカウンターは上品で清潔感がありますね。つやつやに磨かれ年季が入っていて、ここのお店の歴史とリンクしています。 席数は多いのですが、満席になることもあり、特に天神祭と梅の季節は行列になりますね。ちなみに梅の開花は、1月~3月と長く、例年2月下旬~3月がもっともベストな季節です。その頃はお店も忙しいようで、テレビでも北野天満宮に献上される粟餅の特集を放映していました。毎月25日の縁日には特大の粟の鏡餅を天満宮にそなえるそうで、神事とのつながりも深いお店ですね。ちなみに忙しくて粟餅がなくなると、次のお餅ができるまで少し待つこともあります。それも「できたて」を守るゆえなのでしょう。白梅 5個入り 600円 餡3つ きなこ2つ紅梅 3個入り 450円 餡2つ きなこ1つ お茶はついてきますが、300円追加で抹茶に変更することもできます。こちらもぜひ試してみてくださいね。 さてさて、まずはお菓子を頼むことが肝心。 注文すると、作業台にさっと職人さんが集まり作業開始! 餡子、粟、きな粉を操るように粟餅がつくられ、この場所に緊張感が漂います。三つの鉢を囲んで♪ こし餡、きなこ、粟餅を巧みに丸めて、手際よくお皿に盛ります。現在の当主は12代目森藤輿八郎(よはちろう)さん。お仕事される時間は短めですが、96歳で、いまだがんばっておられます。12代目とともにお店を仕切られているのが13代目の哲良(てつろう)さんと14代目のお孫さんです。皆さん達人クラスの早さで粟餅をつくられます。家族そろってつくる一連の手作業は、お菓子ファンにはたまらない風景でしょう。この写真にはおられないのですが、12代目の輿八郎さんは午前中に作業されているそうです。ご家族が多いからこそ、一斉に粟餅づくりに取りかかることができる。できたてにこだわる店の姿勢がこの写真にも現れています。 注文後、しばし温かいお茶を飲みながら、ご家族で作られる粟餅を待つ。 きめ細かな国産大豆のきなこと砂糖との絶妙な配分。黄金比のおいしさですね。13代目はこうお話されます。「持ち帰っていただいてもおいしいのですが、店で作りたてを食べられるのがさらにおいしい。是非お店で召し上がってください」。米の餅菓子より軽く、多めにみえますが白梅5個セットはおやつとして女性でも食べきれます。 ん? 餡子ときな粉の餅の形が違う?! 餡子ときなこでは形が違うのですが、聞くところによると、きなこは表面積を増やしてよりたくさんきな粉がつくように長細くしたのだそう。なるほど。きな粉だけを頂いても完成された味で、ついつい餡子に絡ませて食べ切ってしまいます(笑) 粟餅は丸めたてがもっとも柔らかく徐々にゆっくり弾力がでてきます。それでも食べ終わりまで堅くならない。そしてきな粉の方は、水分を徐々に含んでしっとりしますが、それがいいと言う人もいますね。そういえば半分食べてから、少し間を置いて残り半分を食べる人もみかけたことがあります。 ご家族の笑顔に見送られ、お店をあとにします。家族で営む時間を大切にする老舗和菓子店でできたてのおいしさを堪能する。代々継がれる技術はこれからも後世に伝えられます。永遠に続いてほしいおいしさですね。さて本日の京都グルメタクシーいかがだったでしょうか。旅のテーマを考えられた後に相談されるお客様も多いので、私がコンシェルジュになってご案内させていただきます! お客様をお送りしたあと、夕焼け空を見ているとまたお腹が空いてきました。新たなグルメを追いかけて、情報収集! 京都グルメタクシーで行ってきます~♪※価格は取材当時のものです。■鳴海餅 本店京都府京都市上京区下立売通堀川西入西橋詰町283 075-841-3080 18:30~17:30定休日 正月・盆休みありhttp://www.narumi-mochi.jp/■粟餅所・澤屋 (あわもちどころ・さわや)京都府京都市上京区北野天満宮前西入紙屋川町838-7 075-461-4517 9:00~17:00定休日木曜・毎月26日
岩間孝志
京都グルメタクシー
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BLOG京都グルメタクシー
2019.03.01
おいしい京都案内 | 桜が楽しめる美食スポット
京都がもっとも賑わう季節がやってきました。京都の桜、本当に見事です!こんにちは!京都グルメタクシーの岩間です。車に乗るだけで、あなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。今回は桜の名所や春の息吹をしっかり感じることができる京都のグルメをご案内いたします。 観光タクシーでまわる「春の京都」。タクシードライバーは、なにより渋滞の回避能力に長けておりますので有効に時間を活用できます。事前に、観光案内所等に問い合わせ、親しい観光ガイドやドライバーとも情報交換するので、確実に開花しているスポットをご案内できます。京都府文化観光大使の私としても「京都観光は是非観光タクシーで!」と声高らかに日々叫びたいくらいです♪ここだけの話ですが・・・観光ドライバーはじめ私も参考にしているのは、京都市観光協会の「京都観光NAVI」(http://kanko.city.kyoto.lg.jp/)です。開花状況など正確な情報満載ですので、みなさまも是非ご参考になさってくださいね。 今回は「桜が楽しめる美食スポット」をご案内いたします。 さあ、京都駅からまずは祇園界隈へ向けてスタートいたしましょう!祇園方面に行くときは、その道中にも桜が咲いているエリアを通ります。「川の近くには必ず美しい桜がある」。特に川端通り、木屋町通り、加茂街道、冷泉通りは定番中の定番スポットで、「車から降りずに楽しめる桜」としても有名です。 川端通りの桜は向こう側に町家が見えるので非常に風情があります。松原通りから北へ。四条までの東側の側道、宮川町歌舞練場のあたりも美しいです。 川端通りから川を渡った西側の木屋町通りは、五条通りから二条通りまで、ここも見事な桜が連なります。祇園から京都駅へ帰るとき散歩しながら堪能するのもいいでしょうね。とにかくこの西木屋町エリアはおいしいお店がたくさんあります。桜並木の向かい、グルメタクシーツアーでおすすめするのが「鮨 泰蔵」。ランチは曜日限定ですがお手頃な値段で楽しめます。画像はある雑誌取材のときに一度に盛り付けてもらったものですが、基本一貫ずつでてきます。新鮮な素材に、香味、薬味、といいましょうか。フレイバーをさりげなく感じることができます。食後に桜満開の木屋町通りをぶらりするのもいいでしょうね。 さて、車は川端通りにもどりまして、北上していきますが、四条通りの南座前を右折、八坂神社の方に向かい、縄手通り左折。新橋通りまで行きますと風情ある白川にたどり着きます。こちらも上品な桜の名所でもありまして、観光客も多いエリアです。その桜を別の角度から「独り占め」のようなアングルで見ることができるお店をご紹介いたします。 神戸ビーフをいただける「ITOH DINING(伊藤ダイニング)」。 入り口は路地の奥にあります。この突き当たりをさらに左へ。 窓越しに上品な枝垂れ桜がせまってきます。桜との間に川が流れているので歩行者の視線を感じることなく、春の風景を独占的に楽しむことができます。このお店は私の常連さんが教えてくださったのですが、この日は、幸運にも満開でした。 オニオンスープ燻製サーモンマリネ 季節のサラダ 黒毛和牛ステーキ和風炒めパスタブランマンジェシンプルですが丁寧で味付けで、食材のおいしさをストレートに引き出す料理の数々でした。 桜を見ながらの食事。非日常的な情景に料理の味にも良い影響がでるでしょうね。歩いている人、そしてバックには京都らしい建物、そして美しい日本の桜。このうつりゆく桜の季節を堪能できるのは本当にうれしいことですね。 さて、もう一軒桜にちなんだお店をご紹介いたします。今度は上賀茂神社のある北区まで行くことにいたしましょう。烏丸通りを北上、京都御苑が見えてきます。その界隈に知る人ぞ知る、京都の人が通う隠れ桜スポットがあります。 実は皆さんご存じの「京都府庁」なのです。ところが周りから見ると建物ばかりで、桜は?と思われる方もおられるかも知れません。実はこの明治時代に建てられた京都府庁・旧本館の中庭に見事な桜が堂々と咲きほこっています。有名な円山公園の桜の初代の孫にあたる枝垂れ桜を含め、7本の桜があります。3月の下旬~4月上旬には「観桜祭」(詳しくは京都府のホームページ参照)が開催されますのでその時期に併せて訪問されることおすすめいたします。窓越しの見事な桜の風景。なによりも無料なのがありがたく、旧知事室が見学できる日もあります。 さて車はさらに北へ、烏丸通りは突き当たりがあります。今宮通りで、その今宮通りを右へ行くと植物園の枝垂れ桜の名所「半木の道(なからぎのみち)」が加茂街道の向こうに見えます。この半木の道、全長800Mもあり、ヤエベニシダレサクラが咲き誇り、さらにそれから北山通りを超えると、ソメイヨシノにかわります。その桜に埋もれるようにたたずんでいるのが大原の野菜を使った料理を主に提供する「きらきらひかる」です。まずは桜のシーズンメニュー(2018年)をご紹介いたします。 季節の五種盛り 鯛と生湯葉、こんにゃく 若竹煮 天ぷら 海老と季節の野菜 ご飯 一品 香の物 みそ汁 バニラアイス 料理長の西川さんは大原三千院付近に畑をもっておられて、出勤前にご自身で野菜を引き抜き調理場へ持ち込まれます。そのとれたてを調理されるので、野菜のおいしさを実感できます。桜の季節以外の通常営業時は、オムライスやおやさい定食など普段使いができる価格帯の料理も充実しています。 さて、肝心の桜は??? お待たせいたしました。2階にその人気のカウンターがございます! これなのです♪満開の風景をご覧いただけます♪ いかがでしょうか!満開の桜と京都の味をゆったりと味わうひととき。五感で春を感じる。桜はすぐに散ってしまうからこそ、風情がありますね。ああ、また来年も来たい。そう思える素敵な場所が京都にはたくさんあります。和菓子店の桜餅をいただきながら鴨川沿いを散歩するのも素敵でしょう。京都の桜と美食があなたを待っています!今回もご乗車ありがとうございました!■ 伊藤ダイニング 京都京都府京都市東山区八坂新地末吉町80 075-525-323512:00~14:00(L.O.13:30)17:00~22:00(L.O.21:00) 定休日無休 http://www.itoh-dining.co.jp■ きらきらひかる京都府京都市北区上賀茂菖蒲園町30-3 075-791-2111 12:00~16:00位まで(L.O.14:30)17:00~22:30(L.O.21:30)定休日火曜日 駐車場4台http://www.kirakirahikaru.com/
岩間孝志
京都グルメタクシー
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