BLOG京都グルメタクシー2019.08.30

おいしい京都案内 | 夏の京都を涼しく、おいしく過ごせるグルメ

By岩間孝志

フランス料理の修業経験を持つ「京都グルメタクシー」ドライバーによる、隠れ家京都グルメ案内【京都グルメタクシードライバー日記】。今回は、暑い夏の京都を涼しく、おいしく過ごせるグルメをご紹介。

 こんにちは!京都グルメタクシーの岩間です。車に乗るだけで、あなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。連日暑い日が続きますが、こういう季節はやっぱり「かき氷」や「ジェラート」でしょうか。タイムリーな「タピオカ」もありますね。そこで今日はグルメタクシーが提案する、「もう一つの真夏グルメ」をご紹介いたします。

 京都駅をでて堀川通りを北上、晴明神社を超えて今出川通りを西へ、北野白梅町の交差点近くに「等持院」という臨済宗天竜寺派のお寺があります。そこにちょっと立ち寄ってみましょう!

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 暦応四年(西暦1341年)、天龍寺の夢窓国師を開山に、足利尊氏が衣笠山の南麓に創建したお寺です。足利家ファンにはたまらない場所。かつて私が2時間ドラマの主人公のモデルになったときに、ここでもそのドラマの撮影が行われました。霊光院には本尊利運地蔵尊(伝弘法大師作)をはじめ、達磨大師と夢窓国師とを左右に配置し、足利歴代の将軍像(5代と14代の像は除く)が、徳川家康の像と一緒に安置されています。観光タクシーのベテランドライバーがおすすめする場所で、建造物や御庭が見どころ。親切なお寺のスタッフが迎えてくださいます。

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 私の一番のおすすめは、この写真のエリア。夢窓国師作として伝えられているこのお庭で、方丈の北庭の東にある心字池が見事です。草書体の心の字をかたどって作られた池庭で、かつては中央の中ノ島には妙音閣という立派な建物があったそうです。庭園内には足利義政好みの茶室「清漣亭」や尊氏の墓所もあり見どころ多いお寺でもありますね。京都市内の住宅街の中ですが、静寂感と涼を感じることができます。また境内で抹茶の接待(有料)も受けられ好評です。 私は、京都府文化観光大使でもあり、京都検定2級も合格しておりますので、美食観光だけでなく通常の京都観光も得意なのです!

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 お寺で京都のすばらしさを堪能いただいたあと、次の目的地まで少し時間がかかるので「おやつの時間」とまいりましょう! 新丸太町常盤の踏切近くにある「粉ものや巌(いわお)」さんは、大阪から京都に来られたご夫婦が開かれたお店です。その後、東京で飲食業をされていた息子さんが合流して手伝うことになりました。たこ焼きや、お好み焼き、焼きそばなど大阪生まれの「粉もの」が豊富です。月に2日は、フードメニューも充実した「立ち飲み巌」という居酒屋さんになったりして、地元で人気になっています。

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 たこ焼きもおいしいのですが、今回は「真夏グルメ」がテーマなので、ここでもこの季節ぴったりのお菓子を紹介しましょう。

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 それはこの「たい焼き」なのです(^^
店主からの「たい焼き」の詳細、まずはご覧ください♪


 生地は卵を使わず、薄皮でサクサクに仕上げております。冷めても固くならず、程よい柔らかさで召し上がっていただけるよう、独自に粉をブレンドしています。
 「小豆」は北海道産を使用。さっぱりの後味と、風味を残すため、糖度と塩分のバランスを綿密に打ち合わせ、関西の製餡所にオリジナル餡をつくっていただいております。たっぷり入ったあずきでも、もたれず食べやすい仕上がりになっております。

 「カスタードクリーム」は、夏頃から試作を始め、ようやく出来上がりました。毎朝仕込む手作りで、量に限りがあります。週末の夕方には完売する事も多いです。豆乳と卵で作ったカスタードクリームで、豆乳臭さ、卵臭さをしっかりと消し、旨味とコクをしっかりと引き出しています。濃厚ではありますが、糖度も一般的なカスタードクリームよりも低めに作っていますので、後口はさっぱりとなります。香り付けはダークラムを少量使っていまして、ほんのり後口と共に香りも楽しめるようになっております。
 温かいたい焼きは、気温にもよりますが、5月中頃までの販売となり、冷やしたい焼きに切り替わります。


 熱い「たい焼き」は、本来夏のグルメとは言い難いのですが、5月の中頃以降は、「冷やしたい焼き」と書かれています。なんと、夏場は冷たいたい焼きに変わるのです!

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 北海道襟裳産の小豆を使用した冷やしたい焼きは、完成までに5年もかかったそうです。糖度と塩分のバランスがポイント。クレープのような生地と餡とともに入っているホイップクリームのなめらかなバランスがみそ。カリカリというよりしっとりひんやり。小豆、カスタードクリーム、チョコクリームの3種があります。冷たいたい焼き、形こそ鯛ですが西洋感もあるグルメでした♪

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 一般的に、通常のたい焼きは暑い季節になると「売れ行きが伸び悩みます」と店主。そこで考えた結果できたお菓子がこれ。いまでは土日限定の「塩レモン」「フルーツ」のたい焼きもあります。開発した息子さんの想像力にはこれからも期待できますね。

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 車を一旦東へ向けて双ヶ岡の信号を北へ、国道162号線、通称周山街道を北上します。紅葉の名所高雄を目指すことになります。川床で有名なのは貴船ですが、実はこのエリアにも涼をとれるスポットがあります。その一軒が「瓦そば 松右衛門」です。

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 少々わかりにくいのですが、神護寺に車で向かうときに街道から折れる交差点を超えて、高山寺の赤い橋の手前。5台程度停められる駐車場もあり、入り口は少し入ったところにあります。

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 階段を下りていくと隠れ家のような一軒家がみえてきます。

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 岸壁に張り出したお座敷。屋根があるので雨天でもぬれずに川のせせらぎを楽しめます。京都市内からだと5は基本が低いのではと感じます。澄んだ自然の空気はやっぱりおいしい。これこそ避暑地のご馳走だと思います。

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 写真のような高台になっているうえ、山沿いで日照時間も限られているので涼しいのでしょう。

 「瓦そば 松右衛門」は、熊本城発祥のグルメで、後に山口県の温泉旅館で茶そばをもちいて供されるようになったのが始まりと聞きます。ここの店主は山口県下関市とご縁があり、郷土の味を知ってもらおうとお店をはじめられたそうです。私の著書「もっと食べたい京都」PHP研究所)でも紹介させていただきました。

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 熱々の「屋根瓦」に盛って提供されます。なぜ瓦をつかう料理なのかというと・・・西南戦争のとき、熊本城を取り囲んでいた薩摩軍の兵士が、瓦の上で野草や肉をやいて食べたのがはじまりとされています。「かわらけ投げ」の神護寺と、日本ではじめて茶が作られた高山寺のちょうど中間の場所にあるということも開店の決め手だったそうです。そういう流れでお店ができるのも興味深いことですね。

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こちらは別の日にいったときの「大盛り」仕様。 ド迫力です! 熱々の瓦に乗せ、じゅっと焼く。鉄板ナポリタンのようですね。野菜や牛肉など具材もたっぷり、錦糸卵や葱、海苔、薬味のおろし大根が添えられます。檸檬スライスがアクセントになって爽やか。 まずはそのまま。つけ汁は濃いので、好みのよって少しだけつけてもいいでしょう。添えられたポットに温かいつけ汁がたくさんはいっています。

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 ちなみに、親切に食べ方が書かれています。ぜひこのやり方で最初はお試しくださいね。

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 以前伺った時には、サービスで杏仁豆腐がでてきました。これも絶品です(^^

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 瓦そばだけでなく、デザートも充実していて、自家製ぜんざい、かき氷、アイスコーヒーもあるので甘味処としても利用できます。貴船はピーク時には大混雑しますが、こちらは紅葉の季節を比較的混雑することもなく、ある意味隠れ家でもあります。

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 おいしい空気に、おいしい料理、素敵な風景が五感を刺激します。食後の珈琲をいただきながらゆっくり風景を眺めていると、ちょうど時間になりました。また紅葉の季節にも伺いたいものですね。

本日の京都グルメタクシー「もうひとつの真夏のグルメ」特集いかがでしたでしょうか。四季折々の京都の景色を楽しむグルメを、皆さんもぜひお楽しみくださいね!それでは!

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■粉ものや 巌

京都府京都市右京区常盤馬塚町12 エスポワールT 1F
075-406-5255
10:00~18:30、昼の定食 11:00〜15:00
定休日月曜日、第3火曜日

■瓦そば松右衛門 (カワラソバショウウエモン)

京都府京都市右京区梅ヶ畑殿畑町35
075-863-1177
11:00~15:00(L.O.14:30)
定休日木曜日

岩間孝志いわまたかし

1968年・東京生まれ 70年・京都市伏見区に移住 91年・辻調理フランス校へ留学 現地レストラン研修後帰国、京都ホテルグループで勤務。その後タクシー会社勤務、途中バックデザイナーを経てタクシー業界に復帰、2010年・法人タクシーで「京都グルメタクシー」を旗揚げ、2015年・個人タクシーとして独立。著書に「おいしい京都」「もっとたべたい京都」PHP研究所)があり、現在は京都府文化観光大使としてテレビ、ラジオ、雑誌等で活躍している。

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