BLOG京の会長&社長めし2021.05.20

株式会社京都鳩居堂の社長が通う店「ルシュルシュル」

京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介する【京の会長&社長めし】。今回は株式会社京都鳩居堂 社長の熊谷直久さんが通う「ルシュルシュル」です。

■熊谷 直久(くまがい なおひさ)さん 

株式会社 京都鳩居堂 代表取締役社長
1663年創業 源頼朝の軍師 熊谷直実から数えて20代目も熊谷直心が薬種商を開いたのが「鳩居堂」のはじまり。江戸時代に薬種と同じ原料の薫香を商い、後に文房四宝、和紙製品を販売し現在に至ります。

1975年生 京都府出身
最後の晩餐は未定。

洗練の料理をセレクトが光るワインと。アットホームな雰囲気で楽しむ"日常の中の特別"

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御池通から丸太町通に挟まれた御所南は、富裕層も多く暮らす人気の文教エリア。その一角のビル1階に、熊谷さんお薦めの「ルシュルシュル」がある。

「カジュアルなイタリアンのお店です。私はイタリアンが好きなんですが、日本でおいしいイタリアンを食べたいと思っても、かしこまった店でないとなかなか食べられない。でも、ここは本場イタリアのバルのような雰囲気で、気軽に行けてゆったりおいしい料理が食べられます。一人でも男性同士でも行きやすいので、仕事が遅くなる時や仕事での会合へ行く前の軽い夕食や、仕事関係の人との食事の際によく利用しています」(熊谷さん)

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オーナーシェフの剱持彩子さん・ソムリエの土橋陽さん夫妻が切り盛りするこの店は、2011年8月に開業。洒落たエントランスの奥は、カウンターとソファ2つの、小さいながらもくつろげる空間になっている。前菜からメインまで良質の食材を使ったアラカルトとイタリアワインに定評があり、地元を中心に30~60代のワイン好きが集まる。

熊谷さんはここに10年程前から通っているという。
「私は土橋くんと同学年で、学校は違いますがお互いサッカー部だった関係で仲間の集まりで顔を合わせることがよくあったんです。ここも友人に『どばっちゃん(土橋さんのあだ名)が店をオープンしたし、皆で行こう』と誘われたのがきっかけでした」(熊谷さん)

「熊谷くんは共通の友人が多く、そのつながりで来てくれたのが最初です。朗らかな人で、彼がいてくれるとお店の雰囲気がとてもやわらかくなる。『これと合わせてみて』ってワインを無理やり持っていくんですが、彼は『ワインはわからへんわ』とか言いながらも楽しんでくれます」(土橋さん)

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「料理は食材選びに気を遣われているし、ワインもいいものを揃えておられる。料理とワイン双方の相性をすごく考えて提供されているので、ワイン好きの方を連れていくと皆さん喜ばれます」(熊谷さん)

地元北海道の高級イタリアンで腕を磨いた剱持さん。この10年、舌の肥えた地元客の要望に応えるかたちで食材やメニューも変えていったと話す。魚は市場で目利きの業者からその日のお薦めを仕入れるほか、北海道から直送のものも。また大原の野菜、淡路の椚座(くぬぎざ)牛、欧州から空輸するチーズや肉類など、吟味して選んだ食材を使用している。そして、それらに合わせて二人で話し合いながらメニューやワインを決めていくという。

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ほぼイタリア産というワインは5~6千円台が中心。デイリーなものからレアな高級ワインまで400種以上を揃え、ワインの輸入業者もお客として訪れるそうだ。

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「この料理に合うワインを持ってきてと、お任せされる方は多いです。同じメニューを同じレシピで作っても、素材が違うと合わせるワインも変わったりします。だからライブ感があってお客様とセッションしているような感じですね」

と、土橋さん。グラスワインも日替わりで用意され、ペアリングで楽しむことも可能だ。

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一人の時は前菜とパスタを頼むことが多いという熊谷さん。お薦めに挙げたのが、前菜の「伊プーリア産ブッラティーナとプロシュット」2640円。モッツァレラチーズと生クリームを包んだ南イタリアのチーズを使った人気の一品で、生ハムの塩味、バルサミコソースの芳醇さ、季節のフルーツの酸味など、淡白でクリーミーなチーズとの味のハーモニーをデザート感覚で楽しめる。ワインは溌溂とした印象の爽やかな白やフレッシュで軽めの赤を。

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熊谷さんが「ほかにない味で、パスタの中でも印象に残っている」と話すのが、北海道産のウニを贅沢に使ったリングイネ(3080円)。剱持さんが師匠のレシピをアレンジしたこの名物的メニューは、いいウニが入った時のみ登場する。アンチョビで香ばしさを加えたウニのソースを麺に絡め、更にたっぷりウニをのせて。ウニならではの濃厚で深みのあるおいしさを一皿で堪能できる。

「お客様から『これはウニよりウニやな』とよく言われます。ワインは熟成感のある赤や濃厚な白がいいと思います」と、土橋さん。

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ユニークな半円形のソファは常連客に好評で、「落ち着くし、和気あいあいとした雰囲気になりやすい」と、熊谷さんもお気に入りだ。

なお、今年10周年を迎えるのを機に、4月末に店内を改装する予定。席の配置は変えず、カウンターを低くしたりソファ席と床の段差を小さくしたりするという。※写真は改装前のもの

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トルコ語でキラキラした、明るいという意味の店名のように、楽しい雰囲気で食事をしてもらいたいとお二人。抜群のコンビネーションで訪れる人を迎える。
「お客様それぞれ求められるものも違う。お客様の空気や呼吸を大事にしてその方の楽しみ方に合わせたもてなしをしていきたいですね」(土橋さん)
「日常の中で、少しだけ特別感を楽しんでいただけたら。ありがたいことに、皆さん『これで明日も頑張れるわ』と言ってくださいます」(剱持さん)

居心地の良い空間、親しみやすく丁寧な接客とともにおいしい料理とワインを満喫し、明日の活力をもらう。そんなファンも多いのだろう。
「熊谷くんのように誰かを連れてきてくださる方もいらっしゃいますし、逆に、誰にも教えたくないと言ってくださる方もいらっしゃる。それもうれしいお言葉ですね」(土橋さん)

予算は1万円~1万5千円。

撮影 エディ・オオムラ  文 山本真由美

■ルシュルシュル

京都市中京区麩屋町押小路上る尾張町225 第二ふや町ビル1F
075-252-2587
営業時間 18時~22時(LO21時) ※予約が望ましい
定休日 火曜
※営業時間は状況により変更の場合あり。お店にお問い合わせください。
http://lshlshl.com/