BLOG京都美酒知新2022.01.31

カクテルが飲みたくなる話「サイレントサード」

ウイスキーなどお酒には、歴史や醸造の苦労話などさまざまな物語があります。「京都美酒知新」では、カクテルとウイスキーにまつわるお話をご紹介していきます。 美しいカクテルをつくり、解説してくださるのは、全国にファンのいる名バーテンダー 「K6」の西田稔さんです。このお話を読むと、カクテルが飲みたくなるに違いありません。

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■西田稔(にしだみのる) 

京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。
2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。
京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員

サイレントサード
カクテル言葉「人知れぬ恋」

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1930年代前半に誕生したこのカクテル。
以前、このコーナーでもご紹介した「サイドカー」のスコッチ・ウイスキー版です。
英国とカナダでコアントローの独占販売権をもっていた英国の実業家、ガース・グレデニングが、1930年代前半に考案したと伝わっています。
グレデニングが60年代前半に販売権を手放すまで、このカクテルのPRを通してコアントローの販売促進を行ったそうです。

「サイレントサード」というカクテル名は、グレデニングの愛車Railtonのサードギア(トップギア)が、とても静かでスムーズだったことに由来します。彼は自分の車を自慢するとともに、「サイレントサード」がいかにスムースで口当たりのいいカクテルかを伝えたかったのでしょうか。
「物言わぬ第三者」、「静かなる三番手」とも呼ばれるようです。

ベースをスコッチではなくほかのウイスキーにすると、「ウイスキーサード」というカクテルになることからもわかるように、スコッチ・ウイスキーでつくることが大切な一杯です。

ジョニーウォーカー・ブルーをベースにすると、よりバランスよく印象的な味わいに仕上がります。
カクテル言葉は「人知れぬ恋」。なんだかドキドキしますね。

カクテルレシピ

ジョニーウォーカー・ブルー 40ml
コアントロー 15ml
レモンジュース 15ml

2月のウイスキー

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ジョニーウォーカー・ブルーラベル(干支ラベル)
ジョニーウォーカー究極のブレンデッドです。熟成年数は明記されていませんが、ジョニーウォーカー秘蔵の貯蔵樽、なかでも15年~60年熟成させたものからとり出された貴重な精選原酒がブレンドされています。創業2代目のアレクサンダー・ウォーカーが製造していた19世紀当時の至高の風味を再現しようと開発されました。
親会社がギネス社になった直後の1980年代後半に、最古年物(Jhon Walker's Oldest)の銘柄で販売され、1992年にブルーラベルになりました。ブルーは、元々は英国王室御用達となった1934年に製造された、ジョージ5世記念版(John Walker & Sons King George V Scotch Whisky)に用いられた名誉ある色であり、その栄光を復刻したものです。

ブルーラベルはウイスキーフロートで
琥珀色からはじまるグラデーションが美しいフロートスタイルは、最初にストレートでブルーラベルのやや強めの口当たりを愉しみ、氷が溶けていくにつれ、トワイスアップ、ソーダ割を堪能できます。飲み進むうちにバランスの良さを感じるこの飲み方は、ブルーラベルへの愛を極めた飲み方といえるでしょう。
ロックやストレートは苦手だったという方も、この飲み方にするとそれぞれの美味しさを感じていただけます。

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■Bar K6

京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F
075-255-5009

撮影:ハリー中西