BLOG京都美酒知新2020.12.29

カクテルが飲みたくなる話「マンハッタン」

ウイスキーなどお酒には、歴史や醸造の苦労話などさまざまな物語があります。 「京都美酒知新」では、カクテルとウイスキーにまつわるお話をご紹介していきます。 美しいカクテルをつくり、解説してくださるのは、全国にファンのいる名バーテンダー 「K6」の西田稔さんです。このお話を読むと、カクテルが飲みたくなるに違いありません。

P9280046.jpg

■西田稔(にしだみのる) 

京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。
2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。
京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員

マンハッタン
カクテル言葉「せつない恋心」

_DSC2096.jpg

みなさんもご存知のようにマンハッタンは、ニューヨーク州ニューヨーク市にある5つの行政区のひとつ。ニューヨーク市の中心街でもあるマンハッタンは、都会の代名詞ともいえる場所です。
ところが、この場所は、かつては先住民族のレナペ族の持ち物だったそうです。1926年、オランダの西インド商会が、酒を飲んだことがないレナペ族の酋長にビールを飲ませて酔わせ、土地譲渡書にサインをさせ、たった24ドルで買い取りました。
酔いのさめた酋長が、「マンハッタン(酔っ払い)状態でサインさせた契約は無効だ」と主張しましたが、すべては後の祭り。
マンハッタン区の名前は、このレナペ族の言語「泥酔」が由来だったのですね。

カクテルの「マンハッタン」は、「カクテルの女王」と呼ばれる、クラシックのなかでもひときわ名高いカクテル。ウイスキーをベースにベルモットとビターズを合わせます。バーテンダーによって使うウイスキーはさまざまですが、私はライとトウモロコシをブレンドしたカナディアンウイスキーを用います。つまり、同じレシピであっても、どんなウイスキーを使うかで味わいが変わるということ。バーテンダーの匙加減が肝心だということでしょうか。

京都でも、今年は大人数での忘年会や新年会は難しいですが、家族や親戚とプライべートで食事をする機会は増えるかもしれません。くれぐれもマンハッタンにはならないよう、お気をつけくださいね。

カクテルレシピ

カナディアンウイスキー 45ml
スイートベルモット 15ml
アンゴスチュラビター 1dash

12月のウイスキー

_DSC2005.jpg

カナディアンクラブ 20

世界中のウイスキーラバーに「C.C.」の愛称で親しまれるカナディアンクラブは、カナディアンウイスキーの先駆者といえる存在。上品ですっきりとした味わいが魅力です。
カナディアンウイスキーは、ライ麦を主に使ったウイスキーと、トウモロコシから作ったウイスキーをブレンドしたもの。ウイスキーとバーボンの良さを合わせもつ味わいは、マンハッタンに最適です。
「カナディアンクラブ 20年」は、濃い琥珀色。キャンディ、レーズン、スモモ、リンゴの花のような芳醇で極めて強い香り。スムースでクリーミーテイストを極めたピュアな風味。ナッツとスパイスをミックスしたような感覚が特徴です。
ロックもいいですが、寒い時季にはストレートで、その芳醇な味わいをじっくりと愉しんでください。

カナディアンクラブ
蒸溜所のあるカナダ・オンタリオ州ウィンザーは、清冽で豊かな水脈と自然に恵まれ、穀倉地帯にも近く、ウイスキーづくりに最適な環境にあります。
カナディアンクラブの誕生は1858年。たちまちにしてアメリカ東部を中心にした紳士が集まるクラブで、洗練された品格あるウイスキーとして人気を獲得しました。当時、アメリカでよく飲まれたライウイスキーやバーボン、さらにはスコッチ、アイリッシュにもない爽快なタッチ、新しい感覚のテイストだったからです。
この人気は、現在につづくカナディアンウイスキー全体の香味特性を決定づけるほどの多大な影響を与えました。

(サントリーHPより)

撮影:ハリー中西

P9280053.jpg

■Bar K6

京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F
075-255-5009