BLOG料理人がオフに通う店2018.12.05

「和久傳」―「祇園さゝ木」佐々木浩さんが通う店

「祇園 さゝ木」 佐々木浩さん

プロフィール
京都、滋賀の有名料理店で腕を磨き、1998年独立して「祇園さゝ木」を開店。カウンター前で客に魅せる勢いとサプライズ溢れる佐々木さんの料理は、いつしか「さゝ木劇場」と呼ばれる。客一人ひとりに心を寄せる親身な接客にはファンが多い。2009年以降、連続してミシュラン二つ星を獲得している。

佐々木さんおすすめコメント

「和久傳」さんには、「高台寺和久傳」、「室町和久傳」、京都駅にある「京都和久傳」と、3軒とも伺ったことがあり、特に「室町和久傳」さんによく行かせてもらっています。

20184月に料理長になられた松本進也さんとは、「高台寺和久傳」時代からの??......と思っていましたが、娘がまだ小さかった頃「京都和久傳」で京都タワーを眺めながら家族団らんしていた姿を憶えていただいているそうで、実はずいぶん長いお付き合いだったんです。

近頃、「和久傳」出身の料理人が和食界を席巻していますが、どの方も料理はもちろん、サービスやホスピタリティー、店のしつらえなどに対する考え方が素敵で、とにかくみなさん、美意識が洗練されていると思います。料亭できっちり修業された強みであり、料理人としての矜持をしっかりと養ってこられた証しです。「和久傳」さんに伺うと、いつも感じるところがあって、勉強させていただいています。

室町和久傳

02.png

カウンター中心で、手ごろな値段で料亭の味を楽しめる。そのスタイルが愛され続ける「室町和久傳」の料理長・松本進也さんは「高台寺和久傳」でも6年間料理長を務めた、生粋の和久傳料理人。

「佐々木さんとは高台寺のお座敷で何度かお目にかかりましたが、いつも控えめに下座にいらっしゃり、とても礼儀正しく私にもしっかりと頭を下げてくださった姿が印象的です」

そう座敷での思い出を語る松本さんは、カウンター仕事へのあこがれも強かったそう。「リアルタイムでお客様と向き合うカウンターは舞台のよう。料理人の想いを直接お伝えできて、お客様のテンションを上げることができる。そのエンタテインメント性が魅力です」。

佐々木さんが絶賛する和久傳出身の料理人達の魅力は、松本さんの言葉にも表れているように、料理だけに傾倒しない、サービスへの意識の高さにもある。そして料理は「繊細でありながら野趣」であること。食材のポテンシャルを最大限に活かすため、手先だけに頼ることなく研究を重ねる姿勢が脈々と受け継がれている。

昼は7000円、1万円の2コース、夜は15000円、2万円コースに、おまかせ25千円で、高台寺の和久傳に比べるとかなりリーズナブル。肩の荷を下ろしてカジュアルに、料理人と向かい合いながら「和久傳」の味とサービスを体感できるのは「室町和久傳」ならではだ。

03.jpg

鱧と松茸の成相(なりあい)焼き

香り豊かな松茸をたっぷりと裂き、脂ののった鱧でぐるりとくるむ。そして炭火で30分、じっくりと焼き上げると、松茸に鱧の旨味が染みこみ得もいわれぬ味わいがあふれ出す。醤油で炊いた梅干しとタレでいただくもよし、塩が振られているので何もつけずにそのまま素材の味を堪能するもよし。秋(9~11月半ば)の定番で、夜の2万円以上のコースに含まれる。

04.jpg

3年前にコの字のカウンターに改装。店内奥と手前にある2カ所の庭が臨みやすいと好評。どの位置からもカウンター内を見渡すことができ、4人の料理人による和久傳劇場を楽しめる。おくどを改装した天井の高い8人までのカウンター個室や、テーブル個室もあり。

文 竹中式子

■ 「室町和久傳」

京都市中京区堺町通り御池下ル東側
075-223-3200
営業時間/11時30分~15時(最終入店13時30分)、17時30分~22時(最終入店20時)
定休日/火曜、12月27日〜30日
※12月31日〜1月3日は特別献立にて営業