BLOG料理人がオフに通う店2018.11.01

「スペイン料理aca」―「祇園 さゝ木」佐々木浩さんが通う店

「祇園 さゝ木」 佐々木浩さん

プロフィール

京都、滋賀の有名料理店で腕を磨き、1998年独立して「祇園さゝ木」を開店。カウンター前で客に魅せる勢いとサプライズ溢れる佐々木さんの料理は、いつしか「さゝ木劇場」と呼ばれる。客一人ひとりに心を寄せる親身な接客にはファンが多い。2009年以降、連続してミシュラン二つ星を獲得している。

おすすめコメント

僕が行きたいと思う店は、腰を据えたとき店の雰囲気や室礼などが気持ちよく、ほっと落ち着ける店。なかでも、客も含めて店全体が楽しそうで活気のある店には心惹かれます。プライベートで食事の際に足を向けるのは、和食店や鮨店がほとんど。佇まいが京都らしく、料理と器、分量などのバランスがとれている店に行きたいと思います。

普段は和食店に通う僕が、どうしても行きたいと思って訪ね、感動したのがモダンスパニッシュの「aca(アカ)」さんです。ご主人の東さんは大変勉強熱心な方。開店当初はアラカルトで料理を出すお店でしたが、「流れのいいコースを出したい」と、うちにも何度も食事に来られました。同じ料理人として意見交換し、その真摯な姿勢に驚かされ、いつかはうかがいたいと思っていました。

考え抜かれたコースの構成や食材の扱い方、最上の旨味の引き出し方など、誠意をもって料理に向き合う姿勢に心をうたれました。魚料理や季節の食材を使ったパエリヤなど、どの料理も味が決まっていて量のバランスもいい。ぜひお薦めしたいお店です。

スペイン料理 aca

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佐々木さんおすすめの「aca 」は、「ラマーサ」出身の東鉄雄さんが、2013年に高倉三条に開いたスペイン料理の実力店。オープンから数年でミシュランガイドの星を獲得し、今や名店ひしめく京都の中でも特に予約が取りにくい一軒だ。炭火焼き料理を主体に「自分が食べたいと思うものを作っている」という東さん。京都の市場はもちろん築地からも仕入れる魚介、洛北・大原や岡山の生産者による野菜など、上質の食材にとことん向き合い、火入れの仕方など独自の工夫で持ち味を引き出した料理は、佐々木さんたち和食の料理人をも唸らせている。「真剣にスペイン料理を食べてもらいたい」と、メニューは9~10品からなるおまかせのみ。中でも蟹、鮑、鮎、雲丹など、その時々のおいしい魚介を使った絶品のパエリアは、具材に合わせてスープや調理法を変えて作られ、毎回楽しみに通うファンも多い。スペインワインは50種近くあり、グラスが7~8種揃うのもうれしい。

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シェフ東鉄雄さん

高級料亭や割烹などでも用いられる上質な季節の食材を使い、それらをシンプルに活かす"引き算"の料理を心がけているという東さん。炭火を使って焼く作業もすべて東さんが自ら行っている。

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ワタリガニのパエリア

コースのメイン、パエリアの一例より、野菜、帆立、イカなどを使った深みのある味わいに、濃厚な蟹のうま味が際立つ渡り蟹のパエリア。蟹のパエリアは時季により蟹の種類が変わり、11月はこっぺ蟹が登場。

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もろこを使った前菜

おまかせコースの一例より、琵琶湖産のモロコを使った前菜。炭火でふっくらと焼いたもろこと、煮詰めたシェリービネガーの甘酸っぱさ、マンチェゴチーズの組み合わせも絶妙な、ワインが進む一品。

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カウンターとテーブルの店内は16席あるが、「少数のお客さんに全力でいいものが出せるように」と、一日89名に限定。年内の予約はすでに埋まっており、来年1月以降の予約を111日からインターネットで受付予定。

京都文化博物館そばにある三条通沿いの小さなビルの2階。ここにはプロの料理人が来店することも多く、京都や大阪はもとより東京からも訪れ、東さんと料理談義に花が咲くこともしばしばとか。

■ スペイン料理 aca

京都市中京区桝屋町55 白鳥ビル2F
075-223-3002
水~土12時(入店)18時30分
※完全予約制
http://aca-kyoto.jp/