BLOG酒のふと道2018.11.01

我が愛する背徳の昼酒聖地3軒

By泡☆盛子

今回は、昼酒を楽しめる大好きな3軒をピックアップしました。

このために生きてる!と実感できる昼間の一杯

初めまして。沖縄出身・京都在住のフリーランスライター、泡☆盛子と申します。雑誌やWEBで主に酒食をテーマにした記事を書くのが生業で、公私ともに飲んで食べる暮らしを続けた結果、京都在住の20数年間で体重が48kgも増加。

このコラムでは、こんな私が京都の街で「もっと太ってもかまわないから食べたい! 行きたい!」と思う旨きもの・良きお店をご紹介させていただきます。

お見知り置きのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

今回は、昼酒を楽しめる大好きな3軒をピックアップしました。

昼酒の魅力を教えてくれたいぶし銀酒場。

京都で昼酒といえばまず名の挙がる『たつみ』は、河原町OPAの裏にある正午オープンの居酒屋。

15年ほど前に酒飲みの先輩に連れて来てもらって「京都にこんな渋いお店があったのか!」と感激し、そこから勇気を出して1人でも訪ねるようになりました。

壁一面を埋める魅惑の短冊メニュー、きびきびと働く店員さん、私と同様この空間が好きで通うお客さんのゴキゲンな顔。そして、明るいうちから飲めるという嬉しさとほんの少しの背徳感。とにかくすべてが、な〜んともイイ感じなんです。

入り口側に立ち飲みカウンターと着席カウンターがあり、奥がテーブル席と小上がりになっているのですが、最初はカウンターに居並ぶ常連さんがいかにも"鉄火場"な雰囲気で怖くって(ウブだったのね、アタイも)なかなか近寄れなかった。1人でも奥のテーブルばっかり。

ここ数年でやっとカウンターで立ち飲みができるようになったのが本当に嬉しくて、毎回心の中でニヤニヤしながら飲んでいます。

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いつも最初に頼むのが「おひたし」。

でぶって普段から脂っこいもの食べがちなので、酒場にこういうメニューがあるのはとてもありがたい。

しかもたつみのおひたしは季節ごとの野菜が数種類ミックスされているから「オクラが入ってる。夏やなぁ」、「そろそろ寒くなってきたし根菜入りになってる」などと季節感も感じられるのがいいんですよね〜。

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瓶ビールかハイリキでシュワッと喉を潤しつつ、壁やら冷蔵庫やらに貼り巡らされた短冊メニューを眺めて次の一手を考えるのはとてもシアワセな時間。焼き鳥ではなく天ぷらになったねぎま(辛子醤油で)、刻みが野菜たっぷり練り込まれたつくね、旬野菜の天ぷらあたりがお気に入り。

冬になると、「いいんすか!?」と聞きたくなるほどリーズナブルなてっさや、具だくさんの粕汁でひや酒をやるのがまたたまらんのです。ぐふふ。

1時間ほど過ごすと、我が体重を支える膝が「あの......そろそろ一旦休ませてほしいんですが......」と訴えてくるのでそれが移動の合図。

外へ出ると昼間の日差しに酔眼を覚まされ、「まだまだ飲める♪」と次は椅子のある店を目指すのがいつもの流れです。

小粋な"蕎麦前"が憎いほど旨い。

前出『たつみ』の1筋西にある『そば 酒 まつもと』はカウンター7席だけの蕎麦屋。

一見無愛想だけど実はそれほど怖くない(と思う)店主の松本宏之さんが1人で営んでいて、(でぶが大抵苦手とする)洒落た空間なのになんだか落ち着けるところが好きなんですよね。

通し営業の日曜以外は営業時間が昼夜に分かれているため、遅めの昼か早めの夕方に行くのが狙い目。

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手打ちの十割蕎麦はもちろん、松本さんが選んだ地酒が進みまくる酒肴がどれも美味しくて、行くたびに「今日はどんなんがあるかな」とワクワクさせられます。

例えばある日のラインナップは......。

開店以来の名物・わさびとのり長芋ポテサラ(ジャガイモではなく長芋を使っていて食感軽め)、蒸し鶏黒豆納豆だれ、秘伝豆おひたし、鴨出汁おでんなどと字面だけでもヨダレものの羅列。

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1人でもあれこれ食べたいタイプなので、「肴おまかせ3種」を頼むことが多いです。これだけでもだいぶお酒が捗ってしまうのが危険だけど。

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合間にドライなレモンサワーをはさんだりして、気づけば周りのお客さんが2周くらい入れ替わっているなんてことも。

そしてさらに気づけば蕎麦を食べずに帰るなんてことも......。

だってまだまだ飲みに行きたいんです。松本さん、堪忍ね!

朝から飲めるおかずケース食堂。

昼酒どころか、朝酒だってできてしまう夢のようなお店。

それが、七条七本松にある『村上食堂』。京都中央卸売市場の近くにあるため早朝から営業しているのです。

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こちらの目玉はなんといっても"おかずケース"を埋める手作りのお惣菜。

魚の煮付けや焼き魚、オムレツ、フライ各種、おひたしなどがずらりと並ぶ様子にコーフンを抑えきれません。

おっと、冷蔵ケースにはお刺身もありますよ。その下にある瓶ビールもセルフでね。

市場関係の人が多いからヘタなもん出されへん」とご主人がおっしゃる通り、魚の鮮度もボリュームも満点であります。

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ほっくりと身がはずれるカレイの煮物は絶対に食べて欲しい逸品。

自分ではなかなか作れない、やや甘めな味付けがたまりません。

中にたっぷりとミンチが入ったオムレツはビールにぴったり。ウスターソースをかけるのがまた合うんですわ。

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締めには、マグロのお造りを軽くヅケ風にして、サービスのお新香と一緒にご飯にのせれば簡易ヅケ丼もできちゃいます。

11時頃からおかずケースの品揃えがピークを迎えるので、そのちょっと前に席をとって早めの昼酒を楽しみ、まっとうな世間様がランチをとりにくるころにはおいとまするのが理想的。

街中からは離れているけれど、目指してくるだけの価値は多いにあります。

昼酒を始める頃は、殊勝にも「今日は夜は飲まずに早く寝よ! 健康的や〜」と思ったりもするのですが、気づけば日が暮れてそのまま普通に夜ごはんというか夜の酒へとつながっていたりするのですよね......。
ほんで帰りは泥酔してコンビニで爆買いしたりするんですよね......。

でもやめられない。やめる気もない。昼酒ラブ! 

(今日も朝のうちにこの原稿を書いたので......ムフフ)

泡☆盛子あわ☆もりこ

沖縄出身・京都在住のフリーランスライター。 雑誌やWEBで主に酒食をテーマにした取材・執筆を行なう。京都の食が体に合いすぎて在住20数年間で48kg増加(中)。膝をかばいつつの立ち飲み、野外飲みが趣味。 気負わずに楽しめる京都の美味しいもの・お店をご案内します。