京都在住の美人&イケメンにお気に入りのスイーツ、デザートを教えていただく企画。今回は、狂言師としてだけでなく、映画やドラマでも活躍する茂山逸平さんに『粟餅所 澤屋』の「粟餅」についてお話しいただきました。
推薦人:茂山逸平さん(大蔵流 狂言師)
しげやまいっぺい[狂言師]1979年生 まれ。二世茂山七五三氏の次男。3歳で狂言を始め次世代を担う若手狂師の一人として「狂言小劇場」など精力的に活動。古典の舞台はもちろん、映画やテレビドラマなど現代劇でも活躍。著書に『茂山逸平 風姿和伝』 (春陽堂書店刊)がある。
何度食べても食べ飽きない美味しさ
「北野天満宮さんで舞台があるときには、必ずといっていいほど、澤屋さんの粟餅を買い、休憩時間などにいただきます」と話す茂山逸平さん。
『粟餅処 澤屋』は、茂山家代々が贔屓にしてきた店で、ものごころついた頃から、ここの粟餅が好きだったと言います。
体力も知力も使う狂言の舞台はや稽古の合間には、甘いものをちょっと味わうと心身ともに癒されるのだそうです。
創業天和2年(1682)の老舗『粟餅所 澤屋』。祖先は楠正行公の臣下でその首塚守護の命を得て、嵯峨野に移り住みました。その後、子孫が「粟餅」をつくり、北野天満宮の境内で販売したのが、はじまりだといいます。
名物の「粟餅」は、充分蒸した粟を店内の臼で搗いた餅に、あんときな粉をまぶした素朴な和菓子。土台の粟餅は、つくり置きせず、一日に何度も搗くのだそうです。粟のぷちぷちした食感が残るしっとりやわらなかな粟餅に、甘さを抑えた上品なこしあんと香ばしいきな粉がよくあいます。※持ち帰り用は5個650円~
人気の「紅梅」(500円)は餡2個、きなこ1個が盛られ、見た目はボリュームがありますが、するっと平らげてしまえる美味しさ。甘いものはあまり食べないという人も、「ここの粟餅だけは別」という人が多いのがわかります。
注文が入ってから手作りする粟餅は、今年97歳という12代目の与八郎さん、13代目の哲良さんと14代目の淳平さんの3人が作業分担して作ります。手でもった加減だけで粟餅の分量を量り、丸めて餡をつける、きなこをまぶすとその作業はよどむことがない一子相伝の熟達の技。親子3代の連携作業で注文からわずかの時間で仕上げます。
「店では食べず持ち帰ってじっくり味わう」という茂山逸平さんのお気に入りは、きなこ。
たっぷりとかけられたきなこの香ばしさが際立ちます。「ここの粟餅を食べるとほっとする」と逸平さん。
「茂山さんにはご贔屓にしていただいています。確かに、逸平さんはいつもきなこですね」と哲良さん。永らく家業を継ぐ家同士のつきあいは、これからも続いていくのだろう。
撮影:ハリー中西

■栗餅所 澤屋
京都市上京区紙屋川町838−7
075-461-4517
9時〜17時 売切れ次第終了
休 木、毎月26日