BLOG美人&イケメンスイーツ2019.11.14

『茶菓円山』の「福蜜豆」

京都在住の美人&イケメンにお気に入りのスイーツ、デザートを教えていただく企画。今回は、かづら清老舗若女将霜降真代さんに『茶菓円山』の「福蜜豆」についてお話しいただきました。

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推薦人:かづら清老舗 若女将 霜降真代さん

客室乗務員として勤務し、結婚を機に夫の家業である「かづら清老舗」に入り、現在はコスメや簪など和装品の商品開発や接客などを担当。一児の母でもあり、主婦、母、若女将として多忙な日々を過ごしている。そんな毎日の中で、毎日のおやつタイムが何よりの癒しのひと時になっている。

 円山公園の奥に佇む一軒の日本家屋。室内に入ると、数奇屋造りの端正な空間には、床の間に軸が掛けられ、季節の花が活けられ、茶の湯の趣向が隅々まで息づいています。
「茶菓円山」は、茶室のような空間で、出来立ての季節のお菓子とお茶をゆっくりと楽しめる場所。霜降さんも忙しい日々の中、時折、訪れて、心身をリラックスさせているそうです。

「最初は、義母(かづら清老舗女将 ふ紀子さん)に連れてきてもらったんです。母も忙しい毎日の中で、時々、ここにきてお茶とお菓子を楽しんで、リラックスしているようですね。私自身も、この凛とした空間で過ごす優雅なひとときに、ふわりと心ほぐれて、リフレッシュできるんです。たまに友人と一緒に来させていただいていますが、皆さん、この京都らしい雅やかな雰囲気を本当に喜んでくださいます」

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漆のカウンター、網代天井、聚楽の壁など茶室のような空間には、清々しい空気が流れている。

 おもてなしをしてくれるのは江見智彦さん。お菓子を作り、丁寧にお茶を淹れて、お客さん一人ひとりの心地よさを大切にしてくれます。
「それぞれのお客様との距離感を大切にしながら、その方が一番心地よいと感じる楽しみ方をしていただければといつも考えています」
 一人で静かにお茶を楽しみたい人、会話を楽しみたい人、それぞれの楽しみ方にできるだけ寄りそうもてなしを心がけているそうです。

 お菓子は定番と季節のお菓子を合わせて10種類ほどが揃います。お茶はお菓子に合い、互いによく引き立て合うものを厳選。抹茶、煎茶、玄米茶、ほうじ茶の他、コーヒー、紅茶、ワイン等もありますが、日本茶の場合は棚にずらりと並ぶ作家ものの急須からお客が好みの急須を選びます。急須を選ぶことができるのは珍しいので、それをきっかけに器や作家さんの話に会話が弾むことも多いそうです。

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15〜6種類の急須がずらり。全国各地の作家の作品がセレクトされている。お客が好みの急須を選ぶことができる。

 霜降さんのお気に入りの福蜜豆は、見た目も愛らしく、美しい一品です。
紫花豆、白花豆、紅絞り豆、青えんどう豆の4種の豆を、それぞれ、異なる炊き方でふっくらと炊き上げ、白玉を加えて、白蜜、黒蜜と共にいただきます。
「最初は、何もかけずに、お豆さんの甘みを楽しんでください。その後、白蜜をかけると豆の味わいが引き立ち、黒蜜をかけると味の変化をお楽しみ頂けます」と江見さん。

 真代さんは、今日は福蜜豆と玄米茶をセレクト。急須は常滑の大原光一さんのものを選びました。お湯呑みは京都の猪飼祐一さんのもの。手馴染みの良い暖かな風合いがよく似合います。
「本当にお豆の味がまろやかで甘みがあって、素材のおいしさを堪能できます。いつも半分以上はそのまま何もかけずに食べてしまいますね」と真代さん。

 福蜜豆は小サイズもあるので、お腹の具合に合わせて選べるのも嬉しい限り。茶菓色々という、季節のお菓子と甘味二品のセットも人気があります。

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見た目も美しい福蜜豆(1200円)はそれぞれに炊いた4種の豆がたっぷりと入っている。上品な炊き方で豆の甘み、旨味をしっかりと味わえる。

 定番の福蜜豆以外にも、季節限定のお菓子も楽しみだという真代さん。

「夏場は冷やし汁粉がお気に入り。秋から冬にかけては栗やお芋が美味しくなる季節なので、そちらも楽しみです」

 秋の始まりにぴったりのお菓子をもう一品ということで頂いたのは、秋から冬にかけていただける「奉書巻」というお菓子です。
 餅粉の生地をきつね色に焼いて、中に栗と栗餡をいれて、くるりと奉書のように巻いたもの。モチっとした生地と栗の自然な甘みが一つに重なり、奥深い味わいです。

 お菓子をじっくり味わっていると、「お茶をもう一煎いかがですか?」と江見さんが声をかけてくれました。こちらのお店では、頃合いを見計らって、二煎目、三煎目をすすめてくれるのです。
「こういうおもてなしは他ではなかなかないので、とても嬉しいですよね。お菓子を食べ終わった後も、二煎、三煎とゆっくり味わうのが、とても幸せです」

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モチっとした餅粉の生地で栗と栗餡を巻いた奉書巻1000円。彩りに添えられた松葉からは品の良い趣も感じさせてくれる。

「空間、しつらい、器、お菓子、そして江見さんの立ち居振る舞いも素敵で、トータルで楽しませていただいています。価値ある時間といったらいいのでしょうか。ここで過ごす時間は、日頃頑張っている自分をちょっと褒めてあげる、ご褒美の時間にもなっています。ちょっと疲れていても、美味しいお菓子とお茶をいただいて元気が出てきて、また頑張ろうという気分を盛り上げてもらえるんです。他にも「だし巻き御膳」や「煮麺」など、ちょっとした食事メニューも揃っているので、今度、お昼ご飯を楽しみに来たいですね」と霜降さん。

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 八坂神社、円山公園、知恩院など界隈の散策の後に立ち寄って、お昼どきやお茶の時間をちょっと贅沢に過ごしてみてはいかがでしょう。

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端正な佇まいの数奇屋建築。円山公園内のとっておきの隠れ家にしたくなる。

撮影/津久井珠美 取材・文/郡 麻江

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■茶菓円山

京都市東山区円山町620−1−2(円山公園内)
075−551-3707
11:00~19:00(LO18:30)
定休日/火曜
※価格は全て税別。