BLOG美人&イケメンスイーツ2019.08.20

『前田珈琲』の「チョコぼうろ」

京都在住の美人&イケメンにお気に入りのスイーツ、デザートを教えていただく企画。今回は、英語で京都の情報を紹介するフリーペーパーの企画、制作、出版を手がけているEnjoy Kyoto代表の徳毛伸矢さんに『前田珈琲』の「チョコぼうろ」についてお話しいただきました。

推薦人:Enjoy Kyoto代表 徳毛伸矢さん

京都を訪れる人に向けて英語で京都の情報を紹介するフリーペーパーの企画、制作、出版を手がけているEnjoy Kyoto代表の徳毛伸矢さん。Enjoy Kyotoは、京都を深く探り、知るためのクオリティの高いコンテンツで、国内外から高い評価を得ている。

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 蛸薬師通烏丸西入る。風情ある町屋の外観に真っ白な暖簾。京都の老舗喫茶「前田珈琲室町本店」は、朝早くから夜7時の閉店まで常連さんや観光客で賑わっています。

 創業は1971年。現会長の前田隆弘さんはイノダコーヒーで長年、修業をしたのち、独立しました。
 豊富なメニューが揃うモーニング、お昼時には名物のナポリタンなど、ボリューム満点のランチを、またコーヒーのお供に多彩なオリジナルのスイーツも揃えて、様々な年代のお客さんが愛用しています。

 「室町本店」は、元呉服屋だった古い建物を、1981年に前田珈琲の本店としてリノベートして開店しました。100席もある大型の喫茶店ですが、店内はくつろいだ雰囲気に満ちて、お客さんは好みの席でゆったりとコーヒーを楽しんでいます。
 店内入り口近くには、ドイツ・プロバット社の大きいな直火式焙煎機がどんと置かれ、毎日、前田会長が全ての店舗や販売用の豆を焙煎しています。焙煎中は焙煎室から芳香が漂い、その香りごとコーヒータイムを楽しめます。

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香り高くコクがあるアイスコーヒー 463円(税抜き)。夏のコーヒータイムに欠かせない味わいだ。冬場でも暖かな部屋でアイスコーヒーを注文する常連さんも少なくないという。

 徳毛さんは、忙しい仕事の合間を縫って、この店でコーヒータイムを楽しむことが多いといいます。
「一人で来ることが多いのですが、いつ来てもお店の方がいつもにこやかに声をかけてくれるのでほっとします。ホールのスタッフも皆、きびきびとして、とても気持ちがいいですね」

ホールのサービスの中心的存在は「おかあさん」と親しまれている前田会長夫人の恵美子さんです。創業時から48年、ずっと休むことなく、店に立ち続け、接客を続けてきました。

「ミルクはダブルで、シロップはなしでなど、常連さんのお好みは、だいたい頭に入っています(笑)」と恵美子さん。
「僕はアイスコーヒーか、ミックスジュースを頼むことが多いですが、モーニング、ランチ、午後のコーヒータイムとメニューが充実しているので、いつどんなシチュエーションでも使い勝手がよくて、打ち合わせなどでお客様をお連れしても安心感があります」

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"おかあさん"のこの笑顔に癒されたくて、毎日、多くの常連さんがこの店を訪れる。初めて訪れた人も、恵美子さんの和やかなもてなしですぐにリラックスできる。

 店頭のショーケースに並ぶ色とりどりのスイーツも人気。パティスリー部門で毎日手作りしている生ケーキは、ショートケーキやプリンアラモードなど、懐かしい味もあれば、求肥を使った新しい京都の味を提案するなど、スイーツ好きにも定評があります。

「僕は、イートインよりも、おもたせ用にお菓子を購入することが多いのですが、特にお気に入りは[チョコぼうろ]ですね。これは本当に他にはない味わいなんです。周りはカリッと香ばしくて、食べるうちにコーヒーのコクと苦味が広がって、また一つ、もう一つと欲しくなるんです。コーヒーにもぴったりで、ギフトにすると本当に喜ばれます。他にもお仏事や仕事のご挨拶など、進物選びのアドバイスも店頭で丁寧にしてくれるので、毎回助かっています。[チョコぼうろ]は、一箱買えばイートインもできるそうなので、今度試してみたいですね」

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チョコぼうろ(カフェオレ風味) 800円(税抜き)。カリっ、サクっとした食感であとからコーヒーのほろ苦さが広がる。

 コーヒーは、厳選した豆を前田会長の熟練の技で香ばしく焙煎。気候によって温度管理や火入れを微妙に変えるそうで、まさにコーヒーの匠の技といえます。ブレンドコーヒーならしっかりとコクのある「スペシャルブレンド龍之助 <RYUNOSUKE>」と、繊細な香りを楽しむ「プレミアムブレンド冨久 <FUKU>」。ストレートのスペシャルティコーヒーなら、「スペシャルティ モカ イルガチェフェ珈琲弁慶 <BENKEI>」と「完熟ブラジル珈琲豆牛若丸 <USHIWAKAMARU>」が定番。お好みを選んで、好きな席でコーヒーを心ゆくまで楽しめるのが、前田珈琲らしい楽しみ方と言えるでしょう。

「僕は入り口近くの席が好きなんです。知り合いが来たらすぐにわかりますし、何より落ち着くんです。たまたま知り合いが来たら、席の移動もスムーズにさせてくれますし、ある時、一人で行ったのですが、だんだんと知り合いが増えていつの間にか大きなテーブルを囲んでみんなでコーヒーを飲んでいるなんてこともあって...。つくづく人がたくさん集まる名店なんだなあと思いました」

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チョコぼうろとオリジナルコーヒーのギフト詰め合わせも人気。

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買い付け担当者と焙煎士である前田会長が綿密に相談しつつ、その時季に一番良い豆を選んで厳しいカッピング(味や香り、舌触りなどのテスト)のもとで生豆を入荷。前田会長がそれぞれベストな焙煎を行なって、前田珈琲のいつものあの味と香りを提供している。

 今は息子の剛さんが経営を引き継いで、昔ながらの古い良き喫茶店の魅力を守りつつ、新たな業態展開や新商品開発にチャレンジしています。現在、京都で9店舗、北京に1店舗を展開し、京都から世界に発信するコーヒー店として成長していますが、その原点は変わりません。「最高に美味しい一杯を、最高に心地よい空間で、最大限のおもてなしの気持ちをこめてお出しすること。これが前田珈琲の思いです」と恵美子さん。
 温故知新の心が息づく京の老舗喫茶店で、ゆっくりと一杯のコーヒーに癒されてみてはいかがでしょう。

撮影/竹中稔彦 取材・文/郡 麻江

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■前田珈琲 室町本店

京都市中京区蛸薬師通烏丸西入る橋弁慶町236
075-255-2588
7:00~19:00(LO18:30)
無休