BLOG料理人がオフに通う店2020.09.11

「Gori'sKitchen ゴリーズキッチン」-「PIZZERIA DA NAGHINO ピッ ツェリア ダ・ナギーノ」三條実永さんが通う店

「旨い店は料理人に聞け!」京都を代表する料理人がオフの日に通う店、心から薦めたいと思う店を紹介する【料理人がオフに通う店】。今回は「PIZZERIA DA NAGHINO ピッツェリア ダ・ナギーノ」の三條実永さんが通う 「Gori’s Kitchen ゴリーズ キッチン」をご紹介します。

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PIZZERIA DA NAGHINO ピッツェリア ダ・ナギーノ」のオーナーシェフ三條実永さん

東京生まれ。グラフィックデザイナーを目指し、研修のため、イタリアのデザイン会社で働くことになったが、不思議な縁でナポリのピッツェリアで働くことに。その時食べたピッツァの美味しさに衝撃を受け、そのままナポリのピッツェリアで修業を続行する。ナポリでは、ピッツァイォーロという生地づくりから全体を統括する職人と、フォルナイヨという焼きを専門とする職人とに、作業の役割分担がはっきりしているが、三條さんは、まず焼き方としてスタートし、最終的にはピッツァイォーロのサブを勤めるまでになった。帰国後は、東京の「ピッツェリアGG」などの名店で働き、さらにシンガポールで4店舗のピッツェリアを展開するなど、ピッツァの道を一筋に歩む。自分の店を持つにあたって、公家の出身である三條さんは父祖の地である京都での開業を決意。20188月、「PIZZERIA DA NAGHINO」をオープンさせた。

「店主の足立充憲(みつのり)さんとは、ナポリで修業中に出会ったんです。あの頃は、遠い将来の夢を漠然と語っていましたが、10年後、いろいろな経験を積んだあと、偶然、二人とも京都に店を出すことになり、ご縁を感じています。その後、互いの店を行き来するようになりました」(三條さん)

店主の足立さんは、大阪の「Ristorante e Pizzeria SANTA LUCIA」で4年半、修業して、その後、さらに腕を磨くために南イタリアに渡った。現地のトラットリアで働いている時、三條さんと出会い、親しくなったと言う。

 帰国後は、大阪の「asse(アッセ)」で5年働き、地元の京都に戻る。資金を稼ぐのと、他の世界もみておこうということで3年ほど不動産営業の仕事に就いたのち、2016年に自分の店をオープンさせた。

「イタリア料理には、トラットリアやピッツェリアなどさまざまな業態がありますが、僕自身はナポリピッツァを中心にしながらも"僕が食べたいもの"をしっかりメニューにあげていくような店にしたいと考えました」(足立さん)

 なるほどメニューには、ナポリピッツアの定番と季節のおすすめ約20種のほか、前菜、メイン、パスタ、デザートなど多彩な料理が並ぶ。

「気軽にきて、いろいろな料理を注文してもらって、ワイワイ賑やかに食事を楽しんでもらえるそんな店にしたかったんです。一人でも、家族連れでも、パーティーでも、軽い食事からがっつりディナーまで、どんな風にも利用できる使い勝手の良い店やと思います」(足立さん)

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温かくアットホームな雰囲気の店内。賑やかに人が集う場所。

「うちのピッツァはナポリ風のどっしりとした生地ではなく、もう少し軽くてモチモチ感を重視した生地にしています。前菜やメイン、パスタなど自慢の料理がたくさんあるので、ピッツァだけでお腹いっぱいということがないように工夫しています」

 特製のピザ窯で焼かれたピッツアは、確かにモチっとした食感で、それでいてカリッとクリスピーで軽やか。トッピング素材も一つ、ひとつ足立さんが厳選したもので、味わい深いだ。

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人気No.1の「ゴリーズピッツァ」1490円はマルゲリータにさらに工夫を重ねたもの。京丹波「ミルクファーム すぎやま」のジューシーなモッツアレラチーズを使用している。自家製のトマトソースはじっくり煮込んだ濃厚な味わいで、モッツアレラとのバランスが絶妙。※価格は全て税別。

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ピッツァは丹波篠山『Kuwa Monpe ( クワモンペ)』特製の窯で、高温でさっと焼き上げる。

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メイン料理の中の人気№1はこちら。亀岡産の「七谷鴨ロースのオーブン焼き」2490円。上質なロースの皮目をこんがり焼いて、オーブンで低温でじっくり焼き上げたもの。しっとりと柔らかく、肉の旨味がいっぱいに広がる。野趣と洗練が一つになった見事な一皿。

「店主のガタイの良さからは想像のつかない(笑)、繊細な味わいが本当に魅力です。ピッツァや料理はもちろん、ドルチェも全て手作りで素晴らしい味わいですよ」(三條さん)

 三條さん一押しのドルチェはティラミス。人気の瓶入りティラミスは、マスカルポーネ、玉子、生クリームのシンプルな素材を泡だてて、もったりとしたクリーミーな味わいに。エスプレッソコーヒーを染み込ませたサボイアルディのほろ苦さが味のアクセントになっている。

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キャラクターが描かれた瓶入りティラミス390円。プレーン、抹茶、ほうじ茶の3種類がある。お土産にもぴったり。

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他にもバスク風チーズケーキ、ガトーショコラ、季節のタルトなどが揃う。

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ワインはイタリア産が中心。ボトル2000円〜、グラスワイン400円〜というプライスも嬉しい。

 新型コロナの影響で、世の中が変化しつつあるが、足立さんも新たな展開に挑戦することを決めた。キッチンカーにピッツァ窯を積み込んで、いろいろな場所に出張するという新サービスだ。

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明るいブルーの車体のキッチンカー。足立さんはあちこちに出かけて、ゴリーズの味を伝えたいと笑顔を見せる。1万円以上の注文があればキッチンカーをオーダーできる。問い合わせは店まで。

「ご自宅の駐車場があれば、キッチンカー出前はOKです。メインや前菜はケータリングスタイルで運んで、お好きなピッツァをその場で焼いて、焼き立てを味わっていただけます。世の中が大きく動いていく今、僕も新しいことにチャレンジしないといけないなと...。幸い、リピーターのお客さんには今までと変わらず来店いただいていますが、これからはおうちでプロの味を楽しむニーズがより増してくると思いますし、そういう流れにもしっかり応えていきたいですね」

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「難しい時代だけれど、笑顔で乗り切っていきたい」という足立さん。明るく飾らない人柄がお客さんに愛されている。

撮影/竹中稔彦  取材・文/ 郡 麻江

■Gori's Kitchen ゴリーズ キッチン

京都市南区上鳥羽菅田町65番地1F
075-200-9304
平日11:30~ 14:00(13:45 LO)、18:00~23:30(23:00 LO)、
土・日・祝11:30~ 14:30(14:15 LO)、17:30~22:30(22:00 LO)
無休(年末年始は休み)