BLOG京の会長&社長めし2019.10.08

株式会社宮脇賣扇庵 の副社長が通う店「il cipresso(イル・チプレッソ) 花見小路」

京都にある会社の会長&社長は、どんな店でどんな料理を食べているのでしょうか? 彼らが通う一見さんお断りの超高級店から大衆店までご紹介する【京の会長&社長めし】。今回は株式会社宮脇賣扇庵副社長の南忠政さんが通う店、イタリア料理店「il cipresso 花見小路」です。

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■南忠政(みなみ ただまさ)さん 

1976年生まれ。5代目宮脇新兵衛の孫で、株式会社宮脇賣扇庵 副社長。大学卒業後、母方の実家である同社に入社し、京扇子の製造・販売に携わり、扇文化の継承に努めている。自分から新しい店を開拓するのは、苦手なほう。外食でよく足を運ぶジャンルは、中華とイタリアン。最後の晩餐は、「中華のサカイ 本店」のオムライス。

ハレの日には、元置屋を改装したモダンな空間で気鋭のシェフによる季節のコースを

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イタリア料理をよく食べにいくという南さんが、お気に入りの一軒に挙げるのが、祇園の「il cipresso 花見小路」。四条花見小路から南へ進んだ一筋目の通り沿いにあり、周囲に溶け込むように立つ一軒家レストランだ。

「2年ほど前、若手経営者の集まりで行ったのが最初です。いつもは仲のいいメンバーと複数で行くことが多いですね。雰囲気がいいし、きっちりとした食事ができるし、女性を連れて行っても満足してもらえるお店だと思います」(南さん)

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2014年にオープンした同店の建物は、築100年以上の元置屋を改装。店内に入ると、シックな細長いアプローチが迎える。モダンな雰囲気の客席はカウンターがなく、テーブルと個室が箱庭を中心にして配されており、ゆとりを持たせた贅沢な空間になっている。

「ハレの日や特別な記念日などに使っていただけるような、きちんとした店を目指しています。南さんはお知り合いの方が仕事の関係でうちをご存じで、一緒にいらっしゃったと思います。個人的に気に入ってくださり、ほかのお客様にもご紹介いただいています。ありがたいですね」と、シェフの伊藤敏浩さん。

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南さんは、3ヶ月に2度くらいの頻度で訪れるという。「祇園の店としてはわりとリーズナブルに食事ができます。季節の食材を使ったコースを出してくれるのですが、それが毎回楽しみで」。ここでは昼4000円、夜は1万円のコースが用意される。

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南さんがいつも利用するのは、庭に面した奥の個室。隠れ家のような贅沢な雰囲気の空間で、お気に入りの場所だという。「レイアウトがちょっと変わっていて、コの字型のテーブルで会議をするような並びになっているんですが、ゆったりできるし、皆と語らいやすくて長居してしまいますね」(南さん)

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今年からシェフを務める伊藤さんは、東京「リストランテ アカーチェ」「リストランテ ラ・バリック」、奈良「イ・ルンガ」、京都「t.v.b」などで修業した気鋭の料理人。産地を問わず、季節の良質の食材を使用し、時には和や中華の技法も取り入れて仕立てるコースは、前菜のような華やかな料理がありつつ、郷土料理がベースのものも盛り込むなど、メリハリをつけた構成にしている。

「現代的で、これは何?と思うような見た目の料理が出ることも。料理の説明を受けて驚きながら、感心しながら皆で食べるのが楽しいですね」(南さん)

南さんを含めお客から「きれいで可愛らしい」と好評なのが、前菜。伊藤さんは、「店への期待感が高まるのが前菜なので、例えば鮎をキュウリとシソのソースと合わせたものなど、素材の味を活かしつつ、何を食べてもらいたいのか明確なコンセプトの中で、盛り付けや食感などを考えて手を加えています」と説明する。

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シンプルに仕上げるパスタは、南さんもおすすめ。「量とか、前後の料理の流れを考えて出されているんだなと思います」(南さん)

写真は秋の献立の一例で、3種のきのこを使い、仕上げにサマートリュフをたっぷりかけた「きのこのラグーのタリオリーニ」。炒めたジロール茸とプルロット、オイルで煮詰めたマッシュルーム入りのラグーソースと、細めの自家製麺がバランスよく絡む。きのこの凝縮した旨味を堪能できる一品だ。

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「肉料理は毎回期待してしまいますね。お肉に行くまでにすでに満足しているのですが、出てきたら食べてしまうおいしさがあります」(南さん)

肉料理は、夏鹿や羊、鴨、子豚、鳩などを使うことが多く、「家庭であまり食べないようなものをお出ししたいですし、そういった食材の良さも知っていただきたいので」と、伊藤さん。この日は定番の「仔羊の炭火焼きタンドリー風」。ヨーグルトとスパイス、トマトソースでマリネして焼いたラムに、万願寺唐辛子のグラタン、オリーブのペースト、パプリカのソースなどを添えて。ジューシーなラムとタンドリーの風味がとてもよく合う。

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「ワインはいつもお任せしています」と、南さん。ここでは250300種のワインを揃え、写真のバローロやグラヴネルなど、イタリアワインが99パーセントを占めているのが特徴だ。グラスも豊富で、「日によっては20種ぐらい開けることもあります」と、マネージャーの田村さん。ボトル8000円から、グラス1200円から楽しめる。

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どんなにおいしくても、堅苦しい店は苦手だと話す南さん。この店はそんな堅苦しさはなく、居心地がいい中でおいしい食事を楽しめるのがやはり魅力だという。

それについて、「スタッフ間のコミュニケーションはよくとっているので、それが接客をはじめ、店のいい雰囲気づくりにつながっているかもしれません。レストランでは料理だけでなく、空間、サービスなどすべてを楽しんでいただきたいので、そうした空間づくりを心掛けていますね」と伊藤さん。

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南さんは、京都の飲食店にはもてなしの心地よさや料理にレベルの高さを感じるという。「繊細なところにまで気を配られていて、自然と感謝して食べたくなるような料理が多いですね」。この店もそう思わせる一軒なのだろう。

撮影 竹中稔彦  文 山本真由美

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■ il cipresso 花見小路

京都市東山区祇園町南側566
075-533-7071
営業時間 11時30分~15時、18時~23時
要予約 ※個室は5名~7名まで利用可
定休日 日
http://il-cipresso.jp/