食知新ブログ
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BLOG美人&イケメンスイーツ
2019.03.19
『鍵善良房』の「くずきり」
推薦人:梶川由紀さん(何必館・京都現代美術館キュレーター) 祇園にある何必館・京都現代美術館でキュレーターとして多忙な日々を過ごしている梶川由紀さん。ヨーロッパ写真館(通称MEP)の設立に日本人キュレーターとして携わり、帰国後、何必館・京都現代美術館に写真部門を立ち上げ、国内外の展覧会企画や写真集の編集、執筆活動を行っている。その一方で、他の美術館での展覧会企画やアーティストの招聘などにも携わり、国内外で活躍中だ。 そんな梶川さんが多忙な毎日の中でほっと安らぐ場所が、美術館のすぐ隣にある「鍵善良房」である。「甘いものが食べたくなったり、お客様との会食の後に甘いものでも食べましょか、となった時、迷わずお連れするのが鍵善さんです。いつもいただくのが『くずきり』。黒蜜と白蜜があるのですが、私は黒蜜派。席が空いていれば、いつものお気に入りの窓際の席でいただきます」 「鍵善良房」の創業は江戸の享保年間。その歴史は300余年と伝わっている。「当初は『鍵屋良房』という屋号だったようですが、代々の当主の名前に"善"の字を使ってきたことから、いつのまにか「鍵屋の善さん」と呼ばれるようになり、その愛称を生かして『鍵善』という二文字に変えて、その後、現在の『鍵善良房』という屋号になったようです」と話すのは十四代当主の今西善也さんだ。今西さんと梶川さんは親交があり、展覧会のポスターの展示などを依頼することもあるという。 「店内の趣も調度品も素晴らしくて...。お菓子を売っているスペースの菓子棚は、人間国宝の黒田辰秋さんの作品で、どっしりとして艶めいてとても素晴らしいです。店の外の『くづきり』の扁額の筆者は河井寛次郎さんと伺っていますし、京都の文化人の方々との深い交流を感じさせてくれて、この祇園にある鍵善さんの歴史もとても魅力的です」(梶川さん) 「『くずきり』は、他のお菓子では味わえないシンプルな美味しさが魅力。材料は葛と黒蜜のみ。つるんとした喉越しと絶妙なコシの強さは、本当にここだけの味だと思います。たっぷりとした黒い漆器に浮かぶ透明な『くずきり』は、本当に綺麗!といただく度に惚れ惚れしてしまいます」(梶川さん) その『くずきり』の製法は昔と全く変わらぬ作り方を守っている。まず、お客さんの注文を受けてから、一つひとつ職人が手作りするやり方を今も踏襲している。吉野の葛粉を水で溶いて平鍋に入れて、湯煎にかける。鍋の底の葛が薄く固まった頃合いでもう一度湯にかけ、透明になったところで水に晒す。 それを5〜6ミリの幅に切って、黒蜜、または白蜜とともに供する。人気があるのは黒蜜で、材料の黒糖は波照間を始め、沖縄の島々から取り寄せている。 「『くずきり』は何代か前に、祇園のお茶屋さんに食事の後のお菓子として、ちょっと趣向を凝らしたものでということでお届けしていたのが始まりと聞いています。舌の超えた旦那衆にも評判で口コミで広がって、店の座敷に上がって食べていただくようになったようですね。『くずきり』の美味しさの秘密は?とよく聞かれるのですが、決して手を抜かず、丁寧な仕事をするだけ、としかお答えのしようがないですね(笑)。あとはシンプルゆえにごまかしが効かないので、吉野葛にしても黒糖にしても、納得のいく品質の材料をいかに確保するかに苦心しています。今は使っていませんが、先々代の時に黒田辰秋氏に依頼して作った螺鈿のくずきり容器のことを覚えている年配のお客さんもおられますよ。何代にもわたってのお客様も大変多いので、"鍵善のあの味"をしっかりと守り、伝えることが私たちの使命だと思っています」と店主の今西善也さん。 梶川さんは、店で『くずきり』をいただくほか、銘菓「菊寿糖」や「おちょま」、季節のお菓子を海外へのお土産として買うこともしばしばあるという。 自身がスイーツを食べるときは、自分へのご褒美だったり、仕事で一息入れたいとき、あるいは友人と楽しく過ごすとき。仕事のお相手とお菓子を一緒にいただくことで距離が縮まることもあるのだとか。「ゆったりした空間で、美味しいお菓子とお茶を間にお話しすると、気持ちがすっとほどけていきますよね。鍵善さんはまさにそういうひとときを与えてくれる場所。そんな素敵な場所がお隣りさんにあって、京都に生まれてしあわせ!と思います」和三盆の干菓子を一つひとつ和紙で包んだ「おちょま」。おちょぼ口でつまめる愛らしいお菓子。祇園という花街で育まれただけに雅やかさと洗練とを合わせ持っている。 「美味しいお菓子とお茶を間にして、ゆったりとした空間でお話しすると、気持ちがすっとほどけていきますよね。鍵善さんはまさにそういうひとときを与えてくれる大切な場所です。そんな素敵な場所がおとなりさんにあって、京都に生まれてしあわせ!と思います」(梶川さん)文 郡麻江 写真 津久井珠美■鍵善良房京都市東山区祇園町北側264番地075-561-1818営業時間/[菓子販売]9:00〜18:00、[喫茶]9:30~18:00 (L.O.17:45)定休日/毎週月曜日(祝祭日の場合は翌日)料金/くずきり1080円、菊寿糖(28個入り)1600円、おちょま(40個入り)2400円
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BLOG京のほっこり菜時記
2019.03.15
「山菜」
「春は苦味、夏は瑞々しさ、秋は香り、冬は甘味」以前、ある料理人さんに「四季の食材の魅力は?」とおうかがいしたときかえってきたのが、この言葉だった。食材には四季それぞれの個性や特徴があって、それを味わうことが大切なのだと。 苦味のある春の野菜を食べることで、いろんなものを貯め込んだ「冬の体」から軽やかな「春の体」へと移行できる。実際に、ポリフェノールなど苦味のもとが、細胞を活性化して新陳代謝をうながしてくれるそうだ。 だが、体にいいから「山菜」を食べるのかというと、私はそうでもない。春の苦味が好きだから。子供のころはちょっと苦手だったうどやたらの芽、ふきのとうを、いつしか美味しいと思うようになった。そして、苦味のある山菜を口にすると、「春が来たなあ~」と心がしんみり潤うのだ。 うど、ふき、ふきのとう、こごみ、木の芽、タラの芽、つくし、ワラビ、たけのこ、あしたば、あけび、いわぶき、かたくり、うるい、クレソン、せり、ぜんまい、みつば、あざみ、コシアブラ、行者ニンニク・・・小さい頃は、鴨川付近でもつくしが生えていて、母に褒めてもらいたい一心で、たくさん摘んで帰ったりした。今も、深泥池付近にはみつばやせり、岩倉幡枝町にはぜんまいやわらびなどが生えているそうだ。春に食べたい山菜料理はたくさんある。「山菜の天ぷら」「わらびの炊いたん」「せりのおひたし」・・・。そんな料理が品書きに並ぶと必ず注文してその風味を楽しむ。セリのおひたしは、シャクシャクとして歯ごたえがいい。友人の店で出す、「海苔とせりのおひたし」は、何度も食べているのに夢中になる。お揚げと一緒にちょっと甘めに炊いたわらび、タラの芽やうどの天ぷらは、サクッと噛むと、いやというほど香りと苦味が満ちる。 昨年11月に綾小路御幸町近くの路地にオープンした「お酒と食事 うり」は、季節の小料理で飲めるお気に入りの店だ。店主のもんちゃんこと上門邦彦さんとの出会いは、彼が以前料理長を務めていた煮込みの店。シンプルでいて旨味や火入れの勘所を抑えた料理が美味しくて、何度も通った。 あるとき、もんちゃんに「どこで料理を身につけたの?」と聞くと「半年や1年で辞めた店もあるから、どこどこで修業したと言うほどじゃない」と言う。それでもと、無理やり聞き出した店は、京都の名料亭や有名料理屋だった。見た目は優しげな感じだが、潔い人だなあと思った。 そんなもんちゃんが揚げてくれる天ぷらは薄すぎず厚すぎないほどよい衣。カラリと揚がっているから、するする食べられる。この日は「うどがあったから」と、天ぷらにしてくれた。噛むとふくらむ独特の青々しい香り、春の苦味が口のなかにゆっくりと広がっていく。サク、ふわ、サク、ふわ・・・なんだか優しい気持ちになる。 ほかにも、絶品のぬか漬けやポテサラ、おでんなど定番料理、その日のおすすめ料理もあって、じっくり飲める。〆には小皿のカレーライスかおでんだしの中華そばをぜひとも注文してほしい。■ お酒と食事 うり京都市下京区足袋屋町317-15075-344-789917:00~23:00定休日:月曜
中井シノブ
ライター
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BLOG京都グルメタクシー
2019.03.01
おいしい京都案内 | 桜が楽しめる美食スポット
京都がもっとも賑わう季節がやってきました。京都の桜、本当に見事です!こんにちは!京都グルメタクシーの岩間です。車に乗るだけで、あなたにとっての「おいしい京都」をご案内いたします。今回は桜の名所や春の息吹をしっかり感じることができる京都のグルメをご案内いたします。 観光タクシーでまわる「春の京都」。タクシードライバーは、なにより渋滞の回避能力に長けておりますので有効に時間を活用できます。事前に、観光案内所等に問い合わせ、親しい観光ガイドやドライバーとも情報交換するので、確実に開花しているスポットをご案内できます。京都府文化観光大使の私としても「京都観光は是非観光タクシーで!」と声高らかに日々叫びたいくらいです♪ここだけの話ですが・・・観光ドライバーはじめ私も参考にしているのは、京都市観光協会の「京都観光NAVI」(http://kanko.city.kyoto.lg.jp/)です。開花状況など正確な情報満載ですので、みなさまも是非ご参考になさってくださいね。 今回は「桜が楽しめる美食スポット」をご案内いたします。 さあ、京都駅からまずは祇園界隈へ向けてスタートいたしましょう!祇園方面に行くときは、その道中にも桜が咲いているエリアを通ります。「川の近くには必ず美しい桜がある」。特に川端通り、木屋町通り、加茂街道、冷泉通りは定番中の定番スポットで、「車から降りずに楽しめる桜」としても有名です。 川端通りの桜は向こう側に町家が見えるので非常に風情があります。松原通りから北へ。四条までの東側の側道、宮川町歌舞練場のあたりも美しいです。 川端通りから川を渡った西側の木屋町通りは、五条通りから二条通りまで、ここも見事な桜が連なります。祇園から京都駅へ帰るとき散歩しながら堪能するのもいいでしょうね。とにかくこの西木屋町エリアはおいしいお店がたくさんあります。桜並木の向かい、グルメタクシーツアーでおすすめするのが「鮨 泰蔵」。ランチは曜日限定ですがお手頃な値段で楽しめます。画像はある雑誌取材のときに一度に盛り付けてもらったものですが、基本一貫ずつでてきます。新鮮な素材に、香味、薬味、といいましょうか。フレイバーをさりげなく感じることができます。食後に桜満開の木屋町通りをぶらりするのもいいでしょうね。 さて、車は川端通りにもどりまして、北上していきますが、四条通りの南座前を右折、八坂神社の方に向かい、縄手通り左折。新橋通りまで行きますと風情ある白川にたどり着きます。こちらも上品な桜の名所でもありまして、観光客も多いエリアです。その桜を別の角度から「独り占め」のようなアングルで見ることができるお店をご紹介いたします。 神戸ビーフをいただける「ITOH DINING(伊藤ダイニング)」。 入り口は路地の奥にあります。この突き当たりをさらに左へ。 窓越しに上品な枝垂れ桜がせまってきます。桜との間に川が流れているので歩行者の視線を感じることなく、春の風景を独占的に楽しむことができます。このお店は私の常連さんが教えてくださったのですが、この日は、幸運にも満開でした。 オニオンスープ燻製サーモンマリネ 季節のサラダ 黒毛和牛ステーキ和風炒めパスタブランマンジェシンプルですが丁寧で味付けで、食材のおいしさをストレートに引き出す料理の数々でした。 桜を見ながらの食事。非日常的な情景に料理の味にも良い影響がでるでしょうね。歩いている人、そしてバックには京都らしい建物、そして美しい日本の桜。このうつりゆく桜の季節を堪能できるのは本当にうれしいことですね。 さて、もう一軒桜にちなんだお店をご紹介いたします。今度は上賀茂神社のある北区まで行くことにいたしましょう。烏丸通りを北上、京都御苑が見えてきます。その界隈に知る人ぞ知る、京都の人が通う隠れ桜スポットがあります。 実は皆さんご存じの「京都府庁」なのです。ところが周りから見ると建物ばかりで、桜は?と思われる方もおられるかも知れません。実はこの明治時代に建てられた京都府庁・旧本館の中庭に見事な桜が堂々と咲きほこっています。有名な円山公園の桜の初代の孫にあたる枝垂れ桜を含め、7本の桜があります。3月の下旬~4月上旬には「観桜祭」(詳しくは京都府のホームページ参照)が開催されますのでその時期に併せて訪問されることおすすめいたします。窓越しの見事な桜の風景。なによりも無料なのがありがたく、旧知事室が見学できる日もあります。 さて車はさらに北へ、烏丸通りは突き当たりがあります。今宮通りで、その今宮通りを右へ行くと植物園の枝垂れ桜の名所「半木の道(なからぎのみち)」が加茂街道の向こうに見えます。この半木の道、全長800Mもあり、ヤエベニシダレサクラが咲き誇り、さらにそれから北山通りを超えると、ソメイヨシノにかわります。その桜に埋もれるようにたたずんでいるのが大原の野菜を使った料理を主に提供する「きらきらひかる」です。まずは桜のシーズンメニュー(2018年)をご紹介いたします。 季節の五種盛り 鯛と生湯葉、こんにゃく 若竹煮 天ぷら 海老と季節の野菜 ご飯 一品 香の物 みそ汁 バニラアイス 料理長の西川さんは大原三千院付近に畑をもっておられて、出勤前にご自身で野菜を引き抜き調理場へ持ち込まれます。そのとれたてを調理されるので、野菜のおいしさを実感できます。桜の季節以外の通常営業時は、オムライスやおやさい定食など普段使いができる価格帯の料理も充実しています。 さて、肝心の桜は??? お待たせいたしました。2階にその人気のカウンターがございます! これなのです♪満開の風景をご覧いただけます♪ いかがでしょうか!満開の桜と京都の味をゆったりと味わうひととき。五感で春を感じる。桜はすぐに散ってしまうからこそ、風情がありますね。ああ、また来年も来たい。そう思える素敵な場所が京都にはたくさんあります。和菓子店の桜餅をいただきながら鴨川沿いを散歩するのも素敵でしょう。京都の桜と美食があなたを待っています!今回もご乗車ありがとうございました!■ 伊藤ダイニング 京都京都府京都市東山区八坂新地末吉町80 075-525-323512:00~14:00(L.O.13:30)17:00~22:00(L.O.21:00) 定休日無休 http://www.itoh-dining.co.jp■ きらきらひかる京都府京都市北区上賀茂菖蒲園町30-3 075-791-2111 12:00~16:00位まで(L.O.14:30)17:00~22:30(L.O.21:30)定休日火曜日 駐車場4台http://www.kirakirahikaru.com/
岩間孝志
京都グルメタクシー
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BLOG酒のふと道
2019.03.01
野外飲みを盛り上げる、お花見におすすめのテイクアウト3選
こんにちは。京都在住のでぶっちょフリーランスライター・泡☆盛子です。このコーナーでは京都の街で私が「もっと太ってもかまわないから食べたい! 行きたい!」と思う旨きもの・良きお店をご紹介します。今回は「お花見」が共通のテーマということですので、野外での一杯(というかいっぱい!)を進ませる素敵なテイクアウトをご案内。人気和食店の酒肴盛り合わせは花よりも華やか!気の合う友人たちと野外飲みをするのが私の趣味のひとつなのですが、その時におなじみのお店にテイクアウト用のお料理をオーダーすることがちょいちょいあります。お店でいただくのとはまた違う顔の品々が場を盛り上げてくれるんですよね〜。これはお花見ではなく紅葉の宴の時のものですが、とても素敵だったのでお花見にもおすすめです。柳馬場三条にある和食店『馳走いなせや』の酒肴盛り合わせ!地酒の品揃えにも定評のあるお店なので、お酒の友はおまかせ! ってな感じでした。おせちもかくや、という豪華な盛り合わせゆえに、あっという間にお酒が足りなくなりました。100円ショップで売っているアウトドア用のワンプレートは野外飲みにとっても便利!缶やコップを置けるのはもちろん、左側の溝はお箸をキープするためのものなのです。そこに自分だけの八寸気分で盛り付けるのも楽しい。この時期は100円ショップにいろいろと桜モチーフの雑貨(敷物や紙コップ、紙皿など)が並んでいるので、お花見前に調達しておくのがおすすめです。【テイクアウト情報】■馳走いなせや075-255-7250定休日:月曜予約:1週間前までに要予約予算:1万円〜備考:受け取りは朝10時〜お宝が埋もれたキラキラ☆寿司ケーキ三条新町にある『すし善』は、ふわっふわの錦糸玉子が一面を覆うちらし寿司や穴子寿司が人気のお寿司屋さん。こちらの知られざる素敵メニューが「寿司ケーキ」なるもの。昔ながらのクラシカルなお店でちょいと意外なネーミングではありますが、一度見れば大人も夢中になるその名通りのルックスなのです。では、さっそくご覧くださ〜い。きゃー! うつくしひ〜〜。寿司の宝石箱や〜〜〜(そのまんま!)。ぐるりとお花のように周りを囲む細巻きに、ころりとかわいらしい手鞠寿司。そして土台となっているのは海鮮ちらし。錦糸玉子の下には、マグロや鯛、穴子などの具がたっぷりと潜んでいるのですよよよ。このサプライズ感やよし! 秘すれば寿司!大抵の場合はじゃんけんで勝った人から好きなネタをとっていくというスタイルでやらせてもらっています。いい大人が本気になれる寿司じゃんけん、おすすめですよ〜。まさに、昨年のお花見でも大好評でした。すし桶ではなく使い捨てのお皿に盛ってあるので、返却の手間がないのもありがたいです。【テイクアウト情報】■すし善075-221-3848定休日:土曜予約:前日までに要予約予算:寿司ケーキ(小)4000円、(大)5300円備考:受け取りは営業時間内(10:00〜19:30)"鴨"を片手に鴨川の桜を見よう!京都の街中で花見をするなら、もっとも手軽なのが鴨川沿い。薄ピンク色の桜並木、本当に綺麗ですよね。3軒目に紹介するのは、そんな鴨川から徒歩3分ほどの場所にあるイタリアンバール『IL LAGO(イル ラーゴ)』。姉小路通の木屋町と河原町の間にあります。夜はスタンディング&テーブル席でイタリアンなおつまみや本気度の高いパスタ、メイン料理などが味わえ、いつも賑わっています。土・日・祝のみのランチ営業限定で登場するのが、鴨肉100%の鴨バーガー。どうです、名実ともに鴨川でのお花見用に最適な一品でしょう?鴨バーグには、鴨のモモと胸の粗びき肉だけを使用。ソースではなく、塩とオリーブオイルで味付けしているので鴨肉の力強い旨みやジューシーさがストレートに伝わります。ひと言でいうと「うまい」。カリッと焼いてあって中はふんわり、のバンズもいい仕事してます。塩がしっかりと効いたフライドポテトもイイ!ちなみにできたてはこんな感じ。ひゅー!温かいうちに食べてこそ、なので、テイクアウトしたら小走りで鴨川へ向かいましょう。事前に「ここがベストポジション!」というのを決めておくとベターですね。【テイクアウト情報】■IL LAGO075-212-8525定休日:木曜予約:ベター予算:鴨バーガー、ラーゴバーガー、チーズバーガー各1000円備考:テイクアウトは土・日・祝の12:00〜14:00のみ。店頭でも直接受け付け可能。ただし、店の状況によっては待つこともあります。***以上、私が実際に愛食しているテイクアウトをご紹介しました。ほかにも、『まるき製パン所』のコッペパンや、『ヤオイソ』のフルーツサンド、『竹田屋』のメンチカツ、『牛力庵』の牛肉弁当などなど、ご紹介したいものはてんこもり!春は外で飲んでいても汗をかかず、「ちょっと寒いくらいが適温」というでぶにとってはまさに野外飲みのベストシーズン! 今年もすきあらばお花見をして楽しみたいと思います。みなさまもどうぞ美味し楽しいお花見を〜。
泡☆盛子
沖縄出身・京都在住のフリーランスライター
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BLOGフォーリンデブはっしー
2019.02.20
京都・肉にく洋食の王道!③
インスタグラムのフォロワー17万人以上を誇るグルメエンターテイナーはっしーさんが、京都の「肉」料理を中心にグルメリポート!洋食の名店として有名な『洋食おがた』さんでのレポートの最終回は、カレーナポリタンを実食!ナポリタンにカレーをかけて食べる新しくて贅沢な一品です。Movie前回のグルメリポートはこちら■ 洋食 おがた京都府京都市中京区柳馬場押小路上ル等持寺町32-1075-223-2230公式Facebookはこちら
フォーリンデブはっしー
グルメエンターテイナー
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BLOG料亭コンシェルジュ
2019.02.19
料亭を家族ぐるみで、長~く愛して
人生の大きな節目を料亭ですごす。それはほかにはない格別な時間です――と言われても、いったいなぜなのか?何ができるのか? 料亭とはなかなかわかりにくいもの。そんな料亭ビギナーを「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将・佐竹恭子さんがエスコート、大切な日を彩ってくれる料亭の使い方を教えてくれます。第3回目は、結婚により両家の親族が結びつき、出産などで家族が増えてゆき、大切な節目がどんどん増えていく......そんな時こその【料亭で家族とお祝い】編です。生まれたばかりの赤ちゃんには、どんなお祝いがありますか?お子様が料亭をご利用される初めての日は、「お食い初め」になるでしょう。わが子が一生食べるものに困らないよう願い、また歯が生えるまで育ったことを祝う行事です。ご両親がお子様に、食べ物を食べる真似をいたします。「百日祝い」とも呼ばれるように、ご誕生から100日目に行われることが一般的です。用意するものがいろいろと必要な儀式です。ご自宅で行うこともできますが、始まったばかりの子育てで日々お忙しいと思います。料亭にはひと通りの準備がございますので、ぜひこちらで、晴れ晴れとした気持ちでお子様のご成長をお祝いくださいませ。伝統的に、男の子は朱塗り、女の子は外側が黒塗りで内側が朱塗りの漆器の祝い膳を使用いたします。ご予約の際には、お子様の性別をお伝えくださいませ。また、お家で受け継がれているお膳がございましたら、そちらをお持ち込みいただき、使用させていただくこともできます。お料理は一汁三菜(尾頭付きの鯛、吸い物、煮物、香の物、赤飯)になります。強い歯が生えることを願って、タコの煮物やおこわなど堅いお料理をあえてお献立に入れるようにしております。そして石のように硬い丈夫な歯になるように、必ず「歯がため」の石を添えておきます。大人の皆さまにもお祝いの小鯛を焼きまして、それを分けて召し上がっていただけますし、お持ち帰りいただくこともできます。お子様の初めての料亭体験が、印象深いものになりますようお手伝いさせていただきます。ひな祭りや端午の節句で、子供たちを喜ばせたいです歴史のある料亭には、器やお道具だけでなく、さまざまな骨董品が保管されています。竹茂楼ですと、先代から受け継いだ大正時代から伝わるひな人形がございます。一般的な段になったものとは異なりまして、建物の模型の中におひな様が鎮座するという構造になっている非常に珍しいもので、組み立てるのに半日ほどかかります。このような精巧なつくりのひな人形は、今ではあまり見ることができない貴重なものですが、ひな祭りの時期には毎年広間に飾っております。旧暦で祝いますので4月中旬ごろまでご覧いただくことができます。端午の節句は「大将さん」とお呼びしている白馬に乗ったお人形を飾ります。これは「五月人形」と呼ばれているものとは違いまして、応神天皇の化身として現れたともいわれている源義家公をかたどっています。60~70センチほどある大きなものです。こうした節句の時期には、3世代でお越しになるご家族が多いですね。おじい様、おばあ様とともに、価値のある珍しいものにふれるというのは、お子様の知的好奇心を満たしてくれるのではないでしょうか七五三のお祝いの時に、子供用のお料理はありますか?七五三はお子様を中心としたお席になりますので、お子様がお好みのお食事がメインになります。もうごはんを召し上がることのできる年齢でいらっしゃいますので、そのなかで「和食を」というご選択をされる場合は、料亭がふさわしいかと思います。お子様に人気のあるのはお出汁をベースに焼き上げたお肉や、海老の天ぷら、そして茶わん蒸しですね。当店ではお弁当のスタイルでお出しいたします。出汁の味覚を知ることは、食育にも有効といわれております。「3歳までの食経験で、味覚の発達は決まる」という説もございます。小さい時からきちんととったお出汁のお料理を召し上がって、食に対して正しい意識を持ってほしいというご両親様、そしてご祖父母様の願いをきちんと受けとめ、お食事をご用意いたしております。今では和室のあるお家が少なくなり、畳の上で生活することは珍しくなりました。料亭で外国人をご接待されるときに、和室でのふるまいがわからないという日本人も多い時代でございます。小さいうちから日常生活の延長上にある節目の時に料亭を経験しておくのは、人生の役に立つことと思います。両親の誕生日を大々的に祝いたいのですが、何歳の時がよいですか?おいくつのお祝いでもご両親はお喜びとは思いますが、近ごろ多くご利用いただくのは、古稀(70歳)や喜寿(77歳)のお祝いです。還暦(60歳)ですとまだまだ皆さまお若いので、料亭でのお祝いの機会は少なくなりました。お祝いですので、結婚式の披露宴料理とまではなりませんが、鯛やお赤飯をご用意させていただきます。卒寿(90歳)ですと、歯に負担のかからないよう、お料理に隠し包丁を入れ食べやすくすることも。ご予約いただくときに、お客様から「古稀のお祝いで」とはおっしゃらないパターンが多いのですが、お赤飯はいつでもお出しできるようにしております。事前にお伝えいただけましたら、当店からお酒をプレゼントさせていただいたり、花束のご準備をすることもございます。こちらから出しゃばるのではなく、大切なご家族のお祝いのひと支えになれるように心がけております。料亭は、お客様の人生のおそばにおります先にも申し上げましたように、お誕生日や、VOL.1でお話ししましたプロポーズなどは、プライベート感のあることですので、ご予約の際に多くのお客様がご利用目的をおっしゃいません。ですので、お客様がどのような用途でお越しになられたのか少しでも早く気づけるように、私どもはアンテナを張っております。お部屋に入られた時のご様子や、お話をおうかがいするなかで「お祝いなのですね」と察すれば、すぐに料理人と情報を共有してどのようなお手伝いができるかを考えております。たとえば、お越しになって状況がわかり、「お花があったほうがいい」と思えば、急いでお花屋さんに電話して......といった急なことも大変多いです。料亭の外へ買いに走ることもよくあります。お客様のお帰り間際になってやっと「お誕生日だった」と気づくことがないよう心がけております。「その時、その折」の対応ということを、私ども料亭は非常に重要視しています。お客様が満足されるのはどういうことかを日々考えるように、従業員同士でも話をするようにしております。どうか気持ちを楽にして、人生の節目に料亭が寄り添っていることをぜひお心に留めていただき、何代にもわたってご愛顧いただけますことを願っております。文 竹中式子■ 美濃吉本店 竹茂楼京都市左京区粟田口鳥居町65昼11:30~14:00(最終入店) 夜17:00~22:00(19:30最終入店)土日祝11:30~22:00(19:30最終入店)定休日 不定休075-771-4185
佐竹恭子
「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将
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BLOG酒のふと道
2019.02.19
お気軽鉄板焼きでグイッと、グビッと
こんにちは。京都在住のでぶっちょフリーランスライター・泡☆盛子です。このコーナーでは京都の街で私が「もっと太ってもかまわないから食べたい! 行きたい!」と思う旨きもの・良きお店をご紹介します。今回の三軒は鉄板焼きのお店。寒い寒いこの時季は、熱々のつまみで飲みたいですもんね!ベタな美味しさにホッとする西陣の隠れ名店千本今出川を少し下がったところにある『らんど』は、地元客に愛される一軒。初見ではちと入りにくい2階店なのですが、一度訪問してみればその居心地の良さと安定感のある味に魅了されること間違いなし。感じのいいご夫婦(かな?)が切り盛りされていて、カウンター席ではいつも常連さんがまったりと世間話をしているような雰囲気です。私がここで好きなのは、トップ画像になっているそばめし。焼きそばを気持ち長めにカットしてあって、「そうそう、こんなん食べたかった!」と膝を打ちたくなる、すごくいい意味で"フツーのソース味"。目玉焼きの半熟具合もいつだって完璧です。生ビールをグイッと進ませる一品も充実!テッチャンキムチ。ぷりっぷりのホルモンがキムチ味を纏うのだから間違いない!とん平焼き。いろんなバージョンがあるとんぺいですが、ここのは少し厚みがある豚肉を焼いてオープンオムレツっぽくしたもの。カリッと焼けた玉子のはしっこが美味しいのよねぇ。これも鉄板焼きのお店ならではのお楽しみ。いつも何人かで行ってシェアするのがお決まりなので、写真を見返すうちに「もっと食べたいねん!」という欲がむくむく湧き上がっております。いつか一人でそばめし食べたんねん!(小さな夢を大切に生きたい)一度はシラフで行ってみたい深夜のオアシス友人に教えてもらって、最近ちょいちょい通わせてもらっているお店です。西木屋町六角を下がった西側、ロイヤルビル1階にある『お好み・鉄板 二六(にろく)』は深夜2時ラストオーダーなのが嬉しい夜遅店。正直申しまして、いつもまーまー酔っ払ってから伺うのでしっかりとシラフでお食事をさせていただいたことはないのです......。ごめんなさいっ。でもお若いのに包容力がある感じのご店主さんやスタッフさんがとてもいい感じで、ついつい吸い寄せられてしまうのです。必ずたのむのはコレ!みんな大好き赤ウインナー!しかもこちらは「ダブル」という魅惑のメニューがあるのです。これ、ダブル。それでも足りなくなったりして、おかわりもしちゃったりね。私はちょいマヨ派!我が故郷・沖縄のソウルフード「ポークたまご」も、関西の鉄板焼きマジックをかけるとこんな洒落た一品に! ※現在は残念ながらメニューから外れてしまっているようです。復活求む〜〜〜。焼き物が出来上がるまでの賴きお供、ポテトサラダ!焼きそばのソースをかけているのが鉄板屋さんならでは。ざかざかっとした食感のフライドオニオンも効いて、これはよいアテ❤シメにはこのフォトジェニックな焼きそばをどうぞ〜。味付けは塩かソースを選び、写真の豚バラなどをお好みでトッピングするスタイルです。豚バラは麺に混ぜ込んでいないので、カリッと香ばしいのが「わかってる!」感じ。名物のお好み焼き、今度こそちゃんと食べに行きますね。それも絶対美味しいはず。四条大宮のディープな名店が復活!「四条大宮にこの店あり」といわれた伝説のビニシー(ビニールシート)屋台『鉄板28号』がビルの改修工事を経てリニューアルオープンしました。以前はたこ焼きの屋台に鉄板が併設され、そこにへばりつくように(失礼!)くっついたカウンターでワインとそれに合う凝ったアテが楽しめるスタイルでした。改装後はさすがに屋台の面影はなく、「たこ焼き」の提灯が目印となっています。店内はカウンターに加えテーブル席も増設されたうえ、秘密の空間もスタンバイ。ぜひお店で尋ねてみてくださいね。お店の内装は変われど、たこ焼き(テイクアウトがメイン)や焼きそばといった昔ながらのメニューと、ワイン&アテの二枚看板は健在!アテは定番と季節ごとの素材を使ったものがあるのでどちらもくまなくチェックすべし。エゾ鹿と猪のソーセージ。皮がプツッと弾け、肉々しさが溢れます。仔羊のタリアータ。これがたこ焼き屋さんで食べられるってすごくないっすか??なぜかタイ風のガイヤーン(焼き鳥)も。添えてあるスパイスがまた美味しくて!素焼きのたこ焼きをもらって余ったスパイスをつけたりなんてこともできます。あん肝と牡蠣のパスタなんて罪作りなものを食べちゃったり......こんなワインを飲んだり......モンドールで締めちゃったり......。レストランばりの料理を楽しむ横で、たこ焼き持ち帰りを待つご近所さんがいるというシュールな光景がたまりません。***夏は鉄板前だと汗が止まらなくてつらたにえんな私ゆえ、この時季になるとやっと行きたくなるのです。ぽかぽかに温まったところで飲む冷たいビールがまたたまんない!かくして、また腹がどえらいことになるというね。でも悔いはありませんっ!!!
泡☆盛子
沖縄出身・京都在住のフリーランスライター
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BLOG料理人がオフに通う店
2019.02.08
「Bini(ビーニ)」―「リストランテ ナカモト」仲本章宏さんが通う店
「リストランテ ナカモト」仲本章宏さんプロフィールシエナ「バゴガ」、フィレンツェのミシュラン3つ星店「エノテカ ピンキオーリ」と6年間のイタリア修業を経てニューヨークへ。2011年に実家のある木津川に「リストランテ ナカモト」をオープン。決してよい立地とはいえない場所にありながら、多くの美食家が、遠路はるばる足を運ぶ。30~40代の料理人との交流も深く、年間6回ほど主催する勉強会には京都・大阪・奈良・神戸から20~30名が集まり、関西の食文化の幅を広げている。 おすすめコメント「Bini」のオープンは2010年末で「リストランテ ナカモト」とオープン時期が近く、雑誌の新店紹介コーナーで一緒に掲載される機会が多かったんです。店の規模も似ており、中本敬介シェフは同じ時期にイタリアで修業されていて、料理の感性もどうやら近そうだ。そして「ナカモト」苗字つながりということもあり(笑)、とても気になる存在でした。その後、料理人の勉強会で初めてお目にかかって、思った通り意気投合しました。 中本シェフの料理にはいつもイタリアの風を感じます。分子ガストロノミーの手法を取り入れても、口のなかへ最後に落ちていくハーブの香りなどは、まさに懐かしのイタリア。私もイタリアにいたからこそよくわかります。 2017年に移転された京町家を改装された今のお店は、「洗練された素朴さ」という一見相反する表現ですが、その言葉がしっくりくる佇まいです。誕生日や結婚記念日など、人生の節目に妻とふたりでゆっくりすごしたいときに訪れています。 Bini 京町家の小さな門の前に立っただけで、ふわりと温かな気配を感じる。このレストランのなかには、きっと特別優しい時間が流れている――そんな気持ちが沸きあがるのはなぜなのだろう? その理由は、扉を開けた瞬間にわかった。 「寒いなか、わざわざありがとうございます」と出迎えてくれた中本敬介シェフと理恵子マダム。おふたりの笑顔は、京都のしんしんと底冷えする冬をポッと暖めてくれる陽だまりのようだ。 「中本さんはご自身の知識や技術を包み隠さず話してくださいます。料理人仲間とともに高めあっていこうという意識が高く、でもとっても優しく、柔らかく接してくださるんです。マダムは朗らかでチャキチャキとサービスされます。お料理の説明をされていて、ふと内容を忘れられたことがあったんです。そのときも慌てず素直に『シェフに聞いてきますね』とおっしゃって、なんてチャーミングなんだろうと。ただメニューを丸暗記するのではなく、自分の言葉として話そうとされているんだな、ということが伝わってきました。おふたりが紡ぎだすアットホームさがお店を包みこんでいて、食事が本当に楽しくなるんです」 マダムが心がけているのが「お客様の会話の邪魔をしない」というサービス。 「一緒にテーブルを囲む方は、お友達でも恋人でもご夫婦でも、お互いの関係を深めたいと思っていらっしゃると思います。ですので、お話が弾んでいるようでしたら、あえて料理の説明をしないこともあります。仲本さんは奥様と本当に仲が良く、ずっと楽しそうに会話をされています。"なんて楽しく食事をされる方なんだろう"と、こちらもうれしくなってしまいました。それから、私はそそっかしいので、"お皿を丁寧に扱う"ことも意識しています(笑)」(理恵子さん) 料理はランチ、ディナーともに1万2920円(税サ込)のおまかせコースのみ。 「最初に出される自家製のグリッシーニは、太さが絶妙。お菓子のようなサクッとした歯触わりで、スーッとのどを通っていく。ポキポキ手で折りながら食べるとイタリアを思い出して、どんどんおかわりしてしまうんですよね。料理をいただく前にお腹がいっぱいになってしまいます(笑)」 このグリッシーニのレシピは、ピエモンテでの修業時代、バカンスシーズンに入り働いていた店は休みになったが、バカンスへ行くあてもなかった中本さんが、近くの人気ブーランジェリーに出向いて習ったもの。 「小麦粉は、仲本さんにご紹介いただいた千葉産のものを使っているんですよ。器は私がデザインしてつくってもらいました」(中本さん) 「中本さんの生パスタは、食感、香りの重ね方が私の打つものとは違っていて、印象深いです。私は外食ではパスタを食べたいとはほとんど思いません。でも関西では2軒だけ、"ここのパスタが食べたい"という店があります。その1軒がBiniさんです」 「アンズタケと岩手の短角牛のラグーソース」はさっくり歯切れのいい平打ちのパッパルデッレと合わせる。杏子のようにふわりと甘いアンズタケの香りが鼻腔をくすぐる。 仲本さんがよりいっそう熱をこめて語るのが「鴨のロースト」だ。 「火入れが素晴らしい! 巷では低温調理が流行っていますが、最初から最後までたとえば55℃で火を入れ続けても繊維までは調理できていません。ですので見た目はきれいでも、噛み切れない。ある程度火を入れてから55℃へもっていくのがプロの技なんです。その最初の火入れは肉を見て考えるのですが、どのラインで始めるかもシェフそれぞれ。中本さんと私はその感覚がとても合っていると思います。こんなふうに感じたことは、生まれて初めてです。つきあわせとソースのバランスもとても美しく、そのなかで肉の存在感が際立ち"肉の焼き方がすごかった"と語れるのはなかなかないことです」 中本さんは肉に対する技術と考え方を、ヨーロッパで学んだという。 「12年滞在して、ヨーロッパは肉食文化であることを実感しました。特にスイスは魚介を食べることはほぼなく、肉が主流の国なので徹底的に勉強することができました」(中本さん) 中本さんは26歳の時にイタリアへ渡り4年半の修業を経てスイスへ。ザンクトガレンの「Segreto」開業に伴い料理長に就任。日本人シェフが珍しい時代に、和食材などを用いた「日本人らしいイタリアン」で評判をよぶ。そして8年後に帰国。地元である広島での開業を考えていたとき、京都大原の山田農園の卵に出合った。 「この卵なら、自分のつくりたい料理が表現できると感動しました。京都のことはよくわかっていませんでしたが、"卵ありき"で移住を決めました(笑)。でも朝市にも新鮮で魅力的な食材が溢れていたんですよね。そしてここで料理人の方と情報交換できるのも楽しみのひとつです。京都の料理人はジャンルを問わず勉強熱心で、同じ向上心を持った方がとても多いのです。これはほかの土地では得られなかっただろう財産です」(中本さん) 2010年に哲学の道近くに店を構え、7年後の2017年9月に丸太町のこの町家へ移転した。地元の方たちも、朗らかなおふたりをあたたかく迎え入れ、いつも気にかけてくださるそうだ。 「中本さん主催の勉強会でも、よくお店にうかがいます。自分の道を持ち、志が高い方の料理は、やっぱり心に響くものですよね」 撮影 瀧本加奈子 文 竹中式子■ Bini京都市中京区東洞院通丸太町下る445-1075-203-6668昼12:00~15:00 夜18:00~23:00定休日 月曜日、火曜昼。日曜夜は不定休http://www.restaurant-bini.com/
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