食知新ブログ
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BLOG美人&イケメンスイーツ
2018.12.03
『TEA VENIR(ティーベニール)』の「アフタヌーンティーセット」
推薦人:笹岡隆甫さん(華道「未生流笹岡」三代家元)「3段のプレートには、私の大好きな抹茶スイーツを筆頭に、京都らしい色とりどりのお菓子が並んでいるでしょう? 小腹がすいたときにぴったりなんです。ミルクティーと一緒に、が定番です」と語る笹岡さんは、このアフタヌーンティーセットを誕生のころからご存じだ。 「10歳の時に祇園祭で長刀鉾の稚児を務めたのですが、その時に隣に座る禿を務めてくれたのが、京都を中心に全国に雑貨店を運営する『SOUVENIR(スーベニール)』の伊藤忠弘社長。幼稚園も塾も一緒の幼馴染みなんですよ。ある日彼から"和のアフタヌーンティーを作りたい"という話を聞きました。その頃はまだ『TEA VENIR』の姿かたちもなくて、まずは京都のエッセンスを取り入れたアフタヌーンティーの発想ありき。京都にいらっしゃる観光客をもてなしたい、という一途な志に同じ京都人として共感しました」 伊藤社長は平成26年、初の飲食事業店『TEA VENIR』をオープン。伊藤社長の熱い想いが結実したアフタヌーンティーセットを最初に見たとき笹岡さんは......「それはそれは感動しました。各地のアフタヌーンティーを食べ歩き、研究している姿を見ていましたからね。抹茶や八ッ橋、京野菜......どの段にも京都の食材が使用され、京都への強い愛情を感じました。このアフタヌーンティーを楽しんだ記憶は鮮明に残り、お土産のようにご自宅に持って帰ることができるでしょう」「アフタヌーンティーセット」(税別2800円)。「小腹がすいているから、私はいつも3段目のキッシュ、サンドイッチからいただきます(笑)」。笹岡さんのお腹を最初に満たしてくれるキッシュには、京水菜や万願寺とうがらしなどの京野菜が使われている。2段目には、カラメルのほろ苦さが心地いい美山産のたまごを使ったプリン、宇治の『碧翠園』の抹茶とほうじ茶のクリームが濃厚なシュークリーム、抹茶とイチゴのチーズケーキが。最上段は五重塔を模したクッキー、おからのチョコレート、そして笹岡さんお気に入りの聖護院八ッ橋のブランド『nikiniki』の八ッ橋。「八ッ橋には、添えられているりんごジャムをはさむのもおすすめです」。全体に甘さは控えめで、しっとりとした大人の味わい。紅茶、コーヒー、ソフトドリンクを選べる。紅茶はすべて、ヨーロッパの人々に愛されるドイツ・ロンネフェルト社のもの。京都を感じられるレトロテイストの雑貨を展開する『SOUVENIR京都』。四条通りに面した店舗の奥にある中庭を抜けた場所に『TEA VENIR』は併設されている。「秋には紅葉も美しい坪庭を臨める席が定位置。京町家の落ち着いた佇まいのなかに、コースターやメニュー、お化粧室の壁などに『SOUVENIR』らしいポップなデザインが施されているのが特徴的で、私好みのスタイルです。京都旅行のお客様をお連れすることも多いですね。お茶だけでなく雑貨も楽しめると、みなさん喜んでくださいます」花見小路から西側へ回りこむと、観光客も少ない静かな小道が。そこには『TEA VENIR』専用の入り口が凛と佇む。オープン以来、観光客はもちろん、地元の人も多く足を運ぶ。 文 竹中式子■ 「TEA VENIR(ティーベニール)」京都市東山区祇園町南側577-3075-531-4710営業時間/12:00~19:00(LO.18:00)定休日/火曜
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BLOG料亭コンシェルジュ
2018.11.20
料亭で実らせる、プロポーズ大作戦
人生の大きな節目を料亭ですごす。それはほかにはない格別な時間です――と言われても、いったいなぜなのか? 何ができるのか? 料亭とはなかなかわかりにくいもの。そんな料亭ビギナーを「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将・佐竹恭子さんがエスコート、大切な日を彩ってくれる料亭の使い方を教えてくれます。第1回目は、恋をして、お付き合いをしていくうちに「ああ、この人と一生を添い遂げたい」、そんな気持ちが高まったらいよいよ......の【料亭でプロポーズ編】です。プロポーズのお手伝い、させていただきます。みなさま、ようこそお越しくださいました。「美濃吉本店 竹茂楼」若女将の佐竹恭子と申します。竹茂楼は享保元年(1716年)に初代が美濃国から京都へ移り、腰掛茶屋を開いたのを始まりとする老舗料亭です。若主人の佐竹洋治に嫁ぎ、さまざまなお客様にお目にかかってまいりました。実はプロポーズの場合は、ご予約の時にもその内容はご相談されず、お部屋だけを取られる方が多いのです。その日になって、ご様子から「どうやら......?」と気づくのですが。もちろん、密やかにプロポーズをされるのもとても素敵なことです。でも私どもにお伝えいただけましたら、こっそりとお手伝いさせていただけることが、いろいろございますよ。入店早々、玄関でまごついてしまいそうです料亭の大きな門構えに腰が引ける?いえいえ、そこでグッと胸を張ってどうぞお入りください。正式なマナーとしては、前向きのまま靴を脱ぎ、脱いだ靴を手に持ち向きを変えるものですが、少々それが違ってもかまいません。玄関番がお靴をお預かりいたしますので、「まかせたよ」という気持ちで靴をお脱ぎください。そんな姿を女性は頼もしいと思うでしょう。広い?小さい?お部屋はどのサイズがよいのでしょう4畳半から6畳までのものがよいでしょう。お二人の距離を程よく近づけてくれるサイズです。お二人でも広いお部屋はご用意できますが、テーブルも広くなりますので、お相手が遠くになってしまいます。小ぶりといっても竹茂楼の場合は床の間もあり、掛け軸か絵、季節のお花も生けておりますし、お庭もきれいに見えます。こうした装飾がお部屋にほどこされているほうが、会話の糸口にもなりますのでよりよいかと思います。料亭によってしつらえは違いますので、予約の時にご確認されることをおすすめします。掛け軸や絵について、彼女に説明できたほうがいいのかな?知らないものを無理に語る必要はございません。お部屋係りの者に素直に「この絵は誰の作品ですか?」とひと言おたずねくだされば、作者やいわれなど丁寧にご説明差し上げます。掛け軸や絵は、ご要望のものを飾ることができます。私としましては、プロポーズだからとはりきって、「寿」など直接的なものを飾るのはおすすめいたしかねます(もちろん、ご希望であればご用意いたしますよ)。それより、つがいの鳥の絵など、ささやかにお二人の未来を示唆するようなものが好ましいかと思います。花言葉を秘めた、ご要望のお花を生けることもできます。最初は少しだけお気持ちを見せる、それもクライマックスへ向けてのよい演出になるのではないでしょうか。プロポーズに効果的なお料理ってありますか?お二人の目の前でのパフォーマンスのあるお料理はいかがでしょう? 日本料理ですとコースに沿ってお料理が順番に運ばれてくるだけで、動きのあるお料理はあまりないかと思われるかもしれませんが、実はいろいろとご用意できるのですよ。たとえばご婚礼でもご好評いただいている、しゃぶしゃぶです。お部屋にお鍋と最上級の和牛をおもちして、お二人の目の前でお出汁にくぐらせてお出しします。初夏のお鍋ですと、鮎の稚魚をいただく氷見鍋もおすすめです。秋なら松茸を、小さな炉を用いて炭火でお焼きすることもできます。最後にはお抹茶をおたてしますので、ほっと一服、緊張感から解放されて喜びにひたれることかと思います。いずれも香りが部屋中を包み込み、まさに五感を使って楽しめるお料理です。こうしたパフォーマンスをお料理の流れに取り入れると、召し上がったお料理も印象深くなり、プロポーズの日の思い出に刻まれることでしょう。彼をドキッとさせたいのですが女性ですと、やはり美しく男性の目に映りたいものですよね。カウンターとは違い、お座敷では目の前に男性が座られるのですから、箸使いが美しいことは何より好印象を与えるひとつです。茶道でいわれることですが、「三手(みて)」で扱うと、とても上品です。たとえばお箸を取り上げるときは(1)二本の箸の少し右を上からそっと取る(2)左手を箸の下に軽く添える(3)右手を箸に沿って下へ滑らせ持ち直す、という3つの流れになります。お箸を下ろす時も同じです。これは、お椀の蓋を開けるときにも応用できます。「三手」で扱うと、ひとつひとつの動作がゆったりとしているので、優雅なふるまいに見えるのです。慣れていないと最初はなかなかとまどうでしょう。ですのでせめてお箸を置かれるときだけでも、意識してみてください。慣れてくると指先が揃い、奥ゆかしさが出てまいります。もし指輪や時計をされていらっしゃる場合は、白磁や永楽などのよい器を使用したお料理や、メイン料理の時には、そっと外してテーブルの上に置かれてから器をお手に取ってみてください。アクセサリーで器を傷つけないという配慮のできる女性は、男性にも配慮する女性である......そんな印象を持っていただけるかもしれません。お造りの醤油が垂れてしまいます。彼に幻滅されないかしらお造りをいただくときも女性の見せ場です。ぜひ懐紙をお持ちください。お醤油をつけたお造りを、手皿で口に運ぶのは美しくはありません。いただく前に懐紙をバッグから取り出し、机の上かお膝にご用意いただき、召し上がられるときにはそれを手に取り受け皿の代わりにお使いになられると素敵です。わさびは醤油に直接溶くのではなく、お造りの上にのせるのがよいとされています。これはマナーというだけではなく、実は理にかなった方法なのです。わさびは殺菌効果がありますから、生魚の毒消しや臭み消しの役目があると、古来より重宝されてきました。ですから直接お造りにのせたほうが、その効果が発揮できるというわけなのです。こうしていただくと、所作も美しいですし、美味しいですしと、いいこと尽くしですね。若女将が見た、思い出に残るプロポーズインドネシアのお客様から竹茂楼でプロポーズをしたいと、メールでご連絡をいただきました。「日本らしい風情のなかで、愛する女性に想いを伝えたい」と。その方のご希望は「フルーツをとにかく豪華にしてほしい」、ということでした。南国の方らしい発想ですよね。そこで私どもは大きな台を用意し、そこに季節のフルーツをふんだんに盛り付け、アイスを添え、ハート形の水引を飾りました。そして通常、お部屋には音楽はないのですが、お客様ご自身でご用意されたものをお流しいたしました。ムードは盛り上がり、運ばれてきたフルーツを見た女性は輝くばかりの笑顔に......もちろん、プロポーズは大成功です。特別なことを頼むと料金が心配......など杞憂です。あまりにもイレギュラーなことですとご相談になりますが、たとえばインドネシアの方のフルーツのように、お料理のなかでできることでしたら、ご料金のなかで精一杯以上のことをさせていただきます。花束やケーキをお持ち込みいただけば、最良のタイミングでお出しすることをお約束いたします。撮影 津久井珠美、美濃吉本店 竹茂楼文 竹中式子■ 美濃吉本店 竹茂楼京都市左京区粟田口鳥居町65昼11:30~14:00(最終入店) 夜17:00~22:00(19:30最終入店)土日祝11:30~22:00(19:30最終入店)定休日 不定休075-771-4185
佐竹恭子
「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将
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BLOG京の会長&社長めし
2018.11.05
トーセの会長が通う店 創作おばんざい「KITCHEN よし田」
■齋藤茂(さいとう しげる)さんトーセ株式会社 代表取締役会長京都を代表する経営者であり美食家のひとり。世界中の有名レストランをめぐり、自らの舌でその味を見極める。タブレットやケータイにはジャンルごとに分けた飲食店の連絡先と写真が数百軒も登録されている。齋藤さん談 ゲームソフト開発という仕事柄、何かを企画して実行することが日常です。お客様やお付き合いのある企業の方と食事をする際は、「その方は、普段はどんな料理店に行かれているのか。好きな料理は?」を事前リサーチしたり、推理したりして、きっと喜んでもらえるだろうと思える店を吟味して選んでいます。あらかじめ、お店にその方のお好みを伝えてメニューをリクエストすることもあります。たとえば、その方が「麺が好き」ということがわかっていれば、イタリア料理店なら、「パスタ少しづつ3種類出してください」と事前に頼んでおくわけです。 京都の店は、そんなもてなす側の気持ちを察し、きめ細かに対応してくれる店が多く、とても助かります。「おもてなし」文化が町に根付いているのでしょう。さらに言うならば、カジュアルな店であっても超高級店であっても、快く客のリクエストに応えてくれるところが、京都の店の懐の深さであり強みでもあります。 今回ご紹介する「KITCHENよし田」さんは、おばんざい店と呼ぶのが正しいのか。気軽にうかがえるのにお料理は美味しく、女将さんのお話も楽しい店です。会社から近いこともあり、社員たちと仕事終わりに時々でかけます。 「KITCHEN よし田」地下鉄四条駅から徒歩6分ほどの高辻通沿いに、齋藤さんおすすめの創作おばんざいの店「KITCHEN よし田」がある。店主・太田紅后(くみ)さんは、「ヨシダソース」の創業者・吉田潤喜氏の実のお姉さん。趣味の料理を活かし、13年前にソースの販促を兼ねてこの店を始めた。カウンターにずらりと並ぶ大皿のおばんざいは、定番の「べっぴんサラダ」をはじめ常時21種あり、そのほとんどにヨシダソースが使われている。新鮮な野菜をふんだんに使い、手間暇かけて作られる愛情たっぷりの料理は、どれもがおいしく、ボリュームも満点だ。そして、明るくざっくばらんな太田さんの人柄も、この店の大きな魅力。常連には齋藤さんのように企業経営者も多いそうだが、「皆さん、ここに怒られに来はるみたいです(笑)」と太田さん。栄養満点の料理と太田さんとのトークから元気をもらいに通うリピーターで、店内はいつも満杯に。早めの予約がおすすめだ。商店や民家が連なる通り沿いに立つ店舗。一人でも通える気軽な雰囲気もあってか、ここには地元はもとより他府県からわざわざ訪れるお客も多い。リピーター率はなんと100パーセントとか。ヨシダソースとお酢で作る「トリとナスビの甘酢あんかけ」(左)はご飯が進む一品。ビーツ、九条ネギなど12種の素材を使った「ベッピンサラダ」(右)は、シンプルな味わいで女性に人気。共に850~900円程度。首に巻いた赤いスカーフがトレードマークの太田さん。59歳のときにこの店を始めたと言い、「今はこの仕事が天職やと思てます」。これまでに作った料理はなんと1500種類を超える。カウンターと小上がりの小ぢんまりとした店内。カウンターに置かれた色とりどりのおばんざいは、和洋中韓と、ジャンルは幅広い。お酒も飲みながら食べても一人5000円まで。一人客には5品1850円のセットも。撮影 高見尊裕 文 山本真由美
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BLOG村田吉弘の和食知新
2018.11.01
京の味、京の料理とはそもそも何なのか?
緑滴る東山麓の懐に抱かれるように建つ、料亭「菊乃井」。大正元年の創業以来、京都を代表する名料亭として、多くの人々に愛されてきたこの店の三代当主、村田吉弘さんは、「和食とは何か?」を常に問い続け、様々な活動を続けている。現在はNPO法人日本料理アカデミー理事長に就任し、「日本料理を正しく世界に発信すること」を自らのライフワークとして掲げ、「和食」つまり、日本の伝統的な食文化のユネスコ無形文化遺産への登録に尽力した。その村田さんに改めて「和食とは何か?」そして「和食の最先端」について伺い、5回にわたって、語っていただく。京の料理の土台となった4つの食文化「菊乃井」は、二十二代前に大坂城から、ねねさん(北政所)について京都・高台寺へとやってきて、「菊水乃井」という井戸を守るように命じられた茶坊主がご先祖さんです。三代前から料理屋に変わって、井戸の名前にちなんで店の名前が生まれたんですね。代々続く料亭の看板には「京料理」という言葉をほとんど掲げていませんよね。それは、それぞれの店の成り立ち、歴史というものがまずあって、「うちの店の味をご提供する」という思いがそこにあると思うんです。共通しているのは、京都で生まれた店、味であるということ。今回は、それぞれの店の味の成り立ちに影響を与えた、京の食文化について、お話ししたいと思います。京都には、京の食文化を支える根本、伝統的な4つ の食文化があります。まず一つは、公家の有職文化から生まれた有職料理。都には日本の各地から国司と言われる人が、国元から派遣されてくるわけやけど、同時に料理人も伴われてきたわけです。今でいう、大使館付の料理人みたいなもんですね。これはつまり、全国各地の名産や食材などが都に入ってきたということであり、それらの珍しい食材や調味料を、御所の料理人が一所懸命、工夫して、殿上人の口に合うように洗練させていったのが、有職料理だと思います。さらに禅宗の修行中の坊さんの食事である精進料理があります。動物性の食材と、匂いのきつい五葷(ごくん)と呼ばれるネギやにんにくなどを一切使わず、料理に仕立てます。そして修行中の坊さんが、空腹時に懐に温めた石を入れて空腹をしのいだという懐石、その発想を利休さんが茶の湯に取り入れて完成させたのが、茶懐石ですね。さらには、庶民である町衆が日々いただくおばんざいがありますよね。各店がそれぞれに切磋琢磨して、その店らしさを構築京都の文化は、公家文化が中心やから、料理人ももちろん有職料理の影響を受けます。それだけでなく、お寺さんがぎょうさんあって、当然、禅宗のお寺も多いから、精進料理の影響も受ける。お茶の世界では、京都に三千家があるから当然、茶懐石の影響も受ける。さらに京のおばんざいと言われる町衆の料理の影響も受けて、つまり、この4つの食文化の影響を受けて、それが相まって、京都独特の料理、味ができたんですね。そして、料理屋ごとに、その成り立ちや歴史に則って、各店の主人が切磋琢磨した結果、その店の味、心情というものが完成していったんやと思います。たとえば茶家の流れを汲んでいるお店は、やはり「侘び寂び」を追求した料理が出てくるし、品書きにも「向付」とか「八寸」とか「煮物椀」とかね、茶懐石に則った言葉を用いておられます。禅寺さんと縁の深いお店やったら、精進料理の影響を強く受けた料理を出さはりますし、おばんざいのお店も町なかにたくさんありますよね。「菊乃井」が目指す「きれい寂び」そんな中で、うちの料理は「きれい寂び」を信条にしています。「美しくて不華ならず。渋くして枯淡ならず」いうてね。わかりやすくいうと、「上品で美しくあれ。ただ華奢なんでなく、渋くても力強くあれ、枯れすぎてはあかん」といった意味です。代々が、お武家さんの血筋のねねさんにお仕えしていたということも、この流れに大きく影響していると思います。僕自身、枯れすぎんように「美味しさ」と「美しさ」を追求しながら、日々、新しい提案を考え、変化させていきたいと考えています。伝統は革新の連続と言いますが、まさにそれを地で行きたいなと...。今の僕が大切に思っているキーワードは、「香りとテクスチャーと驚き」なんですけど、このことについては次回、お話しいたしましょう。■ 菊乃井 本店京都市東山区下河原町 鳥居前下る下河原町459 八坂通京都市営地下鉄東西線 東山駅(出入口1) 徒歩12分京阪本線 祇園四条駅(出入口6) 徒歩14分075-561-0015http://kikunoi.jp/kikunoiweb/Honten/index
村田 吉弘
株式会社菊の井 代表取締役
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BLOG堀江貴文が惚れた店
2018.11.01
にしぶち飯店
堀江さんはスケジュールがあうと、「エビイモ」にたとえば「●月●日の『にしぶち飯店』、お願いします!」と書き込みます。ちなみに、なぜ「エビイモ」かというと、堀江さんが一番好きな食べものが「エビイモ」だからです。堀江さん:「この前、アイスランドに行ったんですよ。アルミニウムの生産量が世界11位で、アルミニウムについて、研究してるんですよ」本郷:「へえ、アルミニウムですか。ベンチャーですねー」ー2年ほど前、『にしぶち飯店』(東山区弁天町)で、かわした会話です。堀江さん:「『サピエンス全史』って本、面白かったですよ。農耕することによってホモ・サピエンスは人口増加はできたけど、悲劇も...定住して小麦を作り続けないと存続できなくなり、農地を守るために戦争し、逆に人間が小麦に家畜化された...」ーその場で僕は、『サピエンス全史』をAmazonで注文したのでした。笑。熱々チャーシューにロックフォールチーズを載せた一品とノドグロの蒸籠を使った蒸し寿司堀江さんと『にしぶち飯店』へは3回行きました。主人の西淵健太郎さんは、中華料理店で修業したあと、『祇園さゝ木』で、5年間みっちりと懐石料理を学び、2013年独立。和の技法や食材を取り入れたカウンター10席、割烹スタイルの創作中華料理店をオープンさせました。スペシャリテは数々ありますが、蜂蜜をぬって焼いた熱々のチャーシューを目の前で切って、冷たいロックフォールチーズを載せた一品は、堀江さんも大好きで、「これだけでも食べに来る価値がある」2018年7月に堀江さんとご一緒したときは、中華風のタレをかけたノドグロの蒸籠を使った蒸し寿司が出てきました。堀江さん:「ノドグロ、やばいですねー。西淵さん、ほんとおいしいこれ」堀江さんは、「TERIYAKI」というグルメサイトを作るくらい「うまいもの」が好きで、全国、世界中を食べ歩き続けています。素顔はとても礼儀正しくて、クレバーな人で、一緒に食べるととても楽しいのです。こちらのお店は、堀江貴文さんがプロデュースするグルメサイト「TERIYAKI」でも紹介されていますので是非そちらもチェックしてみてください。http://teriyaki.me/curator/C1/A4036■ にしぶち飯店京都府京都市東山区上弁天町444-2075-561-165018:00~21:00日・祝日休夜20,000円~29,999円祇園四条駅から586m
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BLOG小山薫堂が惚れた店
2018.11.01
グリルフレンチ
11月28日夜。連れて行ってもらったのが、二条城の近くにある『グリルフレンチ』。店名にフレンチとついていますが、雑誌もテレビも一切取材拒否の上等洋食店です。開店は1970年6月。50年近く営業されているのに、マスコミでの露出が極端に少ない、まさに幻の洋食店です。薫堂さん:「シェフ、いつものように、少しずついただきたいのですが...スープに、ポテトサラダ、フィレステーキは薄いのを1枚焼いてもらって、アワビのプルギニオンバター、それに、ミンチカツ、カレーライス...」 ーうわあ、たまらん。おいしそうなメニューばかり...。料理写真を撮っていたので詳細に憶えています。薫堂さんは、『グリルフレンチ』に何度も来ていて、シェフともかなりの親しさです。シェフ:「わかりました。まかせてください。スープは冷製で?きょうはエンドウ豆のポタージュですよ」7~8センチ角ほどの薄切りのフィレステーキは1人1枚。ミンチカツは2人で1個。カレーライスはミニサイズ。薫堂さん:「京都は、和食は当然ですが、洋食のレベルが相当高いですよね。京都に来る度にここにも来ますし、他の洋食店も探してよく行っています」ー薫堂さんは無類の洋食好きでした。追加で、ミンチカツサンドに玉子をはさんだスペシャルサンドを。カウンターで3時間余り。この食事会以降、親しくさせていただき、僕がプロデュースしている「魔法のレストラン」や「真実の料理人」に、何度も出演していただくきっかけとなったのでした。■ グリルフレンチ (Grill French)京都府京都市中京区小川通御池上ル下古城町377075-213-535012:00~13:30 17:00~22:00 日曜営業、木曜定休夜6,000円~7,999円 昼3,000円~3,999 円地下鉄東西線「二条城前」から徒歩約3分FB公式アカウントはこちら
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BLOG京の会長&社長めし
2018.11.01
トーセの会長が通う店 ステーキ「祇園ゆたか」
■齋藤茂(さいとう しげる)さんトーセ株式会社 代表取締役会長京都を代表する経営者であり美食家のひとり。世界中の有名レストランをめぐり、自らの舌でその味を見極める。タブレットやケータイにはジャンルごとに分けた飲食店の連絡先と写真が数百軒も登録されている。齋藤さん談 ゲームソフト開発という仕事柄、何かを企画して実行することが日常です。お客様やお付き合いのある企業の方と食事をする際は、「その方は、普段はどんな料理店に行かれているのか。好きな料理は?」を事前リサーチしたり、推理したりして、きっと喜んでもらえるだろうと思える店を吟味して選んでいます。あらかじめ、お店にその方のお好みを伝えてメニューをリクエストすることもあります。たとえば、その方が「麺が好き」ということがわかっていれば、イタリア料理店なら、「パスタ少しづつ3種類出してください」と事前に頼んでおくわけです。 京都の店は、そんなもてなす側の気持ちを察し、きめ細かに対応してくれる店が多く、とても助かります。「おもてなし」文化が町に根付いているのでしょう。さらに言うならば、カジュアルな店であっても超高級店であっても、快く客のリクエストに応えてくれるところが、京都の店の懐の深さであり強みでもあります。 肉好きのお客様をお連れするなら今回ご紹介する「祇園ゆたか」と決めています。ここのステーキは他にはない焼き加減で、ふっくらやわらかく、肉の旨味がギュッと凝縮したかんじ。若い方から年配の方、ご婦人まで、どんな方をお連れしても喜んでいただけます。この店から数々の有名店が巣立っていることも素晴らしさのあらわれです。「祇園ゆたか」創業56年の老舗ステーキハウス「祇園ゆたか」。祇園町北側から南側へ移転しておよそ8年。2代目店主高田衛さんに継がれた肉焼きの技は、味に厳しい花街の食通たちを惹きつけてきた。「24歳の時に祇園の店に立ちました。当初常連さまには、父と焼きあがりが違うとご指摘いただいたこともあります」と話す高田シェフ。父に学び日々ステーキを焼き、自分なりに納得のいくステーキが焼けるようになるには長い月日を要したと言う。名物ともいえるヒレステーキは、鉄板の上にスライスしたニンニクを敷き、その上に肉を置いて蒸し焼きにする。ニンニクが焦げて肉に香りが移った頃に、また新たなニンニクを敷く。焼き具合を見て数度くりかえし、じっくりと肉に火を入れる。焼きあがったヒレステーキは、おどろくほどふわふわ。しっかりと中まで火が入っているのにジューシーで味わい深い。その美味しさはいつまでも心に残り、「また次も」と思う珠玉の味なのだ。黒毛和牛のヒレの部分を丁寧にトリミングして切り出していく。和牛1頭でとれるヒレはおよそ9~10kg、その中心にあるシャトーブリアンは1.2kgほどだという。ニンニクスライスをたっぷりと鉄板に敷き、その上に分厚いヒレ肉をのせて蒸し焼きに。焼き加減を丁寧に見ながら、ニンニクを変え、じっくりじっくり焼くことおよそ30分。焼きあがったヒレステーキは、ふわふわでやわらか。噛むというより口に含んで旨味を味わうかんじ。とびきりの肉ならではの旨味と香りが広がっていく。2代目店主の高田衛さん。父の背中を見て肉焼きを学んだという。「いつ行っても、誰を連れていっても安心」と言っていただける店を目指すと話す。■ 祇園ゆたか京都市東山区祇園町南側075-531-0476営業時間17:30~22:00(最終入店)不定休
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BLOG料理人がオフに通う店
2018.11.01
「スペイン料理aca」―「祇園 さゝ木」佐々木浩さんが通う店
「祇園 さゝ木」 佐々木浩さんプロフィール京都、滋賀の有名料理店で腕を磨き、1998年独立して「祇園さゝ木」を開店。カウンター前で客に魅せる勢いとサプライズ溢れる佐々木さんの料理は、いつしか「さゝ木劇場」と呼ばれる。客一人ひとりに心を寄せる親身な接客にはファンが多い。2009年以降、連続してミシュラン二つ星を獲得している。おすすめコメント僕が行きたいと思う店は、腰を据えたとき店の雰囲気や室礼などが気持ちよく、ほっと落ち着ける店。なかでも、客も含めて店全体が楽しそうで活気のある店には心惹かれます。プライベートで食事の際に足を向けるのは、和食店や鮨店がほとんど。佇まいが京都らしく、料理と器、分量などのバランスがとれている店に行きたいと思います。 普段は和食店に通う僕が、どうしても行きたいと思って訪ね、感動したのがモダンスパニッシュの「aca(アカ)」さんです。ご主人の東さんは大変勉強熱心な方。開店当初はアラカルトで料理を出すお店でしたが、「流れのいいコースを出したい」と、うちにも何度も食事に来られました。同じ料理人として意見交換し、その真摯な姿勢に驚かされ、いつかはうかがいたいと思っていました。考え抜かれたコースの構成や食材の扱い方、最上の旨味の引き出し方など、誠意をもって料理に向き合う姿勢に心をうたれました。魚料理や季節の食材を使ったパエリヤなど、どの料理も味が決まっていて量のバランスもいい。ぜひお薦めしたいお店です。スペイン料理 aca佐々木さんおすすめの「aca 」は、「ラマーサ」出身の東鉄雄さんが、2013年に高倉三条に開いたスペイン料理の実力店。オープンから数年でミシュランガイドの星を獲得し、今や名店ひしめく京都の中でも特に予約が取りにくい一軒だ。炭火焼き料理を主体に「自分が食べたいと思うものを作っている」という東さん。京都の市場はもちろん築地からも仕入れる魚介、洛北・大原や岡山の生産者による野菜など、上質の食材にとことん向き合い、火入れの仕方など独自の工夫で持ち味を引き出した料理は、佐々木さんたち和食の料理人をも唸らせている。「真剣にスペイン料理を食べてもらいたい」と、メニューは9~10品からなるおまかせのみ。中でも蟹、鮑、鮎、雲丹など、その時々のおいしい魚介を使った絶品のパエリアは、具材に合わせてスープや調理法を変えて作られ、毎回楽しみに通うファンも多い。スペインワインは50種近くあり、グラスが7~8種揃うのもうれしい。シェフ東鉄雄さん高級料亭や割烹などでも用いられる上質な季節の食材を使い、それらをシンプルに活かす"引き算"の料理を心がけているという東さん。炭火を使って焼く作業もすべて東さんが自ら行っている。ワタリガニのパエリアコースのメイン、パエリアの一例より、野菜、帆立、イカなどを使った深みのある味わいに、濃厚な蟹のうま味が際立つ渡り蟹のパエリア。蟹のパエリアは時季により蟹の種類が変わり、11月はこっぺ蟹が登場。もろこを使った前菜おまかせコースの一例より、琵琶湖産のモロコを使った前菜。炭火でふっくらと焼いたもろこと、煮詰めたシェリービネガーの甘酸っぱさ、マンチェゴチーズの組み合わせも絶妙な、ワインが進む一品。カウンターとテーブルの店内は16席あるが、「少数のお客さんに全力でいいものが出せるように」と、一日8~9名に限定。年内の予約はすでに埋まっており、来年1月以降の予約を11月1日からインターネットで受付予定。京都文化博物館そばにある三条通沿いの小さなビルの2階。ここにはプロの料理人が来店することも多く、京都や大阪はもとより東京からも訪れ、東さんと料理談義に花が咲くこともしばしばとか。 ■ スペイン料理 aca京都市中京区桝屋町55 白鳥ビル2F075-223-3002水~土12時(入店)18時30分※完全予約制http://aca-kyoto.jp/
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