京都美酒知新
全国にファンのいる名バーテンダー西田稔さんに、その月にちなんだクラシックカクテルとウイスキーをご紹介いただきます。それぞれの歴史や醸造にまつわる物語、西田さんとの出合いなど、読んで楽しくためになるお話を散りばめていきます。
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2022.03.23
カクテルが飲みたくなる話「X・Y・Z」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員X・Y・Zカクテル言葉「永遠にあなたのもの」このカクテルの名前の由来は、正確には不明だといわれています。XYZがアルファベットの最後であることから、「これ以上良いものはない究極のカクテル」、「これ以上のものは作れない」という意味合いがこめられているとか。レモンやオレンジなど柑橘系のジュースを使うこともあって、すっきりした飲み口。ほんのりとした甘みもあって、女性にも好まれます。ただし、アルコール度数は25%以上とかなり強めなので、飲み過ぎにはご注意を。今回は、ダークラムをフロートさせ、ニュアンスのある色目に仕上げました。ほかにも「もう後がない」、「最後の」といった意味や、「今夜はこれで終わり」という想いを込め、寝酒にするといいとも言われています。1年半に亘って連載させていただいた「美酒知新」も、このカクテルで一旦お別れ。ただし、このページはいつでもご覧いただけます。カクテル言葉と同じく「永遠にあなたのもの」というところでしょうか。では、またお会いできる日を楽しみにしております。カクテルレシピホワイトラム 40mlコワントロー 15mlレモンジュース15mlオレンジジュース 1tspダークラム フロート4月のウイスキーマッカラン12年イギリスの高級百貨店「ハロッズ」がつくったウイスキー読本では、このウイスキーを「シングルモルトのロールスロイス」と評価しています。それほどの格式と上質さがこのウイスキーにはあるということです。マッカラン独自の製法によるシェリー樽で、最低12年熟成させたシングルモルト。ウイスキーを初めて飲む方にも適したスタンダードな銘柄です。バニラやドライフルーツなど、ほんのりとした甘味に加え、ジンジャーのスパイシーなアロマが香ります。フィニッシュにはスモーキーな味わい、口に広がる濃厚さとエレガンスさのバランスが絶妙です。華やかで贅沢な味わいを堪能できます。まずはストレートで、強いなと思ったら、少しのお水で割ったり、氷を加えたりと、いろいろに楽しめるのも特徴でしょう。■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影:ハリー中西
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2022.02.27
カクテルが飲みたくなる話「ホットウイスキー」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員ホットウイスキーカクテル言葉「静寂」ウイスキーにはストレート、ロック、ソーダ割などいろいろな飲み方がありますが、そんな数ある飲み方のなかで、肌寒い時期などにおすすめなのが「ホットウイスキ―」です。温めたグラスにウイスキーを注ぎ、その上からお湯を注ぐのが一般的ですが、ここではもう少し手間暇をかけて美味しくするホットウイスキ―の作り方をお教えします。まず準備するのは、九州で焼酎のお湯割りに用いる「黒じょが」という酒器。これがない場合は、手鍋でも大丈夫です。「黒じょが」にあらかじめつくっておいたウイスキーの水割りを入れ、火にかけてゆっくり温めるという方法です。お湯を注ぐよりは手間がかかりますが、こうしてつくると驚くほど美味しくなる。まさに目からウロコの美味しさなのです。まだまだ肌寒い日もあります。シェリー樽が香る温かなウイスキーで心身を温めてください。カクテルレシピカラバン・ソリスト・シェリーカスク 40mlミネラルウォーター 120ml3月のウイスキーカラバン・ソリスト・オロロソシェリーカスクトレングス台湾のウイスキー・カバランが世界中で注目されるきっかけになったのは、2010年1月にスコットランドのエディンバラで開催されたウイスキーのブラインドテイスティングイベントでした。このイベントは世界的なウイスキーブームにのってイングランドでも100年ぶりにウイスキー蒸留所が創業したことを受けて行われたもの。バーンズ・ナイト(国民的詩人・ロバート・バーンズの誕生日)に、イングランド産のウイスキーとスコッチなどを比べてみようと開催されたものでした。驚いたのは、このイベントに出品していたカバランが、評価点数で他の蒸留所を引き離して圧勝したことです。ニュースは瞬く間にウイスキー界に広まり、「KAVALAN」の名を世界中に広めたのでした。以降、カバラン蒸留所は世界中から調達した多彩な樽でシングルモルトを熟成させ、次々と世にだしていきます。樽はバーボンカスクやシェリーカスクはもとより、ワイン、ブランデー、ポート、ラムにまで及びました。なかでもシェリーはオロロソ、フィノ、アモンティリャード、マンサニージャ、モスカテルなど、まるで華かな錦絵のようにバラエティーに富んだものでした。今回は、私が直接台湾に足を運んで選んだひと樽をご紹介しています。ホットウイスキーで豊かな香りを愉しめます。■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影:ハリー中西
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2022.01.31
カクテルが飲みたくなる話「サイレントサード」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員サイレントサードカクテル言葉「人知れぬ恋」1930年代前半に誕生したこのカクテル。以前、このコーナーでもご紹介した「サイドカー」のスコッチ・ウイスキー版です。英国とカナダでコアントローの独占販売権をもっていた英国の実業家、ガース・グレデニングが、1930年代前半に考案したと伝わっています。グレデニングが60年代前半に販売権を手放すまで、このカクテルのPRを通してコアントローの販売促進を行ったそうです。「サイレントサード」というカクテル名は、グレデニングの愛車Railtonのサードギア(トップギア)が、とても静かでスムーズだったことに由来します。彼は自分の車を自慢するとともに、「サイレントサード」がいかにスムースで口当たりのいいカクテルかを伝えたかったのでしょうか。「物言わぬ第三者」、「静かなる三番手」とも呼ばれるようです。ベースをスコッチではなくほかのウイスキーにすると、「ウイスキーサード」というカクテルになることからもわかるように、スコッチ・ウイスキーでつくることが大切な一杯です。ジョニーウォーカー・ブルーをベースにすると、よりバランスよく印象的な味わいに仕上がります。カクテル言葉は「人知れぬ恋」。なんだかドキドキしますね。カクテルレシピジョニーウォーカー・ブルー 40mlコアントロー 15mlレモンジュース 15ml2月のウイスキージョニーウォーカー・ブルーラベル(干支ラベル)ジョニーウォーカー究極のブレンデッドです。熟成年数は明記されていませんが、ジョニーウォーカー秘蔵の貯蔵樽、なかでも15年~60年熟成させたものからとり出された貴重な精選原酒がブレンドされています。創業2代目のアレクサンダー・ウォーカーが製造していた19世紀当時の至高の風味を再現しようと開発されました。親会社がギネス社になった直後の1980年代後半に、最古年物(Jhon Walker's Oldest)の銘柄で販売され、1992年にブルーラベルになりました。ブルーは、元々は英国王室御用達となった1934年に製造された、ジョージ5世記念版(John Walker & Sons King George V Scotch Whisky)に用いられた名誉ある色であり、その栄光を復刻したものです。ブルーラベルはウイスキーフロートで琥珀色からはじまるグラデーションが美しいフロートスタイルは、最初にストレートでブルーラベルのやや強めの口当たりを愉しみ、氷が溶けていくにつれ、トワイスアップ、ソーダ割を堪能できます。飲み進むうちにバランスの良さを感じるこの飲み方は、ブルーラベルへの愛を極めた飲み方といえるでしょう。ロックやストレートは苦手だったという方も、この飲み方にするとそれぞれの美味しさを感じていただけます。■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影:ハリー中西
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2021.12.28
カクテルが飲みたくなる話「ミントジュレップ」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員ミントジュレップカクテル言葉「明日への希望」「ミントジュレップ」は、1800年代後期にはすでに飲まれていたといわれており、現在でもアメリカを代表する夏のカクテルとして人気を博しています。アメリカ競馬の最高峰レース「ケンタッキーダービー」のオフィシャルカクテルとしても有名。レース当日に場内で販売されるほか、レース前のパーティーなどでも提供されます。もともとは、苦い薬を飲みやすくする水のことを「ジュレップ」と呼び、カクテルになった後に、ウイスキーの度数をやわらげる目的でミントを使用したことから、「ミントジュレップ」と呼ばれるようになったそうです。「BAR K36」では、シロップの代わりに和三盆をくだいて溶かしこみ、やわらかな甘みに仕立てています。グリーンのミントに赤いストローを添えたクリスマスカラー。夏場だけでなく冬にも爽やかな味と空気感をもたらしてくれます。カクテル言葉は、「明日への希望」。飲めば新しい年がより希望に満ちたものになるでしょう。カクテルレシピワイルドターキー 40ml和三盆 1stpミント 10枚飾り用ミント 1枚12月のウイスキーワイルドターキー8年ブランド誕生から変わらぬ8年熟成。歴代米国大統領も愛飲したプレミアムバーボン。アルコール50%のフラッグシップとして、今も変わらずつくられつづけている銘柄。高いアルコール度数にもかかわらず、想像以上に繊細な味わいが楽しめる8年熟成もの。その深い琥珀色は「クロコダイル・スキン」と呼ばれる、内側を強く焦がしたオーク樽によるもの。重厚でインパクトのあるフルボディテイストと心地よい甘みとコクが独特の余韻をもたらしてくれる。ワイルドターキー蒸留所蒸留所オーナーのトーマス・マッカーシーが七面鳥の狩に出かける際、貯蔵庫から1本のバーボンを持参。そのバーボンが好評を得、狩り仲間の1人が七面鳥の狩にちなんで「ワイルドターキー」と呼び始めた。マッカーシーはそのユニークなニックネームを気に入り、後にブランド名にする。代々受け継がれてきた独自のポリシーの一つが、1樽から製造する製品を約15ケース程度にする点。豊かな香りを保つため、蒸溜と樽詰めの段階でアルコール度数を低く抑えているワイルドターキーは、多くのケースをつくるのではなく、素材が生みだす本来の味わいと風味を保つことをなにより優先している。コーンはケンタッキー州とインディアナ平野、大麦はモンタナ州、ライ麦はドイツ産を使用。製造本数を少なくすることで、製造にかかるコストは割高になるが、それよりもバーボンを愛するファン一人ひとりのグラスに届く味わいを大切にする。それがワイルドターキー蒸溜所のこだわりであり、誇りにもなっている。ワイルドターキー社HPより■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影:ハリー中西
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2021.11.27
カクテルが飲みたくなる話「サイドカー」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員サイドカーカクテル言葉「いつもふたりで」「サイドカー」の名前の由来には諸説ありますが、現在ではふたつの説が有力候補として挙げられています。そのひとつは、第一次大戦中のフランス軍・将校に由来しているというもの。大戦中に劣勢に陥ったフランス軍。兵士たちに戦場からの退去を命じますが、ある将校がその時に乗っていたのがサイドカーで、彼は恐怖を紛らわせるためにレモンをかじりながらブランデーとキュラソーを飲んでいたそうです。もうひとつは、パリのバー経営者によって名付けられたという説。このバーにはサイドカーに乗ってやってくる常連客がいたそうです。この客のためにバーの経営者がつくったカクテルを「サイドカー」と名付けたとか。レモンジュースやオレンジジュースも入って柑橘系の爽やかな香り、口当たりもよく女性に人気のカクテルです。カクテル言葉は「いつもふたりで」。大切な人への告白にぴったりのカクテルかもしれませんね。カクテルレシピポールジロー 40mlコアントロー 12mlレモンジュース 15mlオレンジジュース 10ml11月のウイスキーデュワーズ ホワイトラベル1981年のニューヨーク。デュワーズブランドの創設者のひとりトミー・デュワーは友人とウイスキーを愉しもうとサロンへ行ったそうです。そところがそこで出されたグラスが小さかったため、トミーはウエイターに「もっと背の高い(hight)グラスにしてくれないか。そうすればもっと楽しめる(have a ball)」と言いました。その瞬間にhightとhave a ballがかけ合わさって、ハイボールという呼び名が誕生したと言われています。ハイボールの起源は、ここにあったのですね。「ホワイトラベル」は、1899年に初代マスターブレンダーのA.J.キャメロンが手掛けた長年愛されるブレンデットスコッチウイスキー。スムースな味わいと華やかな香りはハイボールに最適です。デュワーズ/バカルディ社デュワーズは、1846年にジョン・デュワーによって製造がはじめられたウイスキーです。息子のトミー・デュワーは巨大なネオンや映画などを利用した大規模なキャンペーンで、デュワーズを世界的なウイスキーブランドに押し上げました。スコッチの中でも世界屈指の人気を誇り、スコッチウイスキー消費大国アメリカでは、大きなシェアを占めています。世界有数の酒類メーカー・バカルディ社の主要ブランドの一つです。バカルディは、世界で最も売れているプレミアムラムのブランドから、蒸留酒全般を扱う世界最大級の非上場の蒸留酒会社へと変貌を遂げました。1993年のマルティーニをはじめ、スコッチウイスキーのデュワーズ、ジンのボンベイ・サファイア、ウォッカのグレイグース、テキーラのカサドレスやパトロンといったブランドを獲得。ラインアップの拡充のみならず、流通面も強化してきました。バカルディ社HPより■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影:ハリー中西
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2021.10.28
カクテルが飲みたくなる話「ギムレット」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員ギムレットカクテル言葉「遠い人を思う」1980年ごろ、イギリス海軍の軍医だったギムレット卿が、将校たちが戦艦内で配給されるジンを飲み過ぎることを憂慮し、健康維持のためにライムジュースを混ぜて飲むことを提唱し、それがこのカクテルの起源だとされています。突き刺すような味わいから「ギムレット(gimlet)=錐(キリ)」と命名されたという説もあるようです。ギムレットというと、「ギムレットには早すぎる」という名台詞を思い起こされる方もいるのではないでしょうか?これはレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説「長いお別れ」のなかにでてくる台詞で、英語の原文は「"I suppose it's a bit too early for a gimlet," he said.」。主人公の探偵フィリップ・マーロウに対して友人のレノックスが言った言葉で、その後、二人の間には深い友情が育まれたそうです。作品の中には、「本当のギムレットは、ジンとローズ社の(コーディアル)ライムジュースを半分ずつ。ほかには何も入れない」とも書かれていて、甘口のカクテルだったことがうかがわれます。100年の時を経てなお愛されるのは、カクテルの味わいはもちろんのこと、これら背景にあるストーリーの魅力もあるのでしょう。甘いライムジュースを用いられることが多かったことから、女性でも飲める食前酒としてもてはやされました。けれど今、日本で好まれるギムレットは、その味と比べると、ずいぶんドライで男性的になっているように思います。「Bar K6」では、小説に登場するローズ社のライムジュースを使います。カクテル言葉は「遠い人を思う」。「ギムレットには早すぎる」、いつか言ってみたい台詞ですね。カクテルレシピエギュベルジン 45mlライム 2カットローズライムジュース 10ml10月のウイスキー山崎ミズナラ樽貯蔵モルトや、ワイン樽貯蔵モルトをはじめとした様々な山崎モルトが出合うことで生まれたのが、シングルモルトウイスキー山崎です。やわらかく華やかな香りに潜むイチゴのような香りは、ワイン樽熟成モルト原酒が、そして甘くなめらかな広がりはミズナラ樽熟成モルト原酒が加わることによって生まれるのです。ノンヴィンテージの「山崎」は、その若々しい風味を愉しむためにも、水割りかロックで味わうのがおすすめです。少しずつ冷たくなっていく過程で、このウイスキーがもつ辛味がまろやかな甘みへと変わっていきます。山崎蒸留所1923年、サントリーの創業者である鳥井信治郎は、輸入品ではない国産のウイスキーにこだわり、山崎の地で日本初のモルトウイスキー蒸溜所の建設に着手しました。以来、山崎蒸溜所の歩みが日本のウイスキーの歴史を創り、シングルモルトウイスキー山崎をはじめとする数多の名酒を生み出してきました。ウイスキーづくりに適した理想の気候・風土と名水、そして脈々と受け継がれてきた職人の情熱と技。山崎蒸溜所は、日本最古のモルトウイスキー蒸溜所であり、世界に誇るジャパニーズウイスキーの聖地です。サントリーHPより■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影協力:Bar K36/撮影:ハリー中西
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2021.09.30
カクテルが飲みたくなる話「モスコミュール」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員モスコミュールカクテル言葉「仲直り」世界中で愛されるメジャーカクテルのひとつ「モスコミュール」は、ウォッカベースのロングカクテル。銅製のマグカップで提供するのが、本来のスタイルです。ハリウッドに店を構えていたバーテンダーのジャック・モーガンが考案したと伝わります。別のカクテルをつくるためにジンジャービアを大量に仕入れたけれど思うほど売れず、ウォッカと合わせたところ人気になったそうです。銅製のマグカップに注ぐ案は、同じく銅製カップを仕入れたはいいが、売れずに困っていたジャックの友人の発案によるものでした。「モスコミュール」は「モスクワのラバ」という意味。ラバは後ろ足で蹴り上げる癖があり、そのキック力が相当に強かったことから、パンチが強く後から効いてくるモスクワのお酒(ウォッカ)ということで、この名がつきました。カクテル言葉は「仲直り」。たとえけんかをしていても、一緒に「モスコミュール」を飲めば心地よく酔い、また仲良くなれるのでしょう。よく冷やした銅製マグカップでどうぞ。カクテルレシピグレイグース(ウォッカ) 45mlライム 1/2カット和三盆 1tspジンジャービア 120ml9月のウイスキージャック・ダニエルジャック・ダニエルブラック(old No.7)は、蒸溜したウイスキーを木桶に詰めた楓の木炭で、一滴、一滴チャコールメローイングする、創業以来のテネシー製法でつくられます。バーボンとは別格にランクされる、アメリカを代表するプレミアムウイスキーです。バニラやキャラメルのような香りと、まろやかでバランスのとれた風味が特徴です。棺にジャック・ダニエルを入れたといわれるフランク・シナトラを始め、ジャックファンは熱い!おすすめは、ロング・ジャックコーク。ジャック・ダニエルの甘い香りとコークの甘味、炭酸感が一体となった爽快な味わいです。ジャック・ダニエル蒸留所アメリカ・テネシー州リンチバークに本社を置く蒸留所。社名は創業者ジャック・ダニエルに由来します。ジャック・ダニエル蒸溜所が造り出すテネシーウイスキーの製法は、100年以上経った今も変わりません。時間のかかるチャコールメローイング製法で一滴一滴濾過し、芳醇でまろやかな均整のとれたウイスキーをつくりあげます。アサヒグループHPより■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影協力:Bar K36/撮影:ハリー中西
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2021.08.31
カクテルが飲みたくなる話「シャンパーニュ・ジュレップ」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員シャンパーニュ・ジュレップカクテル言葉「楽天的」シャンパーニュにクレームドカシスを合わせるキールロワイヤル、ブルーキュラソーを合わせるシャンパン・ブルースなどシャンパンのカクテルは、たくさんあります。それぞれ彩も美しく華やかさもあって、女性好みのカクテルといえるかもしれません。今回ご紹介するのは、シャンパーニュのカクテルのなかでも爽やかな味わいで、夏にぴったりの「シャンパーニュ・ジュレップ」です。モヒートのシャンパーニュバージョンといわれています。通常のレシピでは角砂糖を使うところ、「BAR K36」では、上品な甘みの和三盆を用いて、より深みのある味わいに仕上げています。手で押しつぶして香りをだしたミントと和三盆、ライム果汁を合わせ、シャンパーニュを注ぎます。ミントの爽やかな香りがシャンパンにうつるとともに、和三盆のまろやかな甘みが広がるカクテルです。クラッシュアイスがつまったシャンパーニュグラスの中でミントが太陽の光に照らされ、爽やかな輝きをもたらしてくれるでしょう。カクテルレシピシャンパーニュ 120mlライム 1/4カット和三盆 1tspミントリーフ 15枚8月のウイスキーシーバスリーガル ミズナラ12年シーバスリーガル ミズナラ12年は、名誉マスターブレンダー、コリン・スコットが日本のウイスキーファンのためにブレンドした特別なスコッチウイスキーです。日本の伝統文化とウイスキーづくりへの称賛を込め、12年以上熟成したモルトとグレーンウイスキーに、日本原産の希少なミズナラ樽でフィニッシュした原酒をブレンドしたのです。白檀が香るようなシーバスリーガル ミズナラ12年は、スコットランドから日本への心を込めた贈り物なのです。ハイボールにして、ふんわりとした甘さと柑橘系の香り、スムースな口あたりを愉しんでください。シーバス・ブラザーズ社1801年、スコットランドでコーヒーやブランデーなどの高級品を扱う店を営んでいたシーバス兄弟がシーバス・ブラザーズ社を創業。王室をはじめとする富裕層の「より滑らかで豊かな味わいのウイスキーを」という要望に応え、1850年代に、熟成したウイスキーのブレンディングを地下のセラーで始めました。1900年代初めには初代ブレンダーが世界初の25年熟成のブレンデッドウイスキーを作り、製品名を「シーバスリーガル」と命名。「シーバス」は創業者のシーバス兄弟の名前から、「リーガル」には「王者にふさわしい」「威厳のある」という意味があるそうです。その後、アメリカへの輸出が始まり、1920年代に禁酒法が施行されるまでアメリカの代表的なウイスキーブランドとして人気を博しました。1938年にシーバスリーガルは世界で初めて「12年熟成」を表示する製品として復活し、現在に至ります。■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009撮影協力:Bar K36/撮影:ハリー中西
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