京都美酒知新
全国にファンのいる名バーテンダー西田稔さんに、その月にちなんだクラシックカクテルとウイスキーをご紹介いただきます。それぞれの歴史や醸造にまつわる物語、西田さんとの出合いなど、読んで楽しくためになるお話を散りばめていきます。
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BLOG京都美酒知新
2020.11.29
カクテルが飲みたくなる話「アイリッシュコーヒー」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員アイリッシュコーヒー カクテル言葉「あたためて」アイリッシュコーヒーが誕生したのは、1943年の頃だと言われています。アイルランドの西にあった水上飛行場で作られました。当時、アイルランドを含めた大西洋の航路は、主に飛行艇と呼ばれる水上に胴体着陸する大型の水上飛行機を利用していたのです。今に比べて飛行機の航続距離は短く、給油のために途中着陸する必要がありました。乗客たちはそのたびに飛行艇から降ろされ、ボートで移動して待合い室へ行く。極寒の時季に外に出される乗客は凍えながら待合い室のラウンジへと急ぎ、アイリッシュコーヒーを飲んだのです。底冷えの京都でバーホッパーたちが次の店に移る際に、アルコールを自分のために給油。そして次の店で「あ~寒かった!」とオーダーするのが、このアイリッシュコーヒーです。カクテル言葉は「あたためて」。なんとホットなカクテルでしょう。ウイスキーを注いだ角砂糖に火をつけてグラスに入れ、そこにホットコーヒーを注ぎます。ホイップクリームを上から重ねればできあがり。バーテンダーがつくる様子を眺めているだけで、身も心もあたたまります。カクテルレシピアイリッシュウイスキー 40mlホットコーヒー 1杯(180ml)生クリーム(ホイップ) 45mlベイリーズ 10ml角砂糖11月のウイスキーブッシュミルズ ブラックブッシュ 熟成させたモルト原酒を80%以上使用し、少量生産のグレーンウイスキーとブレンド。シェリー樽熟成由来の熟した果実の香りと重厚な味わいが特徴です。ロックグラスに氷をひとつ、静かにブッシュブラックを注ぎます。シェリー樽のニュアンスがある熟成したふくよかな風味は、最初は強く、そして徐々に溶け出す氷と混ざりながら口の中に広がります。寒くなる時期にオンザロックで飲むことで、体の芯をあたためてくれます。アイリッシュコーヒーのベースとして味わうのもおすすめです。ブッシュミルズ蒸留所とはアイルランド島の北端、冷たい海に面したイギリス領北アイルランド・アントリム州。この地に立つブッシュミルズ蒸溜所は、1608年創業とも言われるアイリッシュウイスキー最古の蒸溜所のひとつです。アイリッシュウイスキーの伝統的な製法である3回蒸溜を守り、モルト原酒の原料には100%アイルランド産のノンピート麦芽を使用することで、軽やかでスムースな口当たりを実現。それでいてモルトの味わいがしっかりと感じられるのが特徴ですアイルランドで1850年代に麦芽税が施行されると、多くの蒸溜所では未発芽大麦を使用するようになりましたが、ブッシュミルズは大麦麦芽(モルト)にこだわり続けています。(アサヒビールHPより)撮影:ハリー中西■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009
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BLOG京都美酒知新
2020.10.20
カクテルが飲みたくなる話「ブルームーン」
■西田稔(にしだみのる) 京都木屋町二条「Bar K6」、「cave de K」、「keller」のマスターバーテンダー。2020年開業の「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「Bar K36」を監修。自らもカウンターに立つ。京都生まれ、同志社大学卒業後、東京のバーで経験を積み、1994年に「Bar K6」を開業した。シャンパーニュの将校、グラッパの騎士、クリュッグアンバサダー、ウイスキーコンテスト審査員BLUE MOON ブルームーン カクテル言葉「完全なる愛・叶わぬ恋」古の時代から、満月の日15夜とその前の少しだけ欠けた13夜は両方愛でるものとされ、片方だけ見ることを片見月と呼んでいました。2020年は10月に15夜と13夜(10月29日)の両方がある珍しい年です。男性から愛の告白をするのが当たり前だった時代、15夜に男性から告白された女性は、その後の13夜だけは、自分から男性を誘ってもよかったのだそうです。それは15夜の告白に対する、YESの返事だったのですね。なんとロマンチックなストーリーでしょう。そんな満月が美しい10月にご紹介するカクテルは「ブルームーン」です。ジンにパルフェタムール(完全な愛)という名のリキュールを合わせています。実は、このカクテルのカクテル言葉はふたつ。「完全なる愛」と「叶わぬ恋」です。果たしてあなたの恋は、どちらでしょう?今回は、嵐山の渡月橋下に船を浮かべて観月を愉しむ月見酒の風情を演出しました。川に映る月と、盃に映る月。空を見上げるだけでなく、たまには自分のグラスに月を映して、いつもとは違うお月見を楽しみたいところです。カクテルレシピ季の美 30mlパルフェタムール 15mlレモンジュース 15mlレモンピール10月のウイスキーラフロイグ10年のソーダフロートラフロイグ蒸留所のフラッグシップ・モルトで、世界的な人気を誇る1本です。爽快なピート感や磯の香が強烈で、独特の風味をもっています。1stフィルバーボン樽熟成による甘いバニラの香りとクリームのような滑らかさを併せもちます。ソーダを入れたグラスに氷を加え、ウイスキー30mlを静かに浮かべるように注ぎます。口にすると最初はウイスキーそのものを、その後氷が溶け込んだウイスキーを、最後にソーダが混ざった味を。つまり、ストレート、ロック、ハイボールの3つの味わいを1杯で楽しめるのです。ラフロイグ蒸留所とはスコットランドの西岸沖、インナーヘブリディーズ諸島の南端に位置するアイラ島の蒸留所です。アイラ島は、淡路島よりやや大きいくらい。そこに、8つの蒸溜所とひとつの製麦工場がある世界でも珍しいウイスキー島で、ウイスキーの聖地とも言われています。創業は1815年。フラッグシップ・モルト「ラフロイグ」は、力強い酒質で伸びがよいウイスキー。20世紀初頭のアメリカ禁酒法時代にも、薬用酒としてアメリカに輸出されていたのは、薬品のような香りに薬用効果があると認められたからだといわれています。(サントリーHPより)撮影:ハリー中西■Bar K6京都市中京区木屋町二条東入ル ヴァルズビル2F075-255-5009
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