京のとろみ
料理を撮影し続け40年。京都の食事情を知り尽くした食いしん坊カメラマンが、好物のとろみ料理を披露する新企画。和食のあんかけ料理をはじめ中華の甘酢餡、カレーうどんやデザートまで。ハリー巨匠撮影、シズル感たっぷりの写真とともにご紹介します。
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2020.11.29
「加茂みたらし茶屋」のみたらし団子
京都最古の神社と言われ、世界遺産でもある下鴨神社。 その門前にあるのがみたらし団子発祥の地「加茂みたらし茶屋」である。 創業は1922年なので約100年の歴史がある。 下鴨神社の糺の森にある御手洗池(みたらしいけ) この池の湧き出す泡の形から「みたらし団子」と名付けられたらしい。 こちらでみたらし団子を注文すると木のスプーンが付いてくる。 これがいい! 団子にとろとろの餡をたっぷりかけて食べられる。 濃厚だけど甘さ控えめな餡なのでたっぷりかけて食べたい。 なんなら餡だけでも食べたい。 この餡をごはんにかけて食べてみたい。 それくらいみたらしの餡が好きだ。 店頭の提灯がみたらし団子の形なのも好きだ。
ハリー中西
料理カメラマン
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2020.09.30
「天下一品」のこってり
全国に展開する京都発祥のラーメン店には 新福菜館、横綱、魁力屋など人気店がたくさんあるが ファンの多さでは天下一品が一番だろう。 ファンは親しみを込めて「天一(てんいち)」と呼ぶ。 天一のラーメンにはこってりとあっさりの二種類あるが 基本はスープドロドロのこってり。 あまりにもドロドロなのでよく豚骨と間違われるが 鶏ガラと野菜をじっくり煮込んでとろみを出している。 なので見た目ほどひつこくなくスープは飲み干せる。 私が初めて天一を食べたのはたぶん40年位前だと思うが それまで味わったことのないドロドロに衝撃を受けた。 これが美味しいのかどうかもわからなかった。 30代の頃、木屋町でバーテンダーをしてた頃はほぼ毎日 天一を食べていた。 そして今も、40年を超えて定期的に食べている。 ラーメンを食べたい時に行くのは天一ではない。 「天一に行こう!」という気分の時に食べるのだ。 「天一のこってり」という食べ物があるのだ。 食べ終えるとラーメン鉢に「明日もお待ちしております」と 書いてある。 明日は来られるかわからないけど、きっとまた近いうちに来ます。
ハリー中西
料理カメラマン
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2020.08.31
「洋食おがた」のナポリタン
京都の御所南と呼ばれるエリアに店を構えて5年。 全国から食いしん坊の集まる洋食店がある。 シェフの緒方氏とはここの前々店からの付き合いだ。 ハンバーグやビフカツなど洋食の定番メニューはもちろん 最近は焼津のサスエ前田魚店から仕入れる魚介類も豊富で メニューの幅が広がった。 塊で焼く尾崎牛のステーキや火入れの素晴らしいアジフライもいいが 昭和のベタな洋食が好きな私はナポリタンなどを選んでしまう。 粉チーズとタバスコで食べる喫茶店のナポリタンも捨てがたいけど ちゃんとした洋食店のナポリタンは一味違う。おがたのナポリタンには半熟卵の目玉焼きが乗る。 これがいい! ゆでたまごでも生卵でも温泉玉子でもない、目玉焼きが一番合う。 半熟の目玉焼きを潰さないように食べ進め、自分のベストな タイミングで卵の黄身をフォークで潰す。 とろっとろの黄身が溢れ出しケチャップソースと混ざり合う。 その部分をフォークに絡めて食べる。 シンプルに最高である!ちなみにカレーライスには目玉焼きではなく生卵です。
ハリー中西
料理カメラマン
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2020.07.31
「中華処 楊」の中華風カツ丼
中華料理はとろみの宝庫だ!八宝菜、酢豚、麻婆豆腐、エビチリ、フカヒレ、天津飯・・・・・・数えあげたらキリがない。 そんな中華料理の中におそらく賄い料理から始まったであろうカレーライスやカツ丼をメニューに載せてる店がけっこうある。今回は四条堀川の交差点を少し東に入ったところにある「中華処 楊」さん。ランチ時は周辺のサラリーマンやOL、近所の常連さん達で賑わっている。昼夜通し営業なのもありがたい。こちらの大将は一見すると喧嘩の強そうなイカツイ感じだが話をすると人柄の良さや優しさが伝わってくる。いろんなボランティア活動もされてるみたいだ。 そして、こちらの名物的料理が中華風カツ丼!ごはんの上に薄めのカツが乗り、たっぷりの中華餡がかかっている。サクサクしたカツと少し甘めのあっさり餡が実によく合う。他の料理も全体的にあっさりで土台となる中華スープがしっかり作られてるのがわかる。 カレー餡に変更も可能だと聞いたので次回は中華風カツカレー丼にしてみよう。
ハリー中西
料理カメラマン
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2020.05.28
「鳳泉」の酢豚
京中華というジャンルがある。京都中華、京風中華とも呼ばれ町中華でもなく高級中華でもない京都で生まれた独特の中華料理だ。油ギトギトではなく、香辛料やニンニクも控えめで昆布だしを使う。あっさり中華は花街の舞妓さんや芸妓さんにも人気がある。そんな京中華の中に鳳舞、第一樓、飛雲の料理を受け継ぐ「鳳舞系」と呼ばれる店がある。鳳泉、鳳舞樓、龍鳳、鳳飛、平安などがそうだ。 河原町二条に店を構える「鳳泉」さん。こちらの人気メニューはエビカシワソバ(からしそば)やシャキシャキくわい入りの焼売、卵生地の春巻きなど。どれも上品な味付けで私も大好きだが甘酢を愛する私が必ず注文するのが酢豚だ。食べやすいように小さめにカットされた豚肉、ライチ、胡瓜、パイナップルが入り爽やかな酸味の効いた甘酢餡がたっぷりとかかってくる。酢がきつくなくフルーティーな酸味で優しい。 この酢豚と必ず一緒に注文するのが炒飯。濃い味付けの酢豚の場合は白ごはんがよく合うが、こちらの酢豚には同じくあっさり仕上げた炒飯がベストマッチだと思う。このパラパラあっさり炒飯にとろとろ爽やか甘酢餡をかけて食べるのが最高に幸せである。
ハリー中西
料理カメラマン
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2020.03.31
「京うどん だいりき」のあげカレー丼
壬生寺近くの「京うどん だいりき」さん。 おいなりさんが名物で昼過ぎには売り切れてしまう。 店先には「おいなりさん売り切れました」や「おいなりさんあります」の札が出ている。 私がここで注文するのはだいたいカレー物で、うどん・そば・中華麺・丼から選ぶのだが、「あげカレー丼」を頼むことが圧倒的に多い。 ここでは肉よりお揚げさんだ。 あげカレー丼を注文すると「お揚げさん甘いのにしますか?甘くないのにしますか?」と聞かれる。 私はいつも甘いほうを頼むのだが、これも売り切れてる時がある。 京都人は甘いお揚げさんが好きだ。 ふっくら炊き上がった揚げに甘いだしがしっかりしみ込みカレーのスパイスとの相性がいい。 具は揚げの他に九条ねぎと玉ねぎ。 餡は片栗粉抑えめで私の好み、絶妙なとろとろ具合い。 カレー丼の場合はレンゲでいただくのでこの餡をたっぷりすくえるのがいい! ごはんと甘いお揚げさん、たっぷりのカレー餡をレンゲに山盛りにして熱々を頬張るのが最高に美味しい。 やわやわの京うどんを楽しみたい時はカレーうどん、二日酔いの時はカレーそば 腹ペコの時はカレー中華を白ごはんにオンザライス。 これが私のだいりきの楽しみ方である。
ハリー中西
料理カメラマン
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2020.02.29
「とうひち」のつけそば
京都の中心地から北に向かって車で30分、バスと徒歩なら1時間。閑静な住宅街に「らぁ麺 とうひち」はある。車やバイクが無ければかなり行きにくい場所なのに家族連れからラーメンマニアまで幅広い層に愛され連日行列が絶えない人気店である。鶏醤油らぁ麺、鶏醤油つけそば、鶏油まぜそばを軸に限定メニューも展開されている。厳選された鶏、生揚げ醤油を使ったスープやつけ汁は当然旨いのだが自家製麺の麺がいい!そして、その麺を一番味わえるのがとろとろヌルヌルの昆布水に浸されて提供される鶏醤油つけそばである。つけそばには塩、わさび、つけ汁が用意され最初は塩とわさびだけで麺を楽しみその後つけ汁につけていただくのだが、とろとろ昆布水に浸った麺が美味しすぎて塩とわさびだけで麺を食べ終えてしまいそうになる。なんなら塩もわさびもつけず、昆布のとろみだけでも旨い!極めてシンプルだ。看板メニューは鶏醤油らぁ麺だがつけそばのファンも多く、これしか食べない客もいると聞く。店は辺鄙な場所ゆえ、何かのついでではなくわざわざ行かなければならないしわざわざ行くべきラーメン店である。
ハリー中西
料理カメラマン
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2020.01.29
「とり安」の唐揚げ丼
京都人は玉子好き! だし巻きや玉子サンドをはじめ、親子丼・オムライス・天津飯などで有名な店が京都には数多く存在する。例に漏れず私も大の玉子好きで子供の頃は毎朝卵かけご飯。 お弁当にも絶対卵焼きが入っていた。 今でも玉子は毎日欠かさず食べている。 そして今回は私の大好きな卵料理を紹介したい。 とり安のからあげ丼だ!京都のオフィス街の中心地、烏丸御池に「とり安」はある。 とり安は明治23年創業のかしわ精肉店。 夜は鳥料理やお酒を楽しめるが私の目当てはランチ。 ランチメニューはとり安定食・からあげ丼・親子丼・玉子丼の4種類。 それぞれのメニューにファンがついているが私はからあげ丼の一択。 味付けされた唐揚げがゴロゴロ乗った丼に出汁の効いたふわふわとろとろの玉子がたっぷりとかかってくる。 この玉子のとじ方が独特で他にはない。 めちゃくちゃ美味しい! もちろん唐揚げも抜群に旨いのだがこのとじ玉子のせいで私の中でこの丼は卵料理になってしまっている(笑) だから親子丼や玉子丼も当然美味しい! 最初からかかってくる京都の山椒もいい。 付いてくる赤だしとタクアンも好き。 店の雰囲気や接客も素晴らしい。ただ、定休日が木・土・日・祝と多く昼の営業時間が11時30分〜14時と短い。 さらに、いつも行列なのでなかなか行けないのが難である・・・。
ハリー中西
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