京のとろみ
料理を撮影し続け40年。京都の食事情を知り尽くした食いしん坊カメラマンが、好物のとろみ料理を披露する新企画。和食のあんかけ料理をはじめ中華の甘酢餡、カレーうどんやデザートまで。ハリー巨匠撮影、シズル感たっぷりの写真とともにご紹介します。
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2022.03.31
「一和」のあぶり餅
今宮神社の東門参道(旧参道)に向かい合わせで2軒あるあぶり餅の茶店。東門を出て左側にあるのが「一和」、右側が「かざりや」。一和の正式名称は「一文字屋和輔」で創業は長保2年(西暦1000年)平安時代から1000年以上続く日本最古の和菓子屋である。あぶり餅とは小さくちぎった餅をゴザの上できな粉をまぶし、竹串に刺して炭火で焼き上げ白味噌のタレをかけたもの。白味噌は京都の本田味噌の特上西京白味噌を使用し、ほどよい甘さとわずかな塩味でいくらでも食べられる。炭火で焼いた餅の焦げととろみのある白味噌の甘味のバランスがいい。今宮神社に奉納された斎串を使った竹串を使用してるので、疫病除け、無病息災のご利益も期待できる。ちなみに向かい側の「かざりや」さんも400年以上の歴史があるあぶり餅の専門店。2軒をはしごして食べ比べるのも楽しい。
ハリー中西
料理カメラマン
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2022.02.28
「吉野」の辛ソース
三十三間堂のほど近く、住宅街の路地裏に「お好み焼き 吉野」はある。今でこそ、観光客や修学旅行の生徒たちにも人気の店になり、週末には行列も出来るようになったが私が通い始めた40年近く前は教えてもらわなければまずたどり着くことが出来ないし常連客だけのかなりディープなお好み焼き屋だった。京都市内の七条より南にはこんなディープなお好み焼き屋が何軒も存在するし、それぞれの店に色や味、特徴があるけれど一番好きなのは吉野さん。メニューはミノ、ホソ、スジ、レバーなどホルモンの鉄板焼きに始まり、お好み焼き、焼きそば、ヤキメシ、そばめし、オムライスなどビールや酎ハイが止まらない。私が必ず注文するのはミノ鉄板焼き、ホソ入り焼きそば(野菜抜き)。お好み焼きは豚玉にイカと油かす入れて玉子はダブル。お好み焼きはにはソースは塗らず焼き上げた状態で運ばれるので、ソースは自分で塗るスタイル。鉄板横には甘ソース、辛ソース、カツオ、青のりが用意されている。甘ソース、辛ソースを自分の好みでお好み焼きに塗るのだが、とろみのある辛ソースが旨辛濃厚で最高!お好み焼きに限らず鉄板焼きや焼きそばにもたっぷりつける。結果、なんぼでも酒が飲めるマジックソース(笑)野菜抜きを注文すると「野菜食べなあかんで!」と叱ってくれるお母さん鉄板焼きも焼きそばもお好み焼きも全部美味しいけど私が吉野に来るのは、吉野のお母さんに会いたいからだと思う。昨年50周年を迎えられた吉野さん、まだまだ通わせていただきます!
ハリー中西
料理カメラマン
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2022.01.27
「カリル」の月替りカレー
この一年半、毎月欠かさず通っている飲食店がある。私は新店を開拓するというよりは同じ店に通うタイプではあるが、一年半に渡り毎月欠かさず通うという店はそんなにはない。京都第二赤十字病院の東側、新町通りに面してある、京都カレー製作所「カリル」がその店。毎月行く理由の一つが月替りカレーだ。チキンカレーやポークカレー、ビーフカレーなどのレギュラーカレーに加え、月替りカレーが存在する。レギュラーメニューのカレーもどれも美味しいのだが月替りがあるので月に2回以上行かなければレギュラーを食べることができない・・・笑2022年1月の月替りは念願のカツカレー!カリルはスパイスカレーの店なのでルーのとろみはサラッとしている。カツカレーといえばどろりとした欧風カレーのイメージが強いが、カリルのカツカレーは見事にスパイスカレーだった。生卵を全卵トッピングすれば卵のとろみとサクサクのカツが絡み合い、なんと言うか最高になる。今年も通い続けることになるカリルの月替りカレー。どんなカレーが登場するのか楽しみで仕方ない。今年は月2回以上行くけるよう、機会を増やしレギュラーメニューもいただこう!
ハリー中西
料理カメラマン
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2021.12.30
「食堂酒場たなか」の粕汁
私が生まれ育った三条会商店街。三条通りの堀川から千本まで、800mのアーケードは、直線の単一商店街としては日本一の長さらしい。大正3年に72軒でスタートした商店街が今では新旧含め、約200店舗並んでいる。「365日晴れの街」のキャッチフレーズで、マラソンの野口みずき選手が雨の日はこの商店街を走っていたのは有名な話である。三条会商店街の東寄り、猪熊通りを少し南に下がった所に、食堂酒場たなかがある。私の家から歩いて行けるのでふらっとお邪魔することが多い。こちらのマスターとはBAR K6時代からの長い付き合いだ。お酒の種類も豊富でマスターの作るカクテルは本当に美味しい。気さくな人柄で一見ゆる〜い雰囲気だが、お酒を作る姿はキリッと美しい。食堂酒場の名のとおり、料理も充実していてお酒が進む。定番のポテトサラダやタマゴサンド、おでん、唐揚げなどから、オムライス、パスタ、丼物までご飯物も数多く用意されている。そんな中から先日いただいたのが「柔らか豚角煮の粕汁」。注文して待っていると土鍋で提供される粕汁に驚く!その土鍋の中にはでっかい豚の角煮、ゆで卵、大根、人参、ゴボウ、こんにゃく、お揚げなど具がたっぷり。伏見の酒蔵、齊藤酒造「英勲」の酒粕を使用した粕汁は濃厚で、しっかりとろみがあり具材によく絡む。私が合わせたお酒はシーバスリーガル ミズナラのハイボール。濃厚な粕汁とハイボールは最高の組み合わせだ。何杯でも飲める。食堂酒場たなかが近所にあってよかった。
ハリー中西
料理カメラマン
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2021.11.26
「銀の塔」のビーフシチュー
1955年、東京銀座でオープンしたシチュー専門店「銀の塔」パリ「トゥール・ダンジャン」のレシピを受け継ぐシチューはパリの味と絶賛された。その「銀の塔」の唯一の暖簾分けの店が長年にわたり京都祇園にあったのだが、2020年5月、ビルの老朽化により惜まれつつ閉店となった。そんな折、40年来の付き合いのある「ミートショップMARUTAKE」の主人が、「うちでやらないか」と声をかけ同年9月MARUTAKE内でオープンした。店頭にかかる祇園時代の「シチュー専門店 銀座 銀の塔」の看板が誇らしい。ミートショップMARUTAKEは竹屋町通り烏丸を東に進んだ所にあり、2008年頃に「麺屋◯竹」と言う名でラーメンフリークを虜にした店だ。ラーメン好きの私も週に2−3回通っていた。もう一度、あの魚出しのラーメンを食べたいと常々思っている。ここのシチューは見た目とは裏腹にスッキリとしている。甘さを抑えた酸味が心地よい。赤ワインとベストマッチするのは当然だが、シチュー定食には、ごはんと漬物が付いてくる。和風だしを使ったシチューだから、ごはんや漬物との相性が抜群である。シチューの牛肉と漬物で最初のご飯を食べてからおかわりご飯は土鍋のソースの中に投入するのがオススメだ。
ハリー中西
料理カメラマン
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2021.10.29
「プチレストランないとう」のゴルゴンゾーラポークカツ
2001年 、河原町三条にオープンしたプチレストランないとう。当時はカウンター8席、たった4坪のレストランだった。横歩きしか出来ない細長いオープンキッチンで動き回る大きな体の内藤さん。この動きにくい狭い厨房で作られる「とんかつ」が絶品で、一発でファンになってしまった。豚汁、ごはん、漬物も本当に美味しい。とんかつが美味しすぎて、他にどんなメニューがあったのか覚えていない・・・笑そして、2004年に柳馬場夷川上ルに移転されるのだが。いきなり60坪に広がりカウンターは11席、座敷に2テーブル、その奥にはさらに蔵のテーブル席まで出来た。キッチンも以前とは比べ物にならないほど前後左右に広くなった。メニューの数もどんどん増えていき、この時に生まれたのが、ゴルゴンゾーラポークカツ。分厚いポークカツの中にたっぷりのゴルゴンゾーラチーズが仕込まれ、ナイフを入れるととろみのあるチーズが溢れ出てくる。このチーズと少し苦味のあるドミグラスソースが混ざり合い、赤ワインが止まらない。この一皿でワイン1本軽く空いてしまう。2019年、麩屋町二条下ルに移転された今もこのメニューは健在だ。現在はコース料理ではなくアラカルトで注文出来るので、ゴルゴンゾーラポークカツとワインだけというオーダーも可能だが他にも魅力的な料理がゴロゴロあるので一皿で帰るのはまず不可能だろう。前菜的な料理、メインの一皿、ひとくちカレーライス、たっぷりのお酒。これらをカウンターでいただくのが私の定番である。
ハリー中西
料理カメラマン
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2021.09.30
「ひばなや」のぞうすい
京都市左京区高野にある「ひばなや」は、ふぐ専門店だ。創業は大正8年。京都で最初にふぐ処理の認可を得た店である。京都市内の中心地からは離れた地域にあるが全国のふぐファンに愛されている。夏場の営業はなく、5月末から9月末までは休業される。私がふぐ屋に行く目的はてっさと焼きふぐとひれ酒である。ぶつや唐揚げも欲しい。が、てっちりは無くてもいい。いや、ほんとは要らない。しかし、ぞうすいは絶対食べたい!なので、ぞうすいをいただきたいために仕方なくてっちりを注文する。鍋を囲んでる仲間が食べてるのを見ているだけでもいい(笑)鍋物の〆のぞうすいはだいたい美味しいけど私はふぐのぞうすいが一番好きだ。ふぐの皮から溶け出したゼラチン質が絶妙なとろみとなる。このとろみと溶き卵が絡んで最高のぞうすいになる。ぞうすいを食べるためのてっちりなのだ。昭和20年代、ふぐ毒が恐れられていた当時の「ひばなや」のキャッチフレーズは「くちびるがしびれたら百万円」だった。
ハリー中西
料理カメラマン
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2021.08.30
「そば処みやこ」の天とじ丼
そんなに頻繁に行くわけではないが30年以上通っている蕎麦屋がある。西洞院通蛸薬師下ルにある「みやこ」さんだ。近所の方やサラリーマン、OLに愛されている普段使い出来る蕎麦屋さん。蕎麦、うどん、焼きそばなど自家製麺が良い。夏場は細いささめうどん、冬は味噌煮込みうどんなどメニューも豊富で、いつもオーダーに困ってしまう。にしんそばや天ぷらそばも抜群に旨い。丼物の種類も多く、中でも卵とじ系が素晴らしい!玉子丼、親子丼、衣笠丼など、どれも美味しいけれど私のオススメは天とじ丼!トロトロにとじられた卵と天ぷらの衣が最高の組み合わせになる。卵と出汁をたっぷり吸った衣が一体となり口いっぱいに広がる。幸せすぎる。昼の日替わり定食は麺類と丼物(小)、小鉢が付いて¥1100こちらもオススメである。
ハリー中西
料理カメラマン
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