食知新ブログ
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BLOG京都知新弁当&コース
2020.01.28
下鴨茶寮
<第二弾の企画は2020年3月31日で終了いたしました。>京都知新 下鴨とろみ膳 5,500円(税込)体を温める根菜など冬の野菜をたっぷり使った女性好みのお弁当です。なかでも目を引くのが、彩り豊かな野菜の八寸。その時季美味しい野菜を、焼いたり蒸したり酢漬けにしたりと違った料理法で盛り込みました。3月には春野菜も登場します。とろみ料理は鴨ミンチを鋳込んだ鴨まんじゅう。優しい味わいの銀餡との相性も抜群です。牛肉の唐揚げ、ちらし寿司など多彩な味をお楽しみください。 八寸五味五法 野菜彩色椀物帆立真丈 薄氷大根 鶯菜 柚子造里鮪 琥珀卵鉢鴨饅頭 鼈甲餡焼物鰆幽庵焼き揚物牛唐揚げ食事ちらし寿司甘味嶺岡豆腐 苺 小豆※仕入れ等の状況により料理の内容を変更させて頂く場合があります。※1日10食限定■ 下鴨茶寮 京都市左京区下鴨宮河町62075-701-5185昼11:00~15:00(LO14:00)夜17:00~21:00(LO20:00)不定休
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BLOG京都知新弁当&コース
2020.01.28
京都吉兆 グランヴィア店
<第二弾の企画は2020年3月31日で終了いたしました。>知新とろみコース 10,000円(税込)季節の八寸のほか、あんをかけた蒸野菜、お造り、お椀などの料理に京都牛のすき焼きもついた豪華な御膳です。湯気をあげた熱々の蒸野菜や炊きながらとろろ卵を付けて味わうすき焼きなど、温かなお料理がメイン。新幹線に乗る前などお急ぎでも、さっと召し上がっていただける内容にしました。※お急ぎの場合は前もって予約を 向附つぶ貝 菊菜 赤蕪 椎茸 土佐酢ゼリー 針生姜 帆立 九条葱 山葵ゼリー 柿なます煮物椀海老真丈 大黒しめじ 三度豆 柚子造里鰤 やいとがつお 烏賊 山葵 揚昆布焚合蒸し野菜(海老芋 大根 慈姑 堀川牛蒡 金時人参 法蓮草 生姜餡汁 赤玉味噌)御飯京都牛すき焼(糸蒟蒻 白葱 ハナビラ茸 平茸 湯葉 芹)とろろ玉子 炊きたて丹後こしひかり香の物小蕪 日野菜 蕪菜※仕入れ等の状況により料理の内容を変更させて頂く場合があります。■ 京都吉兆グランヴィア店京都市下京区東塩小路町901 ホテルグランヴィア京都M3階075-342-0808昼 11:30~15:00 (LO 14:00 *個室は13:30)夜 17:30~22:00 (LO 20:00 *個室は19:30)年中無休
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BLOG京都知新弁当&コース
2020.01.28
HANA吉兆
<第二弾の企画は2020年3月31日で終了いたしました。>知新とろみ和牛膳 12,000円(税別)季節の八寸の後に、近江牛のしゃぶしゃぶをたっぷりと味わっていただく特別御膳。昆布と鰹節でとっただしには淡い味がついていますが、とろみのある割り下風のタレかちり酢を付けてお召し上がりください。野菜も豊富でボリュームのあるメニューです。〆には肉や野菜の旨味あるだしでうどんやぞうすいをどうぞ。※3日前までに要予約 向附福豆 雲丹旨ゼラかけ 鮪たたき 車海老酢物鍋近江牛サーロイン 白菜 糸こんにゃく 椎茸 玉葱 白葱 水菜 豆腐 ちり酢 割下餡地 白御飯 香の物果物季の物※仕入れ等の状況により料理の内容を変更させて頂く場合があります。■HANA吉兆京都市東山区大和町3-2075-531-1500昼 11:30~14:30(LO13:30 *)夜 17:00〜22:00(LO20:00)* 懐石料理のLOは13:00です。定休 毎週水曜日、年末年始
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BLOG京都知新弁当&コース
2020.01.28
京都吉兆 松花堂店
<第二弾の企画は2020年3月31日で終了いたしました。>知新とろみ松花堂弁当 7,000円(税込)寒い時季だからこそ、お弁当であっても体を温める料理を召し上がっていただきたい。そんな思いを込めた松花堂弁当です。とろりとした温かい餡のかかった炊き合わせやお椀でほっと一息ついてください。2月には福豆や寒ブリ、3月には桜鯛など季節の味も盛り込みます。蓋を開けたときに上がる湯気も冬のご馳走です。 向附胡麻豆富 山葵御椀チャイロマルハタ 長芋 松葉柚子 蓮軸 糸人参松花堂弁当亦牛ロースすきやき 玉葱 モロッコインゲン 黄身だれ造里鰤 鯛 あしらい ちり酢 醤油八寸福豆 金柑 菊菜白和へ 切干大根 茶碗蒸し 生姜焚合海老芋 金時人参 法蓮草 椎茸 薄餡仕立て 刻み柚子御飯白御飯香の物白菜 梅蕪 青味 さざなみデザート抹茶ゼリー 小豆※仕入れ等の状況により料理の内容を変更させて頂く場合があります。■京都吉兆松花堂店京都府八幡市女郎花43-1075-971-3311昼 11:00~ LO 14:30 夜 完全予約制(17:00~LO19:30)(15:00~17:00は喫茶営業のみ)定休 月曜日(祝日の場合は翌平日に振替)、年末年始(12月27日~1月6日)
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BLOG料理人がオフに通う店
2020.01.27
「にし野」―「隆兵そば」中村隆兵さんが通う店
「隆兵そば」中村隆兵さん《プロフィール》京都市出身。昭和51年、京菓子の「中村軒」4代目の次男として生まれる。大学卒業後、東京で4年ほど料理の修業をした後、小浜の禅寺に行き原田老師に師事。その後、丹波篠山の「ろあん松田」の大将と出会い、蕎麦作りを学ぶ。平成16年に「隆兵そば」を開業。良質の地下水を用いて仕立てる蕎麦と川魚料理のコースが人気を集めている。店主入魂の焼鳥を味わい尽くす充実のおまかせコースを、豊富な燗酒とともに阪急西院駅近くの住宅街に、おいしい焼鳥をコースで食べさせる「にし野」がある。2014年にオープン。中心部から離れた場所にありながら、今や全国からファンが訪れる人気店だ。中村さんとこの店の出会いは数年前だという。「仲のいい杜氏さんと一緒に行ったんですけど、ご主人の西野さんと同い年で、しかも誕生日まで同じだとわかり、盛り上がりました。コースで出されるのが珍しいしおいしかったので、それから通っています」と、中村さん。対する店主の西野顕人さんも、「隆兵さんは職人さんとご一緒に来ていただくことが多いです。同い年ですけど、料理人としては先輩だし、学ぶことだらけです。とにかくぶれないすごい人。とても尊敬しています」と語る。店舗は新聞販売所の建物を改装。厨房を囲むようにカウンターが設けられている。メニューは7000~8000円のコースのみで、決まった時間に一斉に始めるスタイルだ。「店のわがままになるのかもしれませんが、コースにして鶏を一羽丸ごと毎日使い切るほうが、いい鶏を仕入れることができるし、新鮮なものを新鮮なうちに使えるので」と、西野さんは説明する。現在は、目利きの業者から京都の丹波黒鶏と和歌山御坊の宮子姫地鶏を仕入れ、部位により使い分けている。「仕事に対してすごく真摯で、真剣にやられているところが気に入ってます。焼く技術が尋常じゃないというか、ピンポイントで狙って焼くのがすごい」(中村さん) 中村さんが「焼きのスペシャリスト」と絶賛する西野さんは、東京の焼鳥店で約10年間修業した後、地元の京都に戻って独立。開業までの1年間、勉強のために鶏肉業者で働いていたそうだが、そのことからも焼鳥に対する熱意が窺える。「京都で扱われている鶏のことを勉強したいと思って、中央卸売市場の鶏屋さんで鶏を解体する仕事をやらせてもらうことにしたんです。その仕事の傍ら、物件探しをしていました。その仕事が楽しくて、3カ月の予定が結局1年働いていました」と、西野さん。炭は土佐の備長炭。特に良質の炭を作る生産者から仕入れている。「生産者さんの窯にも何度か行って、いろいろ教えてもらっています」(西野さん) 「鶏のいろいろな部位が出てくるんですが、間に野菜をはさみながら、シメに親子丼やおにぎりが出てきたりします。塩でシンプルに食べるものもあれば、ソースを使ってアレンジするものもあって、とにかく飽きさせないですね」(中村さん)コースの内容はその時々の仕入れで変わり、野菜やスープ、漬物などを入れて15品ほど。焼鳥は手羽先、レバー、もも肉、つくね、鴨肉、ささ身などがお決まりで出されたあと、その他の部位をお客に選んでもらうという流れだ。レバーに赤酢を一塗りして出したり、鶏のたたきに3種をブレンドした酢、塩、柑橘を合わせたりと、さまざまな趣向でお客を楽しませる。中村さんのお気に入りは、「手羽先」。「皮がパリッとしてジャストの焦げ目がついているし、焼きのレベルが全然違う。手羽先って普通の焼鳥より形がいびつなんですが、どの角度から見ても焼きが完璧で、すごく感動しました」(中村さん)「うれしいですね。隆兵さんもシンプルな料理をされてるので、そういう点で料理について感じている部分は近い気がします」(西野さん)絶妙に火入れされた手羽先は、脂に対する塩加減も抜群で、実においしい。「焼鳥って、脂に対する塩のバランスだけなので。脂の甘さを焼き加減でコントロールするのが焼鳥やと思っています」と西野さん。中村さんのおすすめは、高知産を使った「鴨肉」。「シンプルだけど深さが堪能できる手羽先に対して、鴨肉は焼いてから休ませたり、ソースや果物を添えたりされている。焼き加減も絶妙で、季節ごとに違う食べ方ができておすすめです」(中村さん)塊で焼いて旨味を閉じ込めた鴨肉に、赤酢を煮詰めたソースと焼いた巨峰を添えて。口の中でやわらかい鴨肉がソースや巨峰の甘味と混じりあい、実に濃厚で豊かな味わいに。「ブドウと合わせて味が成立するよう鴨の塩は控えめにしています。果物と合わせることによってまた違った鴨の魅力が出ると思っています」(西野さん) ここでは日本酒やワインなどの酒類も充実。特に力を入れているのが燗酒だ。広島の「竹鶴」を中心に18銘柄ほどを豊富にそろえる。「僕は昔ながらの作り方をしているお酒が好きで。焼鳥を食べるときに燗酒を飲むと、口内で脂の味が化学変化を起こして、焼鳥の余韻が続くような感じになる。そこはお燗ならではかなと思います」と、西野さん。「カウンターで話しながら食べられるのが何よりのサービスですし、奥さんもよう気が付かれる方で、気持ちがいいお店」と、中村さん。一緒に店を切り盛りする妻の和佳さんのサポートも欠かせない。「営業中はずっと焼いているので、お客さんへの対応は大体嫁さんがしてくれます。作業が落ち着くとお話しできるんですが、そのときお客さんが話したいことがあるかという問題もあります」と西野さんは笑う。「まだまだ勉強することがあります」と、中村さんと同様、ストイックに料理に打ち込む西野さん。どの作業が楽しいかという問いに、こう答えた。「焼くことはもちろん楽しいですが、仕込みをして料理がお客さんに届いて、お客さんがおいしそうに頷いている姿を見るのがうれしいし、一番楽しいですね」■にし野京都市右京区西院北矢掛町36-16075-322-3184平日19時~ 土曜18時~・20時30分~の2部制 ※完全予約制休 水、日、祝日https://nishino-kyoto.com/
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BLOG外国人料理人奮闘記
2020.01.25
韓国人料理人チェ・ユンジョンの「いただきます」
人生を変えた出汁との出会い出身は釜山です。もともと和食が好きで、地元の日本食レストランをよく利用していました。ところが観光で日本を訪れた際、とある和食店で「お椀」を食べた時に、今まで味わったことのない出汁の味にとてつもない衝撃を受けたんです。「なんの出汁だろう? どうやって作るんだろう?」と、いろいろ調べてみましたが、言葉の問題もあってよくわからない。そこで、まずは日本語を覚えようと、来日して日本語学校に通い始めました。日本語学校に一年通い、その後、調理師学校に入って料理の基本を学びました。そこで、ようやく出汁の疑問が解けたんです。出汁の取り方の授業の時に「あ、これだ!」って。「先生、私はこれが知りたくてここに来たんです!」って(笑)、ものすごく興奮したのを覚えています。農林水産省のプログラムに参加一年後、基礎コースの卒業を控え、さらに専門的な勉強をするにはどうしたらいいかと考えていた時に、農林水産省の「日本料理海外普及人材育成事業」を知りました。早速、調理師学校に相談し、事業に参加していた浜名湖のホテルで働けることになりました。2年という期限付きでしたが、すばらしい料理長に出会い、盛り込み、前菜、焼き場、板場......と、すべてのポジションでメインを担当させてもらい、とても勉強になりました。でも日本料理を極めるには、2年じゃ全然足りないんですよ。旬の食材は出回る時期も短いので、たった2年ではほとんど何も学べません。今の技術のままでは、とても「日本料理店」の看板はあげられない。そこで再び、なにか方法はないかと調べてみたら、私の利用できそうな制度が京都にあると分かり、問い合わせてみることにしました。人生最後のチャンスに賭けてこれを逃したらもう韓国に帰るしかない。人生最後のチャンスだと思い、今までの実績として認めてもらえそうなものをすべて持って、京都の日本料理アカデミーを訪ねました。ビザの関係で一度韓国に帰国しましたが、アカデミーの担当者がとても親身になってくれて、韓国から「特定伝統料理海外普及事業」に応募。それから結果が分かるまでの長かったこと......もうダメかと思い、途中で何度も心が折れそうになりましたが、2017年12月下旬にようやく待ち望んだ連絡をもらうことができました。日本で修業を続けられると分かった瞬間、すぐに日本行きのチケットを取りました(笑)。憧れの調理場へ「菊乃井」には調理師学校時代に食事に来たこともありますし、大将の講演を聞いたこともあって、京都でも指折りの名店だと知っていました。そんな店で働けるなんて、本当に夢のようです。ホテルとは扱う食材も違うし、なにより既製品をほとんどといっていいほど使わず、調理場で一から手作りしているのに驚きました。最初は八寸場を担当し、この12月から板場に入っています。板場ではとにかく、「うまくできない自分」にいらいらしますね。自分の仕事に満足できず、歯がゆい日々です。今、調理場に女性は私一人。でもみんな私をオッサンと思っているみたいで(笑)、そのことでやりにくさを感じることはありません。勤務は朝10時からですが、修業中になんとしても「鱧と河豚」の扱い方をマスターしたくて、鱧の時期は8時に、河豚を扱う今の時期は9時に出勤しています。旬の食材を見られる期間は短いので、少しのチャンスも無駄にしたくないと思っています。公私ともに和食漬けの日々ここで5年の修行を終えた後は、まだ場所は分かりませんが、世界のどこかで自分の店を持ちたいですね。今はその目標に向かって、やるべきことをやるだけです。そのことしか考えられません。もちろん休日には京都の寺社を訪ねたり、浜松時代の友人を嵐山に案内したりと、京都の生活も楽しんでいます。京都の文化はすごいなぁと、あちこち行くたびに思いますね。「命をいただいている」という気づき調理師学校時代、屠畜場の見学に行った時に「いただきますの意味を知っていますか?」と聞かれて、その時初めて「いただきます」が「命をいただく」ことに対するお礼や感謝の気持ちを表す言葉だと知りました。動物はもちろん、植物にも命があって、それをいただいているんだ、と改めて気づき、日本語ってすごいなって。韓国にも「チャル モッケスムニダ」という「いただきます」にあたる言葉はありますが、直訳すると「よく食べます(食べるつもりです)」となり、日本語の「いただきます」が持つニュアンスはありません。それからは、いつも「命をいただいている」ことを意識して仕事をしています。店の入口に大日様の祠があるんですが、毎朝「おはようございます、今日も命をいただきます。よろしくお願いします」と心の中で唱え、手を合わせてから出勤しています。※日本料理アカデミー......若い日本料理人の育成や海外料理人の受け入れ事業など、日本料理の普及に取り組む特定非営利活動法人■菊乃井本店京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル下河原町459075-561-001512:00~12:30入店、17:00~19:30入店休 第1・3火曜
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BLOG料理人がオフに通う店
2020.01.22
「青柳」―「隆兵そば」中村隆兵さんが通う店
「隆兵そば」中村隆兵さん《プロフィール》京都市出身。昭和51年、京菓子の「中村軒」4代目の次男として生まれる。大学卒業後、東京で4年ほど料理の修業をした後、小浜の禅寺に行き原田老師に師事。その後、丹波篠山の「ろあん松田」の大将と出会い、蕎麦作りを学ぶ。平成16年に「隆兵そば」を開業。良質の地下水を用いて仕立てる蕎麦と川魚料理のコースが人気を集めている。これまでにない魚のおいしさと出合う幸せを、おまかせコースで心ゆくまで「いろいろな料理屋さんでおいしい魚を食べますけど、ここの魚料理は群を抜いていておいしいです。お値段もそれなりにしますが、その値打ちは十分あります」そう中村さんが絶賛するのが、知恩院に程近い東山を望む白川沿いに立つ「青柳」だ。完全予約制の魚料理専門店で、店主の青柳旭紘(あきひろ)さんが、旬の魚の持ち味を存分に引き出した料理を提供。ここに来ればおいしい魚が食べられると、舌の肥えた人々が通う。店内は、カウンター6席のシンプルな空間。メニューはおまかせコースのみで、一斉に食事を始めるスタイルをとっている。 「以前は違う場所で営業されていて、今年3月に移転されたんです。最初に行ったのは1年前になるのかな。仲良くしている魚屋さんが青柳さんに魚を卸していて。すごくいい魚を入れている店があるから、と誘われて一緒に行きました。青柳さんは歳が一つ下で、僕の大学時代の後輩と同級生ということもあって親しくなり、通うようになりました。まだ新しいお店には行けていませんが、近々行っていろいろ話したいなと思っています」(中村さん)中村さんのことは以前から同級生から聞いていたという青柳さん。知り合ってから中村さんの店へ行くこともあり、いろいろ刺激を受けているという。「隆兵さんを見ていると、まだまだ僕もやらなあかんことがあるな、止まってられへんなと思います。だから隆兵さんがうちに来られるときは緊張しますね(笑)」 青柳さんはさまざまなジャンルの料理を経験した後、12年前に独立。魚料理専門にしたのは、時季や産地など、条件によって変わる魚を扱うことに面白さを感じ、魚料理を極めようと思い至ったからだという。「魚には旬があるし、また鮮度が命のものもあれば、熟成でおいしくなるものもある。天候にも左右されて、常に同じ質のものが入るとは限らない。そういう意味で難しいけれど、やっていて面白いし、おいしい魚に当たるとうれしくなります。お客さんにもこういうおいしい魚を味わってもらえたら、幸せだなと思って」そこから魚屋とのいい出会いもあり、試行錯誤を重ねながら、魚に関するさまざまな知識や経験を深めていったという青柳さん。熟成の技術も、熟成が注目される前から取り入れてきたことだ。14~15種類の魚介が使われるコースは、造りや焼き物をはじめ、旬の魚介を主体に、季節野菜を盛り込んだ全7品で構成され、最後ににぎりなどの寿司が登場する。「隆兵さんが蕎麦を追求して川魚しか使わないのと一緒で、うちも魚を引き立たせるため以外、肉は使いません。魚をもっとおいしく食べてもらえるよう、最近は野菜と合わせたり、日本酒やワインと合わせたりもしています」(青柳さん)「素材の持つ個性を表現するのが僕の仕事」という青柳さん。その時々で内容が変わるコースは、魚の個性を見極めた青柳さんならではの工夫が光る。「例えばお造りでもそのまま出すときもあれば、野菜と和えたりするときもあるし、焼き物も白みそを合わせたりと、その魚に合った出し方をされていて、魚への深い愛を感じます。それも余計なことはしていなくて、新しいんだけど落ち着いてみえる。これは意外と難しくて、魚のことをよほど考えていないとできないと思います」(中村さん) 写真はおすすめのお造りの一例で、フグの皮や身などのいろいろな部位と、クレソン、ラディッシュなどの野菜、油揚げなどを、ごま酢であっさり味付けた「フグのサラダ仕立て」。フグの食感と旨味を野菜のシャキシャキ感とともに堪能できる年明けの定番メニューだ。「フグって噛めば噛むほど味が出てくるので、最初に野菜でインパクトを与えて、最終的にフグの旨味を感じてもらうようにしています」(青柳さん)焼き物も中村さんおすすめの品。写真は「キンキの炭火焼 田楽味噌」。脂がのったキンキは、皮の香ばしさ、やわらかな身の芳醇な味わいが白みそとマッチして実に美味。「クリーミーな身質のキンキと白みそが意外と合っていて、脂を中和させてくれます」(青柳さん)中村さんは、青柳さんのことを魚料理の芸術家のようだと話す。その言葉に、「いやいや、僕なんかまだまだです(笑)。隆兵さんのように個性があって、すごい考え方を持っておられる方がたくさんいらっしゃるので、そういう考え方を新しい料理につなげていけたら」と、青柳さん。刺激を受けつつ、柔軟に、更なるおいしさを追求していく。 「日本酒やワインもいろんな種類があり、料理に合わせてお酒を選んでもらえます」と、中村さん。日本酒は大吟醸のみを扱い、常時10種類ほどが揃う。また、器もここでの楽しみの一つ。「器も本当にいいものを持っておられて、そういうところにも感動します」(中村さん)ガラスはラリックやバカラなどのアンティーク、陶磁器や漆器などは現代作家のものを使用。酒器も酒の量や味わいなどに合わせて、青柳さんがセレクト。器も酒も魚をおいしく食べてもらうための大切な要素だ。店内からは東山の景色を楽しめる。「一人で料理を作っているため完璧な接客はできませんが、その分おいしい料理をしっかり出す、お客さんにストレスなく過ごしてもらう、ということは大事にしています」と、青柳さん。予算は酒代を入れて3万円程度。渾身の魚料理やそれを引き立てる美酒とともに過ごすひとときを満喫したい。■青柳京都市東山区古門前通大和大路東入4丁目石橋町306-718時~19時30分(入店)※完全予約制(予約はHPから)休 不定休http://kyoto-aoyagi.jp/
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BLOG京の会長&社長めし
2020.01.22
山田繊維株式会社の社長が通う店「半兵衛麩」
■山田芳生(やまだ よしお)さん 山田繊維株式会社代表取締役(3代目)。1965年生まれ、京都生まれ京都育ち。大学卒業後、神戸で5年間アパレルの会社に勤務した後、山田繊維の東京事務所開設を機に家業に就く。東京で8年間営業を経験した後、2001年に京都に戻り、2003年社長に就任。現代のライフスタイルに適したふろしきの開発に力を入れる他、東京(神宮前)と京都(三条)に直営店「むす美」を開設、またセミナーや書籍の発刊など、ふろしきの普及活動も行う。新しいことも、伝統的なことも、その両面が体験できる仕事と、京都という地の利に感謝している。伝統と革新が入り混じる京都の食文化も大好きで、和食も中華もイタリアンも大好きだが、やっぱり魚料理が一番好き。最後の晩餐は、グジの焼き物。高たんぱくでヘルシー。伝統の職人技で作る京麩や京湯葉の魅力を「むし養い」で京料理に欠かせない麩は、かつては修行僧たちの貴重なタンパク源であり、現代では高たんぱく、低脂質のヘルシーな食材として注目されている。五条大橋の東南に佇む「半兵衛麩」は、宮中・大膳亮で麩作りを学んだ初代玉置半兵衛が、元禄2(1682)年に創業。熟練の職人技で作られる伝統の京麩や京湯葉は、名だたる本山寺院や料亭などに用いられている。ここでは、麩や湯葉を販売しているほか、それらを使った「むし養い料理」が楽しめ、主婦など女性を中心に人気を集めている。「今年の9月頃、僕が経営の勉強をさせてもらっている先生が連れてくださったお店で、麩の食べ方を皆に知ってもらうために料理を始められたそうです。味はもちろん、会社の経営理念のようなものが伝わってきて、とても素敵なお店だなと思いました。実はまだ1回しか行けていませんが、家内は何度か行っているようです」と、山田さん。11代目当主の三女で広報担当の玉置淳さんは、「実は前に山田繊維さんの物流システムを社員で見学に行かせていただいたことがあり、それが山田様との最初のご縁だと思います。その後、お食事に来てくださったと聞いています」と、振り返る。店舗は築約120年の町家を生かしたもので、横の洋館が販売店舗となっている。建物奥の茶房へ繋がる通路には、昔ながらのおくどさんや調度品などが見られる。中庭に面した茶房で楽しめるのが、「むし養い料理」。これを出すようになったのは、約30年以上前のことだという。「当時、麩に馴染みのない方が多く、どんなふうに食べればいいのかというお問い合わせもたくさんありました。それで一度食べていただくのがわかりやすいだろうということで始めたのがきっかけです。うちは麩の販売が本業ですので、お召し上がりいただき『これだったら家で作れる』と思って買っていただくことが理想。いかに簡単でおいしく召し上がっていただけるかを考えて作っています」と、淳さん。 「自社商品である麩を大事に扱っておられ、皆に使ってもらいたいという思いがとても感じられます」と、山田さん。この店の取り組みに、共感を覚えるという。「うちの場合は風呂敷ですが、皆が使い方をよく知らないというものを扱っている点で似ているかもしれません。うちも直営店でいろいろな風呂敷の使い方やデザインを見て、風呂敷の概念が変わった、ということを言ってくださるお客さんが多いのですが、半兵衛麩さんもそのようなことに早くから取り組まれていて、すごいなと思いました」(山田さん)麩と湯葉の料理「むし養い」3500円。生麩田楽、利休坊、季節の細工麩、竹麩の山椒風味、丁子麩ときゅうりの酢の物、生麩のしぐれ煮、くみ上げゆば、よもぎ麩白みそ仕立てなど、多彩な麩と湯葉の料理が盛り込まれている。素材の特徴を生かした料理はどれもおいしく、なかなかの食べごたえ。ヘルシーで胃にもたれしないのも魅力だ。「献立は両親が料理の先生に協力していただいて考えたもので、しぐれ煮以外はお家で作っていただけます」と、淳さん。かつおと昆布のだしによもぎ麩を入れて温め、白みそをといた「よもぎ麩の白みそ仕立て」。甘くまろやかな白みそとやわらかいよもぎ麩が相性よく、ぴりっとした辛子がアクセントに。「白みそのお椀は家ではなかなか食べないので、すごく懐かしい感じがします」(山田さん)佃煮好きだという山田さんおすすめの生麩のしぐれ煮「禅」。「昔のお坊さんが肉や魚の代わりに食べていたであろう生麩を再現しています」と、淳さん。肉や魚に似た食感に作った生麩を甘辛く炊いたもので、ご飯にもよく合う。生姜、ごま、山椒の3種あり、販売している。「家ではわりと精進料理を作ることがあり、湯葉の佃煮も食べたりするんですが、おいしかったですね。こんな佃煮もあるんだ、と」(山田さん) 熟練の職人が良質の地下水を用いて作る京麩。湿度温度の変化に合わせ、生地を練る時間や寝かせる時間を微妙に調節していく。料理に使われている麩や湯葉は、すべて店舗で販売している。店内には食文化の大切さを伝えるために10年前にオープンした「お弁当箱博物館」があり、誰でも自由に見ることができる。「お店の2階が博物館になっていて、昔からのお弁当箱やお重などのコレクションが展示されているのですが、大事にその仕事をされてきている証のようなものが感じられて、よかったです」(山田さん)「うちは3代目が石田梅岩の石門心学をやっていましたので、どちらかと言えば人を育てる、人に尽くすという道徳的なものの考え方を大事にしてきました」と、当主の玉置半兵衛氏。「先義後利」と「不易流行」の2つの家訓を代々守り続けてきたという。「先義後利は、利益を求めるよりまずお客さんに喜ばれること、おいしい麩を作ることをしなさいということ。不易流行は、おいしい麩作りという本質は変えずに、作り方や大きさなど時代に合わせて変えなさいということです」と、淳さんは説明する。時代に先駆けて麩や湯葉尽くしの料理を提供したり、町家を人に見せたりすることや新しい麩のブランドの立ち上げも、そうした精神から生まれているのだ。「ただ京都らしいだけじゃない、すごいと思うことをされているお店でゆっくりお昼がいただけることって、なかなかない。特別なお客さんとお昼に行くならここに行きたいと思います」(山田さん) 撮影 エディ・オオムラ 文 山本真由美■半兵衛麩京都市東山区問屋町五条下ル上人町433075-525-0008営業時間 9時~17時 ※茶房11時~16時(LO14時30分) むし養い料理は要予約定休日 年末年始https://www.hanbey.co.jp/
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