2026年01月15日(木)公開
繰り返される衆院解散に「日本の民主主義が劣化していく状況」と厳しい指摘 高市総理の「早期解散」意向を受けジャーナリスト立岩氏・武田氏がMBS番組で言及 「政権維持のため」という解散権の歪み
解説
1月14日、高市総理は日本維新の会の吉村洋文代表らに対し、1月23日召集の通常国会早期での衆議院「解散」の意向を伝達。同時に立憲民主党と公明党が「新党結成」へ動くなど、まさに闇の中から急浮上した政局が列島を揺らしています。こうした状況のなか、MBS『よんチャンTV』に出演したジャーナリストの武田一顕氏と立岩陽一郎氏は、繰り返される解散総選挙がはらむ危うさを「議会制民主主義が劣化していく状況だ」と厳しく指摘しました。
幹部も知らされなかった解散 「大きな勝ち」得られなければ自民党に"しこり”?

先が読めない衆院選への動き。今後のスケジュールとしては、1月19日の総理による説明を経て、1月23日の通常国会召集日に解散が行われるという見方が強まっています。
年明けから急激に政局が動き出しましたが、この解散は麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長さえ事前に知らされず、高市総理と木原官房長官らの“密議”で進められていたようです。
国会取材を長く続けている武田一顕氏によると、自民党は「選挙に勝てばいい」というスタンスですが、一方で、選挙の結果によっては自民党が揺らぐおそれも指摘します。
![]()
(ジャーナリスト・武田一顕氏)
「このまま行くと、果たしてちゃんと高市総理の思い通りに大きな勝ちが得られるかが分からなくなってきますから、選挙後の議席数によっては自民党の中に大きな『しこり』が残ります」
選挙となれば600億円以上の国費投入 野党は一斉反発

JNNの世論調査(1月10日・11日実施)によると、現在の高市内閣の支持率は78.1%と非常に高い水準にあります。この高支持率を背景に押し切られるとみられる解散総選挙ですが、野党側は一斉に反発しています。
立憲民主党の安住淳幹事長は「税金の無駄遣い解散だ」と批判。衆議院選挙には約600億〜800億円もの国費が投じられます。国民民主党の玉木雄一郎代表は「政局よりも経済政策を最優先に」と訴え、公明党の斉藤鉄夫代表も「大義なき解散」と厳しい表情を見せています。
![]()
こうした異論が噴出しているなか、発端である高市総理は15日の時点では「通常国会の早い時期」との内容以外、自身の考えについて言明していません。武田氏は高市総理の沈黙について「ずるい」と指摘します。
(ジャーナリスト・武田一顕氏)
「民主主義国家ですから、選挙をやると決めたのなら一刻も早く、大権を持っている高市総理はすぐにどういう理由で解散をするのかを言わなきゃいけない。昨日も、維新の吉村氏や自民党の鈴木幹事長に伝えたのは『通常国会の早期に解散をする』と…早期じゃないでしょ。もうだって(通常国会)初日にやると分かっているのなら早く言わなければ、ということです」
「それからその後の公示日、投開票日も早く言わないと全く間に合わない。今朝、野党の議員は『もう明日がポスターの締め切りで、明日中に決めないと間に合わないんです』と話していました。だから『相手が間に合わないからこっちに有利なんだ』というのは、私はやっぱりずるいと思います」
選挙やりすぎ…立岩氏が指摘する、"本当に怒らなきゃいけない”総理の解散権の歪み

また、元NHK記者のジャーナリスト・立岩陽一郎氏は、今回の高市総理による“不意打ち解散”の背景を次のように分析します。
(ジャーナリスト・立岩陽一郎氏)
「私の印象としては、おそらく高市総理はもう“行き所”を失っているわけです。『台湾有事』発言に対して、中国の反応が思いのほか、かなり厳しかった」
「これが年が明けて、今後経済に跳ね返る危険性が極めて高い。そうするとこれまで主張してきた『経済の成長』が鈍化する恐れが極めて強くなってくる。その時に政権基盤が弱いと、そこで足元をすくわれる可能性がある、という点では、政権基盤を強くしたいという思いは分かります」
高市総理の意図を推察したうえで、立岩氏が問題視したのは、日本の解散権のあり方そのものです。
(立岩氏)
「自民党はしばしば『解散は総理の専権事項』と言いますが、そんなことは誰が決めたのか。これは自民党が勝手に決めただけです。そんなことは憲法にも書かれておらず、憲法上、総理大臣に解散権はありません。勝手に振る舞って慣習法的にやってきた。その結果どうなるか。もう選挙だらけです」
「つまり、自分の政権が不利な立場に立てば解散して選挙をやれば、また信任を得られる。その繰り返しなのです。参院選を去年やって、衆院選だって2年前にあって。もう選挙をやりすぎなんです」
「だからもし本当に人々の関心云々と言うなら、やはりここは、総理が持っている『と自民党が言っている』解散権は明文化して抑制しないと、有権者の心は政治家から離れます。今回も、どう考えたって我々が求めているものと違う選挙になっているわけです」
「これは本当に日本の民主主義がどんどん劣化していく状況だと是非みなさん理解して、これは怒らなきゃいけない。本当に、こんなに勝手に、自分の政権を維持するために解散することが当然だということを言ってしまう政治状況はやめなきゃいけない」
「繰り返される解散」が招く議会制民主主義の劣化

2年前に衆院選、去年に参院選があり、今回また解散総選挙という状況。「政権維持のための選挙」という懸念について、武田氏も意見を示しました。
(ジャーナリスト・武田一顕氏)
「立岩さんが言及した『7条解散』について。憲法では解散ができるということになっていますが、その解散の間に結局政権交代が起きないシステムになってしまうと、1回やって勝ったからいいだろう、と小泉(純一郎)氏の『郵政解散』、あるいは中曽根康弘元総理の頃以来ずっとやっている状態が続いていて、これで議会制民主主義が劣化している、という点においては私は立岩さんと同感です」
(※注:7条解散とは、憲法7条に定められた天皇の国事行為として行われる解散。本来は形式的な手続きだが、実質的には総理大臣が自由に時期を決められる『専権事項』の根拠となっている)
2026年01月15日(木)現在の情報です
