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【弁護士解説】山上被告なぜ無期懲役?「予想以上に厳しい判決」でありつつ...生い立ちか危険性か 量刑判断の"原則"は 【安倍元総理銃撃事件裁判】

解説

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 2022年7月に安倍晋三元総理を銃撃・殺害した罪に問われた山上徹也被告(45)に対し、奈良地裁は1月21日、検察側の求刑通り「無期懲役」の判決を言い渡しました。

 奈良地裁は量刑理由で、被告の生い立ちをめぐり、「家族をめぐる激しい葛藤や旧統一教会に対する負の感情を長年ため込んできたところ、内心でこれらを健全に解消し、あるいは合法的な手段による解決を模索せず、殺人などの手段を選択して実行した。その実行は被告自身が決断した結果にほかならず、その意思決定の過程に、生い立ちの不遇性が大きく影響したとみることはできない」と指摘。  

 情状酌量を求めた弁護人の主張を完全に退けました。

 この判決について、刑事弁護に詳しい川﨑拓也弁護士は「予想以上に厳しい判決」としつつも、『どんな行為をどのような気持ちでしたのか』を元に行われる量刑判断においては「原則を徹底した判断」 だったということです。
 この量刑の軽重をどのように読み解くべきなのか。MBSの番組『よんチャンTV』での川﨑弁護士の解説をもとに詳しくお伝えします。

「予想以上の厳しさ」その理由は?

 山上被告の裁判をめぐっては、これまでの裁判で検察側は無期懲役を求刑していたのに対し、弁護側は旧統一教会への恨みを募らせるに至った被告の生い立ちを重視し「重くても懲役20年」と主張していました。
 求刑通り無期懲役の判決となったことについて、川﨑弁護士は「予想以上の厳しい判決」と見たといいます。
(川﨑拓也弁護士:刑事弁護に詳しい)
「拳銃を使った殺人事件なので、無期懲役という判決になっても驚きはしません。非常識だとか、通例と違うとは思いませんが、壮絶な生い立ちがかなり重点的に立証がなされたので、裁判員がそこからある程度の心証を得るだろうと思っていました」
「有期懲役30年ということも十分あり得るかなとは思っていたので、聞いた時には厳しい判決だったなと思いました」
ただし、同時に「ストライクゾーンから外れているかというと、そういう判決ではない」という印象も抱いたということです。

量刑判断のポイント「どんな行為をどんな気持ちでしたか」

そもそも裁判における「量刑」は、どのような基準で決定されるのでしょうか。川﨑弁護士は、裁判員へ説明する際のポイントとして、行為と心情の二点を挙げます。
(川﨑弁護士)

「裁判員には『どんな行為をどんな気持ちでしたか』ということが大事なんだ、とよく説明されます。殺人事件と言ってもいろいろな種類があるなかで、『どれぐらい危険な行為を、どんな悪い気持ちでやったのか』というのが量刑を決める重要なポイントです」
 今回の事件は山上被告の行為が『危険である』ということは明らかなので、その一点をもって「無期懲役になるというのはおかしくはない」。
 問題は『どんな気持ちだったか』。前述の原則に照らしたときに、被告の犯行時の気持ちが、納得とは言わずとも『それはちょっと斟酌しようかな』と思えるかどうかがポイントとなっていたのではないか、ということです。

「原則を徹底した判断」で「生い立ち」は評価されたのか

裁判の大きな争点の一つが、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への多額の献金による家族の崩壊など、山上被告の「生い立ち」が犯行にどう結びついたかでした。 判決では、「被告の意思決定の過程は強い非難に値し、生い立ちが影響したとは言えない」と退けられました。これについて川﨑弁護士は、司法における「原則を徹底した判断」だと指摘します。
(川﨑弁護士)
「原則は基本的にはどんな理由があっても『殺したい』と思ったらダメなので、過去の困りごとは評価しません、という考え方が多い。原則を徹底したらこういう形になるのかなとは思います」

「司法の原則」か「壮絶な過去」か 量刑判断の背景で裁判員も葛藤?

ただし、量刑の判断においては“原則”と“過去”の間で「相当悩んだのでは」との見立てもあるようです。
(川﨑弁護士)

「これまでの報道やいろいろな情報を見ていると(山上被告の過去が)本当に壮絶だったのは分かるので、そこを評価してあげた方が良かったのか、それは原則通りなのか、これは相当悩んだのではないかと思います」
また、今回の事件をきっかけに旧統一教会の被害実態が社会問題化し、解散命令請求にまで至った社会的な影響についても、「処罰の基本はあくまで『どんな行為をどんな理由で』行ったかにある」とし、事後の影響が量刑に与える範囲は極めて限定的であると説明しました。

「手製の銃」による危険性を重く認定

もう一つの争点であった「手製の銃」については、検察側の主張通り発射罪の成立が認められました。
判決では「現場周辺は交通規制はなく、被害者付近の関係者を含め弾丸が当たる可能性は十分あった。極めて重大で悪質である」と、無差別な被害を生む危険性を厳しく指摘しました。川﨑弁護士はこれについて、
「この点について弁護側は無罪を主張していたので、これが無罪になれば減軽はあり得た。しかしこれも検察側の主張の通り(手製の銃=砲)ということで、無期懲役の前提になったということです」
と解説。被告の手製の銃が拳銃等に該当し発射罪が成立するということで、無期懲役の判断を決定づけたとの見解を示しました。
 弁護側は控訴について、「被告と協議し判断する」としています。

2026年01月21日(水)現在の情報です

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