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「解散は総理の専権事項」なのか?憲法に明記なし "グレーな解散権"の「ずるさ」を憲法学者と考える【高市総理が解散発表 衆議院選挙へ】

解説

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2026年1月19日、高市総理は1月23日に召集される通常国会の冒頭に衆議院を解散すると表明しました。これを受け、「争点は何か」「どの政党が勝つか」といった選挙予測が飛び交っていますが、ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。

憲法に書かれていない「伝家の宝刀」 専権事項とされる解散権の正体は――

実は、日本国憲法のどこを探しても「総理大臣はいつでも衆議院を解散できる」とは一言も書かれていないのです。

これまで70年以上、総理の「専権事項」や「伝家の宝刀」として当たり前のように使われてきた「解散権」。果たしてそれは民主主義の柔軟性なのか、それとも強大な権力の乱用なのでしょうか。憲法学者の南野森(しげる)教授によると、その実態は“グレー”。選挙を前に、「解散」を深掘りします。

「不意打ち」は不公平ではないのか?

今回の解散において、まず議論になるのが「タイミング」と「期間」の決定権です。
選挙は民主主義の根幹であり、本来は公平に行われるべきものです。しかし、現状では「いつ解散するか」「公示から投開票までの期間をどうするか」を、すべて与党側が決めています。

高市総理は「進退をかけて」「国民の信任を得たい」などとしていますが、野党の準備が整わない時期や、自らの支持率が高いタイミングを狙うことは「不意打ち」との批判を免れません。過去にも、2005年の小泉元総理による「郵政解散」や、安倍元総理による「アベノミクス解散」「国難突破解散」など、時の政権が自らに有利な時期を選んで圧勝してきた歴史があります。

また、今回は1月27日公示・2月8日投開票という非常にタイトなスケジュールが組まれています。選挙期間が短ければ短いほど、知名度のある現職や、動員力を持つ大きな組織が有利になります。一方で、無党派の新人がじっくりと訴えを届ける時間は奪われてしまいます。有権者にとっても、判断材料を吟味する期間が短くなることは大きなマイナスと言えるでしょう。

憲法の「発明」? 根拠なき「7条解散」の始まり

憲法において、解散の根拠が明示されているのは第69条のみです。

【憲法第69条】
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

つまり、議会から「ノー」を突きつけられた際に、民意を問うための手段として認められているものです。しかし、戦後の政治史では、この69条によらない解散が繰り返されてきました。
そのきっかけは、1952年の第4次吉田茂内閣に遡ります。当時は不信任案が出ていなかったものの、時の政権は解散を望みました。そこで「発明」されたのが、憲法7条に基づく「7条解散」です。
7条には天皇の国事行為が記されていますが、天皇は政治に関する権能を持ちません。「内閣の助言と承認により」という文言を根拠に、「内閣が実質的な決定権を持っている」と解釈して強行されたのです。
当時、この手法を巡って「憲法違反だ」とする訴訟(苫米地事件)が起きました。しかし、最高裁は「極めて政治性の高い問題は、国民の判断に委ねるべき(統治行為論)」として、合憲か違憲かの判断を回避しました。
以来、日本は「黒(違憲)と言われていないから大丈夫」というグレーな状態のまま、全27回の解散のうち、実に23回がこの7条解散によって行われてきたのです。

今回の解散に「大義」はあるのか

多くの憲法学者の間では、69条以外でも「重大な大義」があれば例外的に解散を認めるという解釈が一般的です。では、今回の高市総理が掲げる理由は「大義」に当たるのでしょうか。

高市総理は主に以下の3点を挙げています。

1)総理としての信任を得たい
2)「自公」から「自維」への新連立枠組みについての信任
3)積極財政への転換など、新たな経済政策の是非

しかし、南野教授によれば「総理としての信任を得る」という理由は、議院内閣制の仕組み上、必ずしも解散の正当な理由にはなりません。私たちは国会議員を選び、その議員が総理を選出している以上、制度的に信任は間接的に得られているからです。

結局、与党にとって有利な「解散権」が放置されているのは、野党にとっても「自分たちが有利な時に解散してほしい」という思惑があるからだとも指摘されています。

「支持率が高いから今解散するのは当然だ」と受け流して良いのか

この「ずるい」状態を解消するには、いくつかの方法があります。

▼憲法改正・法律制定:解散権を制限する明文規定を設ける(ただしハードルは非常に高い)。
▼司法の判断:改めて訴訟を起こし、裁判所に今の時代に即した明確な判決を求める。
▼法解釈の合意:与野党が「基本は69条解散のみ」とする政治的合意形成を図る。

どの手段を取るとしても、私たち有権者が声を上げなければこの“グレー”な状態が変わることは無いでしょう。「支持率が高いから今解散するのは当然だ」と受け流してしまって良いのか、今一度立ち止まって考える必要があります。

2026年01月20日(火)現在の情報です

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