2026年01月12日(月)公開
【5年生存率は50%か】脳卒中ならぬ"骨卒中"とは?「閉経後の女性」は要注意!やせ型・飲酒習慣・体重減少...あなたは大丈夫?有効な予防策は?
解説
「骨卒中」という言葉に聞き覚えはあるでしょうか? 骨卒中とは、『骨粗しょう症』が原因で起こる高齢者の『大腿骨や背骨の骨折』のこと。「5年以内に2人のうち1人が死亡する」という調査結果も出ていて、特に冬場は注意が必要だということです。 なぜ、寿命を縮めてしまうのか?その危険性と対策について、辻外科リハビリテーション病院・副院長の辻翔太郎医師(骨粗しょう症が専門)への取材をもとにまとめました。
5年生存率は約50%?「骨卒中」とは?

高齢者の命に関わる「骨卒中」。正式な病名ではありませんが、その重篤性を伝えるために作られた造語です。
骨卒中の定義は次の2つです。
▼高齢者の骨折
▼骨折の部位は背骨あるいは大腿骨近位部(股関節に近い部分)
※骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版より
大腿骨近位部を骨折したあとの生存率は次のとおり。
▼1年 81%
▼2年 67%
▼5年 49%
▼10年 26%
※骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版より
5年で約半数が亡くなってしまうのです。がん・脳卒中の5年生存率が6〜7割程度であることを考えても、かなり高い数字であることが分かります。
寝たきり・歩行困難…骨卒中になるとどうなる?

骨卒中になってしまうと、どのような弊害があるのでしょうか?特に深刻なのが次の3つです。
▼大腿骨・背骨の骨折→歩けなくなる
▼寝たきり→体力低下・感染症リスクの高まる
▼背骨が曲がり腹部圧迫→食事がとれなくなる
骨卒中の要因として考えられるのが次の2つ。
▼骨粗しょう症→骨がもろくなった状態
▼筋力の衰え→筋力・身体機能低下=サルコペニア
骨粗しょう症の有病者数(推定)は1280万人(2005年)から1590万人(2015年)と増えていて(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版より)、辻翔太郎医師によると、「高齢化の進行と食生活の変化などで増加傾向にある」と言います。
特にリスクが高いのは「閉経後の女性」なぜ?

特に多いのが、女性の骨粗しょう症です。2015年のデータでは、男性が410万人であるのに対して女性は1180万人。閉経をきっかけに「骨量」が急激に減少するためです。
「破骨細胞」が古い骨を壊し「骨芽細胞」が新しい骨を作る…この骨のリモデリング=新陳代謝が、閉経による女性ホルモン減少で上手く機能しなくなるそうです。
寒くて部屋から出なくなると…特に冬場が危ないワケ

こたつなどにつまずく、寒さで体がかたくなり転倒…など骨卒中のリスクが高まるのが冬場です。
寒くて部屋から出なくなると運動不足となり、筋力だけではなく骨密度も低下します。上述した骨のリモデリング=新陳代謝は“荷重”によって促されるからです。
やせ型・飲酒習慣・体重減少…特に要注意な人は?

上述したように、骨卒中の要因として考えられるのが、骨粗しょう症・筋力低下の2つです。次のような人は特に注意してください。
<骨粗しょう症>
▼やせ型
▼閉経が早かった
▼家族が骨折経験あり
▼糖尿病
▼ステロイドで治療
▼酒をよく飲む
<筋力の衰え>
▼6か月で2kg以上の体重減少
▼よくつまずく 転ぶ
▼歩く速度が遅くなった
予防に有効な食べ物・運動は?

どうすれば骨卒中を予防することができるのか?まず大切なのは食事です。骨を強くする食べ物として、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKが大切だということです。
<骨を強くする食べ物>
▼カルシウム 牛乳・ヨーグルト・チーズ・小松菜
▼ビタミンD サケ・イワシ・サンマ(日光浴でも生成)
▼ビタミンK 納豆・モロヘイヤ・小松菜
筋肉・骨を強くする運動としては「ウォーキング」がおすすめで、目安は5000歩〜7000歩以上、冬は防寒対策しっかりしつつポケットから手を出して歩くと良いそうです。また、「ピラティス」「太極拳」なども体幹を鍛える運動として推奨されます。
骨粗しょう症検診 無料で受けられる自治体も

運動指導・栄養指導・投薬といった骨粗しょう症の治療をすれば、「骨卒中はかなりの確率で防げる」と辻医師は指摘。「半分程度は骨折を予防できる」「半分程度は寝たきりに至らない」と言います。
また、自分の骨の状態を把握することも大切かもしれません。骨粗しょう症検診を受けた人の割合は5.7%にとどまっていて(2023年骨粗鬆症財団調べ)、がん検診と比べると数字の低さが際立ちます。
<がん検診を受けた人の割合>
▼胃がん 43.5%
▼子宮頸がん 43.6%
▼乳がん 47.4%
※過去2年間に検診を受けた女性 2022年国民生活基礎調査より
医療機関で受けられる骨(こつ)検診・骨(こつ)ドックは、保険適用であれば2000円前後です(自費で5000円〜1万円程度)。また、多くの自治体では簡易的な骨粗しょう症の検診を無料〜1000円程度で実施しています。
骨卒中リスクの高い冬場。まずは骨粗しょう症健診を受けるところから対策を始めてみてはいかがでしょうか。
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