2025年12月22日(月)公開
【国民民主・玉木代表】自民・維新の定数削減めぐり「選挙制度改革の具体案 早く出して」年収の壁178万円合意はゴールではない?「野党も政策実現に責任を負っていく」【単独インタビュー】
解説
先週、高市総理と国民民主党・玉木代表による党首会談で正式に合意した「年収の壁」178万円への引き上げ。低所得の層だけではなく中間層を含め手取り増を求める国民民主党に対し自民党が大幅譲歩する形となり、最大の控除を受けられる対象を納税者の約8割に当たる年収「665万円以下」の人としました。「年収の壁」引き上げは、国民民主党躍進のカギとなったいわば「看板政策」。今回の合意の舞台裏や今後の連立入りの可能性について、国民民主党・玉木雄一郎代表に根掘り葉掘り聞きました。
玉木代表「我々としてここが精一杯やり切った限界」

―――「年収の壁」178万円への引き上げ合意について、率直な受け止めは?
(国民民主党・玉木雄一郎代表)「木曜日の夕方5時に高市総理と会ってサインをしましたが、4時間前の午後1時ごろまでは決裂するかもしれないと。厳しい交渉をやりまして、最後はお互いの政治決断で決めたというのが今回の内幕です。いろいろなご評価があるんですけれども、一つは約束した178万円まで課税最低限を引き上げることができた」
「それと中間層(への還元)を今回非常に厚くしたいなと。去年は160万円まで(壁が)引き上がりましたが、対象が年収200万円以下で全体の4~5%の方だけが最高水準の基礎控除の引き上げを享受できました。しかし今回は給与所得者の約8割、80%まで対象広げることができた。例えば年収600万の方で言うと、年間に5万6000円の減税効果があります。夫婦2人だと11万2000円。今の物価で家計の支出が約9万円増えていると言われていますので、それを補うに十分な減税が行われるという意味では、物価高騰対策としても一定の効果のある水準を達成できたと思っています」
―――当初の国民民主党の案は“所得制限なしに一律178万円”でしたが、この所得制限という点で自民との議論が決裂しそうになったのでしょうか?
「そうですね。最初に財務省が持ってきた案は(所得制限が)年収300万円以下だったので、それはさすがに狭すぎないかと交渉を重ねました。いま日本人の平均年収は460~480万円程度と言われてますから、それを超えて8割程度カバーするところまで広げていこうと。4つ新しくできた所得制限の壁のうち、2つは倒すことができましたが、もう2つが残ってしまったのは一つの交渉の結果。野党の50人ぐらいの規模の我々は、ここが精一杯やり切った限界だったと思います」
3年をめどに“シンプルで公平な控除制度”を

―――多くの人が恩恵受けられる一方、具体的に見ると、例えば年収665万円の人の場合は壁が178万円であるのに対し、年収が1万円増えた666万円の人は年収の壁が128万円になります。つまり所得税が増え、年収に対して手取りは少ないことになりますが?
「現行制度の中で基礎控除を膨らますと、どうしてもデコボコはできる。ですから例えば給与所得控除と基礎控除をセットにして新しい控除制度を作ることも含めて我々提案しましたが、それは今回間に合いませんと財務省も言ったので。じゃあ、とりあえず中間層まで(所得を)伸ばした上で、デコボコしない公平で簡素で分かりやすい制度を、3年をめどに抜本的に作っていきましょうということも合意書に書きました」
「あと今回一つ大きいのは、我々がずっと求めてきた、物価高騰と連動して基礎控除を上げていく仕組みが入った。基礎控除を4万円上げるっていうのは所得制限関係なく全て上がるので、そうすると年収2000万円程度の方でも14万円控除額が上がる。だから減税額としては見劣りしないような減税が所得の高い人にも及んでいるので、そこはご理解いただきたいです」
「ミッションコンプリート」発言もあったが…今後の課題は?

―――国民の手取りが増えると、国の税収は減少します。当初の国民民主案で一律で178万円まで引き上げた場合、約7兆6000億円の税収減(政府試算)ということでしたが、今回の合意案では1兆8000億円の税収減(玉木代表Xより)。大きく減ったとはいえ、財源はどうする考えでしょうか?
「そもそも、『7兆6000億円』も財務省や政府が言っている話で、こんなにかかるからダメだと去年のプロパガンダに使われて、メディアもそのまま流していた。私はそんなかかりませんよと言ってたんです。しかもこれは住民税を含む概念になっている。『103万円の壁』は所得税の、国税の概念なので、7兆6000億円と今回実現した1兆8000億円を比べること自体、ベースが違う」
「また、2025年度に予定している税収は2.9兆円上ぶれています。税外収入は1.0兆円上ぶれで、使い残しの予算も1.1兆円あり、これで5兆円です。去年からの剰余金が2兆円以上ありますから、例えば(合意案による)1.8兆円、そしてガソリン暫定税率廃止による1.5兆円、環境性能割という車の取得時の減税を合わせて3.5兆円ですが、今申し上げた税収等の上ぶれで十分賄える範囲に納めています」
―――「年収の壁」の合意直後、会見では「ミッションコンプリート」と発言しましたが、これでゴールではない?
「そうですね、ガソリン暫定税率廃止と103万円の壁を178万円に引き上げる、3党合意という意味では実現したんですが、ただ年収の壁がまだ残っている。社会保険料の壁、いわゆる130万の壁は、今年度末までは一応予算措置で手当てしてますけれども、抜本改革がこの前の年金制度改革で先送っているので残ったままなんです。まだまだ手取りを増やすための取り組みは残っていますので、2つ残っている年収の壁を倒していくことも含めて、さらに取り組んでいきたいと思っています」
今後「連立入り」の可能性は?
―――今回自民党と合意したということで、連立入りは今後考えられるのでしょうか?
「連立を組まないと政策が実現できないと(公明党が連立を離脱した)10月の時もよく言われたんですが、我々2つ約束したことを実現したので、連立に入ることだけが政策実現の手段ではないと。まずは政策本位で、その政策を実現するためにどう振る舞うのがベストなのか、国民のためになるのかで考えていきたいと思っています」
「多党制の時代かつどの党も過半数を取れなくなった時代は、ある意味で与党と野党の垣根がすごく下がっている。だから与党もいろんな意見を聞かなければいけないし、野党も反対ばかりしてるんじゃなくて、政策実現に責任を負っていかなければいけない。だから我々は一つ一つ信頼関係を積み上げながら、その度合いに応じて、これからの連携のあり方について幅も深さも広がっていくと思っています」
議員定数削減は「自民党も維新も具体案をいまだに出してない」

―――維新がセンターピンとして打ち出していた議員定数削減について、吉村代表は「玉木さんは『自民と維新が法案を出したら賛成する』と言っていたので期待した」と、12月18日のよんチャンTV(MBSの番組)で発言しました。玉木代表はこの議員定数削減についてはどうお考えでしょうか?
「議員定数削減の法案が出てきたら賛成しようと思いましたが、出てきた法案が削減の法案ではなかったんです。しかも1年以内に選挙制度改革をやってできなかったらあの削減しますということになっているので、私が維新と自民党にお願いしたいのは、根っこの選挙制度改革の案を早く党として決めて出してもらいたいということ。『できなかったら下げます』じゃなくて、どういう選挙制度改革をするのか。我々は中選挙区連記制という一つの考え方を出していますが、党として意見をまとめているのは国民民主党、公明党だけです。肝心の法案を出してきた自民党も維新も、どういう選挙制度で定数削減するのかがいまだに何もない。早くやるんだったら、法案を提出した責任者としてどういう選挙制度改革をして、どういう形で減らしていくのか、具体的な案を早く出してもらいたい。それも出さずにできなかったらこうします、という話ばかりしているのは、法律を提出した趣旨にも反しますから」
―――吉村代表はよんチャンTVに出演した際、藤田共同代表が玉木代表へ法案の説明も行ったのに賛成してもらえておらず、言っていることとやっていることが違うという趣旨の話をしていましたが?
「それは違って、我々は中選挙区連記制という具体的なあんこのところを出しました。維新の案は、できなかったら現在の小選挙区で25、比例で20減らすという案なので、我々の案と矛盾するので賛成できないと言っているんです。むしろ約束を守っているのは我々で、選挙制度改革の具体案をいまだに出してないのが自民党と維新です。それは正確に報道してもらいたいと思います。急いでやりたいんですけど案が出てこないことには議論できないので、自民と維新には早く抜本的選挙制度改革を党としてまとめて出してもらいたいと思います。待ってますから」
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