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「中国語あまり聞こえない」中国の"渡航自粛"から約1か月...京都が今すいている? 市内ホテル「国内や他国の客が増えた」 専門家は『市バス混雑緩和』の可能性を指摘

解説

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 年の瀬を迎え、京都の観光に異変が起きているようです。紅葉が終わったあとの京都は元々、年間を通して観光客が少ない時期ではありますが、高市総理の“存立危機事態”発言以来、中国の外務省は11月14日、当面日本への渡航を控えるよう呼びかけました。こうした状況も影響しているのか、高騰していた京都の宿泊費も下がっているようです。 京都の観光は今後、どう変わっていくのでしょうか。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏、近畿大学経営学部商学科・高橋一夫教授への取材をふまえ、福島暢啓アナウンサーが詳しく解説します。

“渡航自粛”から約1か月…訪日中国人は減った?

 中国の“渡航自粛”から約1か月。2025年11月の訪日中国人は約56万人で、今年最小を記録しました。前年同月比の伸び率は3%増となっていますが、今年の他の月と比べると鈍化しています。

 <2025年 月別・中国からの訪日者数>
 前年同月比の伸び率
 ▼1月  135%
 ▼2月  57%
 ▼3月  46%
 ▼4月  43%
 ▼5月  45%
 ▼6月  20%
 ▼7月  26%
 ▼8月  37%
 ▼9月  19%
 ▼10月 23%
 ▼11月 3%
 (JNTO調べ)

「空港ロビーでは中国語があまり聞こえない」特に関西への影響大?

 中国人観光客は本当に減っているのか?航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は次の3点を指摘しています。

 ▼「中国便減便の影響で、空港の到着ロビーでは中国語があまり聞こえない」
 ▼「特に関空は中国便が多かった。関西での減少は大きい」
 ▼「3月まで減便するので物理的に来られない」

5.jpg

 一方、近畿大学・経営学部商学科の高橋一夫教授は「京都の観光事業者にとって、中国人は冬の閑散期に春節休みなどを利用して来てくれるありがたい存在」と指摘。

 去年1年間で京都市に宿泊した外国人の数を国別に見ると、中国が1位で約20%。2位がアメリカで約15%、3位が台湾で約10%と続きます。

 <2024年 年間 京都市外国人宿泊客数 国・地域別>
 ▼1位 中国      21.3%
 ▼2位 アメリカ    15.3%
 ▼3位 台湾      10.1%
 ▼4位 韓国      6.3%
 ▼5位 オーストラリア 5.4%
 (京都市観光総合調査 のべ人数)

 2位アメリカの来日が減少する1~2月に来日する中国人が多く、外国人観光客が少なくなる“冬場”に需要を支えていたという構造も見て取れます(2024年 月別 京都市外国人宿泊客数 国・地域別構成比<京都市観光総合調査>より)

「ホテルは値下げしても埋まらない」京都ならではの理由とは?

 現在の京都について、鳥海氏は「決して街がガラガラというわけではないが、ホテルは値下がり。5000円台のビジネスホテルも」と指摘。地下鉄で観光地を回れる東京では「ホテルは空いても埋まる」一方、京都では観光地に行くためにバスが必要となるため、そのバスが混雑していて日本人の“京都離れ”が起き、ホテルは値下げをしても埋まらないと言います。

 京都市内のホテルからは、次のような声が聞かれました。

 ▼「まわりが下げているので下げざるを得ず、1割程度下げている」
 ▼「中国からのキャンセルは相次いでいるが、その分、国内や他国の客が増えた」
 ▼「京都市内のホテル全体、例年より下がっていると思う。過熱が落ち着いた感じ」
 ▼「半数が中国人団体客だったが、3月まで全てキャンセル。価格も値下げ」

「市バスの混雑が少し緩和されるかも」

 中国人観光客が減少すると、どのような影響があるのでしょうか?

 近畿大学・高橋教授は「最近の中国人観光客は“個人旅行”が増えている。団体ツアー参加は13%」と指摘。大型の観光バスではなく市バスの利用も多いため、中国人観光客が減少すると、その市バスの混雑が少し緩和されるかもしれないと言います。

13.jpg

 また、このまま中国人観光客の減少が長引いた場合、京都の観光業界が“ターゲット”を変更する可能性があるとも指摘。過去の事例として、米国最大の歴史保存地区である東海岸・チャールストンを挙げています。
 
 この地域では、2001年9月11日の米同時多発テロで「飛行機利用のインバウンド客はしばらく来ない」と判断し、「車で来られる範囲内」に重点的にプロモーションを実施。その結果、同年11月には旅行需要が前年比を上回ったそうです。全米での回復は翌年4月であったということで、チャールストンの回復の速さが際立ちました。

京都の観光業界が「近畿圏に向けたプロモーション拡大する可能性」

 高橋教授によると、チャールストンのように「京都の観光業界も近畿圏に向けたプロモーションを拡大する可能性がある」と指摘。 恒例の冬のキャンペーンにも注目が集まっています。

 また、高橋教授は「近畿圏の人なら、少し静かなこの時期に“何気ない京都”を満喫するのもいいかも」と言及。一例として「鴨川のユリカモメ」「あんかけのたぬきうどん」などを挙げています。

 今だからできる、京都の楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。

2025年12月22日(月)現在の情報です

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