2025年12月11日(木)公開
「厚着・布団かけ過ぎ」はNG!冬に下がる"睡眠の質"を上げるには?医師推奨の『セロトニンUP術』『適した室温&湿度』など徹底解説!
解説
本格的な寒さが到来した12月。街では「朝起きるのがつらい」「寒くて何回も起きたりすると1日中眠い」といった声も聞かれます。実際、「冬の寒さが原因で睡眠の質が下がる」と感じている人が多いというデータもあるそうです。 誰もが体験したことのある「睡眠不足」。専門家は「不足の積み重ねが、脳神経に障害を与えることがわかってきた。深刻な社会問題になっている」と指摘しています。 どうすれば寒い冬にぐっすり眠れるのか?めいほう睡眠めまいクリニック・中山明峰院長に聞きました。
なぜ冬に睡眠の質が低下する?

冬に睡眠の質が下がる理由は2つ。
1つ目は、日照時間の短さです。日光を浴びることで分泌される「セロトニン」は、15時ごろから睡眠のホルモン「メラトニン」に変換されますが、冬は日照時間が短いためセロトニンの分泌量が減り、それに伴ってメラトニン分泌量も減少するため睡眠の質が下がるのです。
2つ目の理由は、寒さ。暑すぎても寒すぎても睡眠の質は下がります。医師が推奨するのは、「室温約25℃」「湿度50%」。しかし、日本の寝室の平均室温は平均12.8℃と世界的に見ても低く、推奨室温の約半分となっています。
寝不足は万病のもと…5つのリスクとは?

ヒトには必ず睡眠が必要で、「ショートスリーパーは存在しない」ということが睡眠医学の研究で明らかになっています。
めいほう睡眠めまいクリニック・中山明峰院長は、「1週間食べなくても生きられるが、1週間寝なければ生きていけない」と指摘。寝不足は、認知症・うつ病・メタボ・慢性疾患・がんなど万病のもとになります。
<認知症>
頭を使うと脳内にゴミ(アミロイドβなど)がたまりますが、睡眠にはこのゴミを“洗い流す”効果が。睡眠不足でゴミがたまると脳が萎縮し、アルツハイマー型認知症につながります。
<うつ病>
就寝中に腸内で作られる“幸せホルモン”=セロトニンが睡眠不足で減少すると、睡眠のホルモン=メラトニンも減少します。そうすると、眠れなくなり→セロトニン分泌量が減って→メラトニンも減少し…と悪循環に。うつ病患者の9割の初期症状は睡眠障害で、セロトニンの働きを増強する薬を処方し治療すると言います。
<メタボ>
脳に必要な“エネルギー”は「睡眠」と「糖分」です。したがって、睡眠が不足すると、その不足分を糖分でまかなおうとするため、肥満につながります。
<慢性疾患・がん>
睡眠不足は糖尿病・高血圧・心筋梗塞・脳梗塞などのリスクを高め症状を悪化させます。また、免疫力低下につながり、がんの一因にもなるという研究も進んでいるといいます。
最近、専門家の間では「睡眠不足」の代わりに「睡眠負債」という言葉が使われているようです。「負債分」を返すことはできても貯めることはできない、つまり“寝だめ”はできないのです。
日本人は寝不足!?

日本の平均睡眠時間は「7時間22分」で、OECD加盟33か国中最下位。平均(8時間28分)より約1時間も少なくなっています(OECD, Gender data portal 2021より)。
また、日本の睡眠負債による経済損失は、約15兆円にのぼるというデータもあります(2016年 米国ランド研究所より ※当時のレートで換算)。
寝る前のスマホはNG!質の高い睡眠をとるには?

質の高い睡眠のカギとなるのが「セロトニン」。日光を浴びる、朝にバナナを食べるといった習慣がセロトニン増加につながります。
また、寝室を医師が推奨する「室温約25℃」「湿度50%」に保つと良いでしょう。できればエアコンはつけっぱなしにして、加湿器・室内干しなどで乾燥を防ぐのが良いということです。
なお、体の深部体温が下がったときにヒトは眠くなるため、「厚着と布団のかけ過ぎ」はNG。くつ下をはきながら、あるいは、電気毛布をつけっぱなしにして寝ると、体温調節機能が働かなくなるため避けた方が良いそうです。冷え性の人は、温かい飲み物などを活用するようにしてください。
寝る前の食事やアルコール、また、スマホ使用は避けたほうが良いでしょう。特に「ショート動画」は刺激が強いため睡眠の妨げになると中山院長は指摘しています。
今日の疲れを取り、明日のための充電となる睡眠。特に寒い冬には、しっかりと対策して質の高い睡眠をとるようにしてください。
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