MBS(毎日放送)

【スマホ新法】何がどう変わる?競争の促進でアプリなど選択肢増もセキュリティなどで問題か 子ども・高齢者が危険にさらされる可能性も...身を守るための対策は【12月18日施行】

解説

SHARE
X
Facebook
LINE

 私たちの生活に欠かせないスマートフォン。日本のスマホ保有率はいまや9割を超えています。生活に欠かせないスマホですが、12月18日から施行される「スマホ新法」では、アプリのダウンロードや支払い方法のルールが大きく変わることになります。 私たちが使う上で、どんな影響があるのか。専門家によると利用者にとっては、危険性が増す可能性があると指摘しています。 法律ができるのに何が守られなくなるのか?私たちができる対策とは何か、ITジャーナリスト・高橋暁子氏への取材を含めまとめました。

アップル・グーグルの二強体制を是正へ

 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律、通称「スマホ新法」が12月18日全面施行されます。

 この法律の大きなキーワードが「競争の促進」。スマートフォンのモバイルOSのシェアとして、アップル社のiOSが44.6%、グーグル社のアンドロイドが51.2%とそれぞれ半分ほど占めていて(2023年・公正取引委員会より)、“二強体制”となっています。

 施行される「スマホ新法」は、アップル社とグーグル社の“二強”を是正し、公正な競争を促すことで中小企業や新規アプリ開発企業の参入を促進するというものです。

メリットとデメリットは?

 新法施行で何が変わり、便利になっていくのかを見ていきます。

 iPhoneやGoogle Pixel、AQUOS、Galaxyなど様々な機種がありますが、現在は会社ごとに以下のようなアプリが決まっています。

■iPhoneの場合
 ストア 「App Store」 
 ブラウザ 「Safari」
 検索 「Google」

■Google Pixel、AQUOS、Galaxyなどの場合
 ストア 「Google Play」 
 ブラウザ 「Google Chrome」
 検索 「Google」

 新法ではこれらを外部に広げ、違うところからもダウンロードできるようになります。

▼メリット:選択肢が増え、自由度が上がる
▼デメリット:セキュリティ問題があり自己責任に

スマホ新法で変わる4つのポイント

■スマホ新法で変わるコト①「アプリストア」

 これまで決まっていたアプリストアを第三者のアプリストアが提供可能になるというものです。

ユーザー側の影響は?
・選択肢が増える
・アプリが安くなる可能性も
 ※現行のアプリストアでは審査代・手数料を15~30%支払っている状態
・セキュリティー低下に?
 →悪質・詐欺アプリの流入の懸念

■スマホ新法で変わるコト②「アプリ内課金」

 これまではプラットフォーム側の決算システムで支払っていましたが、スマホ新法では外部サイトでの課金誘導が可能になります。

ユーザー側の影響は?
・決算手数料が安くなることで安くなるアプリも
・安全性・信頼性が保証されない

■スマホ新法で変わるコト③「ブラウザ」

 これまでは初期設定のアプリでしたが、他社のブラウザエンジンを利用可能になります。

ユーザー側の影響は?
・ブラウザ間の競争が進みサービスが高まる
・セキュリティーや安全基準がばらつく

■スマホ新法で変わるコト④「検索エンジン」

 これまでは初期設定のアプリでしたが、ユーザーが自由に選択できる仕組みを整える

ユーザー側の影響は?
・選択肢が増え独占状態が緩和
・危険なサイトから守るフィルタリングが効かない検索エンジンが出てくる可能性

子ども・高齢者を守るためにできることは?

 スマホ新法での高齢者・子どもへの対策を見ていきます。

■子どものスマホ利用で考えられる危険性
・有害情報へアクセス
・詐欺アプリを入れる
・外部課金による高額請求トラブル

 ITジャーナリスト・高橋暁子氏は「親のリテラシーの高さが今まで以上に必要」だと指摘しています。具体的な対策として、▽公式ストア以外を使わせない、▽使用履歴を定期的にチェック、▽『外部課金を使わない』を家庭内ルールに、ということを挙げています。
13.jpg
 高齢者への対策を見ていきます。

 トビラシステムズがスマホを持つ65歳以上に対し、スマホを使っていて不安や困ったことがあるかという調査をしたところ、5割を超える人が困ったことがあると回答しています。

 高橋氏は「高齢者は『無料』や『割引』という言葉に弱いためだまされやすい」と指摘。家族ができることは、▽主要アプリだけをホーム画面に固定し、余計な操作をさせない、▽怪しい広告・リンクを踏まないようルールを決める、としています。

「安い」「お得」などのうたい文句に要注意

 スマホ新法で私たちができる対策としては、▽ストアも課金も通り公式を最優先とする、▽配信元が不明なアプリ・サイトは避ける、▽口コミやレビューが少ない場合は新規参入を装った詐欺の可能性を考える

「安すぎる」「外部サイトならお得」などのうたい文句などは特に注意が必要です。

これから必要なことはスマホを『使いこなす力』

 スマホとどのように向き合えば良いのかを高橋氏に聞きました。

 高橋氏は「リテラシーがなければ危険性が増す」としたうえで、「自分自身のアップデートも必要」としています。「スマホ新法」ができるということを知っておくだけでも向き合い方は変わることから、知ることも非常に大事だと話します。

 また、「スマホは危ないから使わないではなく、“どう安全に使うか”を考える段階に入っています。スマホは今後も不可欠で、使われるのではなく、『使いこなす力』がこれからの必須スキル」分析しています。

2025年12月12日(金)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

数十cmの津波でも命の危険! どこに避難したらいい?都心部にもある「津波避難ビル」とは?【青森震度6強で警戒続く】

2025/12/14

【スマホ新法】何がどう変わる?競争の促進でアプリなど選択肢増もセキュリティなどで問題か 子ども・高齢者が危険にさらされる可能性も...身を守るための対策は【12月18日施行】

2025/12/12

「厚着・布団かけ過ぎ」はNG!冬に下がる"睡眠の質"を上げるには?医師推奨の『セロトニンUP術』『適した室温&湿度』など徹底解説!

2025/12/11

東日本大震災の2日前にM7.3の地震「その時に呼びかけていれば...」反省踏まえ運用スタート『北海道・三陸沖後発地震注意情報』 私たちは何をすべき?【災害担当記者が解説】

2025/12/10

JAが"政府の備蓄米買い上げ"見越して価格下げず!?「古いコメは食用向きでないなどと理由をつけ...」余っているコメ高止まりのワケ【専門家解説】

2025/12/08

【大阪が全国ワースト】延焼しやすく避難しにくい『危険な密集地』行政の尽力で解消進むも...補助があっても現実的・気持ち的に解決できない問題 住民の多くが高齢者で立ち退きなどが困難「今さら他へ行けない」

2025/12/05

【おこめ券は物価高対策になる?】配布でコメ需要増加→価格上昇!?過去には「経費率35%」の例も "余っているのに高い"コメ流通の裏事情とは

2025/12/04

【小売業界は大戦国時代】都市部では"コンビニサイズのスーパー"が殴り込み!AI活用で鮮度&効率を両立 地方ではドラッグストアが"買い物難民"の救世主に?

2025/12/03

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook