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【13人死傷・加古川多重事故】もし隣の運転手が意識失ったらどう対処?運転中に暴走車が迫ってきたら? 相次ぐ高齢ドライバー事故...75~79歳の約6割が「運転に自信あり」

解説

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 11月4日、兵庫県加古川市で車13台が絡む多重事故が発生。この事故で車列に突っ込んだ車を運転していた岡本年明さん(78)が死亡しました。また、助手席に乗っていた70代男性が胸の骨を折る重傷、2歳~6歳の子ども4人を含む計11人が軽傷だということです。 またも起きてしまった高齢ドライバーによる事故。なぜ車は暴走したのか、防ぐ手立てはなかったのか…。MBS鈴木滉正記者が解説します。◎鈴木滉正:MBS記者 去年8月に報道カメラマンから記者に転向 カメラマン・記者として多くの交通事故現場を取材

事故当時、車内で何が起きていた?

 警察によりますと、解剖の結果、岡本さんの死因は急性心筋梗塞と判明。また、岡本さんの親族によりますと、岡本さんには持病はなかったといいますが、次の運転免許の更新時に返納を検討していたということです。

 岡本さんの車に同乗していた男性によると、岡本さんは事故の直前に意識を失っていたといいます。事故の瞬間、車内で一体何が起きていたのでしょうか。

 大阪けいさつ病院・循環器内科部長の飯田修医師は、急性心筋梗塞ということで、血管が詰まり脳への血流が低下し、意識を失ったのではないかといいます。その際、体に力は入らず、アクセルをぐっと踏み込んでしまうような体勢になっていた可能性もあるということです。

 また、最近の気温低下が関係している可能性についても飯田医師は指摘します。寒さで血管が収縮すると、血を送ろうとして心臓に負担がかかり、急性心筋梗塞につながることがあるということです。

もし暴走車が接近したら…一番危険なのは「静止」

 車の運転時、もし後ろから暴走車が迫ってきたらどうすればいいのか。自動車ジャーナリスト・国沢光宏氏によると、“静止”が最も危険だということです。このような状況の時、もしブレーキをかけてしまうと、後ろからやってきた車の衝撃を大きく受けることになってしまいます。

 可能であれば左右どちらかにハンドルを切って逃げることが望ましいとのこと。また、渋滞や停車列の最後尾にいる場合は、バックミラーを見て、危険な車が来ていないか注意しておくことも必要だということです。

自分が乗っている車がもし暴走したら?

 では、もし自分が助手席に座っていて、運転者が突然意識を失うような緊急事態になったとき、一体どうすればいいのでしょうか。

 国沢氏は、こうした状況になった場合「ニュートラル」に入れてほしいと話します。

 ニュートラルは緊急時やけん引されるときに入れるもので、エンジンは回転しているがタイヤは回らない、つまりエンジンの動力がタイヤに伝わらない状態となります。

 さらに可能であればサイドブレーキを引いてください。最近の車ではパーキングブレーキと呼ばれることもあります。

 最新の車であれば緊急時にパーキングブレーキを助手席から押し続けることで、勝手にニュートラルに入りブレーキがかかるという機能が付いている車種もあります。

 車種によって違いがあるため、まずは自分の車の機能がどうなっているか、ユーザーマニュアルを確認しておきましょう。

運転する側が気をつけること

 運転時にもし、自分が意識を失うなどしてしまった場合、何かできることはあるのか、国沢氏に聞きました。

 自動車には▽自動ブレーキ、▽加速抑制、▽ドライバー異常検知、などさまざまな安全装置がついていますが、これはあくまで補助的なもので万能ではないと国沢氏は指摘します。

 今回の事故で自動ブレーキはかからなかったのか?と疑問を持った人もいると思いますが、自動ブレーキは速度幅が限定されていて、高速域になったときにはとまれません。

 また、加速抑制は“踏み間違い防止”のためにアクセルを一気に踏み込んだときに急発進しないようにする機能ですが、これは停車から発進したゆっくりのスピード(時速30km以下程度)でないとききません。

 そのため、安全装置を過信せず、自分の車にはどのような装置がついているのか知っておくことが大切かもしれません。

高齢ドライバーの事故 どう防ぐ?

 高齢者ドライバーにより発生した今回の事故。高齢者事故の一番の防止策として挙げられるのは「免許返納」です。

 一般原付以上運転者(第1当事者)の免許保有者10万人あたりの死亡事故件数(2024年・警察庁資料より)を年代別に見ると、65歳から右肩上がりに増加し、85歳以上が最も多くなっています。

 免許返納件数は、75歳以上で受ける認知機能検査が厳格化された2017年に返納数が増加。池袋暴走事故が起きた2019年にも増加しています。

 一方でそれ以降の返納件数は減少していて、2023年は約38万件となっています(同年の70歳以上の免許保有者は約1300万人)。

 【免許返納件数】
 2014年 約20万件
 2017年 約40万件
 2019年 約60万件
 2023年 約38万件

免許返納への「2つのハードル」

 一方で、簡単に「返納すればいい」と割り切れる話でもありません。免許返納のハードルとして、生活面と気持ちの面があります。

 内閣府の調査によると、免許返納で生活が「不便になった」と回答したのは、

 ▽都市部 25%
 ▽地方都市 37.4%
 ▽山間地域など 60.5%

となっています。特に山間地域では、都市部に比べて電車やバスなどの移動手段が少なく、車を手放せないという人も多くいます。

 気持ちの側面では、年代別に見た「運転に自信がある割合」が一番高いのは、75歳~79歳で61.3%(MS & AD インターリスク総研株式会社の調査より)。

 「今までずっと無事故だったから」「慣れている道だから」という気持ちが、返納のハードルになっているのかもしれません。

事故防止につながる?こんな制度も

 今後の対策として、いくつかの制度を紹介します。

 免許返納者が持てる「運転経歴証明書」で、自治体によってはバス・タクシーなどの公共交通機関の割引や、宿泊・温泉施設の割引が受けられることがあります。

 また、どうしても車に乗りたいという高齢家族を説得する材料の一つとして、「サポートカー限定免許」というものがあります。これは、自動ブレーキなど安全運転を支援する機能を持った車種に限り運転ができる制度です。2022年から導入されていて、警察庁のホームページで対象車種を確認することができます。

 今後さらに増えていくとみられる高齢ドライバー。家族や周囲の人たちなど、社会全体で考えていかなければならない問題ではないでしょうか。

2025年11月07日(金)現在の情報です

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