2025年11月06日(木)公開
高市総理「あきらめたとは言っていない」消費税減税は"党内で意見が真っ二つ"?「私は少数派で負けた」国会論戦では慎重姿勢 『物価高対策』5つのメニューを総チェック!
解説
高市総理が最優先で取り組むとしている「物価高対策」。代表質問での立憲・野田代表の追及に対して、高市総理は「補正予算案を今国会に提出する」とした一方、消費減税については慎重な姿勢をみせました。 5日には、国民・玉木代表も年内の物価高騰対策について質問。高市総理は「1人2~4万円の所得税減税」「ガソリン税の暫定税率廃止までの補助」「電気・ガス料金の支援」などの方針を述べました。 私たちの暮らしは今後どうなるのか?5つの物価高対策について、専門家の見解をもとにお伝えします。 ◎取材 第一生命経済研究所・首席エコノミスト 熊野英生氏 ジャーナリスト 武田一顕氏
【賃上げ】現時点では具体性見えない“一丁目一番地”

物価高対策の一丁目一番地は「賃上げ」。特に、日本における雇用の7割を占める中小企業への賃上げ支援が不可欠だと、第一生命経済研究所・熊野英生氏は指摘します。
賃上げによる物価高対策をスタートさせ、「最低賃金1500円」を掲げたのは岸田政権。石破政権もその流れを踏襲し、特にトランプ関税の影響を「国難」としました。
一方、総裁選で「赤字企業でも賃上げできるように工夫する」と発言した高市総理ですが、今回の所信表明では具体策への言及はありませんでした。
また、自治体向けの「重点支援交付金」を打ち出していましたが、それが中小企業の賃上げに直結するかは不透明だということです。
高市総理は近畿大学で「中小企業論」を教えた経験があり、「中小企業への思い入れがあるはず」と熊野氏は指摘していますが、現時点では具体性が見えていません。
【食料品の消費税ゼロ】「あきらめたとは言っていない」党内の合意形成が難しい?

物価高のなか、期待する人が多いと思われる「食料品の消費税ゼロ」。高市総理は「レジシステムの改修に時間がかかることにも留意」と述べていて、前向きではない可能性があります。
立憲民主党の試算によると、最大2年間で10兆円の財源が必要で、熊野氏も「代替財源がない。無理筋では」と実現の難しさを指摘しています。
自民党内で数少ない「消費税ゼロ賛成」論者だった高市総理ですが、「(消費税減税について)党内で意見が真っ二つなんですから。私は少数派でだめだったの。私負けたんですよ。あきらめたとは言っていない」(中田敦彦のYouTube大学より)と語るなど、党内の合意形成が難しいようです。
【給付付き税額控除】“公平性”の壁…低収入の資産家も給付対象に?

所得税を控除しきれない人にも恩恵がある「給付付き税額控除」。立憲民主党が参院選の公約に掲げていて、高市総理も「立憲より先に提唱していた」と述べるなど前のめりな姿勢です。
しかし、この制度は“公平性”を担保するのが難しく、高市総理が言うように「実現には2~3年かかる」かもしれません。
というのも、「収入」を判断基準とする給付付き税額控除では、
▼一定以上の収入がある人=所得税控除
▼収入が少ない人=現金給付
となる一方で、恩恵の必要がない「収入の少ない資産家」も現金給付の対象となってしまう可能性があるからです。
この問題を解決するには、国による資産の把握(マイナンバー等)などをめぐり、国民とのコンセンサス形成が必要になってくるでしょう。
【ガソリン暫定税率廃止】ガソリン価格低下しても物流費は下がらない?

「ガソリン暫定税率廃止」については5日、2025年12月31日廃止で正式合意がありました。12月中には、今より約15円安くなるということです。
ただし、ガソリン使用量の多い地方と比べると都市部の恩恵は限定的で、物流費低下にもあまり期待できないと専門家は指摘します。というのも、物流業界は残業規制による収入減が課題となっていて、ガソリン価格の低下分は人件費に回ると予想されるからです。
また、現在停止されている電気・ガス代の補助(年4000~5000円)が来年1月以降に延びた場合、家計全体で考えると、ガソリン暫定税率廃止の恩恵(月6500円程度)が相殺されてしまう可能性があります。
【円安是正】去年は「金利を上げるのはアホやと思う」と発言も…

原材料・原油などを輸入に頼る日本では、円安=物価高となるため、「円安是正」も物価高対策として重要です。
一般的には、物価高対策として「金利引き上げ」が有効とされていますが、高市総理は2024年に「金利を上げるのはアホやと思う」と発言するなど、慎重な姿勢を見せていました。
4日には「引き続き適切な金融政策運営を期待」と述べていて、金利を上げるのか否か、不透明な状況です。
「178万円でも足りない」玉木氏が“年収の壁” 引き上げ主張

5日の国会論戦では、国民・玉木代表が「178万円でも足りない」と、『103万円の壁』のさらなる引き上げを主張。対する高市総理は、「現時点でも一定数の方が年収の壁を乗り越えて社会保険に加入するなど成果を上げている。こうした取り組みを着実に実行していく」と述べるにとどまりました。
熊野氏が「メインディッシュがなかった」と指摘する高市総理の経済政策。今後も続く国会論戦に引き続き注目です。
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